Kengo Jinno<KHB04045@nifty.ne.jp>
Jul. 4, 1999
「Windows95/98」の「ノートパソコン」に、「PCMCIA」の「LANカード」をインストールして、「TCP/IP」に対応したソフトを使えるようにする手順のまとめです。
「ネットワーク」は「コンピュータ同士が接続された状態の総称」です。 その中でも「小規模なネットワーク」(Local Area Network)を「LAN」と呼びます。 大規模なものは「WAN」(Wide Area Network)とか「Internet」と呼ばれます。
「規模による分類」だけなので、そこで使われる技術はほとんど同じです。
PC要約筆記で、数台程度のパソコンをつなぐのは「LAN」に分類されます。
TCP/IPを使ったネットワークでは、1台1台のコンピュータを「IPアドレス」と呼ばれる数値で識別します。
ネットワーク上を流れるデータでは、このIPアドレスで「送り先」と「送り元」を示しています。 そのため、複数のコンピュータが同じIPアドレスに設定されていると、データの流れが混乱してしまい、正常に機能しません。
PC要約筆記で言えば、提供する/される「何か」のサービスとは、「自分が入力した文字を他のパソコンに送る、他のパソコンで入力した文字を自分のパソコンに送ってもらう」ことです。 従ってサーバーは、「文字を受け取って、それぞれのパソコンに配信する」機能を持っていなければなりません。
この「サービス」は、パソコン通信やInternetで会話する「チャットサービス」とほぼ同じです。 そのため「サーバーソフト」や「クライアントソフト」は、「チャット用ソフト」が流用されることがあります。 もちろん、PC要約筆記用に開発されたソフトもあります。
LANカードのメーカー・製品によってインストール方法が異なるため、「LANカードのマニュアルの通りにしてください」としか言えないのですが、共通する(であろう)ポイントを示しておきます。
Windowsのバージョンの違いによって、インストールの手順が異なる場合があります。 LANカードのマニュアルでよく確認してください。
デスクトップの「マイ コンピュータ」を右クリックして、メニューの「プロパティ(R)」を選択します。 「システムのプロパティ」ダイアログが開くので、「システム:」欄の表示を確認します。
バージョンによって、次のような表示になっていることがあります。
自分のパソコンがどのバージョンか、そのバージョンではどういう手順でインストールするか、よく確認してから作業を開始してください。
本ドキュメントで取り扱っているのは、PCMCIAタイプのLANカードです。 LANカードそのもののインストールの前に、パソコンで(LANカードに限らず)PCMCIAカードを使えるようにする作業が必要です。
PCMCIAカードを使うのが初めてではない(モデムカード、フラッシュメモリカード等を使ったことがある)場合は、もうPCMCIAカードが使えるようになっています。 そうでない場合でも、出荷時から使えるようになっている機種もあります。
これもLANカードのマニュアルに記載されているので、確認して作業してください。
インストール途中で頻繁に確認を求められます。
「デバイスマネージャ」は「システムのプロパティ」の一部です。 まず、次のどちらかの方法で「システムのプロパティ」を開きます。
「システムのプロパティ」ダイアログが開いたら、「デバイスマネージャ」タブを選択します。
「デバイスマネージャ」の「ネットワークアダプタ」を開いたところにLANカード名の項目があり、 [!] [?] [X] 等のマークが付いてないことを確認してください。
注意:「ダイヤルアップアダプタ」の項目は無関係です。
メーカー・製品によっては、この他に「デバイスの状態」や「ドライバ」や「リソース」を確認するようマニュアルに記載されているかもしれませんので、指示に従ってください。
LAN対応のPC要約筆記関係ソフトは、TCP/IPを使う(TCP/IP語で会話する)ものがほとんどなので、 TCP/IPを使えるようにパソコンが設定されている必要があります。 LANカードをインストールした時点で自動的に設定されている場合もありますが、そうでなければTCP/IPを追加設定します。
[スタート]→[設定(S)]→[コントロール パネル(C)] の「コントロール パネル」で「ネットワーク」をダブルクリックし、「ネットワーク」ダイアログを開きます。 [現在のネットワーク構成(N)]の一覧の中に、「TCP/IP -> (LANカード名)」があるでしょうか?
