プロバイダ移行記
・・・ 2008年8月
先日、プロバイダを@niftyからOCNへ乗り換えた.その手続きの複雑さと面倒さの履歴は他の人にも役立ちそうなので公開してみたよ(あくまでも移行の一例としてね).
移行前=
@nifty ライトコース(下り3Mbps) 回線=ACCA 2003年より利用
(niftyはパソコン通信時代から十数年利用していた)
移行後= OCN
ADSLセット 12Mシンプル 回線=ACCA
1.移行しなかった理由
今までプロバイダを変更しなかった・できなかったのは、オンラインソフトのサポート用のメールアドレスを安易に変えられないという理由がとても大きい.
変更を周知徹底するには公開中の全ソフトのドキュメントを変更し、自サイトとベクターにアップロードし直す必要があるし、私のソフトを二次的に公開してくれているサイトにも影響があり、とても簡単に実行できることではない.その上、プロバイダを変更しても、そのアドレスが迷惑メールのターゲットになってしまえばまた変えなければならない.
結局、プロバイダの移行に合わせて、メールはGoogleのGmailに移行することにした(とても明快なアドレスでしょ).
2.移行した理由=@niftyの問題点
十数年間もniftyを使ってきたが、最近どうもトラブルが多い.
接続規制:
ある日突然、PC起動後最初のネットへの接続がうまくいかなくなり、以後毎日それが続いた.ブラウザもメールも繋がらないが、数分間接続を試し続けるとやっと繋がる.調べてみると、どうもこの地域の大容量通信がらみの速度規制を行ったその日から繋がりにくくなったようだ(同一日なので自分のPCが原因ではないと思う).同様に接続障害を受けている人がけっこういるらしい.ネット上の動画や大容量のダウンロード(ソフトのアップデート)なども障害があるようだ.妙な規制で繋がらないようではプロバイダを変えるしかない.
顧客対応:
少し前に、光回線に変更しないかという勧誘の電話がかかってきたが、この勧誘員の態度がとても悪かった(詳細は省くが、とても大手プロバイダの勧誘員とは思えない態度だった.)
移行期間が長すぎ:
2年ほど前に、ADSLの12Mbpsコースの案内メールが来た.速度が上がって価格は下がるので移行したかったのだが、移行のために2〜3週間もADSLを使えなくなるとのことで、あきらめざるをえなかった.プログラム開発などで資料を調べたいときに常時接続環境が無いのはとても困るからだ.別のプロバイダへの移行なら即日移行できるのに、同じnifty内だと3週間かかるようでは、退会してくれと言っているようなものだ.
迷惑メール:
"ABC12345@nifty.xxx"というような、niftyのIDを含んだ形式のメールアドレスは、迷惑メールにとって格好の餌食になっていて、数年前から毎日100通以上のスパムメールが届いていた.メールフィルタで極力排除しているのだが、それだけでは排除しきれない.例えば"DVD"という語を含むメールはスパムにも多いが、オンラインソフトのサポートで質問する人が使う可能性があるので排除できない.結局毎日数十通のタイトルは目視確認せざるをえないわけで、とても苦痛になっていた.
ID形式の他に好きなアドレスが登録できるのだが、スパムなど全く問題になっていなかった頃に登録したので、英字2字@nif...というアドレスにしてしまい、その簡単さから、スパムまみれで使い物にならなくなっていた(英字2字のアドレスは全部しらみつぶしに送信しても676人しかいないので、格好のスパムターゲットだ).しかしこのアドレスの変更は有料(!)だったので、変更するのもばからしいため使わずに全部受信拒否にしていた.
総じて、古くから長期間加入しているユーザーの方がより不利な仕様のままプロバイダ運営を続けている@niftyにうんざりしたので、乗り換えることにした.
