「レポート&自由帳」MORE ソフト来ました。 早速 SharpSpaceTown からダウンロードしました。 もちろん igeti MI-P1/P2 用のやつです。
これで MI-P2 に全部データ転送をしてはじめて 当初から予定していた MI-110M から MI-P2 への乗換えが完了するというもの。 早速データ転送をしてみます。
情報ファイルって活用していますか?
そう尋ねられたら一瞬返答に詰まってしまうかもしれません。 かつて PI-6000 から MI-110M という PowerZaurus 仕様の Zaurus に華々しく 乗り換えをしたものの、どうもこの「情報ファイル」の概念にいまいちなじめず 活用しきれていないのです。
PI ZAURUS 時代同様、私の Zaurus では「情報ファイル」は レポート&自由帳機能の分類のためだけにしか使われていませんでした。
アドレス帳やスケジュールの場合は、もともとが決められた構造を持ったデータです。 別に情報ファイルで分類しなくても、名前だったり時間で勝手にソートされるので、 データが増えようが未整理だろうが何も困ることはありません。
それに対して自由帳はまさに「固定のフォームを持たない」 ことが特徴のデータです。 こういうのはきちんとした分類整理ができないと困るのです。
さて、MI-110M から MI-P2 へのデータ転送ですが、 ここで一つ罠がありました。
前にも書いたとおり、 アドレス帳とスケジュールデータなどの基本機能は、 機能別の全データ通信でコピーを行いました。 光転送なのでケーブルも何も要らずに簡単です。
しかし、同じようにして「レポート&自由帳」を 機能別全データ転送を行おうとすると、 情報ファイルの分類情報が全部失われてしまうのです。
スケジュールやアドレス帳では特に情報ファイルを使ってなかったので、 全部未分類データになっても困りません。 でもレポート&自由帳でせっかくの分類したファイルが みんな消えてしまっては大変です。
これを回避するには「ファイル単位転送」というやつを使わなければなりません。 情報ファイル画面で転送したいファイルを選択してから「光通信」を行います。 こうすればファイル分類を保ったままデータを転送することができるのです。
というわけで「レポート&自由帳」を MI-110M から MI-P2 へ完全に転送するために、 ファイルの数だけ光転送を行わなければなりませんでした。
MI-110M から MI-P2 への移行は 私が普段使用する機能範囲では完全に完了しました。
MI-P1/P2 用レポート機能は MORE ソフトとして起動されますが、 できることや機能も本当に MI-110M のときと何も変わりません。 いろいろな改良や機能アップを期待しただけ残念です。
本体内蔵機能と密な部分はさすがに MORE で置き換えできないので、 例えば「メモリー管理」でレポート件数が表示されないとか、 その程度の違いはさすがにあります。
そうそう、情報ファイル画面でレポート機能だけの絞込み表示ができませんが・・ そもそも MI-110M には情報ファイル画面に 機能絞込みなんて機能がついてませんでした。
もともと電子手帳には、電話帳やスケジュールの他に 「メモ」という機能がありました。 「メモ」というのは、電話番号でもなければスケジュールでもない。 だけど何か覚えさせておきたい忘備録で、ID番号だったり買い物リストだったり CD一覧だったり、 文字データだったら何でも覚えさせることができます。
PA 電子手帳でのメモ機能は画面も狭く(1画面全角6x4文字)、 1件あたりの登録文字数も120文字程度の代物です。 このメモは全角1文字のキーによって分類可能でした。 例えば「あ」には一時的なメモを入れて、「え」には攻略中のゲームのヒントを 入れておく、などなど。
PI ZAURUS になったとき、メモ機能は「レポート」と「自由帳」という2つの 機能に受け継がれました。 1文字だった分類名は、レポート、 自由帳それぞれに任意のファイル名をつけられるようになり、 必要ならフォームを登録して書式にそった印刷も可能でした。
MI Zaurus では、PI ZAURUS のレポートと自由帳機能が統合化され1つになりました。 さらにファイルによる分類が仮想化され、他の機能を含めてファイリングできる 「情報ファイル」機能に進化しました。
これらの進化の過程は全部「上位互換性」が保たれており、 新機種へ買い換えたときもケーブル一本(または光転送)だけで、 簡単にデータを移す事ができました。
つまり MI Zaurus にとって「レポート&自由帳」は、 当時の開発者によって課せられた 電子手帳時代の基本機能「メモ」を引き継ぐ使命が本来あったはずです。 世代がかわるとき、データの上位互換性を保つため。
本当にユーザーが欲しいのはレポート機能でもなければ自由帳機能でもありません。 フォームの互換性でも印刷機能でもありません。 MI-P2 に、MI-110M と完全に同じ機能が欲しかったわけではありません。 基本機能「メモ」の流れを継ぐ互換性の受け皿が欲しいだけなのです。
もしこの流れがパーソナルDBに向かっていて、 メモやレポートもパーソナルDBに統合すべきであるなら、 きちんと互換性を保ってデータ転送が可能になればいいのです。 「レポート&自由帳」から「パーソナルDB」にデータ転送できればいいのです。
パーソナルDBをいまいち使えないのは、 こういう互換性やデータ転送の汎用性に欠け、 どうしても制約が多いからではないでしょうか。
