懐かしのマシン(国産)

by M.Kobayashi


 今はパソコンブーム真っ盛り。第2次パソコンブームと言われる現在ですが、それでは第1次はどうだったのか、こうして皆さんの疑問に答えようとしたのがこのコーナーです。
 私が特に印象に残っている(ほとんどはカタログ等の資料)、主に80年代までに発売された国産のマシンを挙げてみました。なお、大半のマシンは実際に見たことすらありません。作者にこれらのマシンのマニュアルやソフトの有無等についてメールで質問するのはご遠慮ください。(私は実際に持っていたという報告は大歓迎ですが)

 考えてみたら、現在は国産機のアーキテクチャで最後まで生き残っていたPC-98でさえ第一線を退いています。国内ナンバー1さえ生き残れないというのは何とも…。
 独断と偏見で書いている部分もあるのでご了承ください。


NEC

COMPO-BS/80 ('78)(\198,000-)
キット式マイコン、TK-80を電源ユニット組込の完成品のパソコンとして売り出したマシン。
このマシンの成功がPC-8001の開発へとつながる。
PC-8001 ('79)(\168,000)
日本のパソコン史に輝ける名機中の名機。
CPUにザイログ社のZ80Aを採用。以後、このCPUは多くの8ビットパソコンに搭載される。セミグラフィック機能搭載で160x100ドットの絵が描ける。(実は98にもこのモードがある)
このマシンによって多くのパソコンユーザーが誕生、NECの販売・サービス網も確立。
現在の98も、キーボード配置、テキストVRAMなどこのマシンの面影が残る。
(参考:PC-8001mkII/SR)
PC-6001mkII ('83)(\84,800)
低価格ホビー向けパソコン。音声合成機能が斬新だった。
(参考:PC-6001/mkIISR/6601/SR)
PC-8801mkIISR ('85)(\168,000-)
ホビー系パソコンでは、MSXとともに最後の砦を守り貫いた系統。
このマシンでFM音源搭載、グラフィック機能の大幅な改善を見る。
(参考:PC-8801/mkII/MR/FR/TR/PC-8801MH/MA/FH/FA)
PC-88VA2 ('88)(\298,000)
PC-8800シリーズを特殊な技術で16ビット化したマシン。
2代目モデルになり、OPNA(通称ステレオ12音源)を搭載し、標準でコンポジットビデオ出力機能が付く。AV機能が充実。
オプションでビデオディジタイズ機能が付く。
(参考:PC-88VA/3)
PC-9801 ('82)(\298,000)
98最初のマシン。当初はRAMも128KBで漢字ROMも別売と、今の98とは似て非なると言ってもいい。
しかし、初代98のソフトも現行98で動く。これが98の大きな特徴。
(参考:PC-9801U2/E/F/M)
PC-100 ('83)(\398,000-)
98とは別の方向性で作られた16ビットマシン。98部隊への対抗意識が強い。
MS-DOS、Multiplan、JS-WORD(一太郎の前身)が標準搭載されるも失敗。時代が早すぎたのか。
PC-9801VM2 ('85)(\415,000)
PC-8001とともに、日本のパソコンの一時代を築く。
急速にオフィスに普及。同時にワープロソフト「一太郎」も急成長。
このマシンで98は急成長を遂げ、日本のパソコン=98となる。
(参考:PC-9801VF/UV/VM21/VX)
PC-9801N ('89)(\248,000)
NEC初のノートパソコン。
当時としてはかなり小型だったうえ、基本性能も優れていたため、一気に普及した。
(参考:PC-9801NS/NV)

