(970725追記)1年近くほったらかしてました。申しわけない。 ついでにhtml形式に変えましたが、中身は <pre>〜</pre>だったりしますが(^^;
評価: ★★★★★:こいつはスゴいっ!最高っ! ★★★★ :うん、おもしろかった。満足(^^; ★★★ :標準的なデキ ★★ :おい…こんな本書いて恥かしくないのか? ★ :最悪。何考えてんだよ〜
★★★ 97年7月 読了 分野:SF 「ロスト・ワールド−ジュラシック・パーク2 (上・下巻)」 マイクル・クライトン著、ハヤカワ文庫、970515発行、¥680×2冊(税別) 「何かが生き残った」つうわけで、パート2ですね。時事ネタで、プ○○ン がオチなのが、実にお約束でよろしいです。 「あ〜、おもしろかった」って、一気に読んぢゃいましたが(通勤中に読もうと 買ったのに、家で寝る前に手を付けちゃって、そのまま読み終えちゃった)、 「おもしろいだけ」という、まさに「SF界のテーマパーク」という感じ。 あいかわらず、術語関係はぐちゃぐちゃだしぃ。 ★★★ 970723読了 分野:マンガ 「岸和田博士の科学的愛情 第9巻」 トニーたけざき著、講談社、970723発行、¥514(税別) 「トニたけ」さんの最新刊。私は「パーティー増刊」のころから読んでいるぞ(^^; 圧倒的な画力を、ギャグにしてしまうという…実はストーリーなんてほとんど ないんだよね、このマンガ。最近は仕上げをMacでやっているとのことだが、 その手のマンガ家にありがちな「機械に使われてる」感じがまったくなく、 実にウマいもんである。 今月のアフタヌーンでは、3D CGマンガを書いていたが…デッサン力と立体構成力 のある人間が作れば六角大王+αであそこまでできるという、恐ろしい実例であった。 ★★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「宇宙家族 カールビンソン 第13巻」 あさりよしとお著、徳間書店、970715発行、¥400(税別) 北海道出身のあさり先生の最新刊。あさりさんの作品は、北海道弁や北海道 ネタが出てきて笑わせてくれる。このマンガは舞台が美唄(びばい)の我路町 である(笑)…別の惑星上の話であるが。和SFネタや科学ネタも楽しい。 「スガ子」ちゃんの「スガ」ってのは北海道弁で「天井・屋根」の意。特に 「スガ漏り」(雨漏りの意)で使ってた…ような気がする。 今回は映画の話と、天体望遠鏡の話が特におかしかった^_^。私は映画系は 詳しくないので、ちゃんと味わえてないんだろうけど(←ぉぃ)、庵○さんが 人買い(?)してるネタは笑える… ★★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「無限の住人 第6巻」 沙村 広明著、講談社、970623発行、¥505(税別) 「むげにん」の最新刊。主人公が「不死身」な時代劇マンガである(笑) 体を半分に切られようが、拳銃で脳天をブチ抜かれようが死なないのだから、 戦う相手は大変である(爆笑) この人も、むちゃくちゃデッサン力がある。鉛筆デッサンをマンガに持ち込んだ のは、この沙村さんが始めてではないだろうか?(印刷に乗せた技術者も 大したもんだが。)でも、この人のカラーページは私はあまり好きじゃないけど。 登場人物がミニの着物にハイヒールのゲタ(爆)の女性キャラだったりとか、 こういうの好き(笑)あと、「可淡…」とかって、漢字の擬音を持ちこんだのは 革命的である。でも「ぽにゅぽにゅぽにゅぽにゅっ」はヤメろ(笑) 関連ホームページ:無限の追い人 ★★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「むきもの67%」 竹本泉著、主婦と生活社、970810発行、¥533(税別) むちゃくちゃなタイトルである(笑)「前向き・後ろ向きシリーズ」が4/6なので 「むきもの67%」なんだそうだ… 「どひゃ〜っと元気な」主人公がかわいい(^^; でも今どきの読者は「マチコまき」 なんて知らないのではないだろうか?