『初夏のモヤシ炒め』の巻


 会社の帰りに、いつも途中のスーパーに寄ります。目的は、タカラの缶チューハイ(レモン)の350ミリリットル缶を2本買うことです。別に、それ以上買うと家計を圧迫して2歳の娘がおまんまを食べられずに泣き叫び、女房は鞄を下げて実家に帰ってしまうというわけではありません。本当は4本も5本も買って、片っ端から飲み干したいのですが、飲みはじめるとあればあるだけ飲んでしまい、プロポーションは崩れ、肝機能は低下して医者に怒られ、結局後悔することになるので、最小限だけ買って帰る様にしているというわけです。

 スーパーというのは、たいてい入ってすぐのところには野菜や果物が置いてあり、通路に沿って回遊魚の様に巡回してゆくと、魚、肉、お惣菜のコーナーなどがあって、レジの手前あたりに、やっと目的のお酒のコーナーが出現するという様なレイアウトになっています。これは実にうまいやり方ですね。目的のお酒のところに行き着くまでに、どうしても他のコーナーを通過しなくちゃなりませんので、仕事が終わって帰宅途中の身としては、どうしても色々な食材が目に付いて、ついつい買ってしまうことになりがちです。

 お酒のところに到達するまでに、私がいつもひっかかるコーナーというのはだいたい決まっているのですが、今日のところは最初にひっかかるモヤシのことを書きましょう。モヤシは、何といってもそのボリュームと値段のバランスが、他の野菜と比べて群を抜いています。私は、どうしてもモヤシの棚を無視して通過することができません。

 私がいつも買うモヤシは、通常は1袋35円です。モヤシでどんな料理を作るにせよ、一家三人分としてはこれで十分です。安売りの時などは、2袋10円とかで売っていることもあります。この様な時は、私はあまりの安さに思わず目をそらしたくなり、後ろめたいような気持ちになりながら、モヤシの棚を素早く通過しつつカゴの中にモヤシを放り込みます。

 モヤシは安いばかりではなく、ヘルシーで色々な料理に応用が利き、食材としては実に優秀です。手慣れた主婦の皆さんならば、すぐに5種類や10種類のバリエーションは出てくるでしょうが、ここは初夏にふさわしく、サッパリしてなおかつスタミナのつきそうな一品を紹介します。私はいつも、風呂上がりに腰にバスタオルを一枚巻いただけの姿でパッパッとこれを作り、続いて素早くパンツを着用して冷蔵庫から氷と缶チューハイを取り出し、晩酌の体制に突入して行きます。この間、所用時間は約3分25秒です。

 料理の名前は、う〜ん・・・、何にしようかな?初夏の頃にちょうど新しいものが出回るニンニクを使いますから、『初夏のモヤシ炒め』とでもしときましょうか?作り方は、クドクド書きません。要するに、胡麻油とニンニクでモヤシを炒め、中華味の素、醤油、酢で味を付ける。以上!!

 胡麻油はタップリめに使って、胡麻の香を活かして下さい。中華鍋を火にかけて油を入れたら、ニンニク一片を素早くすりおろして入れます。即座にモヤシを投入して、間髪を入れずに中華味の素、醤油、酢と投入して、もたもたせずに皿に移します。炒め物は、とにかく強火で一気に仕上げるのがコツです。ただし、最初に油を焼きすぎると、ニンニクが焦げて香が無くなってしまうので注意して下さい。仕上げに炒り胡麻を振り掛けるとより香ばしくなって食欲をそそります。冷蔵庫に油揚げやハムなどがあれば、刻んでモヤシと一緒に炒めるのも良し、味付けの前に溶き玉子を回し掛けしてもオツなものです。

 出来たら熱いうちにワシワシと食べましょう。時間が経つとモヤシのパリパリ感が無くなって来ます。ま、それはそれでうまいもので、残ったのを翌朝の御飯のおかずにするなどというのも私は好きなのですが・・・・。ちなみに、モヤシを炒める前に、サッと茹でておくと、時間が経ってもパリッとしたまま食べられます。私は面倒なのでやりません・・・。さ、『初夏のモヤシ炒め』で、パワフルに夏を乗り切りましょう。


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