富士通

FM-8 ('81)(\218,000)
富士通初のパソコン。CPUにモトローラ社の6809を採用。「バブルメモリ」搭載可能が特徴。
FM-7 ('82)(\126,000)
FM-8の後を受けて、ホビー機能を強化したマシン。PSGによる音楽演奏が斬新だった。
CPUにモトローラ社の6809を採用。
(参考:FM-NEW7/77/L2/L4)
FM-11AD2 ('84)(\298,000)
FM-7の上位機種として登場。CPUはFM-7等と同様、モトローラ6809。
8ビット機ながら、2HDのフロッピーを2基内蔵。UNIXライクのOS、OS-9を装備。
(参考:FM-11AD/2+)
FM-11BS ('84)(\398,000)
富士通の16ビットパソコンの初期のモデル。CPUは8088-2。CP/M-86及びF-BASIC86、ワープロソフト「JWORD」を標準装備。
NEC・PC-9801Fのライバルと見られていたが、VMの登場により大きく水を開けられることになる。
(参考:FM-11EX/16β/FM-R)
FM-X ('83)(\49,800)
富士通が出した唯一のMSXマシン。FM-7と組み合わせて使うと大幅パワーアップする点は売りだったが…。
FM-77AV ('85)(\128,000-)
X1に対抗して(?)、AV機能を強化させたマシン。
8ビットながら4096色の表示ができた。
(参考:FM-77AV20/EX/40/EX/SX)
FM-TOWNS ('89)(\338,000-)
"TOWNS"の名前の通り、家庭向けを前面に押し出したマシン。全モデルCD-ROM搭載が特徴。
しかし、当初は高価だった。初期の縦形デザインが印象的だった。
キーボードは別売りで、親指シフトタイプとJISタイプが選べた。
(参考:FM TOWNSII)

SHARP

MZ-80K ('78)
シャープ初のパソコン(この時期はマイコンと言っていた)。当初はキット形式だった。
CRT、データレコーダ内蔵という初期スタイルを確立。
他社とは違い、BASICは内蔵せず、「クリーンコンピュータ」思想を特徴とする。
(参考:MZ-80C/K2/E/1200/700/1500)
MZ-2500 ('85)(\168,000-)
MZ系マシン最後のホビーマシン。X1系部隊への対抗意識がありあり。(!?)
漢字機能、通信機能を強化、伝統のデータレコーダー内蔵を貫いた。
(参考:MZ-80B/2000/2200/2500V2/2520)
MZ-2861 ('87)(\328,000)
実質的にはMZ系最後のマシン。
MZ-2500の上位互換。ワープロ「書院」機能を内蔵し、一部の98ソフトを使えるようにした。
(参考:MZ-3500/5500/6500)
PC-5000 ('83)(\350,000)
シャープが出していたハンドヘルドモデル。
MS-DOSを標準装備、オプションでワープロとしても使える。
X1 ('83)(\155,000)
MZ系とは別の部隊で作られた新しい設計思想のパソコン。
「パソコンテレビ」と銘打たれ、専用ディスプレイと組み合わせてのスーパーインポーズ機能が斬新だった。
初代はG-VRAMが別売。
(参考:X1C/Cs/Ck/D/F/G/twin)
X1turboZ ('86)(\218,000)
AV機能を強化させた、夢のようなマシン。
ビデオ編集機能にクロマキー合成機能を付けた。FM音源もOPM搭載。私も未だに欲しいと思っている。(^^;
(参考:X1turbo/II/III/ZII/III)
X68000 ('87)(\369,000)
究極のホビーマシン。高い性能を誇るも市販ソフトが少ない。
それゆえホビーユーザーには絶大な支持を受ける。初期の縦形デザインが印象的だった。
(参考:X68030)

日立

MB-6880 ('78)(\168,000)
日立が初期に出していたシリーズ、「ベーシックマスター」の記念すべき1号機。その名の通りBASICを前面に押し出していた。
モトローラ社6800系のCPUを採用。
(参考:Jr./L2/L3/mkII/mk5)
MB-S1 ('83)(\128,000-)
日立がMSXより上位に位置付けていた独自規格のマシン。
仮想記憶方式で、8ビットながら1MBのメモリー空間が使えるマシン。
グラフィック、サウンド面も強化。
MB-H1/H2/H3 ('83-)(\62,800-)
日立が売り出したMSXマシン。 H1はキャリングハンドル付き、H2はステレオテープレコーダ内蔵、H3はタブレット内蔵と、どれも独創性に優れたマシンだった。
(参考:MB-H21/25)