確かにあったかくて良いのだが(笑) ★★★★★ 97年 読了 分野:科学(擬似科学、科学方法論、科学教育) 「The demon-haunted world - Science as a candel in the dark」 Carl Sagan著、Random House, 96年1月発行、$25.95(購入価¥4,150) 昨年12月に亡くなったカール・セーガンの絶筆…かと思ったら、もう一冊 書いてました(「Billions & Billions」, Random House。今、読んでます)。 ここ数年は病気でかなり大変だったようなんですが、それでもこんな 大著を書くんだから、おそろしい人です。 科学朝日…ぢゃなく、SCIAS(いつも間違う(^^;)で、カール・セーガンの ことを「科学のセールスマン」と呼んでいたけど、私はセールスマンと 言うより「科学教の教祖サマ」だと思う。今回の本はその集体成と言った ところ。(私も信者ですが…) 擬似科学と闘っております。UFOネタもすごいし、異星人に手術されたとか 言うのが、本当は幼児虐待だった…なんてのは初耳。スケプティシズム (懐疑主義…でいいのかな?)と科学する方法についてもきちんと書いてます。 唯一出てくる日本人がプラズマの大槻センセ。それもミステリーサークルに ダマされた科学者の一人として。情けない;_;(日経サイエンスで擬似科学の 論文を訳してたけど、その資格あるのかなぁ…) 通勤中に読んでたので、読むのに半年くらいかかっちゃいました。本は時間を かけて読むと、中身をつかみにくくなっちゃうんですが、英語力がないのが すべての原因。英文の速読力の養成が今後の課題であることを痛感しました。 最近、ペーパーバック版も出たようです。おススメの一冊。 ★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「幕張サボテンキャンパス 第2巻」 みずしな孝之著、竹書房、970327発行、¥583(税別) 「サボキャン」です。そう、いつまでも大学生やってるわけにはいかない… ★★★★ 97年読了 分野:コンピュータ 「新・電子立国 (1)ソフトウェア帝国の誕生」 相田洋・大墻敦著、NHK出版、961020発行、¥1,456(税別) 「新・電子立国 (2)マイコン・マシーンの時代」 相田洋・荒井岳夫著、NHK出版、961120発行、¥1,456(税別) 「新・電子立国 (3)世界を変えた実用ソフト」 相田洋・大墻敦著、NHK出版、961220発行、¥1,456(税別) 「新・電子立国 (4)ビデオゲーム・巨富の攻防」 相田洋・大墻敦著、NHK出版、970120発行、¥1,456(税別) 「新・電子立国 (5)驚異の巨大システム」 相田洋・荒井岳夫著、NHK出版、970220発行、¥1,456(税別) 「新・電子立国 (6)コンピュータ地球網」 相田洋・矢吹寿秀著、NHK出版、970320発行、¥1,456(税別) TVシリーズも割と良かった(けど、半分くらい見てないなぁ)、「新・電子立国」で あります。実際に動いてるALTOが見られるとは思わなかった。 今回のシリーズは、私が計算機を使いだした時期なんでハドソンの話とか、なつか しいというか(^^; 実物を探しだして見せてくれる「見せ方」のうまさが、人気の ヒミツなんでしょうか。でも、テレビはプロでも、やっぱりコンピュータ系は素人 だから、それが利点になっていても、やはり限界にもなってますね。ここが、 むずかしいところ。 ★ 97年 読了 分野:コンピュータ、規格書、漢字、文字 「JIS X 0212-1990 情報交換用漢字符号−補助漢字」 日本規格協会、901001発行、¥3,200(税別) 神戸のジュンク堂で入手。ここはJISの規格票がほとんど揃ってて便利(本屋さん だと図書券使えるし)。 JIS X 0208を読んで、補助漢字規格も読みたくなって買いました。確かにヒドい。 JIS X 0208に入ってる「〆」を補助漢字の16区17点に収録したり、すごい安直な 漢字選定(諸橋大漢和と他の漢字表の重複分を拾うだけ)とかがわかる。 多分、補助漢字規格は今後すたれるだろうから、今のうちに買って手元に置いて おかないと、あとで資料がなくて困るだろう…というモクロミで買いました。 ★★★★★ 97年 読了 分野:コンピュータ、規格書、漢字、文字 「JIS X 0208:1997 7ビット及び8ビットの2バイト情報交換用符号化漢字集合」 日本規格協会、970120発行、¥14,000(税別) 日本規格協会関西支部にてボーナスで購入。A4版490ページの大著。漢字オタクなら 必携の1冊である(笑)とにかく読み物として楽しい規格書(爆笑) 諸橋大漢和と角川新字源との対応表が非常に有用。 付属書7(参考)の「区点位置詳説」も楽しい。「妛」の典拠の証拠なんて大笑い。 文字典拠の探索に使った資料ってのもスゴい。国土行政区画総覧(約33,000ページ 約2.5mの厚さ)の調査なんざ人間がやれるこっちゃないと思う。 読んでいると、主査の芝野先生たちの努力が伝わってきます。版下作成まで、自ら jLaTeXとdvi2ps-jで行っているという…スサマじい書籍。 ★★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「ねこめ〜わく 2!…またたび」 竹本泉著、主婦と生活社、970410発行、¥534(税別) 「かわいそうなヘンリヒ」である。 これって「オカエリナサト」なのだろうか(←古いねオレも) ★★★★ 97年 読了 分野:マンガ 「ヨコハマ買い出し紀行 第4巻」 芦奈野ひとし著、講談社、970321発行、¥427(税別) 全然、他の人と絵が似てない。明らかに新しい絵と、特にイベントが起きない ストーリー。けっこうスゴいと思うけど、寡作なのが難;_; アフタヌーンの月刊 連載以外、書いてないのかなぁ… カラーも良い。この人は透明水彩の気持ち良さを知ってる人である。あれ、重ね 塗りしても色が濁らなくてキモチいいんだよね。私も一時期ハマりました。 そいや、しばらく絵とかかいてないなぁ〜 関連ホームページ:「午前2/2」 ★★★★ 97年 読了 分野:Hマンガ 「かみさまお願い」 南Q太著、ぶんか社、961225発行、¥854(税別) 幻の「4コママンガのない4コママンガ誌」、「まんがジャパンダ」に連載されて いた作品を含む短編集。(ジャパンダは4号で終ってしまった。鶴田謙二の表紙とか 新作とか、(ある意味で)スゴい作家陣だったのに。) Hマンガである(笑) 榎本加奈子ちゃん(15)の話が笑える。この人もい〜かげん な絵のようで、きちんとデッサンが狂ってない絵を描けるんだよね。スゴい。 ★★★★★ 97年 読了 分野:生化学・基礎医学 「バイオ実験イラストレイテッド(5)タンパクなんて こわくない」 西方敬人著、秀潤社、970106発行、¥3,400(税別) 基礎的なトコを抑えてあって、非常に良い。昔は、こういうのは先輩のノート をcopyさせてもらって、伝承してたもんですがねぇ。SDS-PAGEのやりかたを 詳しく書いてある。X線フィルムの現象のしかたなんて常識の感じもするけど、 ちゃんと書いた勇気をたたえたい。誰だって最初は知らないことだもんね。 でも、タンパクの本なのにカラムクロマトの話が出てこないのが時代を感じる。 使わないでも何とかなっちゃうんだもんなぁ〜。 ★★★★★ 96年 読了 分野:生化学・基礎医学 「無敵のバイオテクニカルシリーズ タンパク質実験ノート[上]抽出と分離精製」 岡田 雅人・宮崎 香編、羊土社、960910発行、¥3,800(税別) 「無敵のバイオテクニカルシリーズ タンパク質実験ノート[下]一次構造の決定まで」 岡田 雅人・宮崎 香編、羊土社、961015発行、¥3,500(税別) こちらは、初歩から実用までという感じ。その分、完全な初心者には使いにくいかも。 この2冊でタンパクを取ってきてシーケンスするまでのストーリーが見えてくるはず。 ★★★★ 96年 読了 分野:ノンフィクション、科学 「毒蛇」 小林照幸著、TBSブリタニカ、920522発行、¥1,262(税別) 以前にこの著者の「フィラリア」という同じくノンフィクションの本を読んで 非常に良かったので、この著者の第1作という「毒蛇」も探してたんですが、 ようやく見つけました。この本も非常に良かったです。沖縄のハブ咬症と戦った 人々のノンフィクション。これ、確か少年マガジンかなんかでマンガになってた ような。 日本では、こういう科学系のノンフィクションを書ける人がいないのですが、 彼は「見てきたような」文体で、正確に描写していきます。