懐かしのPDAたち

 ここでは、過去に私が購入した/しなかったプログラマブルPDA類について紹介していきます。


'80年代後半

 この頃は、携帯型のプログラマブルマシンと言えば「ポケコン」しかありません。その頃のポケコン界はCASIOとSHARPが2大勢力で、「高機能のSHARP」「低価格のCASIO」という図式でした。
 当時高校生の私は、友人に勧められ1万円台の「CASIO PB-410」を購入しました。スペックはこんなでした。

 「これで何ができるの?」と思う人も多いでしょうが、これで色々なゲームを作りました。アクション、パズル、カードゲーム、シミュレーション・・。画面が小さい分、遊ぶ側に想像力が要求されましたが、本当に結構面白い物ができました。
 シミュレーションゲーム等は、きっと現在のPDAやH/PCに移植しても楽しめるでしょう。私が「携帯型プログラマブルツール」に今でも心引かれるのは、10年以上も前の経験が忘れられないからです。
 なお、現在は2代目の「PB-110」が関数電卓代わりに活躍中です。さすがにもうプログラムは組みませんが..。


'90年代前半

 '90年代初頭は、携帯型コンピュータの暗黒時代でした。パソコンが爆発的に普及したのに比べ、ポケコンは高機能化が進んだ割に売れず、もっぱら学生の情報教育用として使われるに過ぎませんでした。
 この時代は、コンピュータが遊び道具から仕事・研究の必需品に変わり、役にたつ道具としての機能が求められ始めた時期です。パソコンがどんどん実用的な物となるのに比べ、ポケコンはいくらスペックが向上しても、使い勝手の点から所詮遊び道具の域から出る事はできませんでした。
 一方、「役にたつ携帯型端末」として、ZAURUSが登場してきました。最初は漢字が手書き認識できるだけの電子手帳でしたが、そのうちパソコンとデータ交換できるようになり、簡単なプログラムが組めるようになり、パソコン通信ができるようになり・・と、どんどん進化していくのに驚いたものです。
 しかし、私にとってはまだ値段が高く、動作はポケコンよりものろかったので、食指は動きませんでした。当時はパソコンでのプログラミングに夢中だったせいもあったでしょう。

 なお、ポケコンの利点(電池で長時間動く、小さい)を取り入れたパソコン、名機HP-100LXも登場してきましたが、私にとってはやっぱり高'値'の花でした。
(その他この時代には、いわゆる「謎パー」と呼ばれる、海外のDOSベースのパームトップコンピュータも色々あったようですが、私にはよく分かりません。)


'95年

 この年は、IBMから「ChipCard TC-100」というカード型PDAが発売されました。どんな物かというと

 このスペック、どう思いますか?
 実はこの製品、最大の売りはプログラムを組んで登録できる事、また技術情報もあらいざらい公開している事にあったはずなのですが、IBMの宣伝が下手だったため認知されず、それほど売れずに消えていきました。(私自身、ChipCardがプログラマブル端末である事を知ったのは1年後くらいでした)
 私にとっては、ChipCardは衝撃的なマシンでした。「ポケコンよりはるかに高度な事が、こんなちっぽけなカードで出来るのか!」ちょうど値崩れが始まっていた頃でもあり、私は'96年に\9,800、'97年にもう1機\4,800で購入しました。MS-DOS環境でプログラムが組める事もあり、ゲーム作りに熱中しました。今でも時々使う事はありますが、ちょっとメモリが少なく(128k)、すぐ壊れる(1年で5回修理してもらった)ので、普段は大事にしまってあります。

 この年は同じくIBMからA6サイズのパソコン「PC-110」も発売され、すごく欲しかった記憶があります。しかし値段が15万円以上、お話になりません。
 またNECから「モバイルギア」も発売されましたが、ちょっと図体が大きかったので私はパスしました。


'96年

 この年は、ChipCardの後継機「VW-200」が登場しました。これは

のが特徴で、TC-100よりは一般受けした様です。
 ただ私にとっては、「大きく、重くなり、コンピュータとしてのスペックは同じ、しかもTC-100より高い」という事で購入はしませんでした。

