【電子ブック】
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『 電子ブックを買う 』


これはその昔、Windows 3.1にもようやく慣れてきた頃の話しである。

「電子ブック検索ソフト」というものをパソコンにインストールしたので、日曜日と言うこともあって私はさっそくお昼から大きな書店に行った。そしてその書店のメディアコーナーという場所に行き「健康体操術」という題名のもを買った。「電子ブック」と言うくらいだから本屋にあるであろうと言う私の感は物の見事に当たっていたのである。

帰りに、ドライブスルーでハンバーガーを買ってから、レコード店に寄って手に入れた「健康体操術」の8センチCD-ROMをCDドライブにセットする為、シングルCD用のスペーサーも買った。ちなみに当時の私のCDドライブは、CD−ROMをキャディさんが案内するタイプだったのである。そしてこれから、いろいろな電子ブックを集めていくとすると、この際いちいちCDをスペーサーにセットするのも面倒だからと思い、まとめて四枚買ったのである。まとめて買ったにも関わらず、そのレコード屋さんは一円たりとも負けてくれなかったのが少々不満ではあった。



「よーし、準備OK!」と家に帰ってから、さっそくパッケージの塩化ビニールをビリビリと剥がしてコンパクトディスクを格納してあるはずのケースを取り出した。 ・・・いやな予感が右の肩胛骨から左の首筋をかすめて後頭部に走った。

どうも想像していたよりも ケースが小さく薄いのである。しかしコンパクト ディスクというくらいだから日々コンパクトになっているのかも知れない。しかしケースの中に、はたして8センチCD-ROMが入っているのであろうか、疑問だ。電子ブック検索ソフトの説明ファイルには、「ケースから電子ブックのCD-ROMを取り出して、市販のスペーサーにセットしCDドライブに入れる」と書いてあったので、私はケースの窓をスライドして開けてみた。そこには、どうも普段から見覚えのある様な磁気フィルムのディスクの姿が見えた。

もしかしたらこれはフロッピーディスクでは無いのか?どう見てもCD-ROMには見えないのである。たしか、電子ブックは8センチCD-ROMのはずだが。もう一度、恐る恐るケースの窓を開けて覗いてみる。光にさらしてもキラキラしないしB面も黒いぞ(当たり前だレコードじゃない)何度見ても、それは黒々とした見覚えのある磁気フィルムのままであった。フロッピーの磁気ディスクは、スペーサーにセットしてCD-ROMのドライブに入れても読み込めないという事くらいは私でも判る。

パッケージを見ると「デジタルブック」と書いてある。
「NEC 98でも読める」とも書いてあった。私の目の前のパソコンを見ると、その筐体には「PanacomM21」と書かれてあった。そう、残念な事に僕のマシンはNEC 98では無かった。



しかし、ここでくじけては男がすたる。フロッピーディスクであることが判明したので、今度はフロッピードライブにそれを挿入してAドライブを読み込んでみた。「おー!、なんだ、ちゃんとEXEという名の実行ファイルがあるじゃないか!」気づいた事はすぐ実行するに限る、さっそくその実行ファイルをダブルクリックして実行してみる。(実行・実行と、くどいな)

しかし・・・何も起こらなかった。もしかしたらWindowsではだめなのかも知れないと不安がよぎったが、そのファイルのすぐ下にバッチファイルを見つけた。「おっ、デジタルブックBATと言うバッチファイルがあるじゃないか!」余談になるが、私はバッチファイルが書けない。

丁寧にWindowsを終了して、そのバッチファイルをMS-DOSから実行してみた。
マシン「ただいまデジタルブックを読み込み中です」 おおっ!やった!私の勘に間違いは無かったのである、わくわくしながら 私は初めて見るデジタルブックに期待していた。と、突然警告音が鳴り響いた。

「不当な割り込みが発生しました」
ピー−−−−−−−、止まらない。
・・・リセット



フッ・・どうやら、はめられた様だ。(誰に?と言われても困るが)
まぎらわしい!電子ブックも、デジタルブックも、同じではないのか?!。

スペーサーまで買ったのに、結局、デジタルブック代数千円を 無駄にしてまった。
しかし、まあ、スペーサーは、シングルCDを聞くときに使えるというのがせめてもの救い・・・のハズであったが、 私のマシンには音源は無いという事に気付くのに、それほど時間はかからなかった。

くどい様だが、これはその昔、Windows 3.1にもようやく慣れてきた頃の話しである。



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