注意:「TCP/IP -> ダイヤルアップ アダプタ」「IPX/SPX ...」「NetBEUI ...」等は無関係です。無視してください。
注意:「ネットワークアダプタ」がそのLANカードだけの場合(「ダイヤルアップアダプタ」が無い)は、「TCP/IP」とだけ表示されると思います。
あればすでにTCP/IPが使えるようになっているので、「3.3 IPアドレスの設定」に進んでください。
無い場合は、TCP/IPを追加しなければならないので、[追加(A)...]ボタンを押して、「ネットワーク構成ファイルの追加」ダイアログを開きます。
参考:Windowsのバージョンによってはタイトルバーの表示が「ネットワークコンポーネントの選択」となっています。
ここで「プロトコル」を選択し、[追加(A)...]ボタンを押します。
「ネットワークプロトコルの選択」ダイアログが開くので、 左側の[製造元(M)]欄で「Microsoft」を選択し、右側の[ネットワークプロトコル]欄で「TCP/IP」を選択します。
これで[OK]ボタンを押すと、しばらく追加作業が行なわれた後で「ネットワーク」ダイアログに戻ります。 [現在のネットワーク構成(N)]の一覧の中に「TCP/IP -> (LANカード名)」が追加されているのを確認してください。
続いて、IPアドレスを割り当てます。 ここでは、私のパソコンに192.168.11.8を割り当てるものとします。
「ネットワーク」ダイアログで「TCP/IP -> (LANカード名)」を選択して、 [プロパティ(R)]ボタンを押すと、「TCP/IPのプロパティ」ダイアログが開きます。 [IPアドレス]タブのまま[IPアドレスを指定(S)]を選択して、次の通り設定します。
IPアドレス(I) | 192.168.11.8 |
サブネットマスク(U) | 255.255.255.0 |
入力したら[OK]ボタンを押して「TCP/IPのプロパティ」ダイアログを閉じ、 さらに[OK]ボタンを押して「ネットワーク」ダイアログを閉じます。
しばらく設定作業が行なわれた後に「再起動しますか?」と確認を求められるので、[OK]ボタンを押してパソコンを再起動します。
参考:「再起動しますか?」と確認を求められなくても、再起動した方がよいです。
クラスCのプライベートアドレス(192.168.0.0〜192.168.255.255)を使うのが一般的です。 サブネットマスクを255.255.255.0にしているため、192.168.XXX.YYYの192.168.XXXの部分まではグループ内で統一し、各パソコンごとにYYYの部分の値を変えるようにします。 また、YYY=0とYYY=255は使わずに空けておき、YYYは1〜254の範囲にします。
まとめると、次のようなルールになります。
参考:192.168.XXXの部分が異なるアドレスは「別のネットワークである」と認識されます。
このルールに従うと、最大で254台のパソコンに、重複しないIPアドレスを割り当てることができます。 たとえば次のような割り振りにします。(XXX=11で統一した)
192.168.11.1 | Aさんのパソコン |
192.168.11.2 | Bさんのパソコン |
192.168.11.3 | Cさんのパソコン |
192.168.11.5 | Dさんのパソコン |
192.168.11.8 | 私のパソコン |
192.168.11.9 | Eさんのパソコン |
YYYの部分の並び順は、重複さえなければ何でも構いません。 1から順番に使う必要もありませんし、HUBの端子番号とそろえる必要もありません。
めいめいが勝手に決めてしまうと重複する可能性があるので、同じXXXの値を使うグループ内で誰か管理者を決めて、どのパソコンに何番(YYY)を割り当てるかを、一元的に管理する(アドレスを決定できるのは管理者だけ)とよいでしょう。
参考:もしも重複が発覚した場合は、別のアドレスを「3.3 IPアドレスの設定」の手順で再設定します。
以下の作業は、パソコンにLANカードを挿した状態で行ないます。
まず、IPアドレスが正しく設定されているかどうかを確認します。
[スタート]→[ファイル名を指定して実行(R)...]を選択して、「ファイル名を指定して実行」ダイアログを開きます。
[名前(O)]欄に半角で「WINIPCFG」(小文字でも可)と入力して[OK]ボタンを押すと、「IP設定」ダイアログが開きます。
Internetを使えるようにしてあるパソコンの場合は「PPP Adapter.」と表示されることがあります。 その場合は[▼]を押して、インストールしたLANカード名を一覧の中から選択します。
ここに表示される「IPアドレス」と「サブネットマスク」が設定した通りになっていることを確認してください。 「アダプタアドレス」と「デフォルトゲートウェイ」は無視して構いません。 間違いなければ、[OK]ボタンを押して閉じます。
IPアドレスが分からない・忘れてしまった場合も、この手順で確認してください。
各パソコンのLANカードとHUBとの間を、 10BASE-T ストレートケーブルで接続します。 HUBには端子がいくつかありますが、どの端子にどのパソコンをつないでも同じです。
注意:アップリンク用の端子(もしあれば)は使えません。
