導入パワーザウルス/ザウルスポケット使用レポート4

1997/12/05


パーソナルデータベース

●パーソナルデータベース機能は結構便利

データベースというだけあって、 フォームだの登録だのややこしい前処理が必要なこの機能は、 ついついマニュアルを見るのも面倒で敬遠しがちです。 しかし実際使ってみると、これがまた結構便利なしろものでした。

一言でいえば、フォームの各項目を自由に定義&変更できるアドレス帳です。

似たようなものにフォーム付きレポート機能がありますが、 各項目に「入力データの種類」という属性がついたのと、 データを全部まとめて扱える点が異なっています。 たとえば項目の移動や削除、 追加が同一のデータの各項目に対して反映されます。

一見ややこしいですが、 とりあえず一つだけ項目名を作って入力データの種類を「フリー」 にしたフォームを作れば、後はいろいろデータの入れ物として使えます。 あとから項目の追加削除に変更が可能なので、非常に気楽です。

●フォトメモリーの代わりに

各データは、項目として一つだけ「写真」 という「入力データの種類」を持つことができます。 ここには画像を張り込めるのですが、 扱いはちょうど、アドレス帳の顔写真と同じ。 きちんと画像そのものがコピーされます。 (最大640x480dotまで) レポートにペーストした PICTURE マークや、 クイックメモのようなフォトメモリーへの参照情報ではありません。

そのため一度張り込んでしまえば、 元のフォトメモリーの画像は消してしまうことができます。 今後編集する必要が無く、参照だけ行う地図のようなデータは、 データベースに入れてしまうと便利です。 タイトルと写真の2項目だけでも十分 -- なぜなら

ただし取り込んだ画像はデータベースの中に取り込まれるので、 そこからパソコンに転送したり他の画像に変換できるかどうかは不明。 あくまでザウルスで見るためのデータベースとして 活用したほうがいいようです。

なお、属性を「写真」でなく「フリー」にして画像を張り込んだ場合は、 レポートと同じフォトメモリーへの参照扱いになります。

●データーベースの通信

ZaurusPocket から追加された機能なので、 通信や互換性、対応ソフトがあるかどうかが少々心配です。

データの各項目は、普通に通信を選択できます。 おそらく、ZaurusPocket 同士なら、 アドレス帳などと同じように転送できるのでしょう。

またパーソナルデータベースのデータは、 パソコンデータ(インデックスにあるパソコンデータ機能)に変換できます。 変換したファイルはザウルスパワーコネクションで、 パソコンデータからそのまま取り出すことができます。

ファイル形式は CSV です。これは他の機能と同じような ZAURUS 形式。 写真のデータも、Zaurus のバックアップデータのように CSV 項目の一つとしてテキスト変換されています。

もしかしたら、raw データが同じ CSV として転送される Zaurus の他の機能も、 多少の変更でパーソナルデータベースに転送して使えるかもしれません。 (アドレス帳のデータを単純に転送しただけではだめでした)


通信機能いろいろ

● PI ザウルスとの違い

PI ザウルスでは、まずそれぞれ個々の機能の中から、 メニューで通信画面を呼び出す形でした。

MI で同様のことをするためには、各機能画面から 「通信/メール」のインデックスをタッチし、そこから 光通信なりケーブル通信なり、FAX通信といった機能を呼び出します。 「通信/メール」自体のインデックスはいつでも呼び出せますが、 実際に通信する内容は、直前の機能画面によって異なっているわけです。 直前の画面が通信できないモードのときは、アイコン自体が反応しません。

ちょっと最初はわかりにくいところです。

●外部モデムとの通信

オプションポート16にケーブルを繋ぎ、 外部モデムを使ったインターネット接続を実行すると、 本来モデムに送られるはずのデータがパソコンに送られます。

ここでザウルスが発するモデムコマンドを見ることができますが、 そのためには接続速度などの通信パラメータを あらかじめ合わせておかなければなりません。

このパラメータは、 ケーブル接続で設定したポートの速度とは無関係で、 どうやら 57600bps のようです。

そのためか、ZaurusPocket に 15pin 変換アダプタ CE-HA15 をつけて、 さらにその上に CE-FM5 (PIザウルス用の 2400 外付けモデム) を装着しても、通信できませんでした・・。 (普通はこんなことしないか)


パソコンとの連携

パソコンとの転送ソフトはいろいろついてくる。 (ただしほとんどどれも Windows 用)
●通信方法

パソコンとのデータ転送&リンクソフトは、ZaurusPocket についてきます。 ザウルスの通信機能はいろいろあって複雑ですが、 ここでちょっとまとめてみます。