資料調査力と 理解力がなければ、できない仕事です。大したものです。 著者はまだ大学の薬学部在籍中とか。将来が楽しみ。これ以外の著書はないのかな? ★★★ 96年 読了 分野:漢字 「『大漢和辞典』を読む」 紀田順一郎編、大修館書店、860310発行、¥1,800(税別) 大漢和を買ったので、ついでに…ということで。紀田順一郎さんの「大漢和を作る」 と、他の著者数人による「大漢和を読む」というエッセー集からなる。 私が尊敬する中野美代子先生の「漢字の神話学-文字空間としての-」が特に 楽しい。怪物専用の漢字とか漢字の方形性と四角号碼なんてネタはなかなか。 ★★★★ 96年 購入 分野:字書・辞書・漢和・漢字 「大漢和辭典 縮寫版(全13巻)」 諸橋轍次著、大修館書店、710501縮寫版第三刷發行(551103初版)、¥65,000(古書価) いつかは買おうと思っていた、諸橋大漢和。古書店で手頃なやつがあったんで、 思いきって購入しました。本体はほぼ新品同様で、外箱がかなり痛んでたんで この値段だったみたい。中身さえ大丈夫なら、私は気にしない。どうせ自分で 使う分だし。縮刷版の方が場所も取らないし(つっても全部で厚さ90cmくらい;_;) ちなみに新品は¥18万近くする;_; ちょっと手が出ない。 この手の辞典は学生の時は図書館で使えたけど、社会人の今は自分で持ってないと 使えないから、無理してでも買ってます。「広辞苑」とかはCD-ROMで買って ますが(どうせめったに使わないし、こっちの方が場所を取らない)、 大漢和は絶対に電子媒体に乗らない(すくなくとも、当分は)ということで、 紙版のを買いました。OED(Oxford English Dictionay)は、もし買える ならCD-ROM版を買おうと思ってます(…がコイツも¥16万くらいする;_;) しかし、一部には悪口も聞いたことがある。「康煕字典の丸うつし」とか(^^; 確かに使ってみると、あちこちミスだらけだったりするし。でもこの規模の 書籍を人力で(計算機を使わずに)作るのは明らかにムチャである。 「序」や「あとがき」の著者や出版元の作業記録を見ると、本当に「命がけ」で ある。また、写研の「石井文字」(この字典のために5万字を新規作成した)の美しさは 文字ヲタクにはこたえられない(笑) 造本・組版ともに、漢和字典の王者の名に ふさわしい。 ★ 96年 読了 分野:和SF 「BS6005に何が起こったか」 小松左京著、アスペクトノベルズ、961206発行、¥951(税別) 表題作と「歩み去る」「人類裁判」「神への長い道」「あなろぐ・らう゛」 を収録…って、全部読んだことあるぢゃん!買ってから気付く、私はおバカ。 最近の左京さんは「旧作の再刊ばかり」という、かつての吾妻ひでおのような ことをしてる。最新作が10数年前だもんなぁ… ★★★ 96年 読了 分野:SFコメディ、生化学(細胞培養)、分子生物学、医学(移植) 「パラサイト・イブ (上・下巻)」 瀬名秀明著、角川ホラー文庫、961210発行、¥777×2冊(税別) どこぞの新聞では「B級SF」とばっさり切っておりましたが、SFとしては確かにB級 であります。構成はヒドいし、盛り上げ方もイマイチ。 でも「コメディ」として読むと楽しめます。その手の分野で生活している 人間としてはとっても笑えます。「やったぜJBC」とか「めざせNature」とか(^^; 「HindIIIとEcoRIなんて同時に頼むかぁ?両方とも頻用するから、ストックが あるはずなのにぃ」とか、「不死化するなら、血球にEB使えば一発なのに」とか、 「フラスコから出てウロウロしてたら、コンタミするぜぇ」とか、ツッコみながら 読むのが楽しい。 私の友人の物理屋は「エネルギー収支が合わない」とブツブツ言っておりました(笑) 読み方はさまざまであります。 でも臓器移植の話でイジメってあるんでしょうか?ちょっと不快感を感じましたが。 移植の話だと「メスよ輝け」と「熊野先生」というマンガが、わりと本気で扱って ます。 ★★★★ 96年 読了 分野:マンガ 「さよりなパラレル 第4巻」 竹本泉著、竹書房、960827発行、¥544(税別) 「さよパラ」の最終巻。