 東芝から「Libretto」が出てきたのもこの年です。PC-110ほどのインパクトはありませんでしたが、Win95が走るのはすごいなあ、と思いました。あくまでも冷めた見方しかしなかったのは、やっぱり価格が高く、動作が重かったためです。
 米国ではU.S.Robticsの「Pilot」がブームの兆しを見せ、日本でもその姿を少しずつ見るようになってきていました。もしDOSパソコンでもプログラムが組める製品だったら飛びついていたでしょうが・・。

 この年は「インターネット元年」という事で、PDAそのものには余り斬新な物は登場せず、どちらかというと従来の製品を強化したものが多かったようです。携帯物としては「テトリン」「たまごっち」といった小型ゲームが登場し、また「ポケモン」によりGAMEBOYが再注目を浴び始めた年でした。


'97年

 この年は「モバイル元年」という事で、にわかにPDA界が活気づいた年でした。
 1つ1つの説明は書いているときりがないので次の機会にゆずるとして、どんな物が登場したかというと

 この中で、当初期待していたのは「データスコープ」でした。やはりChipCardベースの製品で、しかもPHS一体型。アプリケーション開発環境も無料で提供されるとの事。しかし発売は延び延びになり、その間にCPUはChipCardと別の物になり、値段は4万円台、開発環境はいまいちという事で、急速に情熱が冷めていきました。
 同じくChipCardベースのポケベル「InfoNextS21」もいいかな、と思いました。しかしこちらはアプリ開発環境が一般に提供されず、みんな携帯持ってるのに今さらポケベルってのも..と思い留まりました。

 どうせ買うなら、実用的な電子手帳の方がいいな、と考えていたところに登場したのが「CALEID」です。手書き認識機能がある。Add-In開発環境は無料。という事で3万円弱払ってとびついたのが年末の事でした。その後の事は、このホームページをご覧下さればお分かりの通りです。

 '98年にブレイクした「ポケットボード」が発売されたのもこの年の事でした。


'98年

 '98年は、またすごい物が登場しました。時計型コンピュータ、「ラピュータ」。これももう少しデザインが良ければ、もう少し実用性があれば、買っていたかもしれません。でも、ちょっと見た目が恥ずかしいし、じゃまそうだったので、結局買いませんでした。
 いわゆるプログラマブル端末としては、ラピュータが話題を独占してしまったせいか、他には目新しい物はあまりなかったのがこの年です。「データスコープforDoCoMo」とか「ザウルスカラーポケット」とか、WinCE機のカラー版とか、あるにはあったんですが..。

 個人的には、沢山CALEIDのAdd-Inを作り、このホームページを開設し、ポケットカレイドを入手し、と色々あった年でした。


'99年

 この年は、'97年から続いてきたモバイル端末多様化の流れが一段落し、色々な人がライフスタイルに応じて、良く練れたマシンを使うようになった年だと言えます。  この年出てきたものに全て触れると、とても書ききれないので、あえて「目立った」ものに絞って触れていきます。

1.携帯電話(i-mode)

 これはプログラマブル端末ではありませんが、色々な機能を付加して楽しむ「プログラマブル端末」のコンセプトを立派に踏襲していると考えます。その理由はというと

 1番目の点はパワーユーザー(簡単なCGIスクリプトを書ける人)の遊び心をくすぐり、2番目の点は一般的ユーザーの楽しみを増やした、という事でi-modeは非常にバランスの良いコンセプトだったと思います。
2.各種メール端末

 この年は、「ポケットボード」の成功を受けて、「Eメール重視」の端末が大量に出てきた年でした。携帯電話が普及したため、その全てが携帯電話と接続できるタイプの物で、モデム内蔵の物は姿を消してしまいました。
 その中でも特筆すべきは、以下のWin/CE機です。

