NEC PC-9800シリーズに関するQ&A
PC-9800シリーズに関する疑問をQ&A形式でまとめてみました。まだまだ少ししかありませんが、間違いや補足、追加してほしい項目などがありましたらお知らせください。
最近(1995年春以降)の機種は、シリーズ名、CPUのクロック周波数(10MHz単位)、「/」の後にハードディスクの容量(100MB単位)となっており、比較的わかりやすい。「/」の直後に英大文字が入っていることもあるが、これの意味はよくわからない。PC-9821Xaシリーズでは、C→K→R→Wと変化している。また、PC-9821Ra,Rv,Rsシリーズでは、NがWindows NTインストールモデル、WがWindows 95インストールモデルとなっている。ノート型では、Sが800×600ドット、Xが1024×768ドット、DがDSTN液晶を意味するようだ。
例: PC-9821Xa10/C12は、クロック100MHz、ハードディスク1.2GB
シリーズ名は、英字で1または2文字だが、PC-9801だと全部大文字、PC-9821だと2番目だけ小文字になる。これの意味の解釈はここでは触れない。
もし「/」の前の数値が3桁なら、CPUはMMX対応Pentumであり、数値はMHz単位のクロック周波数を表す。また、CPUがPentiumIIの機種は、シリーズ名の後にIIがついていたが、いつの間にかMMX対応Pentiumと同様の表記になってしまった。
PC-9821VとPC-9821Xcは例外で、「/」の後の英字は、Sがデスクトップ、Mがミニタワーを意味し、その後がZならディスプレイなし、5なら15インチディスプレイ付き、7なら17インチディスプレイ付きである。
それより前で1993年以降の機種は、シリーズ名、世代(なし、2、3)、「/」の後にFDDの大きさとCD-ROMドライブの有無を表す英字(M: 5.25インチ、U: 3.5インチ、C: 3.5インチでCD-ROMドライブつき)、FDDの数とハードディスクの容量を表す数字(後述)となっていた。この後にWがつくと、それはWindowsインストールモデルであり、TがつくとMatrox社製のウィンドウアクセラレータボード内蔵である。なお、ノート型は、ハードディスクの容量がMB単位ではいるなど、特殊である。
例: PC-9821Ap2/U8Wは、Ap無印の後継、3.5インチFDD、ハードディスク340MB、Windowsインストール済み
さらに前は、シリーズ名、FDDの数とハードディスクの容量を表す数字(後述)、世代(なし、1、2)であった。細かく見ると、FDDの大きさがシリーズ名に含まれていた1989年以前と、3.5インチの場合はシリーズ名と数字の間に「/U」をはさむ1990年以後に分けられる。
例: PC-9801FA/U2は、3.5インチFDD×2
例: PC-9801VX21は、VXの後継、5.25インチFDD×2
FDDの数とハードディスクの容量を表す数字の意味は次の通りである。
0 ディスクなし
1 FDD×1
2 FDD×2
3 FDD×1 HDD:10MB
4 FDD×2 HDD:20MB
5 FDD×2 HDD:40MB
6 FDD×1 HDD:80MB
7 FDD×1〜2 HDD:100〜210MB
8 FDD×1 HDD:240〜340MB
9 FDD×1 HDD:510〜540MB
10 FDD×1 HDD:1GB
PC-8800シリーズには、PC-88VA3という、5.25インチFDD×2と9.5MBのFDD×1という機種もあった。
自動起動にしてしまったなどで、固定ディスク起動メニューが出なくなってしまったら、TABキーを押しながらリセットすればよい。押し方のコツは次の通り。
- ルーズな人向け
- ピピピピと音がするまでTABキーを押し続ける。
- 几帳面な人向け
- メモリチェックが終わった後、ハードディスクを読むまでの間にTABキーを一回押す。
ただし、ハードディスクに起動可能な領域を複数作る必要がある。
MS-DOSの場合は、フリーソフトのPATCH IOを使って、IO.SYSを書き換えるとよい。Windows 95の場合は、SETUP /ATとしてインストールすると、ドライブAになっていたハードディスクの領域が、Windows 95起動後はドライブCになる。フリーソフトのWin95ドライブ割付順序の変更を使うと、インストール後でも変更できる。
