どうしても欲しい! そう思える新型が出たら、なにがなんでも 例えそれが定価でも発売日に手に入れるべし。 そう固く誓ったはずなのに、 なぜか発売から3〜4ヶ月も経った今ごろ Browser Board を手に、このようなレポート記事を書いていたりします。
コンピュータ物、中でも特に PDA は新製品が出るのが実に早い。 うっかり新製品ニュースを見逃すようなことがあれば、 電気屋街が知らない新製品であふれかえること間違い無し。
今度こそ使いこむぞと内に秘め、 やっとの思いで手に入れたハイテク機も、あっと間に数世代前の旧型に。 「あー、もうちょっと待てば良かった」 その後悔をできるだけなくすにはどうしたらいいのか。
その答えは「誰よりも早く、できる限り先に手に入れること」 ちょっとくらい値が張ったとしても、 知人に見せびらかしの自慢の日々で帳消しと思うことにしよう。 どうせ安く手に入れたと思っても、後継機が出ればすぐ値下がりするんだから。
そんな私が今更遅い遅い Browser Board の記事なんて書いてるのは、 ふと知人から借りうけることができたからです。 今更ですが初めて触った Browser Board。 さて、Browser Board とはいったい何?
Browser Board (ブラウザボード) は NTT DoCoMo のメール端末です。 DoCoMoのメール端末といえば、 10円メールで大ヒットしたポケットボードがあります。 その上位新型機として今年の夏(1999年7月)に登場しました。
名前からもわかるように、インターネットブラウザを搭載しているのが特徴で、 メールだけでなくインターネットに接続してホームページを見ることもできます。
実はこのブラウザボード、中身が Zaurus でできています。 キーボード付きの形状も、搭載された PIM 機能も、SHARP の コミュニケーションパルに実に酷似しているのもそのはず、 ブラウザボードはSHARP 製なのです。 (元祖ポケットボードは SHARP 製ではないと思われます。)
かつての ZAURUS、PI-8000 の DoCoMo 版といえば MobileZ がありました。 これは通信部分以外は完全に PI-8000 と同一の機能を持っていました。 他にも DoCoMo は、モバイルパックとしてさまざまな製品のカスタム版を 多数出しています。
そういう前例があるため、一見コミュニケーションパルに、単に DoCoMo 刻印がついただけかと思われがち。 いやいや、ブラウザボードの場合、これが結構違いが大きい別物だったりします。
そういえばよく考えてみれば「コミパル」よりは「ポケットボード」の方が ネームバリューがあるわけです。 コミュニケーションパル モバイルパック じゃありません。
DoCoMo の携帯やPHSしかつながらないのは当然として、 本体メモリの容量がコミュニケーションパルよりずっと多いという 決定的な違いも持っていたりします。 メール端末本家本物の貫禄でしょうか。
ブラウザボードが持っている機能は以下の通りです。
メール機能は専用ボタンでワンタッチで呼び出せます。 設定すれば、送信、受信もキーボードの専用キーでワンタッチです。
ブラウザ。オートサーフィンもあります。
DoCoMo専用の機能です。 どちらも画面サイドのアイコンでワンタッチで選択できます。
Zaurus の MORE ソフトがそのまま動くのは重要です。 キーボードゲーム というソフトが最初から付いてきます。 (キータイプ練習ソフトです)
Zaurusでいうインターネットライブラリ機能のことです。
設定項目の中に、所有者情報登録とPCリンクが隠れています。
これらはほとんどZaurusと同名同機能と思われます。
ブラウザボードを貸してくれた知人が発売当時絶賛していたのが 「ドッチーモ」との相性の良さです。 ドッチーモは携帯電話と PHS が一台におさまったハイブリット機です。 そのドッチーモで、PHS でも携帯でも、 同じケーブル一本で両方使えるのはこれだけなんだよ というのが 当時の評価でした。
ところで携帯とブラウザボードの接続に使うケーブル、 ブラウザボード本体の裏面に取り付ける収納可能な構造なのですが、 コネクタ形状に見覚えがあります。 Zaurus の 16pin ポートのコネクタと一緒なので、 そのまま MI-P2B とドッチーモに接続して実験してみました。
「MI-P2B + ブラウザボードドッチーモケーブル + ドッチーモ」の接続で、 PHS モードでは通信OK。(32Kでしか試してません) が、残念ながら携帯モードではそのままではつながらないようです。
なお、ブラウザボード側の裏面のコネクタは、くぼみの中にあるので 16pin 用の他のオプション類の接続はほぼ無理だと思われます。 あと、ブラウザボード自体の機能としても、 PCリンクなどは「光通信」の設定しかなく、 オプションポート16の選択項目が無いためケーブル接続はやっぱりできないようです。 残念。
ブラウザボードにはカードスロットがありません。
PCとの接続ケーブルは上に書いたように使えません。
私が持っている PHS は、CFカード一体型の 341S のみです。
