SIKIBU秘話(3)〜

        

【SIKIBU作成秘話(3)】

 こうやって自分のやった作業をふりかえってみると、気が付かなかったミスが目につきます
ね。SIKIBU03を発表してはや10ヶ月が過ぎていますが、これ以上手のいれようがないと思っ
ていたものが、修正点や新たな工夫に気が付いたりします。ある程度文法の知識があることを
前提にこの文は書かれていますが、文法のテキストを手元に置かなければ解らないような、そ
んなに難しい話しはしてないつもりです。用語などで解らないことがあったらいってくださいね。
そのほうが私の勉強になります。

 さて、SIKIBUは名詞のが貧弱なので、できましたら名詞の補充をどなたかにお願いしたいと
思うのですが。(^^)

閑話休題、本題に入りましょう。

1、形容詞の活用。

形容詞は次のように活用します。

口語
  語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令。
  あか く い い けれ
  かろ かっ
文語
  語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令。
  あか      く し き けれ
  から  かり かる かれ

 形容詞は補助活用というものがあって、このように活用表をかいてみると2行になります。下
の段を補助活用といいます。(文語ではカリ活用ともいう)文語はこの補助活用が充実している
のが特徴です。 あと、終止形が「い」と「し」、連体形が「い」と「き」という違いが有りますが、こ
れは問題有りません。

   「あいようりもあおし (変換) 愛よりも青し」(漢字が違うぞ)
   「うつくしきじんせい (変換) 美しき人生」

 さて文語の活用にあわせるには、補助活用を補えばいいわけです。補助活用をよく見るとこ
れが五段動詞(又はら変動詞)の活用と同じことに気がつきます。なぜならこの補助活用とは
連用形の「く」に、ら変動詞の「あり」がくっついてできた活用だからです。そこで、このように登
録すると補助活用が補えます。

   》あかか<TAB>"赤か":ら変動詞


2、形容動詞

形容動詞は次のように活用します。

口語
  語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令。
  はるか だろ だっ だ な なら
   で
   に
文語
  語幹 未然 連用 終止 連体 仮定 命令。
    はるか なら なり なり なる なれ なれ
   に
  堂々 たら たり たり たる たれ たれ
   と

 さて、ここで、今までのやり方ですと、「はるかな」をら変動詞で登録すればいい。という結論を
出すところですが、SIKIBU03では、なんにもしてません。なぜかというと、次回説明する助動詞
とのかねあいで解消できるからです。
 簡単にお話しますと、形容動詞は、名詞と断定の助動詞「なり」「たり」が合わさったものと考
えることができるからです。(一般的な学説(学校文法以外)では、このように考えるのが主流
で、形容動詞という品詞を立てないのがほとんどです)そのため断定の助動詞を登録しさえす
れば、解消する問題なのです。
ということで形容動詞も解決。(余分なことはしない主義)用言の登録はこれで終わり。


次回は助動詞(佳境に入ってきました)


 【SIKIBU作成秘話(4)】

1、助動詞とは

 助動詞とは、活用する付属語である。活用するという点では動詞に近い。WX2では、「上級
者・・・」も含めて、助動詞は公開されていない。そこで、拡張表現というものを使って登録する。


2、拡張表現について

 例をあげて説明する。次のように品詞名を指定して登録することの出来る単語がある。

  未然形+.ら行五段

これは「未然形に接続する語で、ら行五段に活用する語」という意味だ。未然形の部分は、連
用形、終止形、連体形、命令形、等になる。

ら行五段の部分は、「上級者・・・」で扱えるほとんどの品詞に置き換えられる。だから、その気
になれば、「未然形に接続する名詞」なんていう突拍子もない登録も可能だ。


3、助動詞分類

まづ、助動詞を接続で分類して見よう。

未然形に接続。
る らる す さす しむ む むず まほし まし ず じ
連用形に接続
き けり つ ぬ たり(完了) たし けむ
終止形に接続
べし めり らむ らし なり(伝聞) まじ
連体形に接続
なり(断定) ごとし
命令形に接続

体言に接続
なり(断定) たり(断定) ごとし

 以上の接続による分類にしたがって話を続けましょう。


4、未然形に接続

(下二段型)

 る らる す さす しむ

これらの語は二段動詞登録の技を使って、次のように登録。

「る」の場合
  》る<TAB>"る":未然形+.一段動詞
  》れ<TAB>"れ":未然形+.一段動詞

(以下同じ)


(四段型)

 む

実はこれが困っている。語幹と語尾の区別のない五段動詞の登録が出来ない(知らない)の
だ。そこで、 「む」は付属語としては必ず一番最後にくる語なので、接尾語として「む」と「め」を
登録した。

  》む<TAB>"む":未然形+.接尾語
  》め<TAB>"め":未然形+.接尾語


(さ変型)

 むず

むず<TAB>"むず":未然形+.一段動詞

(形容詞型)(形容詞については補助活用の登録もする)

 まほし

  》まほし:<TAB>"まほし":未然形+.形容詞、
  》まほしか<TAB>"まほしか":未然形+.ら変動詞

(特殊型)

 まし

反実仮想の意味を持ち、「ましかば〜まし」といったかたちをとる。とりあえず次のように登録し
てある。

  》まし<TAB>"まし":未然形+.接尾語
  》ましかば<TAB>"ましかば":接続詞


 ず

次のように活用する。

  未然 連用 終止 連体 已然 命令
  ず ず ず          無活用
  ぬ  ね      な行四段
  ざら ざり   ざる ざれ ざれ  ら行変格

とりあえず、ら行変格型だけ登録しておいた。それ以外は登録しなくても、だいたい変換され
る。


 じ

これも最後にしかこない語なので、なおかつ活用もしないので、接尾語で登録。


4、その他

同じようにしてほかの語も登録していった。体言に接続する語だけは、登録のしようがないので
ほっといてある。


とまあいった具合に拡張登録を駆使して助動詞も何とか登録出来た。

次回は助詞(たいして、違いはないけど)



 RE^2:【SIKIBU作成秘話(3)】

 #01078 魚屋ウヲミケ さん

Mac版WX2についているSIKIBUを使ったのですね。

》ところで、文節の区切りの学習がでたらめになるかもしれないということをお書
》きになっていましたが、これは、古文を打つときにはシステム辞書を使わない
》で、SIKIBUだけを使うとよいということでしょうか。

そういうことです。SIKIBUだけというか、SIKIBUを登録した、古文用の辞書を
別に用意して、切り替えたほうが、現代語を入力する時に変な変換をされない
ですむのではないかと思いまして。
(もちろん、共用したらどうなるかなんて、試したことなんてありませんけど)
Mac版WX2には、辞書切り替えの機能はありますか?