★ダブル・キャスト★

(2000.02.20)

 ハードカバーで発売されていた作品が,上下2巻組の文庫版として登場したので,買ってしまいました(笑).電撃文庫で,上巻が570円,下巻が550円(いずれも消費税別).

 著者は「クリス・クロス」でデビューし,「タイム・リープ」でブレイクした高畑京一郎.作品の舞台は「広い」とはいいがたいものの,作品の背後にある設定等は非常にしっかりしたものがあり,「狭く深く」という印象があったりもしますが(こらこら),結構好きな作家です(^^).

 で,この作品ですが・・・,まだ3作目とはいえ,やはり「高畑京一郎らしい」作品に仕上がっていると思います.主人公やストーリーそのものは別ですが,舞台がタイム・リープと同じなのにはちょっとびっくり(笑).でも,現実においても,1つの街でいろんな事件や出来事が起こっていますもんね.もちろん,別の作品であるためほとんど登場シーンはないですが,タイムリープでおなじみの若松や関といったなじみのある名前もちらほらとでてきます(笑).もちろん,完全な脇役なので,タイムリープを読んでいなければ理解不能っていうようなことはありませんけどね.
 ダブルキャスト=二重配役・・・わかりやすいところでは,二重人格などになるのかな? とある出来事がきっかけで,そういう状況に陥った「涼介」なんですが,お互いの記憶が「共有」されていないために結構大変なものが.脳内の「空いている部分」にもう1人の人格が入り込んだ・・・となるんですけど,他人を介したりしなければ,お互いが何をやっているのか全く知らないという(^^;; もし,記憶の共有があれば,事件は結構早く解決していて,物語とはならなかったような気もしますけど(笑).そういえば,二重人格を扱った他の作品って読んだことあったかなぁ・・・.有名なところでは,「ジキルとハイド」ですけど,実はこれも読んだことがないですし(汗).なもんで,他の作品では記憶の共有があるのかどうかよく知らないんです(^^;; (「別人の意識の共有」という感じのはいくつか読んだ(見た)ことがありますけど)

 真犯人(?)は,まぁ,ある意味予想通りといえば予想通りだったのがちょっと残念かも.つーか,この手のパターンは非常によくあるので,作り手としては難しいところでしょうけどね.そういえば,僕自身,これに逆らった感じのShortStoryを作ろうとしたことがあったんですが・・・見事に失敗した記憶が(苦笑).
 とはいえ,例によってよく練りこまれた作品であることには違いないですし,設定のアラを勢いで隠してしまうような作品に飽き飽きしている人にはお勧めといえるかも(^^).ただ・・・個人的には「タイム・リープ」の方がインパクトがありましたが(汗).

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