MS-DOSの場合には、IO.SYSのオフセット00B5hを書き換える方法もあるが、SCSIハードディスクが認識されなくなるなどの問題が出る。
IDEハードディスクとSCSIハードディスクを同時に使っていると、どちらのハードディスクで起動しても、IDEハードディスクのほうが早いドライブ名がつく。SCSIを優先するには、フリーソフトのPATCH IOを使えばよい。Windows 95では、フリーソフトのWin95ドライブ割付順序の変更を使えばよい。
準備中
PC-9821と名がつけば必ず拡張グラフアーキテクチャ(Windowsなしで、640×480ドット256色を表示する機能)を持つかというと、そうではない。PC-9821Be,Bs,Bp,Bf,Ts,Ne2,Ndは拡張グラフアーキテクチャを持っていない。逆に、PC-9801BX4は持っている。あまりはっきりしたものではなさそうだが、Windows用に設計したら9821ということか。
このディップスイッチを切り替えると、最初は「自動」になっている内蔵FDDを、1MBモード固定または640KBモード固定として使える。しかし、MS-DOS3.1以降やWindowsを使っている限り、モードを固定していても、1Mバイトタイプ(2HD)と640Kバイトタイプ(2DD)のどちらのフロッピーディスクからも起動できるし、起動後にどちらのフロッピーディスクも読み書きできる。
では、自動とは何が自動なのかというと、フロッピーディスクで起動したときに、ディスクの種類によって、FDDのつながるインターフェースを自動で切り替えるのである。これは、2DDと2HDの両用ドライブがなかった頃のソフトを使うためで、ソフトが640KBインタフェースや1MBインタフェースを直接操作しても、正しく動作するようになっている。
もともとPC-9800シリーズには、640KBタイプと1MBタイプの2種類(320KBを含めると3種類になるがこれは除外)のFDDインタフェースボードがあって、それぞれに4台までのFDDをつなぐことができた。もちろんこの二つは、I/Oポートや、割り込み番号、DMAチャンネルが異なり、BIOSに与えるデバイスアドレスも違う(表参照)。両用ドライブを持つ機種(PC-9801VM2以降)では、これらのインタフェースボードと互換性のあるインタフェースを内蔵し、起動時にどちらか一方が有効になるようになっている。起動後は切り替わらない。どちらのインタフェースでも、ソフトが対応していれば、両方のタイプのディスクを読むことができる。MS-DOSだと、Version 2.0(文節変換対応)以降が両用ドライブに対応している。
インタフェース |
FDCのI/Oポート |
DMAチャンネル |
割り込み |
デバイスアドレス |
1MB |
90h,92h |
2 |
IRQ11(INT42) |
9xh(1MBタイプ) |
1xh(640KBタイプ) |
3xh(1.4M) |
640KB |
C8h,CAh |
3 |
IRQ10(INT41) |
7xh(640KBタイプ) |
Fxh(1MBタイプ) |
モードを自動でなく固定にするメリットは次の通りである。
- 使用していないほうのDMAや割り込みを開放することができる。
- 使用していないほうのフロッピーディスクインタフェースボードを拡張スロットに取り付けることができる。
- フロッピーディスクからの起動が少し速くなる。
最後について少し補足する。自動(スイッチは両方OFF)のときに2DDのフロッピーディスクで起動すると、2HDでブートセクタ読み込み(失敗)→2DDでブートセクタ読み込み(成功)→モード切り替え→ブートセクタのコードが引き続くセクタを読み込む、という動作をする。モード切り替えには1秒ほど時間がかかる。2HD固定にしておくと、モード切り替えがなくなるぶん速くなり、2DD固定にしておくとさらに、読み込み失敗がないぶん速くなる。
この機能が不完全な機種もある。98ノートでは、調べた機種ではすべて、ディップスイッチ3-1と3-2は未使用となっていて、ONにすることはできなかった。また、2DDのフロッピーディスクで起動すると、FDDのインタフェースが640KBモードになるものと、1MBモードのままのものがあった。
PC-9801NA 自動
PC-9821Lt2 自動
PC-9821La10 1MB固定
PC-9821St15 1MB固定
PC-9821Xv13 1MB固定
PC-9821Xc13 1MB固定
