うっぱち屋マガジン 第5号 # ## ### # # # ## ######### # # # # # # # # # # ## # # ######### ### # # ### # #### # # ## # # #### #### ######### # # ### # # # # # # # ## # # # # #### # # # # ## # # # # ## # # ##### # # # # # ### # # # # # # # # # # # # # # # #### # # ###### # ## # # # ## # # # ## ## ## # # # ## # # ## # #### #### ########## # # # ## ## # # # # #### ### # #### ###### ## # ### #### # ## # # # ## # # # ## # # # # # ##### # ## ##### ## # # # ###### # # # # ### # # # # # # # # # # #### # # #### # ###### # # # #### #### うっぱち屋マガジン 第5号  発行:1990年5月20日 /| |/ FROM / ̄|TO|\ with 一太郎 ATOKより一太郎をこめて ( 後 編 ) 八丁堀 & うっほっほ 無責任編集 協力:void_No.2・masakun・Datura・うっぱち屋ファン倶楽部 今回の記事はすべてユーザーの調査および経験によるもので、内容 に関して株式会社ジャストシステムはいっさい関知しておりません。 本内容に関する株式会社ジャストシステムへのお問合せはご遠慮ください。  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ - 1 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ 今号の特集は… ________________________________________________________________  前 号 の つ づ き で す。  41ページの量に耐えきれず、結局分断した ATOK と一太郎の 特集の後編です。  残った原稿をそのまままとめてしまい、あとは先輩へ原稿催 促して終了という安直な気持ちは見事裏切られ、時とともにリ フレッシュされる情報をもとに、(ほとんど手は加えていないが) 自分なりの ATOK 談義、一太郎使用記をお伝えします(なんかニ ュースみたいだな)。ほぼ単独にちかい形で 2号分のほとんどを 制作するというのも気が引けるのですが、多くのユーザーが電 子掲示板への書き込みというかたちで残してしてくれた貴重な 情報も数多いので、それらをまとめながらということで ATOK について書き綴ってみました。  しかしながら、時の流れが影響させるものは大きく、記事を 書いている間にアスキー誌で日本語入力フロントエンドプロセ ッサの活用方法が記事になったり、日経パソコン誌で ATOK6 を 拡張フォーマットで使うための記事が載ったりで、私がここで 挙げた記事のいくつかは遅れたものとなってしまいましたが、 あえてここでも残しておきます。  実際、ATOK7 を長い間使っていると、学習の結果をよく忘れ てしまうということは意識しなくても感じてきてしまいます。 しかし、そこでどのようにするかということを考えるのが人間 ユーザーとしての役割といえるのではないでしょうか?  どうせ相手は機械ですから、それを人間で補うというのも、 パソコンと仲良くやっていくという方法のひとつだと思えます。  今回は ATOK についての欠点がかなり多いと感じる方も多い でしょうが、欠点を知ってこそよりうまく使っていけるという ことだってありえます。どうか今回の記事が ATOK ユーザーの 経験値を上げる結果になるということを願って止みません。 ・ATOK、一太郎は株式会社ジャストシステムの登録商標です。 ・MS-DOS は米国マイクロソフト社の登録商標です。 ・VJE-β、VJE-II は株式会社バックスの登録商標です。 ・松茸は管理工学研究所の登録商標です。 ・Katana(刀)2 は株式会社サムシンググッドの登録商標です。  本マガジンではこれを「刀2」と表記しています。 ・Ace2 は株式会社大塚商会の登録商標です。 ・EGBridge は株式会社エルゴソフトの登録商標です。 ・FIXER はシティソフト株式会社の登録商標です。 ・風は株式会社演算星組の登録商標です。 ・WX II はエー・アイ・ソフト株式会社の登録商標です。 - 2 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ ATOKアンソロジー ________________________________________________________________ 八丁堀 ・古いモノで恐縮ですが…  一太郎を "ワープロソフトの標準" という呼び方をするパソ コン専門誌もあるくらいに、ワープロソフト・一太郎は多くの ユーザーを持っています。それと同時に日本語入力フロントエ ンドプロセッサである ATOK も同じ数だけのユーザーを持って いることになります。  日本語入力フロントエンドプロセッサには、数多くのソフト ウェアと相性が良くて辞書の育て甲斐がある VJE-β、堅実な分 野の専門職に定評のある松茸 V2、着実な変換と低価格で入手可 能な EGBridge、フリーソフトウェアとして流通している WXP (これをもとにした WX II が発売中)、その他 FIXER4、風、日 本電気の MS-DOS に標準で添付されているもの(NEC-AI/逐次/連 文節かな漢字変換)、そして私も愛用している刀2 (Ace2 も同じ) など、さまざまな日本語入力フロントエンドプロセッサが出回 っています。  上記の日本語入力フロントエンドプロセッサは、FIXER を除 けばひととおりは使ったことがあるのですが、多くの日本語フ ロントエンドプロセッサを使ってみると、やはり ATOK の使い 勝手の悪さが目立ってきます。事実、ある BBS では ATOK は歓 迎されていません。それはなぜか?  ある程度パーソナルコンピュータの知識を持ち合わせてくれ ば技術的に、そして使い込んでくると経験上、ATOK のさまざま な問題に出くわすことになるでしょう。  ATOK のユーザーは、他の日本語入力フロントエンドプロセッ サのユーザーと比べてはるかに多いようです。ここでは、ATOK の悪い点が露出されてしまうことになることでしょう。多くの ATOK ユーザーが、自分の使っている日本語フロントエンドプ ロセッサに対してあれこれいわれて、良い気がするわけがあり ません。しかし、欠点を知っておけば、それに対する回避策を 考えれば良いわけで(たとえば、そうならないように注意して使 うとか)、もしかしたらメーカーも対応策を考えてくれるかもし れません。  そんなわけで、過去に各 BBS の電子掲示板に書かれたアーテ ィクルを読み直し、そして私が今まで ATOK を使ってきたとき のことを思い出しながら、ここであらためてそれらを整理して みることにします。現在では ATOK6 から ATOK7 に移っている ユーザーも多いのですが、もう過ぎたこと、と思いながら回顧 趣味にひたって読んでもいいし、「そうか、気をつけなくちゃ」 なんて思っていけばいいことだと思えます(本当に ATOK を愛用 している人ならばそう思うはずです)。  この記事を書くに当たっては、今までの各 BBS に提供された ユーザーからの情報を参考にし、それらの大集結としてこの場 にブチまけさせていただきます。ここで改めて、情報という財 産を残してくださった多くの ATOK、反 ATOK ユーザーにお礼を 申しあげます。 - 3 - うっぱち屋マガジン 第5号 ・ATOKの操作性1―かな漢字変換の切り換え  PC-9800 シリーズの機種で日本語入力に切り換えたり日本語 入力を抜けるには、たいていの日本語入力フロントエンドプロ セッサは CTRL + XFER を押します。ところが、他のほとんどの フロントエンドプロセッサは SHIFT + XFER キーで切り換える こともできます。中には松茸 V2 のように XFER キーのみで切 り換えるものもあります。  気になる点は、ATOK は「CTRL + XFER でしか切り換えること ができない」ということです。これでは片手で日本語入力を切 り換えたりすることができません(XFER キーだけで切り換える ためのソフトもある)。  それでは、日本語入力の状態で入力を半角英数カナにしてお いたらどうかというと、これも問題が多く発生します。最も困 ることは、「キー入力の反応と画面表示(= 標準入出力)が遅く なる」ということです。長いアーティクルやメッセージをダウ ンロードすると、何と MNP のハードフロー制御でも文字化けし てしまうことさえあります。通信ソフト(当時ではまいとーく Ver.1.0A や CterM など)で通信するとハングアップすることが しょっちゅうありました(ハングアップに関しては後述)。  次に画面最下行の問題。通常 98 の画面は最下行はシステム ラインとして、ファンクションキーの表示などに使われるので すが、SHIFT + f7 や N88-BASIC の CONSOLE 命令などで最下行 を表示しないようにする(つまり最下行も通常の標準出力の表示 として使う)と、正常に最下行が使えなってしまうようです(ATOK7 では今のところ大丈夫なようだが)。  最後に、未確定文字(列)や読み入力の色を変えることができ ません。黄色の文字はユーザーによってはまぶしく感じられま す。松茸 V2 や刀2 などは CONFIG.SYS での設定で変えること ができますし、VJE-βは vjecolor2 というフリーソフトウェア で色の設定ができるようになっています。また、WX II にもこ のためのユーティリティが附属しています。ATOK でも、このよ うなかゆいところに手が届くようなサポートソフトウェアが欲 しいところなのですが…いや、今まで出ないというのは ATOK そのものがユーザーとの "コミュニケーション・インタフェー ス" を断っているともいえるのではないのでしょうか。 ・ATOKの操作性2―漢字変換  入力された読みを変換するには、XFER またはスペースバーを 押して行います。しかし、スペースを入力したいときは…。  変換およびスペースの入力両方に対応するために、スペース バーで変換する/しないを選択して環境設定しているもの(松茸 V2、EGBridge など)もあれば、スペースバーを変換にして XFER キーをスペース入力に入れ換える機能も持たせたもの(VJE-βな ど)もあります。  ATOK7 になってからは、SHIFT キーを押しながらスペースバ ーを押せばスペース(1バイト空白)が入力できるようになってま すが、残念ながら ATOK はスペースバーも XFER キーも漢字変 換するためのキーとして扱われ、特に ATOK6 では、スペースを 入力するために CTRL + XFER を押して一度日本語入力を OFF にするか、f・10 を押して入力モードを半角英数カナに切り換 えなければスペースを入力することができません。