プロジェクタ あれこれ

Kengo Jinno
<KHB04045@nifty.ne.jp>
Mar. 4, 2000


パソコン字幕・要約筆記でプロジェクタを使う場合、一般家庭で大画面映像を楽しむ場合とは異なる特徴があります。


投影サイズ

一般に、映像のサイズは対角(斜め)の長さで表わします。 縦横の比率はほとんどの場合3:4になっているので、 ピタゴラスの定理により「縦:横:斜め=3:4:5」の関係であることがわかります。 この関係を使えば「斜めの長さから縦・横の長さを求める」「縦・横の長さから斜めの長さを求める」ことができます。

では、「100型」の縦横のサイズはいくつでしょうか? 実はこの「型」は「インチ」と同じです。 計量法の定めにより日本国内でインチ表記することはできないため「型」としているだけで、 実体はインチと同じです。 というわけで、「100型」なら「斜め=100インチ 縦=60インチ 横=80インチ」になります。 1インチは2.54cmなので、表にするとこんな感じになります。

サイズ面積
(インチ)(インチ)(m)(m2)
50 30 400.76 1.01 0.76
60 36 480.91 1.22 1.11
70 42 561.07 1.42 1.52
80 48 641.22 1.63 1.98
90 64 721.37 1.83 2.51
100 60 801.52 2.03 3.09
150 901202.29 3.05 6.97
2001201603.05 4.0612.38
2501502003.81 5.0819.35
3001802404.57 6.1027.88
4002403206.10 8.1349.55
5003004007.6210.1677.42

「面積」は「明るさ」を考える時に重要になってきます。 サイズが2倍になったら面積は4倍、サイズが3倍なら面積は9倍、つまり面積は二乗で効いてくることに注意してください。


明るさの単位

プロジェクタのカタログには、「明るさ何ルーメン」という記述があります。 「大きいほど明るいんだろう」とはわかっても、「さてどのぐらい明るいのか」はなかなかわかりにくいです。

照度(ルクス)

明るさの基準としてもっとも身近なのが「照度(ルクス)」です。

こういった「照らされている部分の明るさ」を表わすのが「照度(ルクス)」です。

たとえば、労働省の「VDT作業のための労働衛生上の指針について」(昭和60年12月20日基発第705号)によると、

“陰画表示のCRTディスプレイを用いる場合のディスプレイ画面における照度は500ルクス以下,書類及びキーボード面における照度は300ルクスからおおむね1000ルクスまでとすること。”

とあります。「画面が明るすぎてはいけない、周辺も適切に明るく」ということです。

細かい作業をする手元は1000〜1500ルクス程度、読書などでは300〜500ルクス程度が適当だと言われています。

光束(ルーメン)

さて、「ある照度を確保するのにどれだけの明かり(電灯)が必要か?」というのが、光束(ルーメン)の考え方になります。

手元を照らすだけならば、20W程度の蛍光灯だけで充分でしょう。 しかし、部屋全体を照らすのに20Wの蛍光灯だけでは不充分です。60Wとか80W、あるいはもっと必要になります。

1m2(平方メートル)の範囲を1ルクスの照度(明るさ)で照らす明かりが1ルーメンです。

一般の蛍光灯は、1Wあたり60〜80ルーメン程度です。 20Wの蛍光灯(間をとって70lm/Wとして)で1400ルーメンです。 これで1m2の範囲を照らせば1400ルクスになります。 しかし、範囲が10m2(約6畳)なら140ルクスにしかなりません。 (実際には散乱がありますし、もっと暗くなります)

プロジェクタも同じで、1000ルーメンのプロジェクタで100インチ(約3m2)に投影すると、約333ルクスになります。 同じプロジェクタで400インチ(約50m2)に投影すると、約20ルクスになります。

600ルーメンのプロジェクタで80インチ(約2m2)に投影したのと、 2100ルーメンのプロジェクタで150インチ(約7m2)に投影したのとは、 ほぼ同じ明るさ(約300ルクス)になります。

「光束」はその文字通り「光の束」と考えればわかりやすいでしょう。 1000ルーメンなら、「1000本の束を投影面積に分配した時に1m2あたり何本になるか」で照度(ルクス)が求められます。

このように、投影面積によって明るさ(照度)は変わります。 投影面積を考えずにカタログ上のルーメン値だけ比較しても意味がありません。

ANSIルーメン

「光の束」は、投影面積のすべての部分に均等に分配されるわけではありません。 一般に、中央部分に多く、周辺部分には少なくなります。 つまり、中央部分が明るく、周辺部分は暗くなります。

これを、一番明るい部分を基準にして「うちの製品は1200ルーメンあります」と表記するメーカーや、 逆に良心的に一番暗い部分を基準にして「800ルーメンです」と表記するメーカーがあると混乱します。 実際に投影してみるとどちらもほぼ同じ明るさだったり、同じカタログ値で大幅に明るさが違うこともあります。

そういう混乱を避けるために、「平均した明るさ」の意味で「ANSIルーメン」と表記します。

輝度(カンデラ/平方メートル)

プロジェクタのような投影式の表示装置ではなく、自光式の表示装置もあります。 たとえば野球場や陸上競技場に設置されている、オーロラビジョン、ジャンボトロンなどです。

