電子メール雑感 (お問い合わせの際の参考に)     

     1998.12  Mule

最近、Nifty-Serveからインターネットに移行する方が多いらしく、Niftyからのメールよりインターネットからのメールが多くなってきました。しかし、きちんと(?)保護されたNiftyの環境と同じ感覚でインターネットのメールを出すために、情報がうまく伝わらないという事例が増えています。
インターネット・メールはNifty内のメールより制限事項が多いので、それなりの知識が必要です。特に、郵便と違って、電子メールはわずかといえども受信するのにも費用がかかるので、相手に迷惑をかけないためにも、最低限の知識は知っておきましょう。(それにしても数年前なら100行以上のメールを送ろうものなら非難の嵐だったけど、安くなったもんだ。)

「ネチケット」について書かれているホームページは、技術的な問題から必ず守るべき「ルール」と、単なる「マナー」とをこちゃまぜにしていることが多いようですが、このあたりはきちんと分けて知っておく必要があるでしょう。
そこで、インターネット・メールで注意すべき点などをルールマナーQ&Aに分けてまとめてみましたので、特にあまりメールを出したことの無い方は、ぜひご一読ください。
私自身、メールに関しては初心者を脱してやっと初級に上がれたかな、というレベルですので、間違いもあるかとも思いますが、リンク先なども参考にしてみてください。


 ルール編 

    ・・・インターネット・メールの技術的な制約のため、これだけは覚えておかなくちゃ。

★電子メールは必ず届くとは限らない

これは始めて聞く人は「そんなばかな」と思うらしいのですが、郵政省の通常郵便だって100%届くわけではありません(それを補うために「書留」の制度があるわけで)。ましてや、中央に管理機構のあるわけでもない電子メールが100%届くわけはありません。
1994年時点での調査では、メールの不達率は何と9%だったということです。現在はもう少し改善されているかと思いますが、Niftyのような大手のプロバイダでも時々「メールが失われました」という告知があるように、まだまだ1%というレベルにすら達しているかどうか疑わしいと思います。
特に、インターネット・メールは複数のプロバイダを経由して届くので、自分と相手のプロバイダで事故がなくても、途中のプロバイダで失われる可能性は常にあります。

それを知らずに、相手から返事が無いといってむやみに督促のメールを出すと、恥をかきます。

なおNifty内のメールでも、どうも100%届くわけではないようなフシがあります。私の経験では、1通しか出してないのに同一メールが5〜6通届いてしまったとか、特定の文字数のメールがどうしても送れないなどのトラブルが過去にありました。メールの送受システムもコンピュータですから、少しはバグがあるのは当然ですけど。

★電子メールは即時に届くわけではない

テレビCMの影響もあり、「送ったらすぐ届く」と信じている人もいるようですが、それは間違いです。インターネット・メールは複数のサーバなどを経由して届くので、実際には数十秒から数日まで様々です。しかも相手は毎日受信するとは限りません。一般に「通常郵便と同じくらいかかると思え」というのが常識のようです。

一日に何回もオンラインにつなぐ人に多いのですが、すべての人が一日に何回もメールの着信をチェックすると思っているような人を見受けます。あなたのまわりの「とても忙しい人」(例えば総理大臣とか?)を思い浮かべてみれば、そんなことができるわけはないと気づくはずですが。

2〜3日で相手から返事が無いといって、むやみに苦情のメールを出す前に、1〜2週間くらいは待ってみましょう。
なお私の場合は、普段は毎日か一日置きくらいに受信しますが、年末年始や旅行中などは数日間以上受信できないこともあります。返事はほとんどの場合翌日以降なので、それなりの日数がかかります。まさに「通常郵便と同じ」です。

★HTMLメール

HTMLメールは、相手が受信できる環境にあるとわかっていない人に送ってはいけません
HTMLメールを送ったつもりのない人でも、Outlook Express(Windows98やインターネット・エクスプローラに標準で付いてくるメールソフト)などは初期設定値が”HTMLメール”になっているので、知らずに送っている人がかなりいます。「オプション−送信」(バージョンによって違うかも)で”テキスト形式”に設定しましょう。(本当は、このようなルール無視のメールソフト自体が問題なのですが。)

HTMLメールで送ってしまうと、
意味不明の文字列が大量に送られる(数行の本文に対し、HTMLのコードが数十行も送られる)
相手の環境(ソフト)によっては、メールソフトがハングアップしてしまうこともある
色・画像・強調などの情報を入れても、相手に送られないので、意図したメッセージが正確に伝わらない
メーリングリストなどでは、HTMLメールは受け付けられないことも多い
などのトラブルを生じることがあります。