「はぎしり〜」ってのがかわいい(^^;(私もひどい ハギシリをするらしい。これはえらく不評である。) 「なんかただのロリ〜な絵柄の作家」って…おい。自分で言ってどうする。 ★★★ 96年 読了 分野:コンピュータ・ワープロ 「Newton別冊 ワードプロセッサのすべて 最新版」 竹内均編、教育社、831013発行、¥2,000(古書価¥800) 古書店にて購入。「ワープロ書斎術」(西尾忠久著、講談社学術文庫)の108pで 『この本を読んだ某編集長に、「あれはよくできた本だから、…」と言ったら 相手が黙りこんでしまった』などというエピソードが収められているが、その 実物。よく今頃、古書店で流通していたものだ(^^; 以前、図書館で見て欲しいと 思ってたので、即買いました。 今となっては、逆に、その当時の製品をすべて収めていて、資料的な価値が高い。 特に「全文字タブレット」や「多段シフトキーボード」、「活字式漢字プリンタ」 なんて今では写真すら手に入りづらい。もちろんこの本にはちゃんと出ている。 ★★★★★ 96年 読了 分野:マンガ 「銀河放浪 第1巻」 吾妻ひでお著、マガジンハウス、950921発行、¥573(税別) ついに活動再開!新刊だぁっ!動物キャラや女性キャラの可愛いさが何とも。 私は「ポロポロ」の話と「侵略者」の話が好き。 「まだすることがあるような気がして」っていうセリフが、筆者自身の言葉のよう な気がして… ★★★★ 961004読了 分野:化学 「究極のシンメトリー フラーレン発見物語」 ジム・バゴット著、白揚社、960320発行、¥3,689(税別) サッカーボール型炭素分子(C60)の発見の話。とにかく読んでてドキドキ できるのがスゴい。研究者のワクワク感がこっちに伝わってくるような 構成と文章は、なかなかマネできない。もちろん、著者の入念な調査と 理解があってのことだと思うけれども…日本人はどうしてこの手の本を 書けないのか!? C60が話題になってたピーク時期ってのは、私が一番化学が好きだった(笑)時期 と重ってたし(私のハンドル、べんぜんってのも、この時期に付けたもの)、学校では すぐ近くにC60の存在を世界で最初に検証した大沢先生がいらっしゃったってのも あって、何となく思い入れもあったりします。 逆に言うと、はっきり言って化学を専攻したような人間ぢゃないと 「おもしろいっ!」って思えないと思う。高校生には絶対に読み通せないはず。 それで星は5つにできませんでした(ないものねだりとも言える)。 この辺は対象の設定のしかたが難しいところだけど、化学屋にとっては これほど欲しい所を書いてくれる本ってのは少ないはず。下手に模式図を 出されるよりも、論文で出したような構造図やスペクトルを出してくれた 方が納得できるから…要所では必ず元論文から図とかを引いてあるから、うれしい。 フラーレン関連のレビューとしては、これまでで最高の本。オススメの一冊。 ★★★★ 960919読了 分野:科学・評伝(生化学/基礎医学) 「朝からキャビアを−科学者セント=ジェルジの冒険」 ラルフ・W・モス著、丸山工作訳、岩波書店、8905171発行、¥1,748(税別) ビタミンCと筋肉の構成分子に関する発見で有名なセント・ジョルジの 評伝。 私は中学生くらいの時にジョージ・ガモフ全集の「筋肉の浜」という 章で(今は横書きのガモフ全集は絶版で、縦書きの新装版が出てるようだ) 彼の話を読んで以来、「どういう人だったんだろ?」と思ってました。 大学で専攻を決める時に蛋白質化学(それも筋蛋白!)を選んだのは、この 本の影響が多分にあったり。学生の時にセミナーの論文の著者に「セント・ジョルジ」 って出てて「え゛?あのセント・ジョルジまだ現役なの?!」って言ったら、 先輩に「アホ、イトコの同名の人だよ」って言われたのも、なつかしい思い出です。 とにかく波乱に満ちた人生だったようです。晩年の波乱はちょっと別にしても (それでも、晩年も結果はともかく充実はしてたようです)、イイ人生を 送った人ですね。この時期の(特にハンガリー人ということもあって)科学者は 政治への関与もけっこうしてたようで…ガモフもあまり語らなかったようですが かなり軍との関係があったようです。