これらの装置は「面」で発光し、その明るさを「輝度(カンデラ/平方メートル)」で表わします。 「発光面の1m2につき何カンデラの光を放出するか」です。 「カンデラ」は「光度」の単位で、ようするに「光のエネルギー量」です。

(以下、調査中)


少しでも明るくするために

だいたいの場面において、プロジェクタで投影した映像は暗いです。なぜでしょうか。

プロジェクタはスクリーンに投影させます。 しかし、まったく投影してない状態でもスクリーンは白く見えます。 スクリーン自体が光を発しているわけでもないのに「白く見える」とは、 「どこかから光がやって来てそれがスクリーンに反射している」ということです。

その「どこかから来る光」と「プロジェクタが照らす光」の強さが関係します。 直射日光の当たっている壁を懐中電灯で照らしても、どこを照らしているのか見分けられないのと同じ理屈です。

「プロジェクタが照らす光」は、プロジェクタの性能(ルーメン値)と投影面積で決まってしまいます。 これを変えて(ルーメン値の大きいプロジェクタを使う、投影面積を狭くする)強くすることができればいいのですが、 そう簡単ではない場合がほとんどです。 となると、「どこかから来る光」をなるべく弱くしてやるしかありません。

どこから光が来るかというと、まず一番に部屋の明かりや太陽光です。

できれば真っ暗にしたいところですが、そうもいかないでしょうから、支障のない範囲でなるべく暗くします。

さらに、美観の問題はありますが、壁や床で照明が反射するのを防ぎます。

以上のように、プロジェクタがスクリーンを照らす照度だけを気にしても、実は意味がありません。 それがたった20ルクスでも、照明をほとんど落とせる映画館や劇場なら充分かもしれませんし、 1000ルクスあっても日中の屋外では役に立たないでしょう。


スクリーンの違い

人間が見るのは、プロジェクタからスクリーンに映し出された映像です。 つまり、プロジェクタから出た光がスクリーンに反射したものを見ていることになります。

いくら明るいプロジェクタでも、スクリーンの反射率が低ければ、人間には明るく見えません。 逆に、反射率がよすぎるとまぶしく感じます。

スクリーンにもいろいろ種類があって、特性が違います。

ホワイト(マット)

ほとんどのスクリーンがこのタイプです。

つや消しになっていて光が散乱し、どの角度からでも映像が見えるようになっています。 「散乱させる」ため、反射効率はそれほどよくありません。

パール

散乱はなるべく抑えて、鏡のように効率よく光を反射するように作られています。

プロジェクタの真後ろから見る、あるいは天井吊り下げのプロジェクタから投影する場合に使われます。

ビーズ

反射が主目的なのはパールと同じですが、光が元来た方向に反射するのが特徴です。 そのため、照明や壁・天井からの光に影響されにくく、周囲が明るくてもはっきりした映像になります。

プロジェクタの真後ろから見る場合に使われます。

その他

(以下、調査中)

結論

「パール」や「ビーズ」は反射効率がいいので明るいのは確実ですが、見るのに適した範囲(角度)が限定され、それを外れると見づらくなります。 一般家庭での投影のように、せいぜい数人程度で見るのならば明るくていい(逆に明るすぎることもあるらしい)のですが、広い範囲から見る場合には向いていません。


プロジェクタの方式

ここまで1回も「液晶」という言葉を使っていません。 プロジェクタは「液晶プロジェクタ」だけではありません。

液晶(LCD)

現在の主流です。

原理はノートパソコンの液晶画面とほぼ同じで、バックライトの代わりに強力なランプを使っています。

三管式

かつての主流でしたが、徐々にすたれつつあります。 三管式の新製品も出なくなってきているようです。

原理はTVのブラウン管とほぼ同じで、RGB(赤 緑 青)の3本のブラウン管で投影します。 レンズが3つある外観が特徴です。

利点
欠点

DLP

これから液晶に取って代わるのではないかと思われる方式です。

液晶プロジェクタは、色付きのセロハンで影絵をやっているのと同じようなものですが、 DLPでは数十万個の極めて小さな鏡(DMD素子)を制御してランプの光を反射させ映像にします。 外観は液晶プロジェクタとほとんど変わりません。

"DLP"は"Digital Light Processing"の、 "DMD"は"Digital Micromirror Device"の略です。

利点
欠点

(以下、調査中)


プロジェクタへの入力信号

コンポジット入力

普通「ビデオ信号」と言えばこれです。

利点
欠点

S端子

Y信号とC信号を別々に伝送します。 コンポジットのケーブルよりも若干太いです。

利点
欠点

RGB端子

パソコンから直接接続します。

最近のプロジェクタではたいていこの端子を持っていて、直接パソコンを接続できるようになっています。

利点
欠点

選択の目安

  1. 端子があるかどうか

    いくらS端子を使いたくても、双方(スキャンコンバータとプロジェクタ)にS端子がないと接続できません。

  2. プロジェクタとパソコンの距離

    その距離で届く長さのケーブルを準備できるかどうかによります。

  3. 高画質優先

    以上の範囲内でなるべく高画質な端子・ケーブルを使うとよいでしょう。

なお、スキャンコンバータを使う場合は、(当然ですが)スキャンコンバータ自体の性能(画質)にも影響されます。


参考にしたページ

順不同です。