PPP接続設定ファイルの書き方


最終更新: 2000/02/05 01:07


●PPP設定ファイル

ZaurusOS の PPP API(MOREソフトを作るときに必要になる物) は、 インターネットへの接続に必要な一連の設定を、 テキストファイルで与えることができます。 この設定ファイルは SZAB (MOREソフト開発キット)サンプルの ftp でも 使われており、インターネット接続を行う Zaurus MORE ソフトの 事実上の標準となっています。

当ページで公開している MiniTELNET でもこのファイルを使用しており、 接続できません、書き方がわかりません、 等の質問が多く寄せられています。 ここでちょっと詳しく説明してみます。

なお、 FTPサンプル にしろ、MiniTELNETにしろ、 ウクレレとりっぷさんの WWW天気予報 でも、同じ API を使っているため設定ファイルの記述方法は全くの共通です。 そのため、一度設定ファイルを書いておけば、あとは指定のファイル名に コピーするだけで共通に使うことができます。

●注意しなければいけないこと

設定ファイルにはパスワードを直接記述することになります。 ザウルスを落としたりなくしたとき、 パスワードを他人に見られてしまう可能性があります。 取り扱いには注意するようにしてください。

●設定ファイルを作るには?

  1. パソコンで作成したファイルを Zaurus に転送する
  2. 元になる設定ファイルのサンプルを Zaurus に転送して、Zaurus 上で必要部分を書きかえる。
  3. Zaurus 上で全部入力してファイルをゼロから作る。

通信設定は、最初はある程度試行錯誤が必要になります。 2度目以降は 1. で構いませんが、最初は 2. の方法をお勧めします。 1. と 2. では、テキストファイルを Zaurus 本体に転送する手段が必要です。 また 2. と 3. の方法では、Zaurus 上でテキストファイルを編集するための テキストエディタが必要になります。

●ファイルをザウルスに送る

サンプルの設定ファイルが MORE ソフトの .ZAC に含まれている場合は、 特にデータファイルを Zaurus に送る必要はありません。 MORE ソフトを展開すると勝手にファイルが作られます。

サンプルのファイルが別になっているときは、そのファイルを個別に 送らなければなりません。

PCリンク系ツールを使う

PCリンク系のツールを使うと一見簡単に転送できるように見えますが いくつか問題があります。 ザウルスパワーコネクションを使ってテキストファイルを そのまま転送すると、 「レポート&自由帳」や「インクワープロ」に転送されてしまうため うまくいきません。 そのため、予め拡張子を「.dat」に変換してから送り(この場合常に パソコンデータ機能に送られる)、Zaurus 上で元の ファイル名に戻します。

Zaurus 上でファイル名を元に戻す(リネームする)には、 dash や yonezawa さんの TWinFileManager を使うことができます。

メールの添付を使う

メールへデータを添付して Zaurus に送ることができます。 この場合も拡張子に注意が必要です。 うまくいかない場合は「.dat」に変更してから添付してください。

フラッシュメモリカードを使う

Zaurus で使える フラッシュメモリカード (ATA/CF/スマートメディア等) を介して Zaurus にファイルを送ることができます。 フラッシュメモリカードは FAT 形式なので、Windowsノート等で そのまま読み書き可能です。 Zaurus 上では dash や TWinFileManager を使って任意の場所に転送します。

●テキストエディタ

Zaurus 用のテキストエディタは こちら で入手することができます。(他にあればそれでも構いません)

