Human68k 誰も説明しなかった PPP 接続


●はじめに

★え? X680x0 でも PPP 接続ができるの?
★パソ通の電話代を安くしたいけど、近くのプロバイダは全部 PPP Only だから悩んでます。
★PPP接続キット入手したけど説明が良くわからん。
などなど。こういう声に答えるべく画期的なページです。

ここではモデムを使って電話回線で PPP 接続するものとして説明します。 UNIX マシンに RS-232C で直結する場合は電話をかける部分が不要になり、 また ppp のパケットモードにするためにコマンドを実行する必要がありますが、 その辺りの説明はここではしません。


●最低現必要なこと

Human68k v2.01 以上を使うこと!できれば Human v3 以上!

本体メモリは 2M でも動くと思いますが、 ドライバが意外にメモリを食うので できれば 4Mbyte 以上にメモリを増設しておくことをおすすめします。

モデムは既につながっているものとします。 また、使用するモデムは 9600bps 以上のものを想定しています。 今ならおすすめは安価な 28800bps モデムです。 (15000円程度で手に入るでしょう)


●まずこれを入手すべし

 ★inetd.x や関連ファイル、ネットワークコマンド群
tcppacka.lzh (計測技研製無償配布パッケージ)
 ★iij-ppp ドライバ ppp.x
pppx_r2.lzh (作: K.Shirakata さん)
 ★RS-232C ドライバ tmsio.x (もしくはその互換ドライバ)
tmsio031.lzh (作: 星野美季さん)
すでに tmsio を普段パソ通用などに組み込んで使ってる方は、以下 tmsio の説明は省いて下さって結構です。


●置き場所を決める

取り敢えず A:/PPP にファイルを置く(installする)ことに決めます。 この中に、上記アーカイブを全部展開して下さい。 以下全部 A:/PPP にファイルがあるものとして説明します。 説明中のディレクトリ名やパスは必要に応じて各自修正して下さい。

アーカイブを展開するときは、「lha x tcppacka.lzh」のように ディレクトリ付きで展開するのを忘れないで下さい。 (lha なら lha x file のように 'x' を使えばよし、lx なら何もせずそのまま展開して OK) もちろん、それぞれのドキュメントにはきちんと目を通しておくのが基本です。

次に A:/ETC というディレクトリも作ります。 この中に A:/PPP/ETC の内容を全部コピーして下さい。

こんなかんじ
----------------------------------------
md A:\ETC [RETURN]
copy A:\PPP\ETC\*.* A:\ETC [RETURN]
----------------------------------------
ただし、このときコピーした A:\ETC\services は不完全なので、 次のように足りない部分を書き加えて下さい。または これ "services" をダウンロードして代わりに使って下さい。
services
--------------------------------------------------------------------------
#
# /etc/services - Network services, Internet style
#
ftp-data	20/tcp
ftp		21/tcp
telnet		23/tcp
smtp		25/tcp		mail
time		37/tcp		timeserver
domain		53/tcp		nameserver	# domain-name server
domain		53/udp		nameserver
tftp		69/tcp
finger		79/tcp		finger
http		80/tcp
pop2		109/tcp		postoffice
pop3		110/tcp
nntp		119/tcp
--------------------------------------------------------------------------


●Human68k の設定

config.sys を書き換えます。 ポイントは2つ、PROCESS 設定とデバイスドライバの追加です。
追加事項
---------------------------------------------------
PROCESS= 16 10 50
DEVICE= A:\PPP\ppp.sys
PROGRAM= A:\PPP\tmsio.x -b32
---------------------------------------------------

tmsio.x は config.sys に記述するときは program 行で組み込みます。もちろん AUTOEXEC.BAT 内で tmsio.x を組み込んでも一向に構いません。

SHARP 純正の RS-232C ドライバ RSDRV.SYS は不要なので外してください。

次に環境変数の設定を行います。AUTOEXEX.BAT に、

追加事項
-----------------------------------
set PPP=A:\PPP
set SYSROOT=A:\
-----------------------------------
を追加し、また PATH に A:\PPP\BIN を加えて下さい。 またはパスの通ったディレクトリに A:\PPP\BIN の中身を全部コピーして下さい。

config.sys と AUTOEXEC.BAT を書き換えたら、設定を有効にするために一度リセットして起動し直してください。

●接続までの手順

まず、手動で接続してみます。

inetd.x を組み込んで下さい。もし Ko-Window を使用する場合は「-t -1」オプションをつけます。 良く分からない場合は、常に「-t -1」をつけておけば安心です。

inetd を組み込む
-----------------------
inetd [RETURN]
-----------------------

Ko-Windowを使っている場合の inetd の組み込み方
-----------------------
inetd -t -1 [RETURN]
-----------------------
次に ppp.x を実行します。
ppp.x の実行
-----------------------
a:\ppp\ppp [RETURN]
-----------------------
ppp.x を起動するとプロンプトが出るので、「term [RETURN]」と入力します。