HUBとパソコンの双方に電源が入っていれば、HUB側のその端子のランプ、LANカード側のランプ、それぞれ1つずつ点灯するはずです。 どちらかの側が点灯しない あるいは どちらの側も点灯しない 場合は、どこかに不具合があります。
他のパソコンと「会話」できる状態になっているかどうか確認します。 ここでは、Aさんのパソコン(192.168.11.1)とEさんのパソコン(192.168.11.9)を相手に、短いデータのやり取りをしてみます。
[スタート]→[プログラム(P)]→[MS-DOS プロンプト]を選択します。 真っ黒な画面が開くので、半角で「PING 192.168.11.1」(小文字でも可)と入力し、Enterキーを押します。
そのパソコンから応答があれば、「Reply from 192.168.11.1: ....」等と表示されます。 応答が無ければ、「Request timed out.」と表示されます。
注意:もちろんIPアドレスは、実際のIPアドレスを指定してください。
参考:応答は自動的に行なわれるので、AさんEさんの側で「何かしないといけない」ことはないです。
この実行例では、Aさんのパソコンからは応答がありましたが、Eさんのパソコンは応答がありませんでした。 この結果から、次のようなことが分かります。
参考:「Destination host unreachable.」になる場合は、IPアドレスの「192.168.XXX.YYY」のXXXの部分が異なっているのかもしれません。 サブネットマスクの設定も確認してください。
確認が済んだら、右上の[X]ボタンを押して「MS-DOS プロンプト」を閉じます。
通常、LANカードにはランプが2つあります。 1つは前述したように、HUBにケーブルで接続した時点で点灯します。 もう1つはデータを送受信する時に点滅します。 HUBの側にも同じように、端子ごとに2つのランプがあります。
HUBやLANカードの機種によっては、それらを1つのランプで兼用して、「ケーブルでつなぐと点灯、送受信する時に点滅」となっている場合もあります。
「4.3 他のPCとの接続確認」で「PING」を実行している最中はデータの送受信を行なっているので、この"もう1つのランプ"も点滅します。 といっても、すぐそばにあるパソコンとの間で短いデータをやりとりしているだけなので、そんなに派手には点滅しません。
また、「何もしていないはずなのに時々点滅している」こともあります。 これは、ユーザーからは見えない部分でデータのやりとりが行なわれているためで、異常ではありません。
LAN内の1台のパソコンをチャットサーバーにし、各パソコンからチャットクライアントで接続します。 「サーバー専用」のパソコンが必要なわけではなく、サーバーソフトを動かしているパソコンでもチャットクライアントを使うことができます。
どのパソコンをサーバーにしても構いません。 しかし、サーバーソフトが動いていない限り全体としては意味がありませんから、動作に不安のあるパソコンをサーバーにするのは避けた方がよいでしょう。
クライアントからサーバーに接続する時に必要になるのが、「サーバーのIPアドレス」と「サーバーのポート番号」です。
サーバーのIPアドレスはそのパソコンの使用者が知っているはずです。もし分からなければ「4.1 自分のPCのIPアドレスの確認」の手順で確認します。
ポート番号はサーバーソフトによってまちまちですし、設定変更できるようになっていることもあります。 何番のポートを監視しているかはサーバーソフト上で確認できるようになっているはずなので、それを各クライアントで設定します。
Bさんのパソコン(192.168.11.2)のポート23でサーバーを動かす場合には、それぞれのパソコンのクライアントソフトから、「192.168.11.2」の「ポート23」に接続するように設定します。
参考:サーバーへは複数のクライアントから接続できます。クライアントは(通常は)1つのサーバーにしか接続できません。
最近開発されているソフトの中には、「サーバーでもクライアントでもない」(サーバーでもクライアントでもある)ソフトがあります。 この種のソフトでは、「どのパソコンがサーバーか」「ポート番号は何番か」等を意識しなくて済みますし、「サーバーがこけたら全部こける」といったこともなく、簡単でしかも安心して使えます。
「きうい」は、ニフティが提供しているチャットサービスとほぼ同じ機能のチャットサーバーです。
http://www.satoshi.com/ksp/
「きうい」を起動すると、タイトルバーにそのパソコンのIPアドレス(192.168.11.2)、ステータスバーにポート番号(23)が表示されます。
この状態ではまだサーバー機能は動いていないので、メニューの[サーバー(S)]→[実行(R)]します。
ポート番号23でサーバーが動き始めたことが表示されます。 クライアントが接続してくると、そのことも表示されます。 これでもう「きうい」を設定・操作することはないので、最小化しておいても構いません。
終了する時には、メニューの[サーバー(S)]→[停止(R)]してから終了します。
参考:「きうい」が監視するポート番号を変更するには、メニューの[サーバー(S)]→[ポートの変更(P)]を使います。
