箱庭生活
第37号 1月25日更新

新潟は暖冬とは言え、やっぱり寒いです。そんな頃、夏のコミケットの申し込み書を書かねばならぬ理不尽さ…。受かるかどうかは神のみぞ知りますが、受かれば行くし、落ちたら今年は一般参加もパスだなぁ…と、すっかり病弱な私は考える今日この頃なのです。それでも総集編は作ろうかなぁ。
■女性向け恋愛育成作品■
スイートアンジェ(ゲームボーイ・テーブル・コーエー)
アンジェリーク」のキャラで作ったすごろくゲームです。内容は本編とつながりは無く、キャラも名前も一緒ながら、登場人物たちは全く新しい設定を持たされています。勿論、基本的には「アンジェリーク」を踏襲した世界(試験・ライバルとの闘い・彼女達をサポートする8人の男性・親密度etc)なのですが、本編2作と外伝2作(「不思議の…」「天空の鎮魂歌」)に比べると思い切って変えてきたなぁという印象を受けます。
お菓子作りの盛んなスモルニィ学園のお菓子の女王コンテストに4人の女の子が選ばれます。予選期間を経て、上位2人で最終決戦が行われます。審査と協力は9人のスイートナイツと呼ばれる男子生徒。スイートナイツはケーキ、クッキー、コーヒー、ティー、ジュース、パイ、和菓子、パフェ、ゼリーをそれぞれ担当しています。初代「アンジェ」の守護聖メンバーです。ちなみに「2」に追加された男性キャラは出てきません。
今回は星座・血液型入力がありません。レシピとお菓子の材料=カードを、スイートナイツと共に、街=すごろくMAPで集めて、それを組み合わせて一品作ります。それを学園のスイートナイツが管理する店に出品し、学園の生徒たちによる人気投票にかけます。その人気度によって、カードを購入する軍資金=ハートにあてます。まあ、それで上位2位までに入り、最後に一品出し合い、評価の高い方が勝ちになります。特に親しい相手がいる場合はコンテスト後エンディングが追加されます。うーんと、こんなもんでわかるかな。
ボードとしては個性を出していると思います。やや1回の"すごろく"の時間がかかる部分が気になりますが、ゲームボーイお得意の"集める"部分と"すごろく"の手軽な部分が上手にマッチしていると感じました。
私自身は評価したいと思います。元々"すごろく"好きなので、おそらく別のキャラでも楽しめるでしょう。同系の「不思議の国のアンジェリーク」に比べても、オリジナリティも難易度設定も格段に優れていると思います。
ただ、アンジェリークのファンに対してはどうなのか、という問題は残りますね。"すごろく"ゲームとしては及第点ですが、恋愛育成としては他要素が強すぎます。だからファンによって評価が大分別れているようです。運に頼る"すごろく"の世界を受け入れられるか、ゲームボーイというハード上の音声無し&グラフィックの貧弱さ(私はコレはコレで良いとは思っていますが)を許せるか、2代目アンジェとレイチェルは出ているのに「2」のキャラは全く出ないところとか、それぞれのファンの「アンジェリーク」を好きな理由によって評価は変わります。それが、キャラゲーの難しさです。
今回の「すいーとあんじぇ」は明らかにキャラゲーです。何故なら、間違いなく「アンジェリーク」のファンしか買わないから(笑)。
雑誌、広告等全てにおいてゲーム内容の説明の足りない作品でした。内容的にはお菓子好きの女の子がプレイした方が楽しいような気もするんですけど。食欲が無い時は少々辛いゲームですよねぇ。
個人的には対戦出来ないのがもったいないですね。とは言え、身近にゲームボーイを持っている友人も無く、通信機能の無いスーパーゲームボーイで遊んでいる私には、どうしようも無いのですが。せっかくなら、ドリームキャストでネット対戦出来るようにリメイクしてくれないかしら。こういう勝負物って実は女性同士の方が燃えるのです。メーカーさんは「対戦は男性しかやらない」と思いがちですが、実際はそうでもありません。

■関連作品■
不思議の国のアンジェリーク(PC-FX・プレイステーション/サターン/WIN95・テーブル・光栄)
最近ベスト版が出たそうなので、一応簡単レビューを書いておこうかと思いまして。…でもなぁ(笑)。
内容的には完全に外伝というか、「すいーと…」よりもキャラゲー要素が強い作品です。アイデア的には盛り沢山ですし、最近本編では減りつつあるオリジナルイラストも多めで、アニメーションの質もわりと後発の作品よりは悪くありません。CD等で登場した前・緑の守護聖のカティスが出てきたり、「2」に続く"プレゼント""忘れ物"イベントの片鱗の見える意欲的な作品ではあります。
でも、ゲームとしてはかなり消化不良です。「アンジェリークSpecial」をプレイするためにPC-FXを購入してくれたユーザーの為のサービス…という心意気は嬉しいのですけど、そのサービスが細かいパーツ(キャラ・イベント・グラフィック)レベルで留まっているのが現状です。
ミニゲームのパズルやクイズも、最後の最後にいきなり登場するシューティングも"アンジェリーカー"を対象にしている作品としては、マニアック過ぎ且つ難易度が高すぎるのです。私のプレイしたのはPC-FX版なので、後発のプレステ版等は多少調整されているかもしれません(「天空の鎮魂歌」がそうだったので)。それでも、サービスディスク扱いに近いこの作品には不適当なゲームデザインだと思います。ゲーム部分とイベント部分の製作が完全分業でバランスが崩れたのでは無いでしょうか。ま、この作品自体、オススメはしません。「アンジェ」ファン専用かな?

