アブを捕食するシオヤアブ


 この夏、庭先の木の枝に留まっている交尾中と思われる2匹の昆虫を見つけました。しかし、雌雄にしては♀の方がかなり小さく、姿形も違いすぎるように思えました。一応カメラには収めたのですが、もちろん名前は知らないし、ピントがイマイチなので放ってありました。それを急遽日の目を見させることにしたのは次のような事情によるものです。

 息子が使っていた学習書の中に『むし 低学年のポケット図鑑[1]矢島稔監修 学習研究社』というのがあり、たまたまそれをパラパラとめくって眺めていたら、次のような記述とその様子を真横から描いたイラストがありました。
 「あぶをつかまえて、ちをすうしおやあぶ」

 そこでフト思い出したのが前述の写真でした。プリントを探し出して見比べたところ、そのイラストとズバリ同じです。早速市の図書館へ確認に行きました。シオヤアブについては「コンパクト版原色昆虫図鑑 北隆館」に載っていましたが、他のムシ達と同様に翅を広げた平面図的なイラストで、これを見た限りでは自分が写した写真と関係あるとは思いも付かなかったでしょう。普段よく参考にする保育社の昆虫図鑑ではシオヤアブの名前は見つかりませんでした。
 小学生を対象とした図鑑でもバカにはできないですネ

 次は「コンパクト版原色昆虫図鑑 北隆館」より
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 シオヤアブ  Promachus yesonicus Bigot  ハエ目ムシヒキアブ科
 体は黒色で、肢の脛節のみ黄褐色ないし赤褐色、腹部は基部5節(♂)、か6節(♀)の後縁に黄白色粉と同色の毛による横帯が見られ、オスは尾端に白色の毛塊を持ち、メスは第7,8節に青色の光沢が見られ、黒毛を装う。頭部は褐色粉で被われる。
 体長 23〜30mm。
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 上の説明には食性についての記述がないので、念のため講談社の日本語大辞典を見ると下記のように記されており、ポケット図鑑と同様の捕食中のイラストもありました。
 虫引虻:ムシヒキアブ科の昆虫の総称。体長5〜50mm。他の昆虫を捕らえて体液を吸う。世界に約4000種、日本に約30種。英名: robber fly (直訳: 強盗ハエ ナルホド!)

 ただ、図鑑や辞典のイラストと比べて、私の写真のアブ君の毛の襟巻きはデラックスすぎるように思えます。これは個性というものでしょうか?
 それらの点の確認にはNifty『昆虫フォーラム』の Phasmid 氏、ケンセイ氏のお世話になりました。 m<-_->m

 それはともかく、この写真が交尾中の雌雄ではなく、一方が他の虫を捕食中だと思うと、そのアブの顔つきが急に精悍にしてどう猛に見えてきました。また、捕らえられている方(これは多分アメリカミズアブの由)の悲鳴が聞こえてくるように思えてなりません。不思議ですネェ

 画像が小さめなのはピントに自信がないためです。
 来年はもっとピントのよい写真を写して差し替えたい。


  観て下さってありがとうございます。


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