これが原因 しているのか、ロータス 1-2-3 ではコード入力または記号入力 でもしない限り 2バイトスペース(98 の画面でいうなら全角ス - 4 - うっぱち屋マガジン 第5号 ペース)を入れることができなくなってしまっています。  漢字確定はリターンキーで行うようになっていますが、連文 節一括入力変換や逐次自動変換では、リターンキーを確定だけ の機能と使うことがあまり好ましくないと感じる人もいるよう です。漢字変換中に候補が出れば、確定しなくても次の文字(読 み)を入れていけばいちいち確定していく必要もないということ で、リターンキーを確定 + 改行として使いたいと思っているの です。  さらに加えて、これは ATOK 以外のユーザーが誰でも思うの ですが、連文節変換において文節間の移動ができないというこ とです。  たいていの日本語入力フロントエンドプロセッサは、左右の 矢印キーで変換した文節間の移動、シフトキーと左右の矢印キ ーで文節長変更ということになっていますが(NEC-AI かな漢字 変換は CTRL + 矢印キー)、ATOK に限って左右の矢印キー(シフ トキーは押さないで)が文節候補長の変更になっているのです。  ATOK は部分確定をしながら文節の候補を進めていく方式のた め、連文節変換中の各文節の候補を行ったり来たりすることが できません。変換中の文節の前の次候補を出したいのなら、い ったん BS キーを押してせっかく確定しかけたものをすべても との読み入力の状態に戻してしまうため、再び連文節変換から やり直さなければなりません。これは、ATOK が単文節変換の名 残りを残しているともいえるのかもしれません。KTIS の時代は、 このような性質の日本語入力フロントエンドプロセッサが多か ったようですが、連文節変換が主流になるにつれて他の日本語 入力フロントエンドプロセッサは操作性が改良されてきたので す。 ・変換効率  さて、気になるところの漢字変換そのもののことです。各社 から日本語入力フロントエンドプロセッサが続々発売(たいてい はワープロやデータベースソフトに添付されてきたといった方 が適切な表現ではあるが)されたころ、あるパソコン専門誌で変 換効率のベンチマークテストがありました。いわゆる連文節の 読みを入力し、その変換結果(いわゆる「ヒット率」で日本語入 力フロントエンドプロセッサの性能を評価するものです。  これにあたっては、ATOK6 はかなり良い評価を受けたのです が、実際のところ、その内容は一度めの変換でどこまで近い変 換をするかというだけのもので、ベンチマークテストの方法は 決して適当なものではないという声がかなりありました。どん な賢い辞書だって、最初は思うように変換してくれるわけがあ りません。変換・候補・確定を繰り返し、学習していくことに よってはじめて辞書が育っていくものなのです。1回目の変換で どれだけ当たるかというよりも、それがどのくらい学習できる かという方が重要なのです。  というのは、ATOK は単語の接続のチェックが甘いので、簡単 な例文をも変換できません。なのに、「花が咲く」などという 句を動詞として登録してあります。これは最初の変換のヒット 率のときにしか効果がありません。  前述の文節間の移動ができないということも含めて、ATOK は 単文節ごとに変換していく方法を取った方が、スマートにいく のです。 - 5 - うっぱち屋マガジン 第5号 ・ユーザー定義文字(外字)  PC-9800 シリーズには、ユーザーが自由にフォントパターン を定義して使うユーザー定義文字が用意されていて、ほとんど のワープロソフトではここを(全角文字の)外字としても利用し ています。一太郎 Ver.3 や ATOK も例外でなく、外字としてこ のユーザー定義文字の領域を利用しています。  ATOK でこのユーザー定義文字を入力したいときは、f・10 キ ーを何回か押してコード入力にしてから 4桁のコードを入力す るか、読みで「がいじ」と打ってから GRPH キーを押しながら スペースキーを押して選択していくかの 2種類の方法がありま す。  しかしながら、"外字" として入力できるコードが JIS 16進 コードで 765F まで、それ以降は一太郎 Ver.3 でも 7673 まで しか扱うことができません。どうあがいてもユーザー定義文字 の 77xx が入力できないのです。  もともと PC-9801/E/F/M で使えるユーザー定義文字は現在の ものよりも少なくて、これが大きく関係しているのでしょうが (一太郎 Ver.2/Ver.3 のころは PC-9801/E/F/M も現役で頑張っ ていたものが多かった)、実は一太郎 Ver.3 内で出てくる高速 画面での横倍角、改行、改ページ、段組みなどのマークが 77x x に入っていたりするのです。  一太郎 Ver.4/dash で ATOK7 になってからも 77xx の文字は 同じように扱われ、ユーザーはそこのユーザー定義文字が使え ないのは変わらないのですが、一太郎(Ver.4/dash)を起動して しまったらそれに加えて 98 のユーザー定義文字のコード(762 1〜765F も)が入力できなくなってしまうようになってしまった のです。  一太郎 Ver.4/dash は外字に独自のコード(7F21 〜 927F)を 一太郎内のみで割り当てており、これは文字コードとして正式 に定義されていません。外字の数が増えたとはいえ、MS-DOS 上 では最初の方の何文字かを除けば呼び出されない文字です。  もちろん、PC-9800 シリーズや互換機を含めて、MS-DOS マシ ンを一太郎専用機として使うのであればまったく影響がないの でしょうが、そのうち MS-DOS コマンドの基本操作からロータ ス 1-2-3 やエクセルなどのスプレッドシート(表計算ソフト)、 The CARD 3+ や忍者3 pro などのデータベースソフトを使って いくようになれば、もしかしたら外字のことでとまどうことに なるかもしれません(最良の方法は外字を使わないようにするこ とではあるが…)。ユーザー定義文字も、同じ機種で使えば問題 ないはずなのですが、こういった場合に支障が出てしまうので す。  個人の趣味で文書に外字を使っていた方、MS-DOS で効果がな かったといったこのようなことにお気づきでした? ・辞書  日本語入力フロントエンドプロセッサにとって命となるのが 辞書です。そしてその辞書ファイルは、ユーザーが単語登録の 手段などで育てていくことによって賢い辞書に育っていくので す。  もともと学習が苦手な ATOK ですから、ユーザーはその分辞 書を使いこなすユーザーの負担が増えていくわけです。ところ が ATOK6 には辞書メンテナンスの道具が揃っていなかったので す。2つの辞書の差分をとったり 2つの辞書を混ぜたりすること - 6 - うっぱち屋マガジン 第5号 さえできなかったのです。  しびれを切らしたユーザーは、adic をはじめとする ATOK 関 連のツールを作ったりしてきました。さらに、技術評論社でも 「一太郎辞書パワーアップユーティリティ」という、ATOK5/6 の辞書メンテナンスツールを発売しました(このツールは現在 「武尊(TAKERU)」で販売されている)。  しかし、どんなにユーザーが辞書登録で頑張っても、辞書そ のものが良くなければ快適な日本語入力の環境は生まれないの です。ATOK6 は登録できる品詞が名詞、サ変名詞、固有名詞、 その他の 4種類しかありません。文法の苦手な人が単語登録す るのに非常に便利にできているのです。:-) それだけでなく、 ATOK6 になってからユーザーに名詞と固有名詞を分けて登録さ せてるのに、内部で区別しなくなってしまったのです。また、 辞書内部の品詞の区別に連濁音便のフラグがはいっているのに それを使っていません。とはいえ、連濁の処理を実用的な速度 で処理するのはけっこう大変なことです。最初は入れるつもり だったけど、やむを得ずあきらめたのかもしれませんね。  ところで、単語登録していけば辞書ファイルは大きくなるの ですが、ATOK6 は 700Kバイトくらいの大きな辞書ファイルを扱 うことができません。といっても、ATOK6 には文節ごとに区切 った単語を何が何でも漢字に変換しようとする癖がある限り、 辞書を大きくする意味はないかもしれませんね(特に単語を略の 読みで登録してしまうと悲惨な結果になることも少なくない)。 ・学習  学習についてですが、ATOK6 のときはほとんど学習してませ んでした。たまにしたかのようにみえても、すぐ忘れます。文 節区切りの学習を覚えたかのようにみせかけているので、新し いことをどんどん憶えさせると、古いのを忘れてしまうのです。 また、そのための領域が 2Kバイトしかなく、実際に使っている のはこのうちの 1Kバイトだけです。  憶えてくれることを期待するより、学習機能をオフにして何 番目に出て来るかを、人間が憶えておくというほうがよっぽど いいと言っている人さえもいます。多くの文節で連文節変換し たときなどは、やはり最初の文節は学習していませんでした。 ATOK7R ではそれが顕著に現れてくることもあります。今まで憶 えてきた学習結果をすべて忘れてしまうという、突然記憶喪失 になったりもすることもよくあるのです。ATOK7 は詳しく調査 してないのですが、連文節学習をしたのかと思えばいつのまに か忘れていたりします。連文節を学習して、カタカナ確定を次 々としながら文章を入力していったら突然変換しなくなったと いうことが何度もありました。  ATOK7 は学習の領域が広がったものの、カタカナ確定したも のもそれを単語として一時的に記憶してしまうため、すぐに学 習領域があふれてしまうのです。  ATOK6 の学習は、一太郎を使っているときならまだしも、他 のソフトと ATOK6 との組み合わせで使うと、その学習機能のひ どさが露呈してしまいます。MS-DOS 上の操作や、通信中に CTRL + XFER を押していったん ATOK6 をオフにしてしまうと学習結 果はほとんど忘れてしまうようです。 ・単語登録 - 7 - うっぱち屋マガジン 第5号  ATOK6 には単語登録に置いて致命的な欠陥がありました。単 語登録の重複をチェックしてないので、同じ単語を二重にある いは何度も登録してしまいます。これは、使っているうちに重 大な問題が出てきます(もちろん単語登録しなければこの問題は クリアできるのですが…)。  たとえば、ある同じ単語を別の品詞で登録してしまった場合、 先に登録した品詞のものだけを削除することができません。後 から登録したものを削除しなければ、先に登録したものを削除 することができないのです。単語を一括登録する人にとっては、 いちいち重複する単語を意識しなければなりません。  次に読みの文字数の問題。ATOK の登録単語には "1文字の単 語に対しての読みが 4文字という制限がある" のです。たとえ ば "ε" という 1文字の単語を "いぷしろん" という 6文字(濁 点・半濁点も 1文字に数える)の読みで登録できません(単語 1 文字に対して 5文字の読みとなっているため)。それに加え、長 い単語は短文登録を使わないと登録できないのです。 ・ハングアップ  よく聞くもののもう一つとして、ATOK はよくハングアップす るというのがあります。私もよく体験しました。通信ソフトは もちろん、Mifes やEDLIN 使っているときもキー入力中に突然 ハングアップして今までの作業が台無しになってしまうことが しょっちゅうでした。  