参考:Microsoft Internet Mail & News の設定

★添付ファイル

添付ファイルは、相手が受信できる環境にあるとわかっていない人に送ってはいけません。
また、ファイル形式も様々なため、必ず送る前に相手がその形式を受信できるかどうか確認する必要があります。
これもHTMLメールと同様のトラブルを生じることがあります。ただ、これは意図的に「送ろう」としなければ勝手に送られることはない点は安心です。

★サブジェクト(件名・題名)

サブジェクトを付けずに送ってはいけません。

これも相手の環境(メーラーや設定)によっては、受信できない場合があるそうです。特に、ジャンクメール(宣伝やイタズラ)を防ぎたいと思っている人は、サブジェクトで自動振り分けに設定していることも多いので、無題のメールは読まれない場合があります。

ただし、メーリングリストなど特定の場合は、無題で送ることを求めている場合もあるようです。


 マナー編  

・・・相手に失礼の無いように。

「マナー」や「ネチケット」と言われるような事の内、「電子メールでだけ通用する約束事」はどんどん変わっていくのであまり気にしても仕方がないと思いますし、あまりうるさいことを言うのは本意ではありません。でも、電子メールも「手紙」の一形態である以上、社会の一員としての一般的なマナーをふまえて送ることは必要でしょう。

★あいさつ文

はじめてメールを出すのにいきなり「XXについて聞きたい」などという本文だけ書いて送っては、相手は面食らいます。重厚なあいさつ文は不要ですが、人として最低限の礼儀は必要かと思います。
一言あいさつくらいは書くのが常識でしょう。あくまでも「手紙」であって、「メモ」じゃないんですから。
・・・どうも、社内LANで普段社内メモをやりとりしている人にこういう人が多いようです。社外へ出すメールは区別しなきゃ、会社の信用問題なのに。

★氏名

Nifty内のメールでは、本名かハンドルが自動的に付加されるので問題無いのですが、インターネット・メールでは本文に書かないと誰かわからない場合もあります。返事を出す側に不便をかけることになるので、本文にも氏名かハンドルなどの署名は書いた方が良いでしょう。これも一般の手紙と同じことですね。

★引用

相手からもらったメールを「全文引用」して返信するのはやめましょう。相手がさらにそれを全文引用すれば、メールを出すたびに本文が膨れ上がるのは目に見えています。それに、論点がぼやけて、相手に自分の言いたいことが伝わりにくくなります。引用は必要部分だけに効果的に使いましょう。

★複数アドレス

複数のメールアドレスを書いて「どちらかへ返信してくれ」という人が時々いますが、これはとても困ります。私の経験では、いままでこう書いてきた人の多くが、なぜか片方の受信をせず、「返事が来ない」というような督促メールを送られたこともあります。
さらに困るのは、「平日はAへ、休日はBへ送ってくれ」というものです。送るほうが休日にBへ送っても、相手が受け取るのは平日かも知れないからです。
無料のメール転送サービスもあるのですから、複数アドレスへの返信を求めるならそれらを利用するなどの工夫をするべきです。相手に送信先を選択させるというようなわがままなことはやめましょう。
メールサービスリンク

★顔文字(^。^)  (フェイスマーク)

相手が顔文字を知っていることが明確で無い場合、使った顔文字の意味が通じていない可能性があります。
私は、はじめて顔文字を見てから1年間くらいの間、ずっと「通信のゴミ」か何かだと思っていました。これで顔を表現しているとは露ほども思っていませんでした(プログラマの特質かな?)。私のまわりにもそんな人は少なからずいます。今でも、個々の顔文字が何を表しているかは、ほとんど読み取れません。(こういう人って、結構いると思うけどなあ。)
こんな人もいるので、「怒った文の最後に(^。^)と書いて冗談のつもりにした」というような使い方をしても、相手が(^。^)の意味を取れなくて怒りだけを受け取ったりしたら、悲劇ですよね。
「幼稚なので使わないほうが良い」「いや、そんなことはない」というような議論は良く聞きますが、「そもそも通じない人がいる」ということは知っておくべきでしょう。
ネット人口はどんどん増えているので、顔文字の読めない人は日々増えているに違いありません。

★推敲・読み直しをしよう

誤字・脱字が毎行のようにあったり、肝心な部分が誤字で、意味がわからなくなっているメールをもらうことがありますが、これではもう一度送り直してもらうしかなくなります。メールを出す前に一度は読み返して、二度手間を省きましょう。

★ネチケット  (ネット上のエチケット)

ネチケットについては次のページがまとまっているので、一読をお勧めします。私自身はネチケットのマナーに関する部分はあまり重視すべきでないと思いますが、技術的な制約がマナーとされている部分もあり、いろいろな意見を知っておくのは無駄ではないでしょう。
ネチケットのページ
ネチケットを笑い飛ばせ!


