■カイルくんの災難 [2001/9/13]
今回はカイルくんのお話である。そう、WordやExcel※1などを起動すると、出現する例のイルカである。私はうっとうしいので、即行、[表示しない]にしている※2が、職業柄、人様のコンピュータを扱うことが多いので、人様のカイルくんを勝手に[表示しない]にするわけにはいかない。
ある日、Excelを使用して複雑な計算式に頭を悩ませていると、何か「カリカリ、カリカリ」と音がする。ハードディスクの音にしてはでかすぎる。何だろうと、画面のまわりを見ていると、カイルくんが貝を食っているじゃないか! 「てめ〜、こちとら、一所懸命仕事しているのに、貝、食ってんじゃね〜よ!」 人様のコンピュータなので、[表示しない]にする欲求をやっとの思いでこらえた。
人によっては、「そんなに神経質にならなくたっていいじゃん。お遊びなんだから。」と、言う人もいる。しかし、私は断固としてカイルくんを[表示しない]を推奨する。カイルくんは常にアニメーションしているので、CPUパワーを消費しているし、もちろん、メモリも消費している。下手すると不具合の原因にもなるだろう。さらにその大量のアニメーションデータはハードディスクの容量も消費しているのだ※3。
それだけコンピュータ資源を食い尽くしているのに、使い勝手は極めて悪い。カイルくんの役割のひとつとして、ダイアログボックスを表示するというものがある。ダイアログボックスとは各種設定を行うためのウィンドウで、通常は画面の中央に表示される。このダイアログボックス内の指示を行わないと次の指示が出せないので、ユーザーは仕事をいったん中断しなければならない。
ところがカイルくんを表示していると、ダイアログボックスの一部が画面中央ではなくカイルくんのすぐ脇に表示されるのだ。カイルくんは通常画面右下に表示されているので、ダイアログボックスも画面右下に表示されてしまう。画面右下というのはユーザーにとって一番気付きにくい場所である※4。こんな場所にダイアログボックスを表示されたらユーザーは見過ごす可能性が高い。つまり操作性が落ちてしまうのだ。
さらに文句をいうと、あのヘルプ機能。カイルくん自体はかわいいので、きっと親切丁寧に教えてもらえると期待してしまうが、甘い、甘い! ヘルプの内容は専門用語のオンパレードなのだ。その内容は難解で、何度も読み返さないとなかなか理解できない。さらに目的の機能を説明している画面までたどり着くまでが大変だ。初心者はまず使いこなせないだろう。
このように私にとってカイルくんは無駄な機能なのである。マイクロソフトはよく、このような困ったチャンな機能追加を行うことが多い。イースターエッグ※5などはその代表例だ。イースターエッグに関して文句を言う人は少ないが、私としてはイースターエッグなどのような無駄な機能はハードディスク内からきれいさっぱり消去してしまいたい。
そんな無駄な機能の開発するくらいなら、もっと安定したWindowsやアプリケーションソフトを開発して欲しいものである。
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※1 WordやExcel
97以降から搭載されている。
※2 [表示しない]にしている
正確にはアプリケーションの追加と削除で完全に消去している。
※3 ハードディスクの容量も消費しているのだ
単に[表示しない]にしただけでは、ハードディスクから消去されないので、[アプリケーションの追加と削除]で消去するとハードディスクの空き容量が増える。
※4
画面左上が一番、目が行く場所で、画面右下に向かうほど、目が行きにくくなる。だからよく使うメニューは画面左上に配置するとよい。画面設計の基本ですな。
※5 イースターエッグ
プログラムの中に意図的に隠された遊びのコマンド。詳しく知りたい人はサーチエンジンで検索してみよう。
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