これは、ATOK の内部処理の問題で、ATOK はキー入力 BIOS を我が物顔で使うため、別の割り込みがかかる(たとえば ATOK でかな漢字変換中に受信割り込みがかかったり、ディスクアク セス中に XFER キーを押すなど)と処理の奪い合いをしてしまい、 ハングアップしてしまうのです。これは ATOK7 になってからも 解決しないようで(ATOK6 のときよりかはずいぶんハングアップ しにくくなったが)、キー入力が速い人などは特にそのリスクを 背負うようです(私もまいとーく、COM-NET、ロータス 1-2-3、 極端な例として MS-DOS の EDLIN でもハングアップした経験を 持つ)。「私は ATOK6 なら 1時間以内にに必ずハングさせてみ せる」と豪語している人もいるくらいです。Mifes のユーザー からも、Mifes 起動時に -$ATOK オプションを付けようが付け まいが、ハングアップするときはハングアップするということ をたまに聞きます。  CterM を ATOK5 で使っていたときも chat や OLT などのリ アルタイム会話システムを使っているとしょっちゅうハングア ップしていました。 ・ハードディスクでの致命的な欠陥  ATOK7 になってからはなくなったのですが、ATOK6 はハード ディスク上で使うと、一太郎でもハングアップしたり、辞書フ ァイル(ATOK.DIC)が壊れていなくても正常に変換しないという のがありました(ハードディスクの衝動買いがこの結果をしっか り出してくれた :-) )。  これは、まだ ATOK6 が 拡張フォーマットに完全に対応でき ていなかった(16ビット FAT に対応していない)というのが原因 です。これは ATOK6 が特殊な方法でディスクとのやりとりをし ているためで(INT 1Bh だから特殊とはいいきれないかもしれな いが)、この方法は標準フォーマット(PC-9800 シリーズの初期 - 8 - うっぱち屋マガジン 第5号 から採用されているフォーマット形式で、ハードディスクでは 20MB までしか管理できない)では大丈夫なのですが、拡張フォ ーマット(ハードディスクでの管理容量に制限がない)では、標 準フォーマットのときと比べて互換性が保証されていません。 ATOK6 が出たころは、拡張フォーマットがパソコンの世界に普 及していなかったのですが、40M、80M と ハードディスク 1台 の容量が増えるに連れて、現在では SCSI の拡張フォーマット が主流になってきています。また、SCSI インタフェースでハー ドディスクを接続した場合は拡張フォーマットしか使えません (10M 以下の領域を確保して 12ビット FAT で使うという手もあ るが…)。  また、SASI の 40M でも状況によって辞書をアクセスしたま ま帰ってこなくなるという症状もありました(20M ごとに領域を 分割して標準フォーマットで使っていたとき、そういった症状 はなかった)。ATOK が辞書ファイルのアクセス時に、辞書の途 中から先を探しに行ったまま帰ってこなくなってしまうのです。 これを一太郎のときにも起こるのですから、たまったものじゃ ありません。  ATOK6 は現在のハードディスクの状況から考えると、まった く使いものにならないと考えてもおかしくないのです。 ・そしてATOK7へ  ATOK7 になってからは、ATOK6 のときと比べれば格段に良く なってきているようです。相変わらず学習を完璧に憶えてはく れないのですが(ダイナブックの ATOK7R は突然学習機能が OFF なったり、今までに憶えてきた学習結果をすべて忘れてしまっ たり、登録されている単語が UT7R で出てこなかったりという こともよくあるらしい)、半角(ASCII)文字の確定入力へ XFER キーのみで切り換えられるようになったり、辞書登録できる品 詞が増えたり、700KB 以上の辞書が扱えるようになったりで、 ATOK6 のときと比べれば不都合な点がずいぶん改善され、いく らか安心して使えるようになってます(これでハングアップをし なくなればかなり評価も高くなるのだが…)。  特に便利なのは送りがなを統一してくれる点で、これはかな り重宝しています。  また、EMS 対応に関しては、常駐サイズを犠牲にして速度を 重視したという考えも賛成できます(偶然だったりして…)。  今までの 8か月間、ATOK7 をあらゆる状況で(仕事場でも私の 部署だけは一太郎を Ver.4 に入れ換えてしまった) 使ってきま したが、かなり酷使すれば果ててしまう日本語入力フロントエ ンドプロセッサですが、それなりに優しく扱ってあげればかわ いいものです(情が移ったのかしら?)。  でも、ATOK ユーザーって、たいてい一太郎ユーザーのようで すね。一太郎みたいに日本語入力フロントエンドプロセッサ選 ぶエディタなんて邪悪だと私は思うのですが…。 - 9 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ ATOK7使用記 ________________________________________________________________ 八丁堀  はっきりいって、私は ATOK6 が大嫌いです。あの品詞の少な さ、学習結果の忘れやすさ、ハードディスクでは一太郎を使っ てもハングアップさせてしまう凄さ…これはタダものではあり ません。せっかく 1枚のフロッピーディスクに納まる一太郎 Ver.3 なのに、使っている日本語入力フロントエンドプロセッ サが ATOK6 だけなんていうものの存在は許せません。8-)  ところで、私は仕事場では一太郎 Ver.3/Ver.4 を使っていま す。実は、私は VJE 推進派(個人的には刀2 を最も好んで使っ ている)ですが、「ATOK6 も何なく使いこなせるよ」ということ も知らしめるがごとく、平然とした顔で使っています。実際、 ATOK6 に対してなら私は日本語入力のほとんどをコントロール キーだけで扱えるようになってしまっていますし、一太郎 Ver.3 でも CTRL キーでカーソル移動や各機能の操作を行うこともでき るようになってしまってます(当然メニューからのコマンド入力 に ESC キーなんて使わずに CTRL + C や CTRL + J でやっての ける)。  それでも一太郎はいいと思うことができません。使えば使う ほど、便利になるほど、欲が出てくることも手伝ってか、多機 能の裏に隠れている空白が目についてきてしまいます。そして、 あの ATOK6 しか使えない閉鎖的な環境、私にはどうしても許せ ないものでした。一度は RAM ディスクで使った一太郎環境です から、一太郎 Ver.3 の遅さはまだ克服できますが、私にはどう しても ATOK6 が好きにはなれなかったのです。  今回、こうして記事を書いているのは、今まで ATOK 批判を していたものの、これが人によっては単なる "VJE おたくの ATOK 嫌い" なんて思われても仕方がありません(私は刀2 に移るまで は VJE-βをずっと使っていたので)。そこで「どーせ批判する なら徹底的に使ってやろう」と思い立ち、思い切って通信でも ドキュメント作成でも ATOK7、そしてワープロも一太郎 Ver.3 を使う環境を作ってしまいました。そして、年が明けて現在は 一太郎 dash での遅さに耐えながら(うぅ、EMS が使えないのは ジャストウィンドウユーザーには苦痛じゃー) 作業が続いてい ます。 ・一太郎 dash を買ってしまった  時期は半年以上前にさかのぼります。自宅に PC-9801UV11 を 備えてから半年たったある日、アキバのあるショップでソフト の品定めをしている私に、ひとつのパッケージが目に入りまし た。それは一太郎 dash。一太郎 Ver.4 のバグ騒ぎを横目でみ ながら、新松のカスタマイズファイル(config.k3)を作ることに 凝っていた私でありましたが、実は、私も一太郎を個人で入手 してみたいとも思っていたのです。しかしながら、5万8000円と いうのはとうてい私の手に届く価格ではありませんでした(すで にボーナスは新松を買ってしまって果てていた)。そこに、今ま での一太郎よりも約 2万円安い価格で登場した一太郎 dash は、 まさにタイムリーな発売でした。  しかし、実際に一太郎 dash の ATOK7 を見てみると、辞書は - 10 - うっぱち屋マガジン 第5号 dash 専用の ATOK7D が入っていただけだったのです。辞書サイ ズは ATOK7 と ATOK7S (ATOK7 の Small 辞書)の中間で、98ノ ートの軽快さを意識してか ATOK7 より若干小さめ、98 で動く ATOK7 には、某ピザレストランのごとく通常のサイズの他に S、 D、L と、合計 4種類の辞書が存在したのです(ただし、ピザで は Double の D だけど ATOK7 では Dash の D)。パッケージ 内のメインである一太郎 dash は 98ノートの RAM ドライブと FDD 両方ふさいでしまい、文書の保存時には文書ディスクと交 換するわずらわしさがあって、最初の 1か月使ったくらいでし た。 ・一太郎 Ver.3 での ATOK7 の使い心地  そんなこともあって、98ノートでも一太郎 dash は期待どお りのワープロ環境になってはくれませんでした。やがて一太郎 dash のファイルは消え、そしてジャストウィンドウ関連のファ イルも消え、PC-VAN の知的生産 SIG に「正解シリーズ」をア ップロードする頃には ATOK7 関連のファイルしか残りませんで した。  もともと ATOK7 はそれほど嫌いではなく、いろいろ遊んでや ろうかと技評のパワフルユーティリティを買い込み、dash の JSW 形式の文書を MS-DOS のテキストファイルに落としたり、 XFER.COM を使って松茸 V2 のように XFER キーだけで ATOK7 を ON/OFF するようにしたりしていたので、この環境を何とか 保持して行けないかという思いもあったのです。  幸い、そのパワフルユーティリティには ATOK7 を一太郎 Ver. 3 で使うためのソフト(7TO6TOJ3.COM)も含まれていたので、こ れを 7TO6 とともに組み込み、一太郎 Ver.3 のシステムと辞書 が 1枚のディスクに納まるメリット(つまり、RAM ディスクにシ ステムを入れておけばかなり快適に使える)と、ATOK7 を組み合 わせて、あのダブル縮小画面の変な快感を再び味わうに至った のです。そのころは UV11 も 1.5M の RAM ディスク(さらに 512K を EMS に割り当てている)が使える状況だったので、簡単に "一 太郎セブン" のシステムが構築されてしまいました。  ところで、この環境で一太郎 Ver.3 を使うとなると、それな りの問題もかかえていました。まず、一太郎 Ver.3 起動時。た まにハングアップ(例の「JUST SYSTEMS」を表示したまま止まっ てしまうという症状) してしまうのです。いや、実は EMS に ATOK7 を追い出して使っていたときはまったく問題なかったの ですが、やがてハードディスクがつながって、EMS が使えなく なってしまうと(私の機種である UV11 はハードディスクと EMS を両方使うことができない)、いつもハングアップの繰り返しで した。また、一太郎 dash もメモリ不足で起動できませんでし た。  一太郎 Ver.3 が起動時にハングアップするのは、一太郎を起 動させるだけのメインメモリが足りないことが分かっていたの で、とりあえず常駐はすべてはずすようにしてから再び起動。 