「きうい」と同じ作者が開発した、ニフティのチャットサービスや「きうい」用のチャットクライアントソフトです。
まず、「きうい」に接続するための設定を登録します。 「ばななの木」を起動して、メニューの[アクセスリスト(A)]→[アクセスリストへの追加(A)]を選択して、「アクセスリストへの追加」ダイアログを開きます。
[アクセス名]欄に「きうい」と入力して、[OK]ボタンを押します。
参考:単なる名称なので、違う名前でも構いません。
「アクセスリストの設定」ダイアログが開くので、 [ホスト名/電話番号(H)]欄にサーバーのIPアドレス(192.168.11.2)、 [ポート番号(P)]欄にサーバーのポート番号(23)を入力します。
参考:開いた直後はちょっと違う表示ですが、IPアドレスを入力するとこのようになります。
入力したら[OK]ボタンを押して、ダイアログを閉じます。
[アクセス名(L)]欄に「きうい」と表示されていて、その下の[接続先]欄のIPアドレスとポート番号が正しいのを確認して、[接続(C)]ボタンを押すと、サーバーに接続します。
次回以降は、起動した直後から[アクセス名(L)]欄が「きうい」になっているはずです。 なっていなければ、[▼]を押して選択します。 サーバーのIPアドレスやポート番号を変更する時は、[編集(E)]ボタンを押して「アクセスリストの設定」ダイアログを開いて設定変更します。
例:Aさんのパソコンで動いている「きうい」に接続する時には、IPアドレスを192.168.11.1に設定します。
「表示用パソコン」を1台用意して、スキャンコンバータを接続して大型TVや液晶プロジェクターに表示させることがあります。 このパソコンでは入力は行なわず、「表示する」専用です。
「ばななの木」自身にも、表示用の機能があります。 文字のサイズや色は、メニューの[その他(O)]→[画面の設定(T)]で設定できます。
その他、拙作のRTDを使うこともできます。
http://www.marchingkids.net/hamakaze/f5/rtd2kiwi.htm
チャットサーバーに「きうい」を使っている場合、入力した各行の先頭に「(1,AAA00001)」といった文字列(チャンネル,ID/名前)が表示されてしまいます。 これを消すには、表示用のクライアントから「/HN OFF」と入力して、Enterキーを押します。
表示用パソコンは、その画面を大型TVや液晶プロジェクターに映す関係上、「表示専用」になってしまいます。「どうせ1台専用にするなら」と、表示用パソコンをチャットサーバーに兼用させてしまう方法もあります。
もしかしたら、役に立つこともあるかもしれません。
LANカードを挿したままモデムを使ってInternetにPPP接続しようとしてもうまくいかないことがあります。 これは、LANカードのIPアドレス(ネットワークの設定)と、PPPのIPアドレス(ネットワークの設定)が衝突するからです。 このような場合は、次のようにして回避します。
1台のパソコンを、職場や家庭内(!)でLAN接続して使ったり、持ち出してPC要約筆記に使ったりすることもあります。 このような場合もネットワークの設定を変更しなければならないことが多いですが、細かい設定を忘れたり間違えたりするとうまく接続できません。 次のようなソフトを使うと一括して切り替えることができます。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/net/se060975.html
DHCPを使えば、個々のパソコンにIPアドレスを設定しなくても、接続した時に自動的に割り当てることができます。
ただし、それなりに知識を要求されるので、「DHCP」が何を意味するのか分からない人は、地道に手作業で管理・割り当てする方が無難です。
http://www.vector.co.jp/soft/win95/net/se042708.html
LANを使えるようにするのは、不可能ではありませんがかなり困難です。 また、3.1に対応したソフトがあるとも限りません。 それ自体を楽しむなら別ですが、実用的ではないのであきらめた方がよいでしょう。
LANカードから生えている短いケーブル(いわゆる“しっぽ”)は、カードとの接続部分(コネクタ)が弱くて壊れることがあります。 ケーブル自体をカードから抜き挿しする時以外には、なるべく力を加えない方が安全です。
コネクタを持ってカードをパソコンに抜き挿ししたり、カードをパソコンに挿した状態で上から力を加えたりするのは避けた方が無難です。
パソコンの電源が入った状態でLANカードを挿しても(だいたい)大丈夫ですが、電源が入った状態でLANカードを抜く時には注意してください。
この手順が面倒なら、パソコンの電源を切ってからLANカードを抜くのが一番安全で確実です。
http://www.nara-edu.ac.jp/~fujiwara/JS97/sys2.htm
http://www.ascii.co.jp/ghelp/index.html
http://www.marchingkids.net/hamakaze/f5/lanhelp.htm
http://home.highway.ne.jp/kinoppi/cap/softdoc.html