■18禁パソコンゲーム■
魔法少女メルル(WIN95&98・アドベンチャー&ミニゲーム・あかとんぼ)
アンジェリーク」とはまた少し違うタイプですが、これも一応キャラゲーです。18禁作品では実に珍しいですが、元々は美少女パソコンゲーム誌の増刊マンガ誌に掲載され、ビデオアニメ化(勿論18禁)もされました。でも、原作の出版社がアニメ及びゲーム製作部門を創設したからそうなっただけなのかもしれませんけど。まあ経緯としては珍しいです。
お話自体は良くあるファンタジーです。魔法に呪文にモンスターと「ドラクエ」的空想冒険世界が舞台です。原作とアニメは、単に天然ボケ魔法少女メルルがモンスターに襲われつつ(このへんが18禁)も旅を続ける…と、女性にはとてもお薦め出来るような内容ではありません。
でも、ゲームだけは何故か原作やアニメとは違う方向なんですよ。逆に言えば、原作やアニメのファンの求めるものとは別の面白さを出している作品になりました。キャラに頼っている甘さは多少見えますが、わりとライトで誰にでも楽しめるゲームに仕上がっています。まあ18禁ゲームとしては、かなり貴重な作風です。
まず、主人公をメルルではなく、彼女の幼なじみニコラという新しいキャラに設定したのがスゴいです。それも18禁ゲームでは実に珍しく、顔グラフィックと声がバッチリ入っているのです。勿論、18禁部分は彼が担当するのですが、基本的にはメルルに惚れているので、他の女性キャラとどうこうなる…というのがわりと少ないのも珍しいですね。
基本は一本道のアドベンチャー。メルルとニコラは魔法使いのお師匠様から、3つの宝玉を集める旅を命じられます。ただキャラもシナリオもコミカル(というかバカっぽい)なので、冒険が!闘いが!という風にはなりません。全体的にドタバタしたお気軽ファンタジーです。それに加えて、途中でモンスターと闘ったり、ダンジョンに入ったりすると、ミニゲームが登場します。モンスターとの戦闘はルーレット式で、うまく呪文の場所で止まれば攻撃、だめなら反対にヤラれます。でも、結局のところ、ニコラが失敗してもメルルがどうにかしてくれるのですが。だから、基本的には一本道で、ゲームオーバーもありません。このゲーム、それほど目立った分岐はありません。じゃあ選択肢やミニゲームは意味が無いのかと言えば、そうじゃなく大いに関係があるのです。
小さい所では失敗しないと見られないグラフィックがあったり、成功しないと貰えないアイテムがある等ですが、実際は唯一大きな分岐が後半登場するのです。メルルのニコラに対する感情とエンディングに、途中の選択肢及びミニゲームの成否が関係してきます。選択肢でどんなに立派な方を選んでも成果が出せなければ、ニコラはメルルに頼りっぱなしの男の子のまんま…ということになるのです。わりとストレートにプレイヤーが主人公に反映する作品です。セーブが一個所しか無く、ロードが簡単に出来なくしてあるのも多分製作者の狙いで、出来るだけあるがままの自分で遊んで欲しいと主張しているのかもしれません。
呪文ルーレットをマウスでクリックして止める戦闘シーンや、盗賊のリーダーとのトランプ的対戦ゲーム、宝玉の石面を上手くズラして取り出すパズル等、単純で簡単ながら面白いミニゲームが続きます。私はあまりアドベンチャーの中にミニゲームが入る作品は好きではありませんが、無理なく入っているし、何より難易度的に簡単なので楽しくプレイすることが出来ました。
無理に18禁にしなくても楽しいですが、成年コミックを原作とする作品がこういう形で結晶するというのも、皮肉というか面白いですね。このアイデアは悪くないので、この雛形でコンシューマで出せたら面白いのに…とも思います。レベル上げの必要なRPG、複雑なフラグ立ての必要なAVG、緻密な計算の必要な戦略SLG等と対極にあるとも言える手軽でライトなファンタジーというのも悪くないでしょう。
バカで考え無しのニコラも、いまいちパッとしない天才メルルも、偉い魔法使いのわりのセコいお師匠様も皆愛すべきキャラで、個人的にはお気に入りのゲームになりました。エンディングで女神様がプレイヤーを診断してくれるのですが、私は"男らしく実力の伴った理想の男性"だそうです。あはははは。
フル音声でその上アニメーション入りなんて、わりと贅沢な18禁パソゲーですが、方向性がライトで変り種のゲームですね。

次号は2月10日更新予定。「サモンナイト」か「ラングリッサー」

現在、ドリキャス強化月刊中。「花組対戦コラムス2」とか「ラングリッサー・ミレニアム」とかコツコツやっています。
どちらも結構色々な意味で「変」なゲームです。どこが変なのかは次号以降で(笑)。ま、予定は未定ですけど。
コーエーさんの女性向け作品はどうも両方延期っぽいです。うーん、予想はしていたんですがね。
ま、まだ色々ゲームは出るようなので大丈夫ですけど。
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