3.移行手続きを確認しよう
A.知人やネットでの回線品質の評判などをチェックし、移行先はOCNにほぼ決定.ビデオなどをPCで見ることはあまりないので通信速度は数Mbpsあれば十分で、高価な光回線は必要ないので、ADSLの最低価格のコースを選んだ.
まずはOCNカスタマーズフロントの電話へ加入方法などを問い合わせてみた.
…先にOCNへ申込み、ADSLの開通日の通知が来たらniftyを解約するのが良いとのこと.
B.@niftyへ解約方法の確認の電話をした.それによると、
・ 解約を申し込むと、1〜10日のうちのいつか(NTTの都合)にADSLが解除される.解除日の指定はできない.
・ または3週間後以降の日を指定して解除.
…という2種類の方法がある.
OCNの案内する手順とは整合しないようなので、もう一度OCNに聞かなければ.
C.再度OCNへ電話.契約と解約の手順についてしつこく確認してみた.
OCNにADSLを申し込むとACCAから回線開通予定日が通知される.その予定日は@niftyの回線が切れる日となる.
…というようなことを言うのだが、どうもあいまいだ.結果的にはそれは間違っていた.
実際に常時接続が使えない期間は「はっきりとはわからないので、やってみるしかない」と言う.とても不安だ.
D.@niftyからOCNへのADSL乗換案内ページをGoogleの検索で見つけた.図解入りで書いてある.これによると、移行で6日間くらいADSLが使えないようだ.
問題は、上記AとCのどちらの受付もこのページの存在を知らないらしいこと、このページがOCNの接続案内のどこからたどればいいのか簡単には出てこない(サイトマップにも無い)こと、さらに実際にはこのやり方では無かった(後述5-A)ことだ.
4.さあ移行開始だ
上記乗換案内ページを見て、まあ何とかなりそうなので、webより入会を申し込む.マイラインプラスも申し込む必要があるので、こちらはNTTのページから申込書送付の請求をした.
(これ以降の日付は全部この申込日からの日数だよ.)
翌日に郵送でOCN会員登録証受け取り.
5.途中の手続きがやたらと多いなあ
A.さらに翌日、OCNより電話があり、ADSL移行の手順(ADSLの利用不可期間を最小にする方法)を案内するということだ.しかしここで聞いたことが何だか複雑だ.すべきことは以下のようだった.
・ @niftyへ電話し、3週間以上後の解約希望日を伝える.
・ このとき、@niftyからNTTへ解除日の連絡が行くことを確認すること(これがどうも意味不明だ.連絡されないなんてことがあるのか?).
・ 1週間後に、再度解除日を@niftyに電話して確認し、それをOCNへ電話で伝えなければならない.
…これで、@niftyのADSL解除日から数日後にOCNでADSLが使えるようになるらしい.
上記のように整理して書けば簡単そうだが、電話だけで伝えられるととてもややこしい.その上、なぜそんなことをする必要があるのかわからないまま、指示どおりに行動しなければならないというのも「やらされてる感」が大きくて、何だかいやなものだ.
こんな面倒な手順を電話だけで伝達するというところに問題がある.箇条書きの定型文を用意しておいて事前か事後にメールを送るくらいのことはあってもいいのではないか.とてもだれでも間違いなくできることではないと思う.
B.次に@niftyのwebページから解約方法を探してそこに電話して、3週間後にADSLの解除と解約になるように申し込む.ADSL接続サービス解除日・ADSL回線撤去日・@nifty解約日の3つの日付があり、混乱するが、今回は全部同日になったのであまり気にせずに済んだ.
(解約時には、メールだけ残すコースとかADSL12Mコースへの移行とか勧められたが当然断る.結構未練がましいのが興味深いね.)
C.数日後、マイラインプラス申込書が郵送されてきたので申し込む(登録には840円かかる).
D.一週間後、5-Aでの指示どおりに、@niftyのADSLの解除日を@niftyのwebページにログインして確認後、その日付をOCNに電話連絡.