まず通信手段は、大別して 3つあります。 (他にモデムを経由した PowerPIMM リンクというのもあるようです)

  1. IrDA/ASK を使った光転送
  2. オプションポート16を使った、ケーブル転送
  3. コンパクトフラッシュカードを使った転送

この時、光転送とケーブル転送には、転送形式が 2種類存在します。

  1. 単機能別転送
  2. パソコンリンク転送

1. の単機能別転送は、raw データとして CSV が使われます。 転送時は片方が送信モードに、片方が受信モードになる必要があります。 それぞれ両方のモードになることができ、扱いは対等です。 1データ転送やザウルス間の転送にはこれが使われます。

2. のパソコンリンク転送は、ザウルスの「PCリンク」機能を使うものです。 これを実行するとザウルス本体がファイルサーバーとなり、 専用のプロトコルでパソコンからザウルス内のファイルを直接参照 できるようになります。

さらに、各データを転送、変換する場合の手段もいくつか存在します。

  1. シンクロナイズ
  2. ザウルスの各機能からの直接転送
  3. パソコンデータ機能を経由した転送

●付属ソフト「ザウルスパワーコネクション」

このソフトは PCリンクを使った転送を行います。 ケーブル、光ともに使えます。 IrDA を装備したノートがあれば、本体を買ってくるだけで 他に周辺機器をそろえなくてもこれでパソコンとの データやり取りが可能となります。

各機能単位の転送で、かつザウルスの各機能と直接転送変換ができます。 基本的には PCリンクを使い、ザウルス本体のファイルを直接参照して 必要ならこのザウルスパワーコネクションがファイル形式変換を行います。

パソコンデータ機能との転送もできるため、データ変換や取り込みを ザウルス本体で行うこともできます。

Explorer の拡張としてインストールされるため、 転送ファイルもドラッグするだけの簡単操作。 MORE ソフト転送もできます。

●付属ソフト「ザウルスパワーリンク」

このソフトは、Microsoft Outlook97 とのシンクロナイズを行います。 スケジュールや住所録など各データを、 そのままパソコンと共有できるというしろものです。

私は Outlook を持ってないし使ってないので、 このソフトは試したことがありません。

●付属ソフト「MOREソフトダウンローダ」

添付 CD-ROMに入っているプログラムです。 CD 内の MORE ソフトを本体に転送するために使います。 MORE ソフトの転送そのものはザウルスパワーコネクションでもできますが、 インストールしなくても使える分、気軽に扱えます。 (もちろん、パソコンからザウルスへの一方通行転送ですが)

転送はパソコンデータ機能に対して行われるようです。

●付属ソフト「Zaurus-PC Exchange」

このプログラムは、Zaurus の MORE ソフトです。 ザウルス本体で動作します。 PCカードを使ったデータの転送や変換を行います。

変換できるのはワープロ、表計算、フォトメモリ、 パソコンデータのようです。 Explorer風の画面が起動するのですが、なにぶん PC カード (ポケットなのでCFカード)を持っていないので、 まだ試したことがありません。

● PowerPIMM v1.3R2

このソフトはノートパソコンについてきたもので、 ZaurusPocket に付属しているわけではありません。 今は PowerPIMM v2 が市販されているようです。

いろいろとアップデートパッチが SHARP のサポートページ にあがっているので、 Zaurus と連携や通信を行う前に まず最新版かどうか確認したほうがいいようです。

Outlook 同様シンクロナイズが可能で、v2 だとモデムを経由したリモートシンクロ(?)もできるそうです。 (私自身はシンクロ機能は使ってません)

●ターミナルソフト

Windows ならソフトがいっぱいついてきますが、 そうでないパソコンもしくは OS では、対応ソフトを探すか購入するしかありません。

ただ Zaurus は PI も MI も、基本的に通信はどの機能も CSV のテキストフォーマットで行います。 よって、ケーブル接続で通信パラメータさえ合わせておけば、 RS-232C 端子につないで、 一般のターミナルソフトで簡単にデータを受け取ることができます。

このデータは CSV 形式のテキストなので、 ちょっとしたフィルタプログラムを作れば データを取り出すことはそんなに難しくありません。 (さすがにフォトメモリーなどバイナリベースの抽出は簡単ではないですが)

いざとなれば変換ソフトくらいは作ってしまいましょう。


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小笠原博之 oga@art.udn.ne.jp