ザウルスで、長文のテキストを読みたい! 扱いたい!
このテーマは何度となくユーザーの要望として繰り返し叫ばれ続け、 このページでも数回取り上げることとなりました。
SHARP はいつも優れたハードウエアを作ります。 小さく軽く、 それでいて見た目の想像をみごとに裏切る凝縮された機能は、 十分な携帯実用性を持って我々の購買意欲をかき立ててくれます。
小型軽量ボディに液晶画面とペンのみによるシンプルな操作。 全く無駄のない絞り込まれたボディに通信からカードからモデム内蔵から いち早く実現したカラー化まで、常に PDA の常識と限界をあっさりと 覆してくれました。
SHARP はご存知の通り、 CASIO と並び国内シェアを牛耳る老舗の電卓メーカーの一つでした。 このいい方もあまりに古いのですが、 電子機器の小型実用化への要求は、 このかつての電卓戦争が発端といわれています。 徹底したコストダウンでシェアをのばしたカシオと CMOS IC や 液晶 といった独自技術で生き延びた SHARP。 共に小型情報機器のトップメーカーとして、 優れた端末を世に送り続け、今なお興味話題を独占しているのは事実です。
SHARP の PDA がなぜいつも魅力的に見えたのか。 それは常に最新の技術を惜しみなく投入できる理由があるからです。
固定された OS が無いこと。
SHARP の PDA は、基本的にコンピュータではなく電子手帳の発展として 進化してきました。 アーキテクチャはクローズドで、OS に触るアプリケーションは ユーザーは簡単には作れません。
その代わりデータにおける上位互換性はしっかり確保し、 機種や世代がかわっても大きな問題は生じませんでした。
それゆえ、ソフトウエアに制限されず、都合にあわせてハードウエアも 自在に変更できるがゆえに、他社の追従を許さない 多彩なバリエーションの新製品が次々と登場しました。
ソフトウエアもすべて SHARP 製であるならば、 各ハードのバリエーションに合わせて発売時にすべて作ればいいだけです。 ソフトの互換性なんて考える必要がありません。
つまり「互換性の枷」が無いのです。 アプリケーションの蓄積とその互換性を保つことは、 ハードウエアにとっては大きな制約となるからです。
SHARP の PA-7000/8500 系電子手帳は、長い間基本性能が変わりませんでした。 96x64dot という今では信じられないくらい狭い画面も本体レイアウトもそのまま にしなければならなかったのは、 ICカードというソフト資産を継承するためでした。
コンシューマのゲーム機は、 基本的に数年でソフトウエア互換性をばっさり切り捨てます。 ハードウエアの能力の進化を促すためです。
かつての電子手帳は、 限られた能力にいかに多くの機能をいれるかという、 技術面からのアプローチでインターフェースが設計されています。 使いやすさよりも機能が最優先です。 見た目はともかく、最小限の機能や操作が凝縮されていました。
ソフトウエアは技術であり、 ハードの不足はすべてソフトウエアのパワーで補うの が当たり前です。 ハードウエア以上の能力を引き出すのはソフトウエアの役目でした。
本体の能力が上がるにつれ、逆にインターフェースを含めた トータルデザインの能力が問われるようになります。 こうなると、技術サイドの設計だけでは間に合わなくなるので、 専門のデザインスタッフが必要になります。
デザイナーは技術者ではないので、 システムを知り尽くしたわけでも限界を熟知しているわけでもありません。 見栄えは良くても、どうしてもハードの能力に見合わない、 または冗長なインターフェースになってしまいます。
本体にのっているソフトウエアは、 とっくの昔に、技術ではなくアプリケーションになっていたのです。
このように、能力が向上し、システム規模が実に巨大になっています。 現在において、ソフトウエア開発は得てして巨大なプロジェクトであり、 常に開発スケジュールを圧迫し、 結果として全体の足を引っ張りかねない大きな負担なるのです。
開発キットを一般向けへも提供するという大英断の後、 ついに 体験版で応募できる MORE ソフトのコンテストも開催されました。
最優秀作品の TTV ブックリーダーをはじめ、 優勝作品の LfLogBrowser や 縦読みさん など、 驚くことに 上位三作品がすべてテキストリーダーで占められているのがわかります。 ユーザーが本当に欲しかったソフトは一体何か。 実に色濃く表れているといえます。
さて、実はユーザーからソフトを募って SHARP がソフトウエアコンテストを行うのは、これが初めてではありません。 かつて PI ZAURUS の時代、PI-5000 の登場と共に Addin 機能が登場し、 同様の Addin ソフトの募集を(一度だけ)行ったことがあります。
Addin とは、PI ZAURUS の時代 ZAURUS 用のアプリケーションを外部で作成して、本体に組み込めるという 鳴り物入りで登場した機能です。 しかけは BASIC インタプリタであり、PI ZAURUS のアーキテクチャが SHARP ポケコンをベースにしていることを利用したものでした。 (カードで同様の機能を持つものは昔から存在していた) 遅いために本格的なアプリ開発には向かないのですが、 開発が比較的簡単であったために、 ユーザーによっても多数のソフトが生み出されました。
その、Addin ソフトは今の MI Zaurus では使えません。
同様に今開発した MORE ソフトも、おそらく将来にわたって Zaurus シリーズで ずっと使える保証はないと思います。 ファイル名規則の限界など、OS 設計の問題点は Zaurus 自体 最初から抱え込んでいる問題で、 ソフトの弱さがここで露呈しています。