しかし、これもハングアップの繰り返し。で、いろいろ調べた ところ、 CONFIG.SYS で指定したバッファの数が多すぎる ということが判明したのです(こーゆーことにすぐ気づかないう ちはまだまだ私も青いな)。EMS を使って ATOK7 のドライバを 追い出して使っていたときは、ドライバがない分だけメモリは - 11 - うっぱち屋マガジン 第5号 使われていなかったのですが、追い出す先がないわけですから、 メモリは少なくなります。  今までは CONFIG.SYS では BUFFERS=30 でやっていたのです が、ATOK7 のドライバを追い出せない以上、この数を減らさな ければなりません。  そういうわけで、BUFFERS=5 とすることによって、ようやく 一太郎 Ver.3 を起動できるようになったのです(起動するとき のデバイスドライバが ATOK7 と PRINT.SYS だけなら BUFFERS の値を 20 くらいにしても何とか一太郎 Ver.3 は起動できるこ とがわかった)。しかし、dash の方は起動できてもまだ「メモ リの空き容量が十分ではありません」と悲鳴をあげている状態 です(何とか実行はできるようだが)。  さて、一太郎セブンいざ出動というわけではありませんが、 やはり ATOK6 あっての一太郎 Ver.3 ということで、辞書登録 や一括変換の機能など、ATOK6 に直接関わるものは一切使うこ とができませんでした。当たり前といえば当たり前なのですが、 ATOK7 自体、キー操作が ATOK6 のそれと大きく異なり、たとえ ば辞書変更は ATOK7 だと Shift + f・8 であるのに ATOK6 で はこれが入力モードを半角カナにしてしまうんです。辞書の登 録や辞書ファイルの設定などは、一太郎 Ver.3 を起動する前に やるよりほかはないのです。  入力そのものに関しての問題はそれほどではないのですが、 細かいところで検索、文書保存時の見出し文入力時のなど、新 しいメニューウィンドウを開いたときに、カーソルの位置が変 になることがよくあります。これは、サブメニュー(たとえば検 索など) ウィンドウでは ATOK の入力位置を保存しておくとこ ろが別になっているようで、直前サブウィンドウでの読みを入 力した位置にカーソルが行ってしまうのです。バックスペース を打ったり、一度読みを打てばカーソルは正しい位置に移るの で、問題になるのは見かけだけといえましょう。  もうひとつ、コード入力や記号入力したあとに、自カナ漢(JIS かな入力)になってしまうということがあります。ATOK を JIS かな入力で使っているなら問題はないのですが、ローマ字かな 変換入力で使うとなると、f・10 キーをわざわざ 4回たたいて 元に戻さなければなりません(私は CTRL + C → O → M → CTRL + M と素早くたたいて入力モードを元に戻すという手法を使っ ているのだが)。 ・ATOK7とATOK7S  一太郎 Ver.4/dash、花子 Ver.2、かたろうを買うと、日本語 入力フロントエンドプロセッサ ATOK7 が標準で付いてきます (ATOK7 単体でも市販されている、逆に一太郎で ATOK7 が別売り だったらすごいことになるんだろうなぁ)。ご存知の方も多いと は思いますが、(MS-DOS 上で) ATOK7 を使うためには、ATOK7A. SYS と ATOK7B.SYS 両方のドライバ(以降まとめて ATOK7.SYS と 表記)をデバイス登録(CONFIG.SYS ファイルに DEVICE=ATOK7A. SYS…、DEVICE=ATOK7B.SYS と 2行書き込む) しないと ATOK7 が使えないのですが、この登録するデバイスである ATOK7.SYS に加えてもうひと組のドライバが用意されています。それが ATOK7AS.SYS と ATOK7BS.SYS (以降まとめて ATOK7S.SYS と表 記)です。  この ATOK7S.SYS は一太郎 dash のマニュアルではただ "Small" と表記しているだけで、内容・用途などはほとんど触れていませ ん。"Small" ということから、"小さい" ということが想定でき - 12 - うっぱち屋マガジン 第5号 るのですが(実際にこの ATOK7S.SYS を CONFIG.SYS ファイルに デバイス登録して MS-DOS を起動させると確かに "<縮小版>" と表示される)、どんなときに用いるのかがまったくわかりませ ん。「かたろう」の ATOK マニュアル(2)の方にはちゃんと説明 されているんですが…(初心者は意識しなくてもいいということ かしら)。一太郎 Ver.4 だったらちゃんと説明はあるんでしょ うねぇ(私は Ver.4 は持ってない)。  まぁ一太郎 dash しかお持ちでない方のために簡単に説明す ると、 ・一太郎以外(つまり ATOK7 だけ)では単語登録ができない。 ・外字(JFGAIJ.UFO ファイル)をユーザー定義文字に読み込 まない。 ・入力位置はシステムライン(最下行)のみ(エコー入力で使 えない)。 ・ATOK6 の API に対応できない(7TO6 が使えない)。 ・EMS にドライバを追い出せない。 などの制約があるということです。制約があるということは、 要するに "一部の機能がない" と解釈すれば良いわけで、その 分ドライバのサイズが小さくなるため、メモリの節約がはかれ るということにもなるのです。  EMS を使わない環境だと、やはり ATOK7S.SYS を使わないと どうしても「メモリの空き容量が十分ではありません」という メモリ不足のメッセージが一太郎 dash 起動時に出てしまいま す。最悪の場合ですと「メインメモリが足りません」といわれ て一太郎 dash が起動できなくなることもあります(ただ、ATOK7 のドライバに縮小版で使っても、ちょっとしたデバイスドライ バをメモリに常駐しようもんならすぐにメモリ不足に陥ったり、 常駐を外して一太郎 dash を起動したら、あのでかい dash タ イトルを表示したままハングアップしてしまったという最悪の ケースもあった)。  7TO6 が使えないということは、ATOK (ATOK6)をコントロール しているアプリケーションソフト(Lotus 1-2-3、Quick BASIC、 EGLight など)から直接 ATOK (ATOK7)をコントロールすること ができなくなるという不便さが浮き彫りにされてくるのですが、 EMS がなくて、ジャストシステムのアプリケーションソフトく らいしか使わないのであれば、ATOK7S.SYS を組み込んだ方がか えって好都合だったりするかもしれません。 - 13 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ ATOK6/7キー互換表 ________________________________________________________________  "s-" は SHIFT キー、"c-" は CTRL キー、"g-" は GRPH キ ーを押しながらキーを押すことを意味します。 +=======+===============================================+=======+ ! ATOK6 | 機 能 | ATOK7 ! +=======+===============================================+=======+ ! space |変換・次候補 | space ! !s-space|単漢字変換 |s-space! !g-space|グループ・第2水準漢字の部首変換 |g-space! +-------+-----------------------------------------------+-------+ ! XFER |変換・グループごとの次候補 | XFER ! !s-XFER |グループごとの前候補 |s-XFER ! +-------+-----------------------------------------------+-------+ ! NFER |半角(1バイト系)文字固定入力(英数字・カナともに)| NFER ! !s-NFER |全角英数字固定入力 |s-NFER ! +-------+-----------------------------------------------+-------+ !f1〜f5 | (一太郎 Ver.3 で使用) | ― ! ! f6 |ひらがな変換 | f6 ! ! f7 |カタカナ変換 | f7 ! ! f8 |半角カタカナ(1 バイト系文字)変換 | f8 ! ! f9 |ローマ字入力されたカナのアルファベット復元 | f9 ! ! f10 |入力モード変更 (7 ではローマ字<->カナは一緒) | f10 ! +-------+-----------------------------------------------+-------+ ! s-f1 |辞書・外字ドライブの変更 | s-f8 ! ! s-f2 |学習機能の切り換え | s-f10 ! ! s-f3 |句読点入力の切り換え ( ,.[ ]→ 、。「 」) | s-f10 ! ! s-f4 |コード入力でのコード体系切り換え | s-f7 ! ! s-f5 |辞書登録 (名詞、固有名詞、サ変名詞) | s-f6 ! ! s-f6 |ひらがな固定入力 | s-f9 ! ! s-f7 |カタカナ固定入力 | s-f9 ! ! s-f8 |半角(1バイト系)文字固定入力(英数字・カナともに)| s-f9 ! ! s-f9 |全角英文字固定入力 | s-f9 ! ! s-f10 |固定入力解除 | s-f9 ! +-------+-----------------------------------------------+-------+ ! c-f6 |日本語入力ライン変更 (システム <-> エコー) | f6 ! ! c-f7 |プリンタへの外字フォント転送 | ! +-------+-----------------------------------------------+-------+ !←・→ |単語候補長の変更 |←・→ ! ! ↓ |最初の区切られた単語候補の確定 | ↓ ! ! c-↓ |確定の取消 | c-BS ! +=======+===============================================+=======+ ・ATOK7 で追加された機能 XFER 漢字 <-> 半角(読み入力でないとき) g-XFER 半角スペース入力 ※ c-f1 〜 c-f10 は一太郎では別の機能になります。 - 14 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ うっぱち屋ファン倶楽部だより ________________________________________________________________ AssintantIO  うっぱち屋ファン倶楽部の第 3 回会合が 4 月 13 日に当倶 楽部のアイドル(じゃないって)の八丁堀様の ?? 回目の誕生日 を記念して恒例のお茶会ではなく初めて宴会として開かれまし た。当日生憎都合が悪く出席できなかった会員の方もおられま すのでその模様を報告させていただきます。 > 日取り: 1991年 4月13日 (土) > 場 所: 焼肉大黒屋・歌舞伎町店 (しゃぶしゃぶ食い放題飲み放題) > 集合場所/時間: JR新宿駅東口交番前 18:00 (この時間にこの場所は無謀か?) > 目 印: 古いASCII-Netのピンクの小冊子 and それらしい集団(笑)  集合場所は例によって新宿駅東口交番前に午後 6 時というこ とでしたが、当日は折あしく風の強い土砂降りでまた人出が多 く傘の山、山でした。初めて会合に出席される会員の方 (不明 こと Te.Kim さん) もおり、これじゃはたしてお互いを見つけ て集合できるか危ぶまれましたが、行方不明になる会員もなく 目出度く定刻までに出席予定の全員が集まりました。ネットの 集まりには珍しいという声がありました。:-) ~~~~~ > あ〜、あとアス(ぴ〜)のトレーナー(白)を着て行きます。 これが役にたったのかなー。(笑)  出席された方々は以下のとおりです。 主賓 pcs18303 hatchobori 主賓 pcs36335 Uhhohho No. 1 会長 pcs26776 Lupin No. 3 顧問 pcs04171 N.ITOH No.12 不明 pcs35023 Te.Kim No.13 コピー取り pcs04841 Shimo. pcs34052 ZAXON♪ No.10 調査役 pcs28337 AssistantIO  一次会はしゃぶしゃぶとすき焼きの食い放題と生ビールとハ イサワーの飲み放題の内に会長挨拶、主賓挨拶、自己紹介と情 報交換が行なわれ大いに盛り上がりました。全員満腹になりま したよね。JIS 第一水準幹事の会長から某秘密兵器の紹介があ りましたが使わずじまいだったような...。(笑)  情報交換の内容は報告できません。ってよく覚えていなんで す。あまりの華々しさに Te.Kim さんが呆気に取られていたよ うな気がします。(笑)  続いて二次会はいつもの喫茶店のいつものテーブルに場所を 移し様々な情報交換が行なわれ、うっぱち屋マガジン第 4 号の - 15 - うっぱち屋マガジン 第5号 上下分割が決定されました。また恒例のお土産配布がふつー 3.5 インチ 2 枚で行なわれました。  11 時頃つつがなく終了し帰途につきましたがその後に ZAXON♪ さんが新規会員として登録されたことが会長から報告されました。 No.14 運転手 pcs34052 ZAXON♪ よろしくお願いします。  残念ながら不参加の会員の声を拾ってみました。(笑) > ぅぅ、行けなくてごめんなさい > > >結局終電明日又出社 >** > 実は私もでした。まったくこんな日に限って、 > 友達がカナダに帰るなんて…ぶつぶつ > > 宴会で何が起こったか後で教えてくださいね>会長 > >** > ***,*.****** ・きっと次回は参加するぞぉ わざわざ伏せ字にする必要はなかったかしら...。  次回の会合は会長の帰朝報告会 (と「ゅ」発声実演(笑)) を 行うという願ってもない名分があります。今回お会いできなか った以下の会員の方々とも近々お会いできることと思います。 No. 2 代表 pcs29826 K.atsumi No. 4 大番頭 pcs34895 Lucifers'Mind No. 5 丁稚 pcs31290 simasima No. 6 秘書 pcs29159 とまと No. 7 お茶くみ pcs04520 HAL No. 8 将軍 pcs35025 shin No. 9 御庭番 pcs22753 NAGOYAカラキタサラリィマン No.11 机ふき pcs32894 mig  現在会長が海外逃亡中、おいおい、海外出張中ですので代わ りに私、不肖調査役が「ファン倶楽部だより」を書かせていた だきました。 - 16 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ ノートに向いた一太郎とは ________________________________________________________________ 八丁堀 ・インストール作業と単機能化  98 (どのパソコンでもそうですが)で、ワープロソフトをはじ めとするアプリケーションソフトを使うためには、たいていは インストールという面倒な作業をしなければなりません。現在、 市販されているほとんどのアプリケーションソフトは、MS-DOS といわれるオペレーティングシステム(基本ソフト)の環境の上 で動作するようになってます。言い換えれば、MS-DOS がなけれ ば動かないということです。  最近発売されてアプリケーションソフトをインストールする ためには、場合によっては MS-DOS のシステムが別に必要にな ります。ハードディスクは別としても、フロッピーディスクや RAM ディスクから起動するようにするには、起動するフロッピ ーまたは RAM ディスクに MS-DOS のシステムを転送するように しなければなりません。  ところで、実際のところ、このインストールの作業は非常に 面倒なもので、保存用マスターから実行用ディスクを作成する ときは、場合によってはマスター側も作成側もディスクの入れ 替えが必要な場合があります。一太郎なんぞはそのいい例で、 完全なインストール作業を行うためには、マスター側も作成側 もそれぞれ最低 1回フロッピーディスクの入れ換えが必要にな るのです。これが VM や UV のようなデスクトップタイプなら まだいいのですが、取り外しや入れ換えが効かない RAM ドライ ブとなると、作業は急にやっかいなものになります。ひどいも のになると、実行用のディスクを RAM ドライブ上に作成し、最 終的に 98ノートメニューで「RAM → FD コピー」を使って実行 用ディスクを作成するなんていう作業をしなければならないも のもあります。  98ノートでアプリケーションソフトを使うためには、このよ うな面倒なインストールの作業だけでなく、アプリケーション ソフトをインストールしてしまうと、そのマシンは完全に単機 能のマシンになってしまうという可能性が十分に備わっていま す。今まででは、ハードディスクに組み込むか、新しいフロッ ピーディスクへ、そのアプリケーションソフトを起動するため のシステムディスクを作成する場合が多かったのですが、98ノ ートになると、ほとんどの場合インストール先が RAM ドライブ になります。なぜなら、データディスクを扱うためには FD ド ライブを空けて置いた方が操作上楽だからです。  インストールしたアプリケーションソフト以外のものを使う ともなれば、残った FD ドライブ 1つだけで何とかやりくりす るか(それでも起動ドライブや第 1ドライブを設定しなければな らなくなることも多くなるのだが)、RAM ドライブにインストー ルしたソフトウェアをあきらめて、あらためて別のソフトウェ アを RAM ドライブにインストールするしか方法はないのです。 ・一太郎dashは本当にノート向きか?  98ノートのユーザーが増え、「98ノートに最適」といわんば - 17 - うっぱち屋マガジン 第5号 かりのキャッチフレーズで宣伝されている一太郎 dash ですが、 本当に 98ノートに最適なソフトウェアでしょうか?  一太郎のすべてのバージョンには MS-DOS のシステムがすで に入っており、別に MS-DOS を購入しなくてもそのまま使うこ とができます。一太郎 dash のマニュアルは詳しくかかれてお り、読解力さえあればマニュアルに沿って作業すればインスト ールは終わります。しかしながら、どんなにマニュアルが分か りやすかったとしても、インストールの作業そのものが面倒で あれば、それは大変な作業にならないともいえません。実際、 マニュアルに従ってインストールを行うともなれば、難しいと ころまでいかなくとも、作業は面倒です。  インストールが終了して、さあ一太郎 dash が使える状態に なったとき、もういちど起動環境を見直してみましょう。起動 は FD、RAM ドライブには辞書をはじめ、一太郎 dash 関連のフ ァイルがびっしり。RAM ドライブだけでなく、FD ドライブまで システムが占有してしまうので、文書を読み込んだり保存した りするときは、FD ドライブに入っているシステムディスクをい ったん引き抜いて、文書ディスクと交換しなければなりません。  一太郎 dash が 98ノートにインストールされてしまったら、 その 98ノートは結局、一太郎専用機となってしまうことでしょ う。RAM ドライブは入れ換えることができませんから、この状 態で他のソフトウェアを使うためには、残された FD だけでや りくりするか(SimCity だったら大丈夫ですね :-) )、RAM ドラ イブの内容を一度消去して、再び一太郎 dash を使うときにあ らためて RAM ドライブに、RAM ドライブに入れるファイルすべ てを戻すという作業を行わなければなりません。  まぁ、辞書は RAM ドライブに残しておくにしても、一太郎 dash 関連のファイルが RAM ドライブに残っていると、一太郎 dash 以外のソフトウェアを使うときにそのファイルは邪魔に なります。多くのソフトウェアを使う人は、RAM ドライブには 辞書とひんぱんに使うソフトウェアを入れておきたいものです (私は RAM ドライブに MS-DOS の起動システムと辞書とエディ タなどのツールを入れている)。  このような状況を打破すべく、いろいろな工夫が各書籍で紹 介されていますが、MS-DOS が起ち上がった状態で一太郎 dash を動かすためには、少なくともジャストウィンドウ関連のファ イルと一太郎 dash 関連のファイルがすべて必要なので、これ を含めてしまったら 2HD のフロッピーディスク 1枚に入りきり ません。ディスクに納めるたくさんのファイルを削りに削って、 一太郎 dash の動作に直接関係するファイルのみにして、よう やっと 1枚のディスクに納まるくらいです。  もともと一太郎 dash は、UV11 で使うはずだったのですが、 一太郎 dash の購入を待ちかまえていたように第2ドライブが故 障してしまい、事実上 1ドライブと揮発性(笑)の 2M EMS マシ ンとなり、ディスク 2枚同時にないと動かない一太郎 dash を 使う環境ではなくなってしまっていたのです。98ノートを購入 して、あらためて一太郎 dash をインストールしてみてしまっ たら「98ノートに最適」という名文句も吹っ飛んでしまいまし た。 ・一太郎Ver.3はノートに快適  98ノートを衝動買いして、新しいのを買った嬉しさで思いっ きり使っていたころ、私は RAM ディスクにシステムと辞書とエ ディタを入れておき、Nit Emacs + ATOK7 の環境を楽しんでい - 18 - うっぱち屋マガジン 第5号 ました。本当は最初一太郎 dash をインストールしていたこと もあったのですが、文書ディスクとの入れ換えがわずらわしか ったのと、通信でアップロードする文書を作成するのが主な用 途になってしまったので、結局一太郎 dash には消えてもらい ました。  そんなとき、一枚のディスクでも使える一太郎 Ver.3 を思い 出し、インストールした後の起動用システムディスクを「FD → RAM コピー」で一気に RAM ディスクに転送したあと起動すると、 これが以外に快適! ディスクのシーク時間がありませんから、 漢字かな混じりの文章を打ち込むときも、メニューからコマン ドを選ぶときも、すぐに反応が返ってきます。