今はそんなことを考えずに仕事ができるのが 科学屋にとっては唯一、良い点なんでしょうか? あとどうして、この手の学者は晩年は変な学説に染まっちゃうのかな?ってのは ナゾの一つですね。ポーリングもしかり。でも高校の時に使ってた化学の 参考書「化学精義」の最後のページでポーリングの講演内容が出てて、 「このおっさん、まだ死んでないのか!」と思ったけど、ようやくつい最近亡く なったようですね。う〜ん、やっぱりビタミンCは健康にいいのか? ★★★ 960908読了 分野:科学(生物学/古生物学/進化論) 「パンダの親指」(上・下) スティーブン・ジェイ・グールド著、早川書房、960831発行、¥563×2(税別) 古生物学者のグールドのエッセイ集。主に進化論を中心とした話が多い。 彼の本としては「ワンダフルライフ」(バージェス生物の話。あさりよしとお のマンガにはオパビニアとかアノマロカリスとかが出てきて笑える)を前に読んで たんで…文章としては面白いのを書く著者です。ただ、私が古生物学をあんまり 好きぢゃない(っていうか…なんか科学に届いてないっつうか…)のと、彼が 唱える進化の「断続平衡」説ってのが納得いかないってので…星が3つになってます。 この本に収められてるのは、雑誌に掲載されたエッセイが集められてるので、 おもしろいネタの時はおもしろいんだけど、章によってはタイクツなのがけっこう あったり。でも、「ダウン症」の命名者の人種的偏見の話とか、脳の重さの 話(だれそれの脳は何gでした…って話を聞いて、「何でそんなのわかるんだ?」って 思ったことありません?)は、初めて知りました。トンデモな学者の話も入ってて おトク。 ★★★ 960831読了 分野:基礎医学・生化学 「バイオ実験イラストレイテッド(6)すくすく育て 細胞培養」 渡邊利雄著、羊土社、960901発行、¥3,300(税別) 「すくすく育て」と来たもんだ(笑) 書店で見て、笑ってしまいました^_^。 でも、このシリーズ(バイオ実験イラストレイテッド)は初心者むけのわかり やすい図とていねいな説明で非常にいいシリーズです。この本も、細胞培養を はじめるにあたって必要な知識について良くかかれていて、新人教育用に ピッタリ。ただ、日常細胞を飼ってる人間にとっては若干不満なトコもありま すねぇ。たとえば、マイコプラズマ汚染に触れてないのは致命的ですし、 バイオハザード的な見方(クリーンベンチと安全キャビネットの使い分けとか、 細胞ごとのバイオハザードレベルの区別とか)が欠けてるのが気になる。 でも、細胞の入手法だとか、譲渡してもらう時の作法(?)とかは◎。 「酵母を殺してない地ビールを飲んだ後はコンタミに注意」って本当 でしょうかねぇ?でも実験してみるわけにはいかないし。だと、日本酒でも 生酒を飲んだあとは要注意なのかぁ。 ★★ 960830読了 分野:将棋 「羽生必敗の法則」 田中寅彦著、ワニブックス、960910発行、¥1,262(税別) 「自分以外の棋士への批評は良く当たる」と言われる、田中寅彦九段の最新刊。 データを駆使して「どうすれば羽生6冠王に勝てるか」を説明…できてない(笑) だって、ここ数年対戦相手ってタイトル戦に出てきた棋士ばかりだし(で、ほとん ど勝ってるし)、タイトル戦で負けたのって佐藤康光さんと 三浦さんくらいだもんねえ。 あと一歩で「トンデモ本」の仲間入りできた感じだけど、そこまで踏み込めてない。 かといって文章がおもしろいかと言えば、そうでもない。 彼は本書くより、本業に専念した方がいいと思んだけどなぁ。 ★★★ 9608??読了 分野:科学(一般・生物学) 「はるかな記憶」(上)(下) カール・セーガン+アン・ドルーヤン著、朝日新聞社、940101発行、¥1,748×2(税別) カール・セーガンは小学生の時に読んだ「COSMOS」(私が今、科学屋のハシクレ なのは、この本の影響も少なからずある)から好きでした。科学の一般への 紹介という点では彼にかなう人はいないんぢゃないかな?で、「惑星へ」 を読んでカール・セーガンの本をまとめて読みたくなって買ってきたんです けど、この本はそれほどスゴくはなかった。 