ZAURUS 用ツールを作りたーい!
メジャーな OS には純正ツールがある
ザウルスリーンク!
そういうツールは Windows や Macintosh には純正で存在しますし、
他社からもさまざまなソフトとして、またはアプリケーションの機能として存在しています。
でもそれじゃ不満だから自分で作りたい!
自分のマシンにはソフトが無いから作りたい!
そういうあなたはどこで ZAURUS の資料を手に入れればいいのでしょうか?
ZAURUS のデータ転送には二種類の方法がある
ZAURUS のデータ転送には、大きく分けて二種類の方法があることをご存じでしょうか?
- (1)機能別転送
-
一つはこの機能別転送で、送信側、受信側の区別があります。ザウルスは送信側にも受信側にもなることができ、光やケーブルを使った転送が可能です。X-MODEM
などのプロトコル転送に似ています。各データは
CSV のテキストファイルとして送信されるので、転用や他のアプリケーションへのコンバートも容易で汎用性が極めて高くなっています。通常多くの方が「普通」に転送を行っているのがこの方法です。(ダイレクトタッチの[送信]/[受信]や、メニューから「オプション」を経由するパソコンリンク以外の転送)
- (2)パソコンリンク転送
-
これは ZAURUS をファイルサーバー化して、パソコンから内部のファイルを自由に読み書きできるというものです。機能別転送とは違い、ZAURUS
内部のデータベース化されたファイルを内部状態のままアクセスするため、通常の PDA データの転用はしずらいのですが、Addin プログラムの送信にはこの方法を使わなければなりません。内部ファイルがすべてそのまま見えるため、パスワードをかけている場合はいちいちパスワードを解除しないとこの転送ができません。
また ZAURUS は単にファイルサーバーになるだけなので、特殊な Addin を使わない限り ZAURUS
同士の直接データはできません。
その代わり、内部ファイルを直接操作できるので、普段できないようなこと(例えばザウルスネットのログをそのまま取り出したり)が可能です。
結論から先に言おう
上記転送方法のうち (1)+RS-232Cケーブル転送
は極めて簡単!ソフトを作る必要がないくらいだ。
しかし光転送だと、ハンドシェイクやエラー訂正を含めた若干のプロトコル制御が必要になるぞ。(ただしこれは ASK方式で定義されている上にきちんとした SHARP 純正の公開資料あり)
さらに (2) のパソコンリンクの場合は、さらに独自の転送プロトコルが必要で、光プロトコルとは別です。これはケーブルでも光転送でも同じなので極めて複雑です。
具体例
- そのいち「(1)機能別転送+RS232Cケーブル(CE-150TSなど)転送」
- なんとこれは実は通常のターミナルソフト(パソ通用でもOK)で、通信速度などパラメータさえ ZAURUS
と合わせておけばあとは垂れ流しなのです。(EOF の ^Z (0x1a) に注意) しかもフォーマットは標準的な CSV テキストファイルで、さらにさらに
データ内容は SHARP から純正の資料として公開されているのでまさに問題なし(ただし PI-3000 時代のものなので、その後追加された機能の説明は無い)。
- そのに「(1)機能別転送+光転送(CE-IR2など)」
- ASK プロトコル(SHARPの光転送プロトコル)を使って上記そのいちのデータを送っているだけです。ASK プロトコルさえ実装してしまえばあとはおんなじ。この ASK
プロトコルについては、なんと SHARP から詳しい資料が(PI-3000の時代にすでに)公開されております。
ただしこの資料の入手は「書籍」に頼らなければなりません。あとでまとめて解説します。
- そのさん「(2)パソコンリンク+ケーブル&光転送(CE-IR2)」
- パソコンリンクのプロトコルは、残念ながら一切公開されていません。よってフリーソフトウエアの Addin 転送ツールなどはみな、ユーザーの独自のプロトコル解析によって作られているのです。またパソコンリンク+光の場合は、このパソコンリンクプロトコル自体をさらに ASK で送っています。
お待たせ!SHARP の ZAURUS 公開資料とは
過去に数回雑誌や書籍に掲載されています。筆者の知る限りでは以下のとおり。
- ◎「ZAURUS!出現mkII」ソフトバンク
- 幻となった有名な本。PI-3000 時代に発売されたもので、誌面自体の内容は ZAURUS の機能紹介というたいした内容ではない。だがしかし!巻末にあるプロトコル図および付属の DISK に SHARP 純正のパソコン転送データの資料及び ASK プロトコルの詳しい内容が掲載されている当時唯一のバイブルであった。今では入手が困難
- ◎「ZAURUS Super Tools」ソフトバンク
- こちらは現在でも本屋で入手可能。各種の濃いめの Addin ソフトの紹介と掲載に加えて、付録 CD にはあの SHARP 純正の資料が掲載されている。今資料が欲しいならこれしか無い。ZauSH について一切触れられていない&載っていないのが唯一の難点か。
- ◎「インターフェース」CQ出版
- 手元に無いので詳しい年号や著者を説明できず申し訳ないが、本が大判(白本)になる前(黒本)なので、恐らく1995年の後半。IrDA
などのプロトコル解析の記事中に ASK についても解説が載ったことがある。ただし内容はそれほど詳しいものではなく、また上記ソフトバンク本の SHARP
公開資料をもとに書かれたものなので、無理して手に入れる必要は無い。
上記資料中の ASK プロトコルについて注意点がひとつ。すべて同じデータを元に書かれた内容であることがわかる証拠として、有名なヘッダのミスがあります。ASK プロトコルのヘッダ中、とある 1byte
が全部抜けています。これは実際に試してデータをダンプしてみればすぐわかるのですが‥。
最終更新 1997/01/29
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小笠原博之 oga@dgw.yz.yamagata-u.ac.jp