 「ポストペット」が楽しめる端末は絶対売れるだろうな、と思っていましたが、私はてっきり専用機が出てくると思っていたので、WinCE機だというのが意外でした。パームサイズPCについてもそこそこ売れましたが、ちょっと動作がのろいので個人的には期待外れでした。

 その他、ポケットボードプラス・ブラウザボード・スナップパレット等1万円台で買える物がたくさん出てきたのは嬉しい限りです。ザウルスも「i-geti」はすごく安くなりましたし。

3.PCコンパニオン

 従来の電子手帳路線では、パソコンとの親和性を売りにしたものが多く登場しました。特にPalmシリーズの日本語版である「WorkPad」は、小ささ・速さ・デザインの3拍子でブームを巻き起こしました(といっても、出荷台数ではi-modeの1/10ですが)。また年末には、VAIOの周辺機器として、PCからテキストや画像データを転送できる「インフォキャリー」も発売されました。
 ただ個人的には、この手の機器はどうも値段がこなれてこないのが不満でした。こんなもの1万円以下でいいものが出てくるはずなんですが..。

 という事で、それまでは使う側に色々な工夫や我慢が要求された携帯型機器が、この年になってようやく理想的な機器として出そろった感があります。もはや、機器の持つ可能性をプログラミングで引き出していく必要はないのかな、と思いました。ちょっと寂しいですが。


'00年

 この年は、前年の流れを汲み、PDAが一層多様化した年でした。パームサイズPDAは、Palm,ZAURUS,CASIOPEIAのいわゆる「ご三家」体制が確立し、一方そのほかにもキーボード付きのタイプ、カメラ付きのタイプ、それこそ雨後の筍の様にうようよ出てきて、私にはとてもフォローできません。

 一方、i-modeはカラー端末が発売され、更に加速度的に売り上げが増加しました。PDAは普通10万台売れれば大ヒットなのですが、i-modeは1200万台、ケタ違いのケタ違いです。これに合わせ、他のキャリアも機能を充実させてきた年でした。
 特に、以下に挙げる携帯電話の高機能化が、PDA界に大きな変革を与えていきました。

 この結果、メール端末タイプのPDAは急速に衰退の一途を辿る事となり、PDAは動画・音楽を楽しむ+PCのビジネスデータを取り込む高機能端末の方向へシフトして行く事となりました。

 なお個人的には、初の携帯となるD502iを購入したり、またcgiを使った占いサイトを開設したら半年でここのアクセス数を抜いてびっくりしたり、と専ら携帯電話で遊んでおりました。


'01年

 この年は、携帯電話に「iアプリ」「Ez+」といったアプリケーションが搭載され、真のプログラマブル端末へと変貌した年でした。ただし、

等の理由から、事実上ゲームしかできない代物でした。(ある意味、CALEIDのAdd-Inと同じ状況と言えます)

 さて肝心のPDAですが、前年後半からの流れで低機能PDAは衰退の一途を辿り、また使いやすさの観点から「縦型+キー付き」形状以外の端末も衰退し、淘汰・没個性の時代へ。残念な事です。 ベンダーとしては前年末からPalm系列にはSONYの「CLIE」、Win/CE系列には東芝の「e GENIO」が加わり、SHARPを含めて新・御三家を形成するという新時代を迎えたのがこの年です。煽りを食って、NEC,IBMが撤退。CASIO,HP,Palm,HandSpringもすっかり元気が無くなりました・・。

 個人的には、この年はD503iを購入し、iアプリ製作にはまりました。CALEIDのAdd-In三大人気タイトル「麻雀」「上海」「関数電卓」を作成。「上海」は後に知的所有権問題に巻き込まれて大変でした。


'02年

 この年は、あまりPDAに関する大きなムーブメントは無かった様な気がします。個人的にも特に何もしませんでしたし。ちなみにPC界はADSLが爆発的に普及した「ブロードバンド元年」でした。


'03年現在
 という事で、今、私の手元にあるのは
 です。ちなみに実際にPDAとして活躍しているのは携帯電話(D503i)です。やっぱり、ちょっとマイナーで個性的な機種が好きです。きっとこれからも。

                      
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