扱ってる内容は「人間とは何ぞや」というので、結論としては「単なる生きもの である」という日本人にとってはそれほど抵抗のないテーマなんですが、どうも アメリカではキリスト教的な思想で「人間は神の作った特別な存在だ」って いうことで、これを否定するのに一苦労するみたい。 全体的に、進化論的な話とかはおもしろかったんだけど、下巻の方で 類人猿と、その行動(特に性行動)の話が中心になっちゃって、ちょっとヘキエキ しちゃいました。それで星が3つです。 ★★★★ 9608??読了 分野:マンガ 「てきぱきワーキンラブ(1)」 竹本泉著、ASCII出版局、960922発行、¥621(税別) 「未来でSFで働く少女のお話(一部少女でない場合あり)」というわけで、 マンガっす。 私は「紙の図書館」と「チェス」の話が好き(笑) ★★★★ 9608??読了 分野:マンガ 「ばばろあえほん」 竹本泉著、主婦と生活社、960910発行、¥534(税別) またまた、マンガ(^^;「唄う盗戝」には笑った(笑) MGMの「唄う大海戝」とか のミュージカルシリーズをホウフツとさせるようなタイトルセンス(ぉぃぉぃ) にしても、かわいい絵を描きますよねぇ。ファンです(^^;>竹本センセ ★★★ 9608??読了 分野:映画(アニメ・cartoon) 「The great cartoon directors」 Jeff Lenburg著、Da Capo Press、93年発行、$14.95(購入価¥2,320) 古書店で新古本状態で入手。アメリカのカートーン(アニメ映画…と はチト違う)の監督さん8人の評伝。 Tex Averyの章は…「Tex Avery, king of cartoons」を読んでしまった 後では、ちょっと物たりない感じもしたり。他には私の好きなHanna & Barbera (言わずとしれた、Tom & Jerryのディレクター)の章が楽しかった。 というか、私の好きなこの2人のためにこの本を買っちゃったんで(^^; あとは、Chuck Jones(Tom & Jerryの新シリーズのディレクター)の章もあった けど、私は彼の絵は嫌いなんで(笑)あんまりちゃんと読んでない。 あとはFriz Freleng(Tex Averyの前の時代のディレクター)、Ub Iwerks, Bob Clampett, Walter Lantz, Dave Fleischerが5人のうちわけ。他にも「Others」ってのが ありましたが。この分野の本は邦文ではほとんど出てないのがサビシイ。 ★★★★★ 9608??読了 分野:映画(アニメ・cartoon) 「Tex Avery, king of cartoons」 Joe Adamson著、Da Capo Press、85年発行(75年版の増補)、$15.95(購入価¥2,470) 同じく古書店で購入。Tex AveryについてはPatrick Brionのフランス語版の本が あるだけだと思ってたら、もう一冊、英語で入手できるものとして唯一のコレが あったのを別の本の参考文献で見つけたばかり。店頭で発見した時は喜んじゃい ましたねぇ。 私の愛するTex Avery(トムとジェリーのTV放送で2本目に流れてたシリーズの作者) についての本です。だいぶ前にMGMでのTex Averyの全作品のLD(アメリカのみの発売。 全9hr;_;)を入手してたので、この本を読んでるとBGMの音楽が脳裏をよぎるという… 「Bad Luck Blacky(黒猫の話)」は「とにかく物を落っことす」というのだけで、 ほんの1週間ちょいで作っちゃったとか、「House of Tommorw」とかのシリーズは 作品のリリース期限に間に合わすために作った手抜き作品だったとか(私は大好 きですが>〜 of Tomorowシリーズ)、あかずきんちゃんシリーズはあるアニメータが 独力で(ファンタジアのカバさんのダンスを作った人だとか)、モデルなしで 描いたとか(ディズニーはこういうのはモデルを撮影して、動きの参考にする)、 そのせいでムチャクチャ時間を取ったとか… filmographyも付いてて(おまけに、ちゃんと著者による評価まで付いてる!当時は 16mmフィルムで見るしかなかったはずなのに…よくやるよ)、大満足。全部通して 2回くらい読んじゃいましたよ。Tex Avery本人との対談も良い。