●設定ファイルの書き方

設定ファイルのサンプルをあげます。 (ファイルそのものは こちら にリンクしています) 変更すべき点は以下の 10項目だけです。 それ以外の設定は書き換える必要がありません。
Speaker=	1または0 (DIAL中に音を出すかどうか)
DialType=	トーン(プッシュホン回線)、パルス(ダイヤル回線)の指定
DialNumber=	実際に接続するプロバイダのアクセスポイントの電話番号
ModemType=	詳細は後述
ModemSpeed=	モデムの接続速度(詳細は後述)
ModemMaxSpeed=	ModemSpeedと同じ値にします
ConnectID=	プロバイダのアクセスポイントに接続するときのID(ログイン名)
ConnectPassword=プロバイダのアクセスポイントに接続するときのパスワード
DNS1Address=	プロバイダのDNSサーバーのIPアドレス1
DNS2Address=	プロバイダのDNSサーバーのIPアドレス2(無いときは空のままにする)
-----------------------------------------------------------------------------
# #で始まる行はコメント、改行コードはLF
#
# 1:ON 0:OFF
Speaker=1
#
#1:トーン(プッシュホン)、2:10ppsパルス 3:20ppsパルス
DialType=1
#
#プロバイダの電話番号
DialNumber=XX-XXX-XXXX
#
#詳細は後述
ModemType=1
#
#モデム初期化文字列
ModemInit=
#
#モデム通信速度(後述)
ModemSpeed=33600
#
#内蔵のときはモデムと同じ値 PHSのときは57600
ModemMaxSpeed=33600
#
#1:外線番号あり 0:なし
ModemOutLine=0
#
#外線番号
ModemOutNumber=0
#
#PPP接続ID
ConnectID=IDNAME
#
#PPP接続パスワード
ConnectPassword=PASSWORD
#
#プロバイダのDNSサーバーアドレスその1
DNS1Address=AAA.BBB.CCC.DDD
#プロバイダのDNSサーバーアドレスその2
DNS2Address=
#
#以後、特別な場合を除いて書きかえる必要なし
ConnectScript=
IPAddress=
GetIPAddress=1
GatewayAddress=
AddressMask=
ZaurusPackSize=1500
ServerPackSize=1500
ZaurusAuth=0
ServerAuth=1
ZaurusPackPrtcl=0
ServerPackPrtcl=0
ZaurusPackAddr=0
ServerPackAddr=0
ZaurusCharMap=0000A000
ServerCharMap=FFFFFFFF
ZaurusPackTCP=1
ServerPackTCP=0
-----------------------------------------------------------------------------

●ModemType についての詳細

ModemType では、接続に使用するモデムやアダプタを指定します。

	ModemType=1	内蔵モデム(モデム内蔵機種の場合)
	ModemType=2	オプションポートに接続したモデムアダプタを使う場合
	ModemType=3	カードモデムを使う場合
	ModemType=iXXX	本体内蔵のアダプタ機能/CPUモデム機能を使う場合


機種毎の具体例(SZAB socket.pdfより)

◎MI-10シリーズ/MI-500シリーズ/MI-100シリーズ

ModemType=1		内蔵モデムの場合
ModemType=2		デジタル携帯電話アダプタ(CE-DA5/DA4/DA3等)使用時
ModemType=2		PHSアダプタ(CE-PA3/PA2/PA1)使用時
ModemType=3		カードモデム使用時、DoCoMoの 611S/341S含む

◎MI-600シリーズ

ModemType=1		内蔵モデムの場合
ModemType=2		デジタル携帯電話アダプタ(CE-DA5/DA4/DA3等)使用時
ModemType=2		PHSアダプタ(CE-PA3/PA2/PA1)使用時
ModemType=3		カードモデム使用時、DoCoMoの 611S/341S含む
ModemType=iIRP		赤外線インターフェース付きISDN公衆電話使用時

◎MI-310

ModemType=1		内蔵モデムの場合
ModemType=2		デジタル携帯電話アダプタ(CE-DA5/DA4/DA3等)使用時
ModemType=2		PHSアダプタ(CE-PA3/PA2/PA1)使用時
ModemType=3		カードモデム使用時、DoCoMoの 611S/341S含む
ModemType=iIRP		赤外線インターフェース付きISDN公衆電話使用時
ModemType=iPDC		デジタル携帯電話ケーブル(CE-DT1等)使用時
ModemType=iPHS		PHSケーブル(CE-PT1等)使用時(DoCoMo/ASTEL)

◎MI-P1/P2/C1

ModemType=2		デジタル携帯電話アダプタ(CE-DA5/DA4/DA3等)使用時
ModemType=2		PHSアダプタ(CE-PA3/PA2/PA1)使用時
ModemType=3		カードモデム使用時、DoCoMoの 611S/341S含む
ModemType=iIRP		赤外線インターフェース付きISDN公衆電話使用時
ModemType=iPDC		デジタル携帯電話ケーブル(CE-DT1等)使用時
ModemType=iNTT		PHSケーブル(CE-PT1等)使用時(DoCoMo/ASTEL)
ModemType=iDDI		PHSケーブル(CE-PT2等)使用時(DDI) MOREドライバが必要

