衣服に授業を振り返って

今回の授業を交流授業や機器の効果的な使い方などの点から振り返ってみました。

 授業前に一番気がかりだったのが、うまく接続して授業を続けられるか?という心配でした。しかし、これは事前に教育大の佐々木先生と藤本先生が、本番通りの機器構成をランチルームで設営してくれ、使用感や音の聞き取り安さ、音量、画面の明るさ等々を調整してくれました。これで、不安はほぼなくなり、授業前でも安心していられました。

 また、それに先駆けて本校教頭先生や用務技師さんもコンピューター室からアナログ回線を伸ばし、いつでもテレビ電話が使えるように敷設の援助をしてくれました。これで、前回デジタル信号回線を150メートルも伸ばして使っていたことによる信号の減衰の心配もなくなりました(教訓:デジタル信号線は、できるだけ短くする)。そのアナログ線を生涯教育センターから借れているTA(ターミナルアダプタ)のS/T線につなぎ、テレビ電話に接続しました。これで本当に安定した信号を得ることができました。本当に感謝いたします。

 今回は接続環境と機器のの充実によって多くの恩恵を受けることができました。子供達が自分の動きを近くのモニターからリアルタイムに見ることができ、タイ側にどのように映っているか見て取れることです。これによって、相手やカメラ写りを意識した表現がしやすくなります。これは、今後実施される「総合的な学習」でも役立つことと思われます。
 それから、今回から座席配置を換えました。ランチルームにおいてあった大型の机を廊下に出しイスのみを残して画面に集中できる体形にしました。これで手遊び、おしゃべりなどが減り、授業にも集中しやすくなったと思います。
 衣服の交流の授業形態は、主な発表者(日本語を覚えよう1人、日本の子供服の紹介4人、ゆかたを着る人4人、パーカマーを着る人6人など)が中心で、ほかの子供達はあいさつや歌を歌ったりすること以外、タイ側からの画像を見たり発表者を見たりということが中心でした。このために、手遊びやおしゃべりが増えたりする可能性があります。それで、事前に感想や考えを言うように伝えておきました。  質問したことは主に次のような事柄です。              

「タイの子供達がゆかたを着ていますが、どんなことを感じますか。似合っていますか?』    「(日本の子は)ちゃんとパーカマーが着られていますか?似合っていますか?」         

そのほか、顔の色や顔つきなどについても質問してみました。すると、多くの子供達が興味深く手を挙げて、発言してくれました。ほとんどの子供達はタイの子供達の浴衣姿はとても似合っていると言うことでした(もちろん反対意見もありましたが)。これは、タイの子供達がゆかたを着ているところをよく見て上手に着られていると感じたからだと思います。                また、タイ側がパーカマーの着方を教えてくれたあとで、ブンリー先生がパーカマーを着て披露してくれたばかりでなく、打ち合わせにもなかったパーカマーの使い方を教えてくれました。2人でパーカマーを持ち両端から持ち、真ん中に1人の子が布にくるまれるように入り、ハンモックかゆりかごのように揺らしてもらうのです。これを見た子供達は「やりたい?」と聞くと、我も我もと多く子が手を挙げました。言葉は通じないけれど、おもしろさを感じ取ることや遊びにタイする意識はどこの国でも同じだなあと感じさせられました。                               

 そろそろ回線切断時間がきて、さようならを言うとき歌を歌うことにしていました。それは前回タイの子供達が「おどるぽんぽこりん」を別れ際に歌ってくれたからです(タイでは「ちびまるこちゃん」が子供達の人気番組だったようで、みんなよく知っている曲なのだそうです)。今度は日本からも、と歌い出すと一緒に歌ってくれたそのあとに、なんとまた違う日本の歌を歌ってくれました。 夏休みにタイへ行って打ち合わせをしたときには、なかったプログラムだし、きっとブンリー先生が配慮して子供達に教えてくれたのでしょう。本当に感激しました。と同時に、ブンリー先生のすごさや熱意を感じさせられました。                                   このようなことは、テレビ電話やインターネットなどで交流するとき、現実には授業や会議などでうまく打ち合わせができない状況がほとんどだと思いますので、お互いにこんな配慮ができたらより授業も盛り上がるのではないかと思います。 ありがとうございます、ブンリー先生。
 反省点もいくつかあります。

一つは機器を増やしたことで子供達の活動スペースが少なくなったことです。液晶プロジェクターは、どうしても教室の中程に配置させる必要がありました。モニターはもう少しは位置を替えることができたように思います。しかし、どこの学校でも教室に広さは変わらないでしょうし、それにもまして機器の効果の方が大きかったことは事実です。

 それから発問が単調になってしまったことです。タイからの画面は教師である僕の位置からも見ることができるように、一台モニターを配置してくれていました。しかしそれを見る余裕もあまりなく、タイの活動に臨機応変に対応した発問ができたかどうか疑問が残りました。

 また、子供達はかれこれ四回この交流授業を受けているわけですが、良く言えばリラックスしてきて、いい意味での緊張もあり、本来の姿が見られたように思いますが、悪く言えばマンネリ化してきて交際交流をしているという新鮮みがなくなりつつあるようです。そうならないために、なお一層の工夫が必要だと感じました。