【入力の工夫】読みやすさのための工夫

NIFTY SERVE障害者フォーラムイベント(FHANDE)の 電子会議室6番【PC字幕・要約筆記】に大場ふぁいん美晴さんが書いた文章です。


 入力の工夫について、これまで活動してきて、人がやっているのを見ていいなと思ったこと、 自分なりに工夫していることなどを書いてみることにします。(長文ご容赦)
 実は9月の全要研で何かしゃべらないといけないのでその準備も兼ねているのですが、 それまでに不定期でアップしていくことにします。
 どうかご意見などどしどしお願いします。不完全な部分も多々あると思いますが、 それでよければ他ネットなどへの転載もOKです。

 まずは読みやすい表示のための文字づかいを中心に。


●1●漢字の使い方

■「漢字はアイコンである」

 と言っていた方がいました。ぱっと見てその意味がわかります。 文章を読むときも漢字だけを拾っていってもだいたいの意味がつかめます。 たとえば「亡くなりました」とあったら、たとえ主語がなくても「亡」の字だけを見て、 主語は人物なんだなと想像がつきます。
 そういうことで、読みやすい表示と漢字の使い方は密接な関係があると思います。

■漢字は文節の切れ目も示す

 日本語の特徴として、文節(言葉の意味のある区切れ)の頭に漢字がくることが多いです。

漢字(主な意味を表す)+送り仮名など(意味を補足する)

という構成ですね。読む人は漢字のあるところで区切れると目安がつくので読みやすいのです。 逆にいうと、文節のはじめに漢字がないと比較的わかりにくいことになります。 これを頭に入れておくとどこで漢字を使うかの目安になると思います。

■ひらがなばかりのときは わかちがき

 入力が追いつかないときはやむを得ずひらがなのままにしますが、 読みづらいのはどこで区切れてどこが意味を持つ文字列なのかを判断しにくいからだと思います。 ひらがなばかりで入力するときは、空白で分かち書きにするなどして区切れるところを示すようにするといいと思います。
 空白キーで変換してしまうソフトもありますが、それは各IMEごとに工夫することになるでしょう。

■ひらがなのほうがいい場合

 ワープロ/パソコンはうっかりすると何でもかんでも変換してしまいますが、 ひらがなのままのほうがいい場合もいくつかあると思います。


●2●固有名詞の注意

■なるべく正確に

 人名、地名、団体名などは正しい漢字で出すように特に気をつけるべきだと思います。 間違えると相手に失礼になりますし、誤解を生むことにもなりかねません。 正しい字がわからないとき、うまく変換できないときはカタカナにしておくのがいいと思います。
 たとえば「うえださん」というように簡単な名前でも「上田」と「植田」の二つが考えられます。 他の字の可能性が少しでもあるなら、勝手に「上田」とはしないで「ウエダさん」とすべきでしょう。

■間違えたら訂正

 それでも間違えてしまうことはありますが、あとで訂正することが必要です。
 たとえば(訂正:上田→植田)などと付け加えます。

■事前に辞書の準備を

 会議ならば資料や関係者の名簿を事前にいただいてあらかじめ辞書を確認しておきます。 必要ならば単語登録しておきます。入力者の交代の合間にドロナワで単語登録するということもよくあるパターンです。

■ふりがな

 難しい漢字や一般的でない読みなどは、場合によってはふりがなをカッコでつけるとより親切だと思います。 固有名詞の場合は漢字だけわかっても読みがわからないことが多いからです。

例)名前は勅使河原(てしがわら)です。

●3●句読点や記号の使い方

■読みやすいように付ける

 通常の文章と同じように文章の区切りで付けるのですが、話し手が間をおいたところなどにも付けることがあります。 あとで読み返してやたらテンが多い文章になっていたとしても、リアルタイムで理解しやすければそれでよいと思います。

■区切れがわからないと誤解を招くところにテンを付ける

例)時につれていくつかの → 時につれて、いくつかの

■その他の記号


●4●強調したいときの表現

 パソコンでは場合は手書きと違って文字を大きくしたり太くしたりという臨機応変なことができない(そんなヒマがない)ので、表記で工夫します。

■カギカッコで強調

 話し手の語調が強いときや、平たく書くとわかりにくいときなどは「」でくくって強調を表すことがあります。

例)わが国にはそういう「法」がまだないんです。

■カタカナで強調

 特別なニュアンスを含んだ言葉などはわざとカタカナにして、普通の意味とはちょっと違うんだということを表すことがあります。

例)私のカラダだけが目当てだったのね。

●5●補足したいときの表現

■カッコで補足

 話題が錯綜してきたときや、話し手の文脈が複雑で読んだだけではわかりにくいときなどは、 ()で補足することがあります。その場合、通訳者の補足だということがわかるようにするとベターだと思います。

例)こうじゃなくてこうなったんです(〇〇になった=大場)

■セリフ以外も補う

 話し手の話だけではなく、その場の状況も()で補足して入れることがあります。

例)(笑),(会場ざわざわ),(チャイムが鳴っています)

とりあえず以上。
ちょっと参考にした資料:「新しい国語の表記 第2版」小学館


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