◎MI-EX1

ModemType=1		内蔵モデムの場合
ModemType=2		デジタル携帯電話アダプタ(CE-DA5/DA4/DA3等)使用時
ModemType=2		PHSアダプタ(CE-PA3/PA2/PA1)使用時
ModemType=3		カードモデム使用時、DoCoMoの 611S/341S含む
ModemType=iIRP		赤外線インターフェース付きISDN公衆電話使用時
ModemType=iPDC		デジタル携帯電話ケーブル(CE-DT1等)使用時
ModemType=iNTT		PHSケーブル(CE-PT1等)使用時(DoCoMo/ASTEL)
ModemType=iDDI		PHSケーブル(CE-PT2等)使用時(DDI) MOREドライバが必要
ModemType=LAN1		LANカード(カードに応じたMOREドライバが必要)

◎MT-200

ModemType=iPDC		デジタル携帯電話ケーブル

◎MT-300

ModemType=iPDC		デジタル携帯電話ケーブル(CE-DT1等)使用時
ModemType=iNTT		PHSケーブル(CE-PT1等)使用時(DoCoMo/ASTEL)
ModemType=iDDI		PHSケーブル(CE-PT2等)使用時(DDI) MOREドライバが必要

●ModemSpeed/ ModemMaxSpeed についての詳細

モデムに合わせた通信速度を指定します。ここでは ModemSpeed しか書いていませんが、ModemMaxSpeedも同じ値にします。
[例]
ModemSpeed=33600		内蔵モデムが33600bpsの場合
ModemSpeed=14400		内蔵モデムが14400bpsの場合
ModemSpeed=57600		PHSの場合

●改行コードについて

設定ファイルの改行コードは、LF (UNIXの改行コード)を使うように書かれています。 でも、筆者が所有している Zaurus では、LF でなく DOS や Windows の改行コード CR LF (0D 0A) でも動いています。 テキストファイルの改行コードを変更するには、テキストエディタや ack を使います。

●設定の実例

これは筆者が普段使っている設定ファイルそのままです。 NTT DoCoMo の Paldio341S(データカード一体型PHS) を使い、 MI-110M、MI-P2、MI-C1 の CF スロットにそのまま差して通信しています。 接続先は moperaネットサーフィン(旧パルディオネットサーフィン)なので、 IDやパスワードを登録する必要がありません。 よって、設定サンプルの文字列「IDNAME」「PASSWORD」がそのまま残っています。

-----------------------------------------------------------------------------
# #で始まる行はコメント、改行コードはLF
#
# 1:ON 0:OFF
Speaker=1
#
#1:トーン(プッシュホン)、2:10ppsパルス 3:20ppsパルス
DialType=1
#
#プロバイダの電話番号
DialNumber=166
#
#詳細は後述
ModemType=3
#
#モデム初期化文字列
ModemInit=
#
#モデム通信速度(後述)
ModemSpeed=57600
#
#内蔵のときはモデムと同じ値 PHSのときは57600
ModemMaxSpeed=57600
#
#1:外線番号あり 0:なし
ModemOutLine=0
#
#外線番号
ModemOutNumber=0
#
#PPP接続ID
ConnectID=IDNAME
#
#PPP接続パスワード
ConnectPassword=PASSWORD
#
#プロバイダのDNSサーバーアドレスその1
DNS1Address=202.216.224.67
#プロバイダのDNSサーバーアドレスその2
DNS2Address=
#
#以後、特別な場合を除いて書きかえる必要なし
ConnectScript=
IPAddress=
GetIPAddress=1
GatewayAddress=
AddressMask=
ZaurusPackSize=1500
ServerPackSize=1500
ZaurusAuth=0
ServerAuth=1
ZaurusPackPrtcl=0
ServerPackPrtcl=0
ZaurusPackAddr=0
ServerPackAddr=0
ZaurusCharMap=0000A000
ServerCharMap=FFFFFFFF
ZaurusPackTCP=1
ServerPackTCP=0
-----------------------------------------------------------------------------

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