焼き肉食い放題
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【セブ島の子供達を学校へ】
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  • File 18【焼き肉・食い放題】

    久しぶりに  焼き肉食べ放題の店に行った。食い放題というと、ずいぶんと前の事であるが、池袋にある「しゃぶしゃぶ食い放題」の店員さんの態度が、とてもよろしくなかったので「皆の衆、死ぬ気で食え〜っ」とばかりに、総勢六人でしゃぶしゃぶの牛肉(あたりまえだ)を四キロ以上も食べた事があった。

    今までで一番美味しいと感じたのは、私の実家の近く、静岡県はジュビロで有名な磐田市の「今之裏(いまのうら)」というステーキハウスである。そこの牛肉は本場松坂や神戸の老舗で食べる肉に匹敵する。いや、それ以上である。神戸牛でも指定の子牛の肉を、落として(殺して)からしっかり熟成(約二週間)させている。鉄板は従来温度調節が効かない為に、美味しく肉を焼くには難しいというが、店主が材質まで吟味した特注の分厚い鉄板を使用してそれに対処している。

    またその鉄板で作るニンニクライスが、ご家庭ではとても出せない「とてもい〜ぃお味」なのである。さすがにお値段の方も、お一人様六千円〜と、地元では一番お高い方なのであるが、五回分の外食を節約してでも、ここのステーキを食べる価値はある。と、太鼓判をグイッと押してしまうのである。・・・グィ!。


    さて今回訪れた焼き肉屋さんは、値段は安くて大人一人・千三百円で「食い放題」である。「昼の部」と「夜の部」が有り、昼は一人九百八十円で、三歳以下になるとなんと四百円である(安いか高いかは、幼児の性能に依るであろう)。そして焼き肉だけではなく、ウドンや餃子、シュウマイ・カレーまで、すべて食い放題である。う〜ん、これはかなりお得ではと思ったが、よく考えてみると、焼き肉の他にそんなに食べられるワケがない。そして食事の時間は一時間と制限されているのであった。

    何故か食い放題というと「沢山食べた方が勝ちだ」とばかりに、血相を変えて食べる人が多い様であるが、私もご多分にもれる事はない。同じ値段ならたくさん食べた方がお得に決まっているのだ。まあ、一時間もあれば余裕であろう、食い放題で「腹八分目」は邪道である、そう、腹十二分目、正確には胃壁の拡張機能限界である拡張率228%の限界容積「ううっ、くっ、苦しいよぉッ・・・」が標準なのである。

    この店は焼き肉食い放題の他にビールが九百八十円、ジュースも三百八十円で飲み放題の店である、ただしそれぞれ人数分飲み放題の料金を払わなければならない。当然といえば当然であろう、一人だけの飲み放題を許すなら、皆で回し飲みするのは目に見えている、というか、現にそうしようと思ったのだ私は。

    会計は前払いの明朗会計である。テーブルにつくと店員さんが特製と書かれた(どこが特製なのか一度お聞きしたいのであったが)焼き肉のタレのボトルを持ってきてくれて、ついでに「お客様のお食事時間は九時二十分迄です」と、親切にもテーブルに付属のプレートに書き込んで、さっそうと去って行った。


     

    いよいよ「戦闘開始」である。妻はご飯と野菜を取りに、ご飯と野菜のカウンターへ向かった。私は「ご飯は少な目で、野菜も焼くのに時間が掛かるから少なめに」と適切な指示を妻に与えて、自分はメインディッシュである肉のコーナーへ向かったのである。この肉のコーナーにはいろいろな種類の肉が並んでいたが、それぞれの肉のお名前が記載されていなかったので、いったい何が何処の肉かよく判らないのであった。仕方が無いので、ロースとカルビと思われる肉を皿に盛って戻った。

    そして肉を焼き始めるのだが、これがまたスライスされているものの、お肉が凍っていてなかなか焼けないのである。「これは焼き肉店側の策略か?」と疑ってしまうのである。食べ物が胃に入り血糖値が上昇するのに掛かる時間は、普通十五分から二十分なのである。つまり血糖値が上昇して満腹感が全身を襲う迄が「食い放題」の勝負の分かれ目なのである。凍った肉を時間を掛けて焼いて、少しずつ食べていたのでは、大量に胃に収まる前に血糖値が上昇してしまい、沢山食べる事は難しくなる。

    そこで我々は焼きながら食べるのではなく、食べ始める前に、ある程度焼いてストックしておく作戦をとった。どうせ肉のグレードには初めから期待はしていないのである。肉を食い、口直しに途中でキャベツなどの生野菜をかじり、ひたすら肉を食う。そう、どれだけ食べる事が出来るかが、「焼き肉食い放題」における「勝負のポイント」になるのである。

    順調に 食べ進み、予想どうり「満腹感」が襲来し始めた。しかし、ここで白旗を掲げる訳にはいかない、まだゴングが鳴って三十分しか経過していないのである。ひとまず肉はやめてイカや貝類を食べはじめる。初めから焼き野菜や魚介類も一緒に食べると、まず「目が満足」してしまい、結局、量を食べる事が出来ないのだ。

    普段の食生活でも、好きな物から食べ始める人、苦手なものから食べ始める人、個人個人の持つ「食のタイプ」でも若干違うが、目先が変わると腹は一杯でも、また何とか食べる事が出来るのである。

    そして必要量をその都度用意するのが一番である。あれもこれもテーブルの上に並べてしまうと、見ただけで満足してしまうし、下手をすれば残す事になり店にとっても不愉快な事であろう。やはり残さずにキッチリ大量に食べるのが「正統派」だ。>


    くれぐれも注意しなければならないのは、ソーセージやシュウマイ・ギョーザなどの加工食品である。そんなものは日々の食卓で食べれば良いもので、この食い放題という名の戦場において、加工食品は「地雷」に匹敵するものなのである。それから焼き野菜なども、割と量を食べてしまったりするので、これも後にするのがポイントである。

    同じ量ならば野菜の方が値段は高いので「野菜をたくさん食べた方が得だ」などと勘違いする人が居るかも知れないが、それは大変な間違いである。「いったいあなたは何を食べに来たのか」。焼き肉の食い放題に来て野菜を食い放題するのは、わざわざハワイまで行って日焼けの為にひたすら寝そべっているのと同じである、その目の前の「海」はいったい何なのだ!?と言いたくなる。「泳げっ!泳いで泳いで、泳ぎまくれ!」と言いたくなるのである、やはりメインは「肉」。肉・肉・肉なのだぁ〜!。・・・すまん、興奮してしまった。

    つまり、正しい食べ方は、「肉(口直し生野菜)」「焼き野菜」「肉」「魚介類」「ご飯にスープ」そして「フルーツ」の順になる。出来れば飲み物の注文はやめた方が良い、お茶か水でじゅうぶんである。この様にして食い放題には食い放題の道がある。厳選された素材を造詣深い調理人の職人芸を堪能しながら賞味するのも「食」であるが、時にはこんな「イベント」に真剣に取り組むのも面白いものである。

    最後に一つ、戦闘開始1時間30分前頃に、胃腸薬または整腸剤(お勧めはガロールなど)を飲んでおくと食後「後悔」せずに済む。食べた後、気持が悪くなってからでは遅いのである、「後悔先に立たず」「備え有れば憂いなし」。それと、気合いを入れて当日の食事を抜いて食い放題に挑む人もいるが、やめた方が良い。空腹が過ぎると胃が収縮してしまい、かえって沢山食べる事が出来ないものなのである。


    今回の言葉

    「腹にみねうち」(腹も身の内)」




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