すくなくても、次世代ではこれらの問題に対策を施した OS が必要であり、 そのときそのハードは、これまでのようにソフトウエア 非互換性によって切り捨てられるかもしれません。
開発キットの公開、アーキテクチャの公開が行われたとしても、 資産継承が不可能なら、その意義が本当にあったのかどうか どうしても疑問を抱かずにいられません。
これらの一連の問題を含めて考えると、 なるほど納得、現時点での実用性うんぬんではなく、 将来を見据えて WindowsCE が主張しているソフトウエア互換性や OS 存在の意義もよくわかります。
電子の本という試みは、これまで商品化を含めて何度か行われています。
8cm CD-ROM を使った初の小型の電子ブックリーダー(とその規格)です。 ところが実際は、画面表示を含めて「文字を読ませる」面での規格があまく、 ほとんど電子辞書としてのみ活用されているのが事実です。 TV にも映せるという仕様のせいで液晶画面は大きくできず、 端末はキーボードつきで大きく重く、バッテリ駆動時間もそれほど 長くはありません。
気軽に持ち歩いて電車の中で気軽に本を読む・・ ような用途には少々難しいものがあります。
ちななみに余り知られていませんが、PI ZAURUS の先祖である SHARP PV-F1 にはオプションで専用の電子ブック CD-ROM ドライブが あり、電子ブックに対応していました。
電子ブック(EB)とは異なり、辞書ではなくノベル などの文章を実際に読ませる目的で作られたのが デジタルブック です。 かつて NEC が小型端末を作りました。
持ち歩いて本と同じように読ませる用途を期待していたと思われます。
メディアは FDD で、パソコンからダウンロードして使うという画期的(?)な 内容でしたが、いまいち普及しませんでした。 端末も大きく、また電子ブック(EB)との差別化もあいまいで、 8cm CD-ROM より FDD の方が劣る、と悪いイメージでみられたのも 敗因の一つだと思います。
このように先駆者は必ずしも成功とはいえませんでしたが、 どれもかつてのスチルカメラの時代に良く似ている気がします。
フラッシュメモリとパソコン連携によってデジカメブームの今、 そしてまた、MP3 のようにパソコンからダウンロードして音楽を聞くスタイルが これから爆発的に普及しようとしている今、 真の電子ブックの時代がくるかもしれません。
超小型軽量かつ高解像度の液晶画面。 フラッシュメモリを備えた大容量メディア。 パソコンからダウンロードして追加できる通信&連携。
そして、MORE ソフトとして作られた、実に使いやすい電子ブックリーダーの数々。
今まさに、Zaurus によって新しい読書スタイルと、 電子ブック ありかたが提案されようとしています。
TTV ブックリーダー は、haramasa さんが作られた MORE ソフトです。
MOREソフトコンテスト最優秀賞受賞作品 ですので、 もはやあらためて説明するまでもないでしょう。
インターネットでは、すでに本を電子情報として購入することが可能となっています。 24時間いつでも、本屋にいちいち足を伸ばさずに、オンライン決済で 電子データをダウンロードできます。 送金方法も多彩で、カードが無くても Nifty や Biglobe といった BBS 系、 または U-NET 等のオンライン送金サービスがあれば利用可能です。 つまりシェアウエアと同じです。
また、著作権の切れた作品を、電子データ化する活動を行ってくれている 「青空文庫」 があります。
これらのデータをダウンロードし、Zaurus のフラッシュメモリに転送しておけば 電子ブックのできあがり。
注意点としては、Zaurus の場合、 転送するときはテキストファイルの拡張子をあらかじめ .DOC に変換し、 「パソコンデータ機能」に転送しておくことが必要になります。
.TXT のままだと、インクワープロやレポート機能に送られてしまうので 都合が悪いのです。
TTV ブックリーダーのサポートページである 「電子ブックはやっぱりポケットでしょ」 に、 使い方からデータ入手先案内から詳しい説明がありますので、 非常に参考になります。
1999年 5月 4日現在
TTV ブックリーダー | MORE ソフト: 作者 haramasa さん | サポートページ | |
対応 形式 |
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特徴 |
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縦読みさん | MORE ソフト: 作者 mab さん | サポートページ | |
対応 形式 |
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特徴 |
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LfLogBrowser | MORE ソフト: 作者 L.Force さん | サポートページ | |
対応 形式 |
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特徴 |
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インターネットライブラリ | 本体内蔵機能 | ||
対応 形式 |
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特徴 |
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