刺身


鯨料理でもっとも美味しいものといえば、「おのみの刺身」です。食べ物の好みは人によると思いますが、あえてここでは言い切っちゃいます。ひげ鯨のしっぽの付け根あたりの肉の刺身で、霜降り牛肉のような脂身の入り方をしています。口に含むと、その脂身は牛肉のものより遙かに低温で溶けるため、牛肉以上にまろやかです。まさにとろけるような食感です。と言うか、でした、、、、。

じつは、

もう食べられないのです。

商業捕鯨の全面禁止のため、大型のひげ鯨の肉はもうないのです。小型のひげ鯨であるミンク鯨だけは、調査捕鯨ということで何頭かの捕獲が許されていますが、ミンク鯨では小さすぎて、あのとろける様なおのみの刺身はとれないのです。

次の写真は、和歌山県太地町の国民宿舎白鯨で出していただいた刺し身です。赤い身はひげ鯨(ミンク鯨か?)黒っぽい身は歯鯨(ゴンゴウ鯨か?)白い部分は脂身です。
鯨の刺身はショウガ醤油で食べます。奥に二切れ写っている赤い身はかつて食べたナガス鯨(←本当か?)のおのみの刺身を思い起こさせる味でした。
断然、黒っぽい方の身と比べて美味しいです。鯨肉が、癖があるとかいう人もありますが、この肉に関してはその表現は当てはまりません。
しかしながら、赤い身の入手はほぼ不可能です。(黒っぽい身は買うこともできます。)なぜ不可能かというと、調査捕鯨で捕獲されたミンク鯨は、もう捕られた時点で、というか、捕獲される前に、誰の元へ割り振られるかが決まっているのです。もちろん商業捕鯨ではないですから、一般の市場で流通することは、あまり考えられません。

どうしても食べたいという人は、白鯨へ泊まりましょう。
太地町が運営している宿舎です。とりあえず今なら(いつまで鯨肉が供給されるかはわかりませんが)安く本物の鯨料理が食べられます。
また、鯨料理は予め予約をしておく必要があります。連絡先は、07355−9−2323(代)です。

刺身の写真