E.同じ日に
NTTコミュニケーションズより電話あり.マイラインプラスの申込みの確認と、プラチナラインなどへの加入案内(勧誘)だった.
プラチナラインや0033アダプタなどを勧められ、無料であることは確認したが、最近この手の詐欺が多いので十分な注意が必要だ.それと、マイラインやこれらのサービスが加入者にとっておよび運営会社にとってどういうメリットやデメリットがあるのかとても不透明だ.webページにもメリットしか書いてない.こういう意味不明のサービスにはうんざりだ.
…電話代が安くなるって言うので結局加入したけど.
6.メールの移行
@niftyに届いているメールの内、今後も必要なものを全部別のアドレスへ誘導.個人的なメールは以前から徐々に別のメールアドレスに切り替えてあったので、残りはPC関係や買物先などの企業ばかりで、だいたいは各webページにログインして登録変更するだけで済んだ.
さらに自分のオンラインソフトのサポートページにメール変更の告知を出して完了だ.
7.やっと移行完了: 3週間後
解除日の朝9時少し過ぎに@niftyのADSLでのアクセスができなくなった.前日届いた新モデムと交換し、昼にはOCNのADSLでアクセスできるようになっていた.途中何分使えなかったのかは不明だが、回線会社が同じACCAなので、同時に工事をおこなったのではないか.数日かかるかもということだったので、これはとても助かった.
モデムは自動設定機能が働くのでハードウェアを結線するだけだ.ファイアウォール(NECのPCGATEというのを使っている)が「新しいネットワーク」の警告を出してきたのでそのウィザードで許可するだけで、それ以外の設定は何もなく無事に接続できた.
翌日、@nifty(ACCA)からモデムの返送用伝票が届いたので、郵送で返送した.800円.
(今時、下り3Mbpsの5年も使ったレンタルモデムを返却して何に使うんだろうか.そろそろ寿命だろうし、早々に壊れる可能性が大きいんだから再レンタルするわけでもなさそうなのに.)
8.移行の評価
○ 速度:
2.4Mbps から 4.5Mbps と、ほぼ倍速になった.規格上の速度12Mにはほど遠いが特に不満はない.電話線を15mも延長してるので、そのノイズ対策などを工夫すればもう少し速くなるかも.
○ スパムが無い:
数年ぶりにスパムメールの不快なタイトルを見なくて済む日々がとてもうれしい.いつまで続くかは不明だが….
○ 費用:
マイラインプラスの契約840円と旧モデムの返送代800円が移行にかかった費用だ.
毎月の支払いは600円くらい安くなるので、3ヵ月で元が取れる計算だ.
× 中間手続きの多さ:
新旧プロバイダ・新旧回線業者・NTTの5者間だけの問題なのに、ユーザーがその間を電話かけまくって日にちを確認しなければ移行できないし、それらの手順が文書化されていないというのは、どう考えてもIT産業のしくみとしてお粗末としか言いようがない.
このスピード時代に@niftyのADSLの解除が3週間かかるというのも、どういう理由なのか不思議だ.
× 情報漏洩?:
この移行期間の月に限って、複数の怪しい会社から光通信関係(光回線に乗り換えませんか)の勧誘電話が何度もかかってきた.深夜にもかかってくるし、電話をかけてきた会社を検索すると、問題があったりやたらとしつこかったりする事例にたどりつくので、まともな会社ではない.
普段はそんな電話はほとんどかかってこないので、マイラインセンターかプロバイダ関係のどこかから電話番号が漏れているとしか思えない.証拠がないので手の打ちようがないが、由々しき事態だ.
総評:
上記に書ききれなかった細かい手続きやトラブルが他にもいくつかあった.やらざるをえないので移行したが、あまりの手続きの多さ・面倒さにうんざりした.プロバイダの変更なんて、もうやりたくないな.
でも最初の問題点はおおむね解決したので、移行自体はやって良かったけどね.