精細モードでも それなりに対応していけます。やはり文字確定や文字挿入・削 除が起こった後は、ウィンドウを使ったりすると反応の遅さが 気になるところですが、カーソルの移動は致命的な遅さでなく、 文字列そのものはある程度スムーズに入れていくことができま す(キータッチの速い人は "スムーズ" ではないが)。ただ、縮 小画面時における鬼のような遅さ(そういっておきながら今はそ の縮小画面で別文書を参照しながらこの原稿を書いているのだ が)と ATOK6 の不満さには我慢できません。  印刷時、フォントファイルが必要で(独仏文字や発音記号、特 殊文字などが入った文書を印刷するとき) 文書ディスクとフォ ントディスクを入れ換える以外は、文書ファイルはずっと FD ドライブに入れたままで作業を続けることができる(必要なとき にいつでも文書の保存ができる)わけです。 ・突然ですが、AS NOTE  突然ながら、一太郎シリーズではないワープロソフトの登場 です。このソフトウェアはアスキーの製品ではありますが、一 太郎と非常に親密な関係を持っています。価格は 1万9800円。 大きな特徴として、 一太郎 Ver.3 と完全互換な文書ファイルが扱える というのがあげられるのです。完全互換というからには、テキ ストファイル(一太郎では拡張子が .JXW のファイル)だけでな く、罫線や印刷形式もそのままで使えるというものです。  昔 IDOQ というドキュメントプロセッサが発売され、話題を 呼んだことがありました。ある人は「一太郎の VJE 版だ」なん ていってましたが、この IDOQ はアウトラインプロセッサであ ると同時に、文書ファイルが一太郎と互換であるということが 売りものでした(一太郎と一緒に使うということを前提として作 られているフシもある)。その後、IDOQ2 にバージョンアップさ れましたが、その機能を縮小して 98ノート専用のワープロとし て発売されたのが AS NOTE だったのです。パッケージには「9 8NOTE 専用ワープロ」と書いてはありますが、実はデスクトッ プの PC-9800 シリーズでも使えます(そもそも画面表示をカラ ーにできること自体が…)。少なくとも PC-9801UV11 と PC-9801 VM2 では動いてしまいました。ただし、付属の「麻雀悟空」は 98ノート以外では動きません。  もともと、このこと自体は知らずに「98ノート専用の軽いワ ープロソフトでも使ってみるか、麻雀ゲームも欲しいし」と思 って買った物ではありましたが、いざ使ってみると、メニュー 形式(複数の形式が用意され、ユーザーが好みの物を選ぶことが できる)もファイル形式も一太郎 Ver.3 とほとんど同じにでき - 19 - うっぱち屋マガジン 第5号 てしまい、おまけに ATOK7 や VJE-βで使えるので、98ノート 上で軽快・快適に使えるエディタとしてずいぶんと重宝してい ました。  1万9800円という価格から、罫線の種類や機能の少なさもあり ますが、一太郎 Ver.4 のランク機能とほぼ同等の機能も持って いるので、思ったことをそのまま書くのに有益なアウトライン プロセッサ的な使い方ができるのは見逃せません。  プリンタドライバを切り放して、ディスク容量を節約するこ ともでき、しかもフルセットでも RAM ディスクだけに納まるの で、まさにノートパソコン向けのワープロソフトといえます。 自宅や出張先で、この 98ノート + AS NOTE で書類を作成し、 会社の一太郎で印刷するといった使い方をするのにも持ってこ いのワープロソフトですね。 ________________________________________________________________ 発音記号の困ったこと ________________________________________________________________ 八丁堀  一太郎 Ver.3 は、拡張機能を使用すれば発音記号を扱うこと もできます。先日、一太郎を使いだしたある英語の先生にこの 発音記号を教えたら、えらく感動されたことがあります。  発音記号を扱うためには、GFFONT または SPC.FNT というフ ァイルが必要です。GFFONT は、発音記号の他に独仏文字のフォ ントが含まれており、これらを半角の文字で扱うことができま す。また、SPC.FNT は特殊文字のフォントが含まれており、独 仏文字、発音記号を全角で扱うことができます。  この GFFONT や SPC.FNT、フロッピーディスクで一太郎 Ver. 3 のユーティリティディスクに入っているのですが、フロッピ ーディスクから一太郎を起動する人でこの独仏文字や発音記号 ひんぱんに使うのであれば(いるのかなーそんな人)、このファ イルを起動ディスクの中に移し、オプションのファイル設定で 「独仏・発音」と「特殊文字」のディレクトリをセットし直し ておくと、わざわざユーティリティディスクをセットし直す手 間が省け、起動ディスクだけで独仏文字や発音記号を扱うこと ができます(入りきらなかったら FORMAT.COM を削ってしまえば いい。現在ではフォーマット済みのディスクも発売されている ことだし、あまりディスク初期化の機能を使うことはないはず)。  ところで、この発音記号を使ってみようとさっそく「Z・文字 種類」の「P・発音記号」を選択してみると、画面はたとえ高速 モードであっても一時的に精細モードに切り換わってしまうの で、画面処理は急に遅くなってしまいます(まぁハードウェアに ないフォントを使うのでしかたがないことなのでしょうが)。こ れはまだ許せるのですが、絶対に許せないものがあります。そ れは発音記号の種類です。  英語(ここではイギリス英語を示す)を扱うときには問題がな いのですが、米語(ここでは、日本でおもに「英語」として扱わ れているアメリカ英語を示す)を発音記号で示すときには、気に なってしょうがありません。  her、bird、word、church などに含まれる er、ir、or、ur の部分の発音(共通の発音記号のフォントがないので説明がたい へんだ)は、日本語ではあいまいな音(フランス語でアルファベ - 20 - うっぱち屋マガジン 第5号 ットの 'E' を発音するときとほぼ同じ音) で、発音記号は 'e' を逆さにしたもの(以下「シュワー」)になります。しかし、米 語の場合、この発音は舌をそらす音(ラ行の子音に近い音)が含 まれるため、この区別を付けるために飾りを付けています(以下 「かぎ付きシュワー」)。一太郎および関連書籍をお持ちの方に も説明しておきますが、この記号は発音記号入力時では '6' の キーを押したときに出る文字、特殊文字ではコード No.239 の 文字です。  しかしながら、たいていの英和辞典ではこの発音記号は使わ れなくなってきています。よく使われる方法は、シュワーの次 (これが長母音であれば、':' に似た長音記号の後に)に斜体の 'r' を続ける方式が取られているのです('r' をシュワーの右肩 に乗せる表記をしている辞書もある)。  かぎ付きシュワー使用している英和辞典は、現在では英和中 辞典、ライトハウス英和辞典、リトル英和辞典(いずれも研究社) くらいで、他の英和辞典(研究社・リーダーズ、三省堂・デイリ ーコンサイス、小学館・プログレッシブ、大修館書店・ジーニ アス、福武書店・プロシードなど) や NHK のテキストではたい てい 'r' の斜体を続ける方式が取られています(英検の問題集 はどっちだったかな)。研究社の英和中辞典も第4版まではこの 方式だったのですが、今回内容が一新された第5版からはなぜか かぎ付きシュワーに変わってしまいました(でも、発音記号の表 記を音韻論で使う '/' ではさむ形式を取ったのは非常に興味深 い)。  また、発音しない場合もある記号はよく斜体で表記する方法 もよく取られているので(たとえば 'wh' の音)、斜体の発音記 号もあったりするとさらに便利になるでしょう。  じつは、発音記号というのは本来 80以上もの種類があり、さ らに長音、強勢、無音化やフランス語によく見られる鼻音化の 補助記号が 5種類あります(これらの補助記号のうち、一太郎 Ver.3 でサポートされている補助記号は長音のみで、特殊記号 などを使って一部の無音を扱うことができる)。すべてを含めた この 90種類近くの発音記号文字は IPA (国際音声学協会) によ って定められた、もっとも広く普及している音声記号です。英 和辞典に記されている発音記号はこの簡略表記のもので、正確 な音実質をとらえることはできませんが、学習上での抵抗が少 ないというのが利点です。  もちろん一太郎が持つ発音記号は簡易表記のものなら網羅し ていますが(ただし英米語に限ってのこと)、前述のかぎ付きシ ュワーで米語表記をとどめた点はいただけません。もっとも、 最近新しいものが見あたらない音声学や音韻論の書籍ではたい ていかぎ付きシュワーが使われているのですが。  せっかくサポートされているのですから、フランス語やドイ ツ語の発音記号も出せるようにするなりして、あともう少しの つっこみが欲しかったと思います。これは Ver.3 でなく、Ver. 4/dash にも同じことがいえます。 ・追い込みの記事  ずいぶんと早く完成したこの原稿ですが、特集 2分割となっ てしばらくして「英文スペルチェッカー」が一太郎 Ver.4 の VAF として発売されました。一太郎を英文ワープロ代わりにし ているユーザーもいらっしゃるようですが、一太郎は日本語ワ ープロであって欧文ワープロにはなりえません(その証拠に word- wrapping、right-justfy、blocked/indented/hanging indented- - 21 - うっぱち屋マガジン 第5号 form を自動でやってくれない)。  ジャストシステム製品の英文ワープロとしては、duet Ver.1.3 がありますが、残念ながらジャストウィンドウに対応してはお らず、一太郎 Ver.4 や花子 Ver.2 からはそのまま起動するこ ことはできません(一度ジャストウィンドウまで終了させなけれ ばならない)。  しかし悲しいかな、一太郎のような操作体系の環境ばかりだ と WordStar/TwinStar や Word-Perfect のような操作性(たと えば文字装飾や書式ファイルの指定の方法)や画面(個人的にい えば英文ワープロで日本語のメニューを出すのはやめてほしい) に対応できないのですね。  もっとも、英語の先生方で一太郎を使って教材を作っている 方もいらっしゃるので、この VAF はまったく否定できるわけで はないのですが…果たして、この「英文スペルチェッカー」が どのあたりまで有効なのかということは興味深いものがありま す。 ________________________________________________________________ 特集のあとがきにかえて ________________________________________________________________ 八丁堀  前回の特集の原稿がひととおり書き終わった 3月下旬、ひさ しぶりにアキバの街を 5時間かけて歩き回りました。ソフトは 特に目新しい物は出ているわけではなく、新しいジャンルが確 立されるまでは、とりあえず E-J BANK のようなバージョンア ップ版や 1-2-3 NOTEBOOK のような廉価版の発売がしばらく続 くような気がします。