1997/11/17

第2回 「盾」 その2


 お待たせ致しました。お久しぶりのI/Oです。それでは第2回、始めましょう。

 前回はについてのほんの触りまでしかお話しませんでした。今回から、やっと機体構成に関してのお話に入ります。なお、武装データは常に最新版(現行はVer.4.64)を使用します。が、内容はどの武装データでも変わらず有効です。

 とは攻撃を受け止めるものです。しかし、たとえ実体盾最強である装甲12のドデカシールドでも、いつかは壊れます。攻撃武器は常に防御を上回るのです。では、相手の防御を上回る攻撃力を持っていれば防御は必要ないのでしょうか?
 MMは、常に攻撃できるチャンスがあります。ということは、常に攻撃されるということでもあります。相手の武器射程、行動計画などにもよりますが、大体の場合、相手は自分と同じだけ攻撃して来ると思った方が正解でしょう。

 そして、はこういう状況でこそ最大限に役に立つのです。

 例をあげましょう。


例A

No. 武装名 武装タイプ 装備箇所 攻撃残 装甲値残
1 サテライト 盾精 右肩 8/8
2 サテライト 盾精 左肩 8/8
3 フレイムソード 流弾火剣白 右手 10 5/5
4 ジャバラ剣 白切弾 左手 100 5/5
5 カイトシールド 盾弾突 右腕 100 8/8


WEAPON DATA 命中率 威力 C S BC Cr
サテライト

000000000

000000000

36

18

15

350
サテライト

000000000

000000000

36

18

15

350
フレイムソード

070000000

070000000
2 1

3

10

25

200
ジャバラ剣

567650000

477550000
1 1

10

24

400
カイトシールド

400000000

300000000
1 1

29

14

39

215

総合防御率:101% 総合被弾率:70%



 機体価値は4300前後。中堅クラスです。
 防御率が100%を越えているので、相手の攻撃は1発目は必ずで止まります。それ以降どうなるかは相手の武装しだいですが、装甲8のを壊すには威力9の攻撃(注1)を約3回当てないといけないので、それを目安に考えて7回程度でがどれか壊れ、次の攻撃で負けるとします。もちろん威力が低ければさらに長く持つでしょうし、全てのにまんべんなく当たるというわけでもないので誤差は大きいですが、平均的にはこの数値になると思います。
 相手の攻撃が必ず当たるわけではないので、6割当たると考えますと、約13分後に3割の確率で直撃が来るものと予測できます。だから確実に直撃がくる時間は16分後位でしょう。ちょっと厳しくみて14分で負けると考えます。
 それでは、別の機体を見てみましょう。


例B

No. 武装名 武装タイプ 装備箇所 攻撃残 装甲値残
1 フランベルジェ 白流剣弾 両手 100 5/5
2 アームパンチ 叩弾 右腕 4/4
3 フィンファンネルA 盾射BE精 左肩 10/10



WEAPON DATA 命中率 威力 C S BC Cr
フランベルジェ 055000000 066000000 4 1 15 41 270
アームパンチ 440000000 650000000 2 1 40 40 10 14 200
フィンファンネルA 555555550 333333330 1 5 60 30 10 700

総合防御率:60% 総合被弾率:55%



 こちらも機体価値的には同額です。武装にCrをかけていない分フレームなどにお金がかかっています。
 こちらの場合、防御率が60%しかないので4割で直撃します。まあ武装被弾が半分の確率でありますが、ただでさえ攻撃手段が少ないので気休めにもなりません。
 フィンファンネルは見た目には装甲値10ですが、E盾なので(注2)貫通が無い装甲7の盾、と考えるといいでしょう。となると、威力9の攻撃を3回受けると壊れます。それ以降はが無いので丸裸となり、直撃を受けます。
 性能は例Aの機体より上(注3)と考え、45%の確率で攻撃が当たり、直撃は1回は耐えられるとします。
 例Aの機体は14分持ちました。こちらの機体は14分持つでしょうか。14回攻撃があったとして、当たるのは6回。うち盾で止められるのが3回。機体で1回止めて、1回直撃で壊されて、1回余りました。1回の当たる攻撃が2分換算なので、約12分ということになります。最大限盾で止めてこうなので、60%という防御率を考えると、その時間はさらに縮みます。厳しくみた場合、10分がいいところでしょうか。下手すると1分で負けますし(注4)。
 両者が戦った場合はさらに差が出ます。武器の命中率の差で性能差が埋められるので、それこそ圧倒的に例Bの機体がボロボロにされるでしょう。

 ここまでで、の役割がなんとなく分かってきたのではないかと思います。
 そう、の役割とは、相手を倒すまで自分が生き残るための「時間稼ぎ」なのです。いくら攻撃力が高くても、その攻撃力を振るう前に倒されてしまっては意味がありません。目的は高い攻撃力を持つことではなく、相手を倒すことなのですから。そして無条件で相手を一撃で倒す武器は、MMには存在しません。防ぐ手段はいくらでも、本当にいくらでもあるのです……。

 というわけで、「の使い方」についてはここで一区切りさせて頂きます。次回何やるかは未定ですが、おそらくもう少し防御についてやると思います。
 私がなぜ攻撃より先に防御の話をしたか。なぜ防御を重視しようとしているか。それは多くのプレイヤーに見られる攻撃偏重、防御軽視の姿勢にあります。
 MMをやっている大体のHPでは、試合結果などがUPされています。たまに私はそれを見るのですが、常々思っているのが外部転送装置(外転)の確率の多さです。平均で4〜5割、多いところで8割にも達します。通常脱出確率と併せれば7〜9割の確率で生きて帰ってきます。胴体破壊の確率まで考えると、ドーラーが死ぬ確率はほとんどありません。

 それでいいのでしょうか。

 初心者にはいいでしょうが、ある程度やった人は、やはり外転無しでやって欲しいです。元々MMに外転なんか無かったのですし。
 私が今活動しているところ(COMP−BBS)では、外転は常に0%、起動しようものならほとんどのメンバーから反論がきます。たとえ起動したとしてもその試合はシミュレーション扱いとなり、経験が入りません。
 そんな厳しい環境だからこそ、ドーラーを死なせないようにオーナーはきちんと機体を造り、その過程で色々な戦法が生まれたのです。外転があるところでは、死なないという安心感からかおざなりな機体が目立ちます。負けても死なない、運が良ければ勝てるんだ、だからこれでいい。それではMMをやっている意味がありません。

 勝負をやるからには勝負を楽しみましょう。そしてついでに勝っちゃいましょう。

 それではまた次回に。


 注1:なぜ威力9なのか。装甲8の貫通できるからです。それを目安に使ってくる相手が多いので、私は威力9に耐えられるかを考えます。貫通された、されないでの耐久時間は劇的に変わります。大げさに言えば、威力8では装甲8の盾は壊せないかもしれないのです。この辺り(の耐久時間)に関しては別の所で詳しくお話します。

 注2:E盾は、攻撃を防ぐと装甲値が必ず『余計に』1減るので、脆いのです。

 注3:フレーム耐久度、センサー、コンピュータ修正のそれぞれが1ランク上と考えました。

 注4:45%で当たって、40%でを抜けて、45%で武装被弾かわして、30%で一撃で部位を破壊する。可能性は約2%。ただ、MMでは確率の低さは信用してはいけません。可能性があるなら、それは起きるのです。


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