イプシロンのスピードコラム 「無制限一本勝負」

通刊41

ターザン山本、敗北


 週刊プロレスのターザン山本編集長が7月5日、週刊プロレスを去ることになっ  た。当コラムでも通刊37に於て、週刊プロレスと新日本プロレス、WARの間で  起きていた戦争についてとりあげた。その決着がついたわけである。両者間の戦争  はターザン山本の玉砕という形で幕を閉じることとなった。             新日本プロレス、WARによる週刊プロレス叩きはその後拡大の一途を辿ってい  た。両団体と関係の深いUWFインターナショナル、武輝道場、レッスル夢ファク  トリーの追随による兵糧責め。これらの団体の記事が週刊プロレスに載らないこと  は当然売り上げ部数を落とす結果となり、ベースボールマガジン社内部からも更迭  を求める声があがっていたようだ。                        私としては、このような結果となったことを本当に残念に感じている。同時にこ  の結果、プロレス団体は自分達の意図しない記事を載せたマスコミはどのようなこ  とになるか、見せしめにするというメリットを生み出した。しかしそれはファンに  とっては今後マスコミに、団体発表の大本営情報以外のニュースが載らないという  事を意味している。とんでもない時代がやってきてしまった・・・・・。       ターザン山本という人は偉大だった。大団体に対して平気で噛付く度量をもって  いた。満員となったビッグマッチでも問題があれば「失敗だった」と言ってのける  見識を持ち合わせていた。団体に対してベンチャラで通していれば、今後の仕事が  楽であったということがわかっているのにである。アクの強さや独善的思想から団  体関係者やファンの間でも、彼に対して批判的な声は大きかったのであるが、それ  でも私は彼はプロレス界には必要な人物であったと思う。もう彼ほど団体に対して  対等に喧嘩が出来る編集者が出てくることは、今後あるまい。            自分と考え方や手法の違う人物を今回のようなやり方で業界から追放してしまっ  た長州力、天龍源一郎という人のやり方を、私は容認することはできない。同時に  このようなケツの穴の小さな人間にプロレス界が牛耳られているのかと思うと、失  望感を感じる。1日も早く長州、天龍の次の世代がリング上だけでなくプロレス界  全体を動かす時代が来て欲しい。そして、今回のようなファン不在の、他人の価値  観を認めないような人間による人気編集者の追放という事件が二度と起きない業界  を、作って欲しい。切に願うものである。                          「無制限一本勝負 通刊41」     完 Presented by IPUSYRON The Y.Yoshioka.  このMSGは、1996年8月版のTODAY格闘技興業データ付録のコラムをあ らためて掲載したものです。                         


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