画面上の方に、SetPosと書いてあるチェックボックスと、その下にある10個のボタンの有効な使い方を説明します。このボタンは、曲中の位置を記憶しておくために使います。例えば、今、Aメロの頭を記憶させたいとき、まず早送りなどでその場所まで移動します。そして、SetPosをチェックし、記憶先のボタンを押します。これで、そのボタンにはAメロの頭が記録されました。停止中でも再生中でも、このボタンを押せば瞬時に記憶した場所へ移動できます。また、ロケーション移動ボタンで、自動的にその場所で止まるようになります。これは、例えば何度も聞いて確かめる必要があるときや、ある場所からのレコーディングを何度も行うときなどに非常に便利です。この記憶を消したいときは、曲の頭「0001:01:000」でSetPosします。
目的の場所へ移動するにはいくつかの方法があります。最も良く使うと思われるのが小節グリッドのダブルクリックで、ダブルクリックした小節に瞬時に移動できます。ロケーション移動ボタン(<<| |>>)は曲の最初、終わり、ループポイントや先に説明したSetPosで記憶した場所を移動するのに使います。早送り、巻き戻しボタン(<< >>)は、1小節単位の移動に使います。このボタンは、押し続けることによって素早い移動が可能です。それに対して、シャトルバーは、微妙な移動に適しています。
左手でキーボード、右手でマウスを使うと、もっとも早く編集が行えます。実際のやりかたとしては、マウスでトラックや小節を選択し、キーボードで数値を入力したり、キーボードショートカット(例えばコピーならCtrl+C)を使います。キーボードを使いたくないときは、右クリックでポップアップするメニューを活用するといいでしょう。例えば選択小節を切り取りたいとき、マウスを小節グリッド上で右クリックし、続けて切り取りをクリックします。
ビレイクビーツを打ち込むには、数小節をを何回も繰り返し聞きながら、微妙に発音のタイミングやベロシティーを調整する必要がありますが、ループ再生機能と、再生中にも編集できる点を生かすと、楽にブレイクビーツを打ち込むことができます。
まず、ブレイクビーツを打ち込む小節で再生がループするようにします。例えば2〜5小節目の4小節のブレイクビーツを生成したいばあい、2小節の頭をループ開始ポイント、6小節目の頭をループ終了ポイントに指定します。これで、先ほどの4小節を何度も繰り返し再生できるようになりました。
続いて、ブレイクビーツを打ち込みたいトラックのピアノロールウインドウを開き、入力モードにします。ここで、再生しながら入力、発音タイミングやベロシティーを調節してやることにより、再生される音を聞きながら作っていくことができます。もっと細かいタイミングで繰り返し聞きたい場合は、ピアノロールの上の小節番号の書いてあるあたりをダブルクリックします。演奏位置は瞬時に移動し、聞きたいところをすぐに再生する事ができます。
GM/GS/XGなどに準拠した配布用標準MIDファイル(SMF)を作成するには、曲の頭に音源の初期化情報、音色、ボリュームなどの情報を挿入しなければなりません。ここではその手順を説明します。
まず、曲の頭にこれらの情報を挿入するだけの十分な時間が空いているかどうか確かめてください。実際の演奏情報は1小節目からではなく、頭に2小節くらいの余裕を設け、3小節目くらいから置いたほうがいいでしょう。演奏データが1小節目や2小節目から始まっているなら、トラックを全て選択(トラックを右クリックして全て選択を実行します)、小節を頭から1小節〜2小節くらい選択し、空白時間の挿入を行います。これで、曲の頭に余裕ができたはずです。
では続いて、トラック初期化情報(音色、ボリューム、パンポットなどのデータ)の挿入を行います。先ほどと同じようにして全トラックを選択し、実行メニューからトラック初期化情報の挿入を行います。ここではまず、トラック初期化情報の挿入位置を指定しなければなりません。この後トラック初期化情報より前で音源の初期化を行わなければならないため、少し余裕を持って2小節目の頭くらいに挿入します。その他の設定については、大体必要と思われる項目があらかじめ選択されていますので、このままOKボタンを押します。これで、トラック初期化情報の挿入は完了です。
次は、音源初期化のためのシステムエクスクルーシブを挿入します。まず、適当なトラック(1トラック目などでいいでしょう)を選択し、イベントリストを開きます。ここで鉛筆ボタンを押し、イベントを選択します。イベントエディットウインドウが開いたら、イベント位置を曲の頭(1小節目の頭)に設定し、イベントの種類からスペシャルを選択します。ここで、選択ボタンを押すと、スペシャルの編集ウインドウが開き、システムエクスクルーシブが編集できます。
テンポ情報をイベント化していない(テンポトラックがミュートされている)場合は、テンポ情報も挿入します。システムエクスクルーシブの時と同様にテンポトラックのイベントリストを開き、ここで曲の頭にテンポイベントを挿入します。
これで必要なすべてのイベントは挿入されました。F5キーで曲の頭から再生して見てください。音源が一度初期化され(すべての設定値が初期状態に戻り)、その後で音色、ボリュームなどが設定され、演奏が始まるはずです。
データが完成したら、あとはMIDファイルに書き出すだけです。ファイルメニューから保存を選び、拡張子をmidにして保存します(拡張子をmidとすると自動的にSMF形式で保存されます)。SMF形式で保存ウインドウが現れ、SMFに書き出す際の詳細を聞いてきますが、通常はそのままOKボタンを押してかまいません。これでSMF形式で保存されたはずです。一旦MSSを終了したら、メディアプレイヤーなどでテスト再生して正常にmidファイルが書き出されたか確かめて見てください。
MSSでは、GM/GS/XGのための音源初期化用システムエクスクルーシブをあらかじめ用意していますので、これを使うことにします。ウインドウ下のプリセットエクスクルーシブボタンを押してください。プリセットエクスクルーシブの選択ウインドウが開き、ここで、GM音源用のデータならGM ONを、GS(SC-55、88シリーズなど)音源用のデータならGS ONを、XG(MUシリーズなど)音源用のデータならXG ONを選択し、OKボタンを押します。これで、プリセットエクスクルーシブが呼び出されました(GMの場合ここでChを7Fに替えておくと、音源側のシステムエクスクルーシブ受信チャンネルが何であっても初期化命令が受信されます)。登録ボタンを押してこのシステムエクスクルーシブを登録したらOKボタンを押してスペシャルの編集ウインドウを抜けます。
イベントエディットウインドウまで戻ったら、GS/XG音源の場合左側の値に16を入力します(GM音源の場合は必要ありません)。この値はGS/XG音源のデバイスIDというもので、この値が一致しないと音源は初期化命令を受信しません。工場出荷時にはどちらの音源も16に設定されているため、通常は16を入力するのです。入力したら、OKボタンを押してください。