ポルトのワインセラー

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ヨーロッパ紀行 ■ 旅行


Port-Portugal
 
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   訪れたことのない国をたずね歴史と文化にふれ、食べたことのない料理を味わい舌鼓を打ち、会ったことのない人々と知り合い親交を深める。海外旅行の楽しみはいくつもあるが、わたしにとって日常性から脱出できる点はとても大きい。日本国内でどれほど嫌なことがあろうとも、しばし俗世間の憂さを忘れて、いわば自由人になった気分を味わえるからだ。
   1993年のイタリア、ヴェネツィアのサン・マルコ広場でのひとときは生涯忘れないだろう。デビッド・リーン=キャサリーン・ヘプバーンの映画「旅情」の世界に迷い込んだような空間、カフェ常設の屋外ステージではピアノとヴァイオリンとチェロによる叙情あふれる音楽が奏でられ、一瞬、時間を忘れてしまいそうになった。おおげさだが、この世に幸せというものがあるとすれば、この甘美なひとときではないか。そんなことをふと思った。この時間が永遠に続けばいいと願った。しかし、うたかた=非日常だから歓びも大きいのだろう。そして、わたしがその国の生活人ではなく、旅人=ただ通り過ぎる者だから、甘美な夢に酔うことができたのかもしれない。





















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