Update 1/6/2001
Since 5/21/2000
カシオペアPsPCのCPUはNEC-VR4000シリーズが搭載され、このCPU内部にはNS16550互換UARTが組み込まれていて、このレジスタをダイレクトに叩いて、家電リモコン信号をエミュレーションするソフトウェアがある。このソフトウェアは、リモコンコンfor WindowsCEであるが、1999年に行われたWindowsCE FANソフトウェアコンテストでのMicrosoft賞受賞作品なので、既知の読者も多いと思う。
リモコンコンfor WindowsCEは、単体でも学習リモコンとして動作するが唯一の難点がある。バグなどのソフトウェアの問題ではなく、むしろハードウェアの問題である。
カシオペアPsPC内蔵の赤外線装置はIrDA規格に基づいて設計されている為、赤外線送受信可能な距離は短く、赤外線リモコンとしては2m程度が限界である。
ソフトウェアで解決出来ないなら、ハードウェアの改造で飛距離はアップすれば良い。
この記事で紹介するハードウェアの改造によりリモコン信号の到達距離は、10m以上となる。
この改造で赤外線出力が強くなりすぎて、赤外線によるアクティブシンクなどの本来のデータ通信が困難になる事を危惧したが、改造後も赤外線データ通信が障害なく行えている。
この記事で紹介する改造方法は、あくまでも自己の責任で行うこと。
改造により、故障が発生した場合、メーカーや販売店の無償サポートは受けられなくなる。
この情報を提供しているWebサイト、筆者は改造による損害に対して一切の責任を負わない。
ハードウェア改造といっても、新たに部品を取り付ける訳ではないので、ハンダづけの出来る初級者なら改造可能と思われる。
プラスのドライバ(小さめ)
マイナスのドライバ(小さめ):蓋を押さえているつめを取るのに便利
ハンダごて(電子工作用で先端の細いものが良い)
ハンダ
リード線(1針タイプの極細のリード線)
その他の電子部品は一切不要
カシオペアE-55、カシオペアDoCoMo、英語版E-15に搭載されている赤外線モジュールは、足が13本もあるロームRPM851Aであり、モジュールの2番ピンと3番ピンをブリッジする抵抗の大きさで赤外線の強度を変化させる事が可能である。本記事では、この抵抗を、0オーム即ち、リード線でブリッジしてしまう。
改造に入る前に、データのバックアップを取り、電池やコンパクトフラッシュは外してしまう。
カシオペアPsPCを裏返し6カ所のネジをはずす。(図1)
電池ボックスを固定している2か所のツメをはずす。(図2)
裏蓋を止めている4か所のツメを折らない様に注意してはずす。(図3,4,5)
この時、クレードル端子側よりツメの位置に注意しながら斜めに持ち上げていけば、楽に外せる。
この状態で赤外線モジュールの13本足のロームRPM851Aが見えるが、一番右の少し太い足が1番ピンで左側にピン番号を数えていく。この2番ピン3番ピンをハンダでブリッジしても良いが、ピン間隔がせまいので少し腕がいる。CPUの足を自力でハンダづけ出来る人は別としてこの場所のハンダは避けた方が良さそうだ。(図6)
モジュールの直下にあたる基盤の裏側の様子を見る為に更に分解する。
カシオペアPsPCのマイクやスピーカーとメインの基盤をつなぐケーブルを外す。このケーブルのコネクターは横からマイナスドライバを差し込めば、斜めに跳ね上がる。(図7)
更に、基盤の2ケ所のネジをはずした後、2つ電池の電極接点が基盤に直接ハンダづけされているので、注意深く電池ボックスから引き抜く。(図8)
赤外線モジュール側から持ち上げて、裏返す。
モジュールの直下にあたる基盤の裏側のパターンには、運良くリード線が取り出せる様、穴開きのハンダづけ可能なパターンが存在する。右から2番ピン3番ピンに該当する部分だ。(図9)
ここを、リード線を使ってブリッジ(直結)するだけである。
この簡単な改造を終えたら、基盤やケースを元の状態に戻す。ケースを戻すときに、トップの2つのツメを引っ掛けてから、斜めに下ろしていけばうまく収まる。これで10m飛ぶリモコンへの改造は終わりだ。
更に!更に!飛距離をアップする為の情報(天井バウンス可能):
筆者は、実際には基盤上ではブリッジ(直結)しないで、リード線をケースの外にまで引き出し、2番と3番のリードをつないで試した。これでも十分な飛距離が得られるが、満足がいかない場合、更にもう1本赤外線モジュールのシールドからGNDをリード線で引き出し、3番ピンとGND間に、リモコン専用のLEDを直結すれは良い。
リモコン用の赤外線LEDは、共立電子
などのパーツ屋さんで入手できる東芝製リモコン用赤外線LED TLN105A
実売価200円などを使用すれば良い。(図10)
カシオペアE-5xx、英語版E-10xに搭載されている赤外線モジュールは、足が10本のアジレント(HP)HSDL3600であり、このモジュールは、赤外線の出力を3段階で制御出来る優れたモジュールである。
カシオペアのデフォルトでは4番ピンと5番ピンがVCCに抵抗を介してプルアップされていてこの状態は最も節電される1/3の出力となる。5番ピンをGNDに接続すると2/3の出力となり、4番ピン5番ピン両方をGNDに接続すれば、フルパワーとなる。
分解方法などの詳細の記事を書きたかったがあいにく筆者はE-500を持っていない。
ここでの写真はアメリカの改造マニアから送られてきたもので、右からピン番号を数えていく。
4番目と5番目のピンを1本のリード線でGNDに接続している。(図11)
アメリカの改造マニアのレポートでは30フィート(約9m)以上の飛距離が得られる様になるとの事であった。
この改造により、非常に強力な赤外線パワーを得られる様になる。
筆者の自宅の居間のテレビを、台所を挟んで、玄関口から動作させたり、居間の扉のスリガラスを通して、台所から居間にあるテレビを動作させる事が出来た。
また筆者の環境では、改造後も通常の赤外線データ通信も特に障害は発生していない。
しかし、いくら簡単とは言え、改造はリスクを伴う。PocketPCに乗り換える予定の読者であれば、旧型PsPCを改造して見る価値はあると思う。
さて、カシオペアPsPCをわざわざリモコン化するメリットはあるかどうか、いつも筆者は疑問に思っている。最大の有効利用法は、カラオケでいかに自分がマイクを握るかであり、肌身離さず持っているPDAをマイリモコンとして利用する事ではないだろうか。
以上
PalmOS/WindowsCE/Tipo/Zaurusから赤外線でインターネット!
NTTの赤外線公衆電話を自宅に持ち帰れるソフトウェア
ソフトIRモデム
Palm OS 赤外線通信関連ソフトウェアの情報
Palm OS機の赤外線装置を利用して、赤外線リモコンが実現できるパームウェア
リモコンコン
for Palm OS(R)
WindowsCE 赤外線通信関連ソフトウェアの情報
カシオペアPsPCの赤外線装置を利用して、赤外線リモコンが実現できるWinCEソフトウェア
リモコンコン
for WindowsCE