一太郎シリーズも PC-9800 シリーズ用の ものは、大手の家電販売店でも dash が 2〜3万円台、Ver.4 で も 3万円台という価格で販売されており、出荷・流通本数の多 さをそのまま物語っているようでした。  先日、ビジネスショウにおいて一太郎にほぼ完全対応した WX II+ を見ました。今まで ATOK で登録したユーザー単語も吸い 込み、キー操作も ATOK と同じようにできるほか、一太郎でも 問題なく動いてしまうので、職場で一太郎を使う私にとっては 発売が待ち遠しいところです(WX II の評判はかなりいいようで すからね)。  早ければ去年の 12月に前 4号と一緒になって出る予定だった この 5号も、半年という大幅な遅れの発行になってしまいまし た。  記事が記事だけに、いろいろな人に目を通していだだき、や っと何とか…といった状況です(gaijdump の作り直しにも少し 時間取られたりして)。  特に、内容や文体に関して細かく指摘していただいた void_ No.2 氏、Lupin 氏、ATOK に関する情報をメールでのやりとり に何度も付き合ってくださった masakun 氏、忙しいのにもかか わらずゲラを読んでくださった Shige~ 氏をはじめとする多く の校閲者にここでお礼を述べされていただきます。  一太郎に関しては出回っている Ver.4/dash の入門書もかな りの数となり、ジャストシステム発行のビジュアルリファレン スも「一太郎を使うすべての人のために 1 〜 5」、「パソコン・ 一太郎 使う前に読む本」、「先生のための一太郎」と全巻揃い - 22 - うっぱち屋マガジン 第5号 踏みしていたので、今回は Ver.3 を中心に記事をまとめること になりました。実際、私が使っている一太郎は Ver.3 がほとん どで、Ver.4 は RA でも遅いと感じるのであまり使うことはあ りません(インストール済みのマシンに限ってはマウスで使って いるが)。私個人としても、Ver.3 + ATOK7 が一太郎を使う環境 の中ではもっとも気に入っている組み合わせです。  最近でも、関連雑誌や書籍でも一太郎の記事は絶えることを 知らず、さまざまなかたちで入門記事や解説記事が出続けてい ます。中には、マニュアルにしっかり書かれてあることを臆面 もなく「秘技」だとか称して記事にしているものもあるようで す。  今回は、一太郎についてはほとんど語ることがなかった私・ 八丁堀が思い切って ATOK や一太郎についていろいろ書き留め てみました。しかし、これらの…特に ATOK に関しての内容は 私の経験だけでなく、過去数年間に渡ってアスキーネット PCS などに書き込まれた、数え切れないほどのアーティクルや私が 出会った多くのパソコンユーザーの話などの貴重な情報が積み 重なってきたからこそできた記事であるということはいうまで もありません。それらの情報は、私が ATOK を使うに当たって はずいぶんと助けられました。  正直いって、一太郎に関しても CTRL キーを併用した操作の 一覧を載せることもしたかったのですが、一太郎の製品にも下 敷きのような一覧表(結構使えますよ)が附属しているので控え ることにしました。  この半年間、私は日本語入力フロントエンドプロセッサの使 用を ATOK7 に限定し、それをずっと使ってきました。慣れとい うのは恐ろしいもので、やはり頭の中では「やーい ATOK」と思 いながらも平気で使えてしまうものです。学習を忘れてしまっ ても、その欠点を指が自然にカバーしてしまっているんですよ ね。  ATOK のこの特集も終わり、これからしばらくは、ひさしぶり の松茸を使ってみようと思ってます。 - 23 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ BPLAY物語 Part 3 ________________________________________________________________ うっほっほ  BPLAY もこれまでに、(このマガジンも含めて)雑誌で紹介さ れるなどして、いろいろなひとに知られるようになりました。  このマガジンでも、私たちが過去に作ったジョークソフト(一 部、実用に耐えられるものもあるらしいとか :-) )を毎号ひと つずつ紹介しておりますが、そういったソフトも BPLAY も、ど れもこれも私が「MS-DOS および PC-9801」の勉強をしてきた副 産物であり、とても懐かしく感じます。  異常なまでに保守的で非情な私であるということは前にも書 きましたが、自分の目的のために、よく 98 をピーパー泣かし たものです。  私がソフトウェアを作成するときのきっかけは、半分が「お もしろい発想を実現したい」ということなのですが、残り半分 は「××の機能をいぢくりまわしてみたい」というのが土台と なっています。それゆえに、発想は面白いけど何の勉強になり そうにもないものはボツになってしまいます。そのボツになっ たアイデアも数え切れるほどしかありませんが、あります。  そこで、これまでに作ったソフトウェアは何の勉強のためだ ったかを、一部整理してお教えいたしましょう(作成順です、ギ ャァ恥ずかしい…)。 tsuge.com …… 常駐方法とインターバルタイマの勉強 vint.com …… MS-DOS のサービスファンクション(int 21H)の構造研究 lix.com …… グラフィック V-RAM 操作と GLIO の勉強 zun.com …… キーボード BIOS に割り込む実験 kiano.com …… 音階コントロールをする実験 bplay.com …… インターバルタイマ/ キーボード BIOS/ 音階コントロールの復習 kanban.com …… vsync 割り込み/ファイルハンドルの勉強 etc.  その後、現在までにカーソル制御やマウスの制御、EMS 制御 などといった誰もが(?)通るべき道を通ってまいりました(笑)。 あとは、日本語 FEP に内部構造を極めるしかないと…。今回の ATOK特集でも構造の勉強をして鋭く参加したかったのですが、 残念ながら何かを書けるほどまで到達できませんでした。  まあ、以上のように、いま思えば幼稚で恥ずかしいソフトウ ェアばかりですが、アスキーネット pcs の junk.test で発表 すれば、常連の皆様からは痛いほどのアドバイスと御声援を賜 り、私も成長してきたのでありまする。今回も感謝の言葉を述 べちゃいます。いつもいつも、ありがとうございます。  BPLAY のバージョン 1.x は、ファイルの処理は FCB を使っ て行っています。それは、私のソフトウェア作成歴がそうさせ てしまったのです。すでに、kiano.com が BPLAY の前身である ことは述べましたが、kiano.com を作った後にファイルハンド ルの勉強をしました。この順番が、BPLAY バージョン 1.x に決 定的な問題を残してしまいました。 - 24 - うっぱち屋マガジン 第5号  問題点とは、階層ディレクトリを正式にサポートしていない ということです。いえ、サポートしてしないというよりも、扱 い方がよくわからずにかなりいい加減なやり方になってしまっ たのです。拡張子のデフォルト処理とか、BGM ファイルのサー チとか、いくつか複雑な要素が絡んだだけで、私の貧弱な頭は 大混乱でした。  よく調べずに過ちを犯したのは、そのときでした…。「FCB では、ファイル指定にディレクトリ名を含んではいけない」と 思い込んだことです。ろくに実験もせずに(実験したのですが、 実験方法そのものが間違っていた) 勝手に解釈したために、 BPLAY は書かれているパス名を元にカレントディレクトリを切 り換え、指定ファイル名よりFCBを作成しリードするという裏街 道を歩き始めてしまったのです。  そして運の悪いことに、ある程度作成が進んだ段階でカレン トディレクトリを元に戻すアルゴリズムがどうしても不完全で、 読み込み後カレントディレクトリが切り換わったままで、ほっ たらかしになってしまうということが判明しました。もう、あ と戻りできない状況にまで来ていたので仕方なく作成を進めて しまいました。この不都合については、多くの方からお叱りを 受けました。まことに情けない話です。  環境変数 BPLAY をサポートし、曲データを探すパス名を書け るようにはしたものの、この機能も内部ルーチンを混乱させる だけで、やはり切り換えたディレクトリを放置してしまうので、 本当の意味では役に立っていないでしょう。  以上のように、ファイルがらみでは大問題を抱えている BPLAY ですが、一応今後のことも考えております。いつになるかはわか りませんが、BPLAY のバージョン 2.x では階層ディレクトリに ついて完全な形で対応する予定です。期待しないでお待ちくだ さいませ。  なんだか、BPLAY の「いまだから言えるこんなバグ…」コー ナーにしたくなってきましたが、それは次号に譲るとしまして、 ひとつ隠しオプションをお教えしましょう。  BPLAY のバージョン 1.2 でのオプションですが、皆さんの画 面上での BPLAY 鍵盤は何色でしょうか? (ナン色ではありませ ん、ナニ色ですかとお尋ねしました…。でも、レインボー鍵盤 って気持ち悪いだろうな)。  モノクロモニタやノートパソコンでなければ、きっと白い鍵 盤に、音が鳴っている箇所が赤く光っていることでしょう。  それを変えてみたいとは思いませんか? たとえば、鍵盤は白 いままでいいけど、赤ではなくて青色で光らせてみよう…とか いうのはどうでしょう?  BPLAYの起動時にしか指定できないのですが、鍵盤色設定オプ ションはこうです! A>bplay -i3 -c17 *  賢明なる皆様のことですから、すぐにお分かりいただけたと 思いますが、-C オプションというものが存在します(BPLAY 起 動後は、-C はバッファクリアを意味しています)。そして、そ の後ろには、2桁の数字を書きます。  10の位は発音している部分の色、1の位は鍵盤全体の色です。 色の番号についてはじっくりお調べくださいませ。組合せによ って見ずらいだけかもしれませんが、いろいろと実験して面白 い使い方があったら教えていただきたいざます。 - 25 - うっぱち屋マガジン 第5号  ところで、上の例のようにファイル名にワイルドカードを書 くこともできたのですが、ご存じでしたでしょうか? 最初に見 つけた一致するファイルしかリードしないので、実用的ではな いのですが、リードしようとするファイル名が、A から始まっ ていて、それしか対象となるものがないときに、 A>bplay A*  と、書けるということです。  私も、こんなことができると知ったときは驚いたのですが、 結局その瞬間に「げっ、FCB でもワイルドカード書けるんか…」 と蒼ざめたのであります。しくしく。  1曲だけしか読み込まないのですが、それゆえにチョイ読みし たいときには便利かもしれませんね。  BPLAY を作ったときに、通常は見えない部分なのですが、BPLAY ファンクションコールが私にとっては新しい勉強でした。そも そも、MS-DOS のファンクションコールに興味を持っていたので、 自分でもサービスルーチンを作ってみたかったのです。  次回は、この BPLAY ファンクションコールについて、さらに 突っ込んでお話することにいたしましょう。 ________________________________________________________________ 今号のうっぱち屋ソフト ________________________________________________________________ 八丁堀  junk.test へのテスト・アップロードしかされたことのない 未完成のソフトウェアシリーズ。今回は予定していない号のた め、ソフトの準備が整っていない…。そこで特集に合わせて、 ATOK7 用のユーザー登録辞書 2本+αと ATOK6 用のツール 1本 をサービスで提供します。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ ・ATOK7用ユーザー登録辞書2本  今まで何回か ATOK7 用のユーザー辞書を PCS の junk.test にアップロードしてきましたが、その中から 2本、西洋占星術 関連用語 "HORO.DXT" とコーヒー関連用語 "COFFEE.DXT" の単 語ファイルをお届けします。  西洋占星術関連用語の単語ファイルは、私がもともと使って いた単語に Datura さん(PCS での ID は pcs00163、PC-VAN で の ID は PYE46378) がさらに西洋占星術の用語はもちろん、人 名、起動計算関係の天文用語などを加えて充実した内容となっ ております。  Datura さんは、HORO、HOROQB などのホロスコープを作成す るフリーソフトウェアを提供してくださっているほか、PC-VAN では星占いSIG の SIGOP もつとめており(SIGOP ID は HOSHISIG)、 Datura さん自身が星占いSIG で話題になった記憶のある用語も この単語ファイルに加えてくださっています。ここに協力して くださった Datura さんにお礼を申しあげます。  また、Datura さん自身からも「PC-VAN にアクセスされた際 - 26 - うっぱち屋マガジン 第5号 には、ぜひ星占いSIG (ジャンプコード HOSI)へお立ち寄りくだ さい」というコメントもいただきました。  コーヒー関連の単語は、私がかつて一太郎でコーヒーに関す るメモを書き留めるときに関連する書籍で気になったもの、メ モに必要な用語を少しだけまとめたものです。  いずれも、一太郎附属の ut.exe で登録できる形式です。ATOK6 で使えないこともないのですが、ATOK6 は同じ単語を同じ読み 読みでも平気な顔して次々に登録してしまうので使わない方が 良いかもしれません。  単語ファイルのそれぞれの行は CSV 形式で、読み、単語、品 詞の順番になっており、品詞は 01 が普通名詞、02 が固有名詞、 03 が名詞サ変(サ変名詞)を示しています。他の日本語入力フロ ントエンドプロセッサのユーザーで辞書登録したい方は参考に してください。なお、固有名詞は日本語入力フロントエンドプ ロセッサによっては人名、姓名、地名など細かく分けるように なっているので、登録の際には注意が必要な場合も出てくるか もしれません。  さらに特典! (何のこっちゃ)今回、ちょうど松茸 V2 の辞書 メンテナンスを行なったので、新松の辞書併合で使えるテキス ト形式に変換する sed スクリプトを "YOMIMTTK.SED" 作ったの で、これもオマケにつけておきます。  使い方は MS-DOS のコマンドラインから sed -f yomimttk.sed ATOK単語ファイル > 松茸単語ファイル名 というような使い方をします。当然ストリームエディタ sed. exe が必要です(笑)。  あとは新松の辞書管理ユーティリティ(JISHO.EXE)の「辞書併 合」を選び、併合元ファイルをテキストファイル指定にしてか ら、この変換された松茸用単語ファイル名を併合元ファイルと して既存の辞書ファイルに併合することになります。  sed を使っている新松ユーザーの方はお試しください。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥  さて、もうひとつの ATOK6 用ツール。私が一太郎の外字作成 の演習で実際に使ったオリジナルのツール(できのいい外字パタ ーンを一太郎で編集して外字パターン集を発行した)です。  去年の年末に一時的にお届けしたかわら版で紹介したもので すが、特に何もコメントがなかったので、機能を追加して LSI C でコンパイルし直したものをお届けすることにします。  現在、一太郎も Ver.4 になってしまって外字の形式もかわっ たので(JSGAIJ.UFO はずいぶん複雑な形式になっており、解析 を試みたがメゲた)、このツールも手遅れになってしまいました が(笑)、眠らせておくのももったいないのでここに発表します。 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ - 27 - うっぱち屋マガジン 第5号 ★☆★ GAIJDUMP (がいじだんぷ) リビジョン1.1 ★☆★ ● 機能  一太郎 Ver.3 (ATOK6)の外字(ファイル名 GAIJ)のフォントを キャラクタ(2バイト記号)を使ったのドットパターンで表示しま す。 ● 書式 gaijdump オプション 外字ファイル名  オプションは -(ハイフン)ではじまる 1バイト系の英文字、 16進数字またはコンマの組み合わせからなり、いずれも省略可 能です。  ファイル名は ATOK6 および一太郎 Ver.3 で扱う外字パター ンのファイル名で、省略すればカレントドライブのルートディ レクトリにある "GAIJ" というファイルが指定されたものとな ります。 ● オプション  オプションは先頭がハイフンであれば、以下のものを連続し て書き連ねていくことができます。また、それぞれのオプショ ンをスペースで区切った場合は、スペースの後に必ずハイフン をつけるようにしてください。 (例) gaijdump -r7621,7635ed16 gaij gaijdump -e -d16 -r7621,7635 gaij gaijdump -d16e -r7621,7635 gaij  上記の 3つは、いずれも同じ意味として扱われます。 c 外字が定義されているかどうかをチェックし ます。 dDOT DOT で指定されるドット数のパターンのみ表 示します。 DOT は 16 または 24 のどちらかで、こ のオプションが省略されたときは 24ドッ ト、16ドットの順番で両方のパターンを 表示します。 e パターンの定義されているもののみを表示の 対象とします。 rS,E JIS コード S 〜 JISコード E の範囲をチェ ックまたはパターン表示の対象とします。 S、E ともに 4桁の 16進数で指定してく ださい。 JISコード 指定された JIS コードの文字 1つのみをチェ ックまたはパターン表示の対象とします。 JISコードは 4桁の 16進数で指定してく - 28 - うっぱち屋マガジン 第5号 ださい。なお、d、r オプションの直後に は指定できません。 l 外字ファイルの外字リストを表示します。 このオプションが指定されたときはすべ てのオプションが無効になります。 ? 簡単な使い方を表示します。  これらのオプションのうち、c と e は同時に指定することが できません。  また、オプションのアルファベットと 16進数は大文字でも小 文字でもかまいません。 ● 対象機種  PC-9800 シリーズおよび互換機種。 ● その他  このプログラムはフリーソフトウェアです。PDS ではありま せん。営利を目的とした使用はお断りします(ただしオリジナル の外字フォントを無料で提供してくださるなら考えます)。それ 以外は趣味・実用・教育目的など自由にお使いください。  ただ、このプログラムを利用した結果について、制作者およ び著作権所有者いかなる責任も負うつもりはありません。 1991年5月19日 gaijdump revision 1.1 (c) 1990,1991 M.Muraki No warranty - 29 - うっぱち屋マガジン 第5号 ________________________________________________________________ 編集後記 ________________________________________________________________ ・次号予告  次号では SCI の新バージョン、リアルタイム楽譜入力ツール RMD も含めて BPLAY のパート2 をお届けする予定です。また また BPLAY にまつわる裏話、内輪話のほか、PC-VAN・98クラブ や CAI の BPLAY ユーザーも登場します。お楽しみに。 ・制作後記  どうにか ATOK と一太郎の記事を無事にフィックスできまし た。いや、この先の反応によっては無事でないかもしれません。 :-)  「これは伝えてあげたい」、「この経験は今後の他の一太郎 ユーザーに役立つから記しておこう」なんて思いながら連ねて きた記事の数々。しかしながら、この間にも雑誌などで発表さ れてしまったものも数多く、記事の書き直しや重複、そして時 代遅れの記事が増えてしまいました。  PCS では「やーい ATOK」なんていっていながらも、分野別の 単語ファイルを作ったり、送りがなの統一のために ATOK7 を使 ったりして、私もある程度の ATOK ユーザーになってしまいま した。  今では、一太郎でもけっこう我慢して使うことが多く、斜め 罫線 + 矢印とか 4倍角 + 強調文字 + 斜体文字 + 白抜き文字 + 密着割付とかやって配布プリントで遊んでいたりすることも よくあります。  かといって、「はっちょさんはやっぱり一太郎ユーザーなん だ」なんていわれたら、やはり「ふつー vi だ」なんて云い返 したくなってしまいます。:-) 八丁堀(pcs18303)  最近はプログラミングのカンがよいような起臥する(ゲッ、出 た…)。200行以上のプログラムをコーディングもせずに、いき なりエディタで入力して MASM に通しても 1発で通るし、ハン グもしない…。さえているのか、それとも最後の "ともしび" なのかわからないが、とにかくもうじき夏です。めでたい。そ れにしても西田ひかるはいい…。 うっほっほ(FXB35018/pcs36335) - 30 - うっぱち屋マガジン 第5号 - 目 次 - 今号の特集は… .................................... 2 ATOKアンソロジー .............................. 3 ATOK7使用記 .................................. 10 ATOK6/7キー互換表 ........................... 14 うっぱち屋ファン倶楽部だより ...................... 15 ノートに向いた一太郎とは .......................... 17 発音記号の困ったこと .............................. 20 特集のあとがきにかえて ............................ 22 BPLAY物語 Part 3 ............................. 24 今号のうっぱち屋ソフト ............................ 26 編集後記 .......................................... 30 Contents