トラブルシューティングの基本


ソフトの単純なバグでソフトが動作不良となる場合以外にも、意外と原因の集約された、環境に起因する動作不良も数多くあります。ここではその見極め方について記述します。

コンピュータはさまざまなハードウェアやソフトウェアが複雑に協調して動作しています。同じメーカの同じPCを購入したとしても、その後ハードウェアやソフトウェアを追加したり、ドライバのアップデートをしていくうちに、利用者毎に異なった環境となり、その組み合わせは無限と言えます。

このような複雑な環境で、環境が原因で発生するソフトの動作不良の原因を追求するのは極めて困難な場合もありますが、意外にもその原因の傾向は集約されます。下記に発生頻度の比較的多いもの順に説明します。

ハードディスクの空き容量
ハードディスクの空き容量が少ない場合に、動作のおかしくなるソフトウェアがあります。これはソフトそのものが空き容量チェックをサボっている場合もありますが、Windowsのインストールされたハードディスクの空き容量が少ない場合にはそうではありません。Windowsは物理的に搭載しているメモリ容量が足りなくなると、ハードディスクの一部をメモリと見立てて使用します。したがって、Windowsのインストールされたドライブの空き容量が少なくなるとWindowsの環境そのものが不安定なものとなります。空き容量が30MBバイト程度しかない場合は要注意です。また、その他のドライブに関しても同様の注意が必要です。ソフトウェアは一般的に大量のデータを取り扱う場合にはメモリでなくハードディスク上にファイルを一時的にに作成するからです。ハードディスクはまめに整理しましょう。
ハードディスクのエラーチェック
Windows95で採用されているFATファイルシステムは軽快に動作する反面、その信頼性は非常に低いです。たとえば、Windows起動中に間違って電源をきってしまった場合、いくつかの使用中のファイルが壊れる可能性があります。ソフトの動作に必要なファイルの一部が壊れて動作がおかしくなったり、Windowsの動作に必要なファイルが壊れて結果としてアプリケーションソフトの動作が不安定に見えることもあります。このような事を繰り返す間に、ディレクトリ情報自体も壊れて行き、最悪のケースでは95そのものが起動しなくなることもあります。頻繁にハードディスクのエラーチェックを行うことが好ましいのですが、このエラーチェックで行ったファイルの修復と言うのが曲者なのです。「修復しました」と言いながらも、FATファイルシステムの構造として矛盾のない状態にしただけで、ファイルそのものは捨ててしまったり、切り捨てたりしているだけなのです。修復後も動作が不安定な場合は95を上書きインストールしてみましょう。NTを利用している場合はNTFSのご利用をおすすめします。
ディスプレイドライバ
ディスプレイドライバが原因で発生する問題はとても多いです。描画を担当しているわけですから、ソフトが描画要求を発行したときにディスプレイドライバに問題がある場合にはソフトの動作がおかしくなったり、Windowsそのものがフリーズしたりします。このような事を避けるためにディスプレイドライバには信頼性が求められる重要な部分なのですが、残念ながらグラフィックボードは過当競争にさらせれ、次々に新製品を無理なスケジュールでリリースするあまり、信頼性の低いままのディスプレイドライバとともに出荷されている傾向にあります。この問題を切り分けるにはディスプレイドライバをVGAにするのがもっとも確実です。VGAで現象が発生しない場合はディスプレイドライバの問題である場合が大です。95の場合はデスクトップのプロパティーでディスプレイのアクセラレータ機能を無効にしてみるのも切り分けには有効です。切り分けで黒となったら最新のディスプレイドライバを入手してみましょう。
DLLのバージョンの違い
「あるソフトをインストールしたら別のソフトの動作がおかしくなった」、「インストール直後のソフトが動かない」こんな場合はDLLが疑わしいです。さまざまなソフトで共通に利用される機能をまとめて一個所に格納し、それを各ソフトから利用すればハードディスクのスペース的に無駄が無く、ソフトのサイズも小さくなります。これがDLLです。同じファイル名のDLLでありながら、バージョンの違いにより動作が異なることがあるのでソフトの動作がおかしくなります。これは自分で修復するのは難しいので開発元に問い合わせてみましょう。
システムリソース不足
Windows3.1時代はシステムリソースと呼ばれる領域が非常に少なかったので、これに起因する問題が多発していました。Windows95でだいぶ改善されたもののまだ十分とはいえません。95のインストールオプションでリソーメーターをインストールし、動作がおかしくなるソフトがある場合はリソーメーターでモニターしてみるとよいでしょう。リソースが不足する場合は、同時に起動するソフトを少なくしましょう。NTでもこの領域は有限ですが、実用上無限と言えるほど大きいので気にする必要はないでしょう。
クロックアップ
雑誌などでいかにも簡単にパフォーマンスアップができるように書かれていますが、CPUやメモリーにマージンの無い状態で動作することになり、ソフトの動作がおかしくなることもあります。現象はディスプレイドライバの問題で発生するものと似ている場合が多いです。問題がある場合はあきらめて標準の状態に戻しましょう。
SCSI、IDE
SCSIに接続されたデバイスにアクセスすると動作がおかしくなるような場合には、SCSIのターミネータの設定やSCSIの設定(SCAMをはずす)を変えてみましょう。ハードディスクにアクセスするととても遅かったり、ハングアップしてしまうような現象が典型的です。ハードディスクそのものの表面が物理的にきづついている場合も同様の現象になります。

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