ディップスイッチの1-3は、PC-9801U2以降でプラズマディスプレイを使用するときにONにするものだが、98ノートなどでは未使用となっている。しかし、これには別の働きもあり、プラズマディスプレイを使わなくても有効である。PC-9800シリーズのテキスト画面は、グラフィック画面と重ねて表示したときに1ドット左にずれているが、これをONにして(未使用の機種でもONにできる)起動すれば、テキスト画面は正しく重なる。
なお、ポート6Ahに41hを出力しても、テキスト画面を正しく重ねることができる。ずれた状態に戻すには、40hを出力する。
15〜16Mの間のメモリ空間(物理アドレス00F00000h〜01000000h)をいうようだ。HELPキーを押しながらリセットすると出るメニューで、16Mバイトシステム空間を「使用する」にしておくと、使えるメモリが1MB減少する。このメモリ空間には、拡張グラフアーキテクチャのVRAMや、純正のウィンドウアクセラレータボードB(Aもか?)のVRAMが出現する。Windowsでこれ以外のグラフィックボードを使っているときは、16Mバイトシステム空間を「切り離す」にしても、たいていは問題ない。
問題になるのは次の場合である。
- 拡張グラフアーキテクチャを使うプログラムのうち、16Mバイトシステム空間を利用するものは動作しない。
- Windows 95のMS-DOSプロンプトで、拡張グラフアーキテクチャを使うプログラムを走らせているときに、MS-DOSプロンプトをウィンドウ表示からフルスクリーン表示に切り換えると、例外が発生し、さらに、Windows 95に復帰できずにハングアップしてしまう。
98本体に関するものだけでこれくらいある。
- [STOP]+リセット
- ウォームブート
- [CTRL]+[SHIFT]+[STOP]+リセット
- [COPY]キーを押すと、メモリイメージをフロッピーディスクに書き出す。(PC-9801VX以降)
- [HELP]+リセット
- システムセットアップメニュー、または98NOTEメニューを表示する。(PC-9801RX以降)
- [COPY]+リセット
- オートモード(RAMドライブのある機種のみ)
- [CTRL]+[SHIFT]+リセット
- 初期状態に戻す。(PC-9801RX以降?)
- [CTRL]+[CAPS]+[カナ]+[GRPH]+リセット
- 動作クロックなどを表示する。(PC-9801RX以降)
- [GRPH]+[1]+リセット
- 水平周波数24kHz(拡張グラフアーキテクチャを持つ機種)
- [GRPH]+[2]+リセット
- 水平周波数31kHz(拡張グラフアーキテクチャを持つ機種)
- [ESC]+[HELP]+[1]+リセット
- BIOSのバージョンを表示(フラッシュメモリのBIOS ROMを持つ機種?)
- [ESC]+[HELP]+[8]+リセット
- BIOSの書き換え準備(フラッシュメモリのBIOS ROMを持つ機種?)
- [ESC]+[HELP]+[9]+リセット
- BIOS状態初期化?
Windows 95で追加されたWindowsキーとアプリケーションキーのあるキーボード(PC-9801-119)を接続して、追加のキーのキーコードを通常の方法で取得しようとすると、キーを押しても何も送られて来なくて、うまくいかない。実は、このキーボードにはモードがあって、最初は追加のキーが無効になっている。UNDOCUMENTED 9801/9821 Vol.2 - メモリ・I/Oポート編のキーボードインタフェースに載っている、拡張キー設定コマンドを使う必要がある。
このコマンドを、キーボードへの下りコマンドの送信方法に従って送ると、追加のキーが有効になる。さらに、左右のシフトキーを区別できるようになる(右SHIFTのキーコードが変わる)。キーコードは以下のとおりである。
キー | キーコード
|
---|
左Windows | 77h
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右Windows | 78h
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アプリケーション | 79h
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左SHIFT | 70h
|
右SHIFT | 7Dh
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