するとモデムとの対話状態になるので、ここで好きなモデムコマンドが実行できます。 例えばダイヤルするなら次のようにします。

モデムコマンドの実行 プッシュ回線の場合
-------------------------------------------------------------
ATZ [RETURN]
ATDT000-0000-0000 [RETURN]
-------------------------------------------------------------

モデムコマンドの実行 ダイヤル回線の場合
-------------------------------------------------------------
ATZ [RETURN]
ATDP000-0000-0000 [RETURN]
-------------------------------------------------------------
電話回線の種類によって、ダイヤルコマンド ATDT(トーン) , ATDP(パルス) が異なるので注意して下さい。 000-0000-0000 は任意の電話番号です。通常はプロバイダや大学の計算機センターなど接続先になるでしょう。

もし話中だったり何らかのエラーが発生すると「BUSY」やエラーのリザルトコードが返ります。 その場合は再びダイヤルを試みて下さい。

途中でやめるときは行頭で「[RETURN] ~.」と入力します。 これで元の ppp のプロンプトに戻るので quit (q [RETURN]) して下さい。

うまくつながると、通常はログインプロンプトが表示されるので、 ここでそのプロバイダの ID とパスワードを入力します。 パスワードを入力してログインすると、勝手にパケットモードになります。

ただしこのログインプロセスは プロバイダやサーバーによって異なる可能性があります。 上記説明と異なる場合は各プロバイダの説明を参照して下さい。

パケットモードから先は自動で応答が行われるので黙って待っていて下さい。 (つまりキー入力が必要なのはパスワードまで) しばらくして ppp のプロンプトが大文字の PPP になると接続成功です。

接続が成功すると勝手に ppp.x が常駐終了します。

次に DNS の設定をします。 DNS のアドレスやドメイン名は、プロバイダと契約す るときに必ず送られてくるはずなので忘れないようにして下さい。 インターネットにつなぐ場合は DNS は必須です。 (/etc/hosts や直接 IP アドレスを使うなら DNS 設定はなくても使えます。 例えばインターネットに繋がず、個人で数台のパソコンを接続するだけというケースなら DNS は動かさないことも多いでしょう。)

DNS の設定
-------------------------------------------------------------
inetdconf +dns 000.000.000.000 +domain XXXX.XX.or.jp [RETURN]
-------------------------------------------------------------
000.000.000.000 は、DNS アドレスです。 XXXX.XX.or.jp はドメイン名です。

これですべての設定はおしまいです。 あとは telnet なり ftp なりメールなりニュースなり、 自由に使用することができます。(プログラムがあればですが)

終了方法

ppp.x をもう一度実行して下さい。電話回線を切り常駐解除します。
終了
-------------------------------------------------------------
a:\ppp\ppp [RETURN]
-------------------------------------------------------------


●自動でログインする

最初は手動でつないでもいいのですが、いちいち電話番号や ID を入力するのは めんどうなので、自動ログインを設定して置くと便利です。

自動ログインの設定は A:\PPP\conf.ppp に記述します。 この conf.ppp は中身を見れば大体分かると思うのですが、行頭の '#' はその行を無視(コメント扱い)することを表しています。

まず最後の3行がコメントになっているので、行頭の '#' を削除して下さい。

「set phone yourphonenumber」の 'yourphonenumber' の部分を、 接続する相手の電話番号(プロバイダの電話番号)に置き換えます。

このとき注意するのは電話回線の種類の指定です。もしダイヤル回線だったら 「P電話番号」と、プッシュ回線だったら「T電話番号」のように記述すると間違いがありません。 例えばプッシュ回線で 1234-5678-9012 に電話する場合は

set phone T1234-5678-9012
になります。

同様にして、 「set login 〜」の行の 'youraccount' をプロバイダの ID に、 'yourpassword' の部分を、プロバイダのパスワードに置き換えます。

通常の場合はこれだけで自動ログインできるようになるはずです。 ppp.x を実行すると勝手に電話をかけて繋いでくれます。

もしログイン時のプロセスが異なる場合は、それぞれあわせて「set login 〜」 の部分を修正して下さい。 このチャットスクリプトはパソコン通信での自動ログイン設定とほぼ似たようなもの ですから、難しくはないはずです。

前は自動ログインがうまくいってたのに今日は繋がらないなあ、などなど、 おかしいと思ったら、悩む前にまず手動ログインを行ってみて下さい。 エラーの原因がわかるはずです。

Indexに戻る


1997 1/11 若干修正
小笠原博之 oga@dgw.yz.yamagata-u.ac.jp