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理知的な所作
思考ルーチンによる理知的な所作とは、状況に対して適切な戦術、戦略を確保、実行することである。
戦術略の適切さは、「視覚的認知に基づいた所作」で述べた通り、その思考ルーチンを有する敵キャラクターの外見によって大きく影響を受ける。
思考ルーチンには大きく分けて認知、推論、判断の三つの処理段階がある。
思考ルーチンにおける認知では、出来る限り変数の直接獲得のような手法は避けるべきである。ゲームにおいてプレーヤーは、コンピュータを人間と同様の情報のみを認知して判断をするものとして対応する。プレーヤーが不完全情報の状態におかれているのであれば、コンピュータも同様にするべきである。コンピュータのみが知り得る情報を利用するのは出来る限り避ける。
特に、人間的な外見を持つキャラクターは、人間的な認知を用いて人間的な判断をすることを、プレーヤーに期待される。
思考ルーチンにおける推論は、環境要素の目標と目標達成の手段によってその重要性が変わる。手段が、目標に対して直接的なもののみに限定される場合には、推論は重要ではない。なぜなら、プレーヤーの目的を達成しようとする行動は、その手段に限定されるためである。しかしながら、手段が、目標に対して直接的なものに限定されない場合、思考ルーチンはプレーヤーの行動の目的を推論しなければならない。推論は、認知と判断の橋渡しであり、プレーヤーの行動を全体的な観点から把握するがゆえに、戦略的である。
思考ルーチンにおける判断は、推論によって想定されたプレーヤーの行動という、狭い範囲への対応である。それゆえ、判断は戦術的である。推論が不完全な場合、プレーヤーの行動の自由度によっては思考ルーチンの判断が不適切なものになる可能性が高い。
理知的に対処不可能な敵キャラクターの存在は、敵キャラクターに対するプレーヤーの能動性を殺ぐ。すなわち、プレーヤーのゲームに対する魅力を大きく減じることとなる。それゆえ、敵キャラクターは理知的に対処可能なものであるべきである。
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