今回 SpaceTown で配布(販売)された MI-P1/P2 用の機能拡張 MORE ソフトは 「レポート&自由帳」「インクワープロ」「ワープロ」の3つです。 MI-310 以前の Zaurus には標準搭載されていたもので、 これらはみな基本的に 文字を扱うメモ帳 が母体であることに気が付きます。
それだけ新シリーズの Zaurus には、意図したかのようにメモ帳機能が 完全に削られてしまっていたわけです。
あとから慌てて MORE ソフトとして用意しなければならないほど これらメモ機能への要望が多かったと思われます。 メモなんてそれほど重要ではないとメーカーでは思ったのでしょうか。
手書き認識ではさすがに素早い文字入力に限界があります。 急いでメモを取るときは、 どうしても手書きメモ機能(フォトメモリー)を使ってしまいます。 手書きメモ(フォトメモリー)に文字を書いても、あとから 文字データに変換することができません。
これらの欠点を補い、素早いメモ取りを可能にするのが インクワープロです。 ちなみにこの機能は ZAURUS でも歴史が古く、PI ZAURUS 時代から存在しています。 最初にインクワープロが登場したのは PI-4000 であり、PI ZAURUS ですら PI-3000 を除く 全機種に搭載されていました。
PI ZAURUS のインクワープロ機能は、ペンの入力を手書き文字認識せず、 ラインデータ(図形)として記憶するだけのものでした。
MI Zaurus でこれに、あとから認識させてテキストに変換する機能がつきました。 清書を行わせることが出きるわけです。
その際に、インクワープロ機能自体にも手書き文字図形だけでなく、 普通のテキストを書きこめるような機能拡張が行われています。
手書きで文字図形を書きこんでもいいし、 ちゃんとテキスト文字をソフトキーボードから入力しても 構いません。それらが混在し編集できる不思議なデータができあがります。
素早いメモ取りが身上なので、インクワープロには 「修正」や「保存」ボタンがありません。 開けば常に編集状態となります。 読む より 書く が優先されているからです。
しかし、本体の「レポート&自由帳」機能より長い文字文章を扱えるので、 MI Zaurus のリンクソフトはテキストファイルをこのインクワープロに 転送しようとしてしまいます。
ここで、MI Zaurus ではインクワープロ機能の意味付けが 若干変化していたことに気がつきます。 手書きのまま素早く書ける「一時的なメモ」という本来の目的だけでなく、 ひょっとして、文字系のメモをインクワープロがまとめて面倒を見ようと していたのではないでしょうか。
例えば MI-110M の入力ボードには「インクワープロ参照」という 不思議な機能があります。 これは別にインクワープロである必然性は無く、 自由に短文入力編集できるカスタム入力ボード機能があればそれで十分な気がします。 インクワープロ機能に統合されている必要はあるんでしょうか。
igeti MI-P1/P2 では、追加MORE ソフトで「インクワープロ」を組み込んでも 入力ボードに「インクワープロ参照」はつきません。 MOREソフトでも本体の機能は置き換えられないわけですから 当然といえば当然です。 でもインクワープロ本来の存在意義に戻ったと思えば これはこれで正しいと思います。
もし同等の機能をメーカーに要望するなら 「インクワープロ参照」ではなく 自由に編集できるカスタム入力ボード機能、 とはっきり絞り込んだ方がいいのではないかと思います。 完全な過去との同一機能よりも、 やっぱり上位互換性を保ったPDAとしての進化を期待したいところです。
Excel のデータを開ける表計算機能と共に、 Word からデータを持って来れるこのワープロ機能が搭載されたのは、 WindowsCE の流れから Zaurus も対抗する必要があったからでしょうか。
ワープロ機能は、文字を入力して編集できるという点では、 他の機能とそれほど大きな違いはありません。 ワードプロセッサという名前からして、 本来単なる一時的なメモではなく、本格的な文章を作るための 長文入力&編集用の機能であるはずです。 そういえばこの機能がついたとき、PowerZaurus は外付けキーボードが使えることも 大きな特徴の一つでした。
ワープロ機能では、文字入力だけでなく、 文字サイズ変更や装飾編集も行うことができます。 ワープロというと、文章入力よりこちらのイメージの方が強いかもしれません。
フリーフォームのフリーテキストでサイズ制限が無く検索機能に優れている。 それでいて階層化管理できるような強力な分類整理機能を持った テキストメモ機能が正直欲しいです。
これまでのような短い文字データ、 例えば1項目1800文字しか入らないレポートやデータベースではなく、 ブンコビューア(TTVブックリーダー)の本のように 巨大な文字データファイルだってやっぱり必要なのです。
そういう用途に見向きもしなかったメーカーが、 MORE ソフト開発環境公開をきっかけに、本体に標準で搭載するまでになりました。 結局、必要なもの本当に欲しいものは、 ユーザーが自ら作らないといけないのでしょうか。
待ちに待った「レポート&自由帳」機能が公開されたけど、 いざ見てみれば以前と全く同じもの。 (そりゃそうだ) 当然といえば当然だけど、 あれ?本当にユーザーが望んでいたのはこれだっけ? と疑問を持たずにはいられなかった。 というお話でした。
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