東芝

PASOPIA 7 ('83)(\119,800)
東芝がMSXより上位に位置付けていた独自規格のマシン。
グラフィック&サウンド機能を前面に押し出す。
(参考:PASOPIA/5)
HX-22 ('84)(\89,800)
東芝のMSX。
ワープロソフト内蔵(漢字ROM別売)、従来MSXで唯一RS-232C搭載で通信機能を強化。
独自機能として後にMSX2に付けられたRAMディスク機能がある。
(参考:HX-20/21/30/31/32)
J-3100SS ('89)(\198,000)
商品名"DynaBook"。「ノートパソコン」の先駆け。PC-9801Nに対して大健闘だった。
独自規格に加え、AT互換機のアーキテクチャを採用。

三菱

MULTI 8 ('83)(\123,000)
三菱がMSXより上位に位置付けていた独自規格のマシン。
グラフィック&サウンド機能に優れる。
MULTI 16 ('82)(\730,000-)
日本初の16ビットパソコンとして登場。
実用性重視の堅実的なマシン。
(参考:MULTI 16II/custom)
ML-G30 ('85)(\168,000-)
ビジネス機能、AV機能(別売)を強化させた三菱のMSX2。
RAM128KB、統合ソフト内蔵、RS-232C搭載(Model2)などが特徴。

松下

JR-200 ('82)(\79,800)
松下がMSX発表前に出していたホビー向けマシン。
雑誌「ベーマガ」上では、ゲーム向きのハードウェアのためかマイナー機種にしては大健闘だった。
(参考:JR-100/300)
FS-5500 ('85)(\188,000-)
AV機能を強化した、決定版のようなマシン。私も憧れの的だった。
ビデオディジタイズ、スーパーインポーズも可能。デザインもカッコいい。
(参考:FS-5000)
FS-4700F ('86)(\158,000)
「ワープロ・パソコン」として売り出したマシンの3台目。
FDD内蔵で実用度は高かった。なぜこれだけのマシンがメジャーになれなかったのか不思議。
(参考:FS-4000/4500)
FS-A1 ('86)(\29,800)
大きな可能性を持っていたMSXを再びゲームマシンに堕落させたマシン。29,800円という低価格。
こういう形でしかMSXが生き残れなかったのは非常に残念である。

SONY

SMC-777 ('83)(\148,000)
ソニーがMSXより上位に位置付けていた独自規格のマシン。
グラフィック機能に優れる。3.5インチFDD内蔵の独特なデザインが印象的だった。
(参考:SMC-70/777C)
HB-75 ('83)(\69,800)
ソニーが出していた初期のMSXマシン。
内蔵ソフト「Hit-Bitノート」、独特のカーソルキーが印象的なマシン。
(参考:HB-55/201/101)
HB-F900 ('86)(\148,000)
FDD2基、RAM256KBの本格ビジネス指向マシン。売出名は「Hit-Bit PRO」。
別売でAV機能の搭載も可能。松下と違って別売としたところにソニーのこだわりか。
(参考:HB-F500/701/701FD)

CASIO

PV-7 ('84)(\29,800)
価格29,800円と、当時のパソコンでは最も安価だった。それゆえにキーボードもちゃちで、RAMも8KBというとんでもない代物だったが、小型軽量だったという点は便利だった。
付属マニュアルはゲーム作成の手引きが書かれていた。
(参考:PV-2000/16/MX-10/101)
FP-1100 ('82)(\128,000)
CASIOが出していた8ビットパソコン。400ライン表示もでき、基本性能は優れていた。
(参考:FP-1000)