というわけで、せっかくブラウザボードを手に入れても、 通信できる環境を持ち合わせておりませんでした。 宝の持ち腐れ・・は気にしないことにして、 IrDA(光通信) を使った ノートパソコンと PCリンクを使えばファイル転送はできます。 以前から使っていた MI-110M についてきたザウルスパワーコネクションで そのまま繋ぐことができました。
結論から先に言うと、MORE ソフトの動作に関しては、 なんだちゃんと動くじゃない・・というか転送したソフトは全部動いた。
画面脇にあるタッチキー部分やキーボードの違いなど、 入力部分でとまどいはあるものの、 ペンタッチで操作する分には互換性はきっちり確保されてて問題無し。
例えば「ちょっと電卓」は、元々数字入力ボードを使ったソフトです。 が、ブラウザボードでは起動直後必ずでハードキーボードが選択されてしまいます。 [区点][記号][数字]の3つのボタンから、手動で[数字]ボタンを選んでやれば OK。
dash も動いています。起動直後 CAPS が ON になってしまうので いちいち切り替えなければなりませんが、 コマンド入力のしやすさはさすがキーボード。
ただし通信系ソフト(ftp、telnet等)は 動作できる環境がないのでチェックできませんでした。 あとカードアクセス(F1:)も当然ながら不可能です。
TTVブックリーダーは、igeti のスクロールキー同様 カーソルキーでも本を読み進めることができていい感じ。 文字サイズ大 だと日本語フォントのドットが粗くなるのは、 24ドットフォントが内蔵されていないせいかもしれません。 (辞書機能が無いから不要なのかな?)
さてさて、これだけ動かしていると、 本体のメモリ容量が限られていることが悔やまれます。 カードが使えないので、MOREソフトをカードに入れておくこともできません。 メモリの関係で、巨大なデータを必要とする MORE ソフトも実用には厳しそうです。
ブラウザボードの PIM は基本的に Zaurus と同じものですが、 キーボードで操作できるようにいくつか改良されている部分があります。
例えばインデックス画面。各アイコンの左上に数字が乗っかっています。 これはキーボードの数字ボタンに対応しており、 そのボタンを押せばアイコンがダイレクトに実行できるというもの。 (もちろんペンタッチもOK)
メッセージダイアログのボタンにもよく見ると 1、0 という数字が書いてあり、 「はい」「いいえ」などもキーボードで選択できるようになっています。
そんなキーボード操作のブラウザボードですが、 やっぱりペンでなければ操作できない部分が少なからず存在するあたり 良くも悪くも Zaurus です。 例えば電卓はペンで無いと計算できません。 そう、ブラウザボードにはペンがついていて、良くも悪くもこれ必需です。
でもペンを持ったままだとキーが打ちにくくなるので、 手で画面タッチすることが多いかもしれません。 この辺もうちょっとキーボードだけで何とかなるようにがんばって 欲しかったところです。
ところでこのペン、本体手前側に収納されており、なんとなく PI 時代の ZAURUS を 思い出すなあとしみじみ見ていたら、どうも感触も懐かしい気がする。 いやいや気のせいではないらしい。 igeti はともかく、ZaurusPocket のペンよりも一回り大き目で、 何気に取り出した PI-6000 のペンと全く同サイズであることが判明。
普通のペンでいうフック部分(本体から取り出すとき親指をかけるところ)のぎざぎざ 形状が若干違うだけで、PI-6000 とペンを交換してもどちらもすっぽり本体に収まります。PI-4000 でも試しました。
PI ZAURUS 用に売っている予備のペンがブラウザボードでそのまま使えるわけで、 意識してそうしたのか単なる流用なのかわかりませんが、 これでペンを無くしてもちょっと安心かも。
ZaurusPocket、ましてや igeti にすっかり見なれた目には、 とにかくその大きさが気になるブラウザボード。
キーボード搭載だから、ちょっとくらい大きいのも携帯性が失われるのも 当然のことだとすっかり思いこんでいました。 が、 よくよく調べてみるとこれ、折りたたんだ状態では PowerZaurus とほぼ同じサイズで、わずかに厚い程度の違いしかありません。
さらに、初代 ZAURUS PI-3000/4000/5000 とくらべても、 厚み以外はほとんど同じ大きさです。 (実際に PI-4000 と重ねてみましたが、投影面積ではむしろ ZAURUS の方が若干大きいくらい) 当時は小さい小さいと思って持ち歩いていた PI-3000 も、 今思えば結構ポケットに厳しいサイズだったわけです。
その初代 ZAURUS と同じ表面積にキーを配置したキーボードは、 入力し易いものなのでしょうか。 その昔、もっと窮屈で厳しい配列のポケコンを、 苦もなく操作していた時代がありました。 結論を出すには、もうちょっと使いこんでみた方がよさそうですね。
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