 オンラインソフトへのQ&A 

今まで数年間オンラインソフトへのQ&Aを続けてきた経験から、一般的に(一部は個人的に)、効果的な回答を得るために役立ちそうな事項をあげておきます。一般的に、オンラインソフトの作者は気軽にメールを送ってもらいたい(もちろんそうでない人もいます)反面、最低限のルールは守って欲しいとも思っているのが通例です。

★出す相手を間違えてないか

ソニーのPCに関する質問を東芝へたずねる人はいないと思いますが、オンラインソフトの作者にマイクロソフトなどの製品の使い方を問い合わせてくる人が少なからずいます。買ったところへ聞きましょう。

★ドキュメントを読んでね

すべてのオンラインソフト作者の最大の悩みですが、とにかく1行も読まないで問い合わせてくる人は困り者です。重要な注意点は必ず目に付くところに書かれているはずなので、メールを出す前に少しは探してみましょう。質問者にとってもそのほうが便利なはずです。
ヘルプの該当ページを見れば明らかに明記してある機能について「こういうことはできませんか」という問い合わせもとても困ります。というのは、まさかそれを読まずに問い合わせてきたとは思わず、他の意味だと思って、質問の意味をあれこれ考えざるを得ないからです。これでいままでに何十時間も無駄にさせられたことを考えると、笑っては済ませられないんですよ。
今そこにあるヘルプボタン」をクリックしてみるべし。

★あなたは誰?

シェアウェアの場合は本人確認が重要な場合もありますので、メールアドレスや氏名で登録ユーザーであることを証明できるかどうかをチェックしてみてください。知らないアドレスから「パスワードを教えて」と聞かれるのは、道で見知らぬ人に「あなたの家の鍵を貸して」と言われるようなものです。
フリーソフトでも、「以前XXの件でメールを送ったことがあります」などと一言書いてあると、質問にも答えやすいし、バージョンアップしようというきっかけにもなります。

★環境は?

最低限、OS名と質問したいソフトのバージョンは書いてもらわないと、的確な返答は難しいです。
あまり関係無いと思えることでも詳しく書いてあると、そこからトラブル解決のヒントが得られる場合が結構あるので、出し惜しみは損です。
それに、詳しく書こうとして自分の環境を調べているうちに、トラブルの原因を自分で発見してしまうということも案外多いものです。
雑談をするくらいのつもりで、余分の情報まで書くのが得策です。

★作者の質問には答えてね

オンラインソフトはそれなりにテストをして公開しているので、少なくとも作者の環境ではほぼまともに動いています。あなたの環境でトラブルがあれば、作者の環境とどう違うのか詳細に聞いた上で対応するので、かなり細かい質問をすることもあります。これらに答えてもらわないと、作者といえども手も足も出ないわけですが、答えを書こうとしない人が時々います。
オンラインソフトのサポートは、医師がメールで病気の診断をしているのと同じで、あなたの答えだけが解決への道を開きます。

★フリーソフトのサポート

できる限りのサポートはするつもりでいますが、Windowsの基本的なことの質問はOSの販社にするべきでしょう。また、フリーソフトは作者が「使ってもいいよ」と言っているだけで、「使ってもらったら感謝感激雨あられ」という性格のものではないので、少なくとも私は「使ってやっているんだから教えろ」というようなメールには返事を出す気になれません。
でも、「こんな風に使っているよ」というようなメールは大歓迎です。


技術的にも社会的にもまだまだ発展途上の電子メール・システムなので、数年後には通用しない項目もあると思いますが、「人と人とのコミュニケーションの道具」であることは変わらないでしょう。一生使う道具のわりには体系的にきちんと覚える方法も無いので、いろいろ知っておくことも損にはならないでしょう。快適な道具として使いこなせる一助となることを願ってこの文を書きました。