EPSON

HC-80 ('84)(\198,000)
現在のPDAの前身に相当するマシン。当時は「ハンドヘルド」と呼んでいた。8ビットながら漢字機能搭載で、実用性は高い。
(参考:HC-20/40/88)
PC-286/m1/m0 ('87)(\378,000/357,000)
EPSONが初の98互換機として発表。これによりEPSONはシェアを伸ばす。5インチドライブベイが4つと、キーセキュリティ機能が特徴。
m1は、著作権関係の問題で販売中止となり、m0は互換性に問題がありと当初は大変だった。現在は98互換機市場から撤退。

三洋

MBC-55 ('83)(\178,000)
16ビットでFDD内蔵ながら、10万円台と当時としては低価格なマシン。
家庭用テレビにも接続できた。
MPC-11 ('83)(\99,800)
三洋のMSX。ライトペン機能が特徴。商品名は"WAVY"。
MSXながら、スーパーインポーズ、フレームバファリングスチル機能も付く。
(参考:MPC-10/MK2)
PHC-70FD2 ('89)(\87,800)
三洋最後のMSX。ゲーム機能を充実させて生き残りを図ろうとした。
MSX2+規格の漢字BASIC、MSX-MUSICに加え、2FDD、BASICコンパイラ内蔵が特徴。
(参考:PHC-70FD)

沖電気

if800/10 ('81)(\370,000)
本格ビジネス仕様パソコン。
プリンタ内蔵だが、if800シリーズとしてはコンパクトな筐体を持つ。
(参考:if800/20/30/50)

YAMAHA

CX5 ('83)(\59,800)
YAMAHAも以前、MSXパソコンを出していたことがある。
このCX5をはじめとするCXシリーズは主に楽器店で販売され、「ミュージック・コンピュータ」と銘打たれた。
特徴は側面にある拡張スロットで、ここにFM音源などを搭載できる仕組みになっていた。
(参考:CX5F/11/CX7M/128)
YIS805/256 ('86)(\198,000)
YAMAHA・MSXのもう1つのラインアップ。
RAM256KB、RS-232C搭載、ワープロソフト内蔵など、実用性に優れる。
また、YAMAHAはMSX2のLSIの供給元でもあった。
(参考:YIS303/503/503II/YIS604/128)

SEGA

SC-3000 ('83)(\29,800)
SEGAが出していたゲームマシン"SG-1000"にキーボードを付けたようなマシン。
ハード的にはMSXに非常によく似ていた。やはりゲームを作りやすいマシンだった。なお、BASICは別売。
コンセプトは、今のSATURNに引き継がれる。
TERADRIVE ('91)(\148,000-)
SC-3000以来、SEGAが久々に発表したパソコン。AT互換機のアーキテクチャを採用。
メガドライブ用ゲームソフトも使え、当時としては「最もゲームソフトが充実したパソコン」と言われた。
だが、CPUが時代遅れの80286だったのが惜しかった。

BANDAI

RX-78 GUNDAM ('83)(\59,800)
当時のパソコンブームで、玩具メーカーもパソコンを出していたが、これはバンダイが出していたマシン。
ソフトはROMカートリッジで供給されていた。ゲームマシンの性格が強いが、ワープロソフトも用意されていた。

TOMY

ぴゅう太 ('83)(\59,800)
玩具メーカーが出していたパソコンの1つ。
ソフトはROMカートリッジで供給されていた。低価格ながら、16ビットCPUを装備する。独特の日本語BASIC(カナで命令を入力)が特徴。

SORD

M5 ('83)(\49,800)
現在は東芝系の一企業になっているSORDが出していたホビーマシン。玩具メーカーのTAKARAとの共同開発。
ハード的にはMSXに非常によく似ていたが、メモリが少ないためBASICでのプログラミングは一工夫が必要だった。
(参考:M5 pro/jr.)
IS-11 ('83)(\179,000)
SORDが出していた小型携帯マシン。簡易言語I-PIPSを装備する。
(参考:J-3100SS)

※ 一部情報に誤りがあるかもしれません。特に年号はあまり自信がありません。

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