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□■□『大西洋の狼 入門講座』■□■
このゲームで初めてヒストリカル.シミュレーション(ボード)ゲームをされた方や、はじめてこのテーマに接する方には、いきなり大西洋の狼のルールを使いこなしてゲームをプレイするというのは難しいと思われます。
ルールを読んでみて難しそうと感じた方やプレイしてみてなかなか勝てない、あのルールをどう使っていいのかわからない?どういうことをすればいいのかわからない?と感じた方はこの入門講座をナナメ読みしてみてください。
ここに書かれていることをいきなり全部読んで全部理解しようとすると大変なので、わからなかった部分を探して読むといった風に、少しづつ読んで利用されることをお勧めします。
また、ここに書かれていることは「大西洋の狼」の一般論的なものであって全てではありませんし、全部が正しいとも限りません。
制作者の私が思いもつかなかった戦法や戦略をあなたが見つけ出すかもしれないのです。
ぜひ、大西洋の狼の世界を探究してください。
===【戦略級ゲーム】====================
シミュレーションゲームは扱うゲームスケールによって大まかに次の3つに分けられます。
『戦術級』→小部隊同士の戦闘。
(兵器の特性や戦術運用の再現するモノが多い)
『作戦級』→1つの作戦を扱う。
(その作戦の成否や方向性の可能性を再現するモノが多い)
『戦略級』→戦争全体を扱う。
(その戦争の成否や方向性の可能性を再現するモノが多い)
(普通、軍事面だけでなく経済面もプレイヤーが関与できる)
「大西洋の狼」は戦略級という、その戦いの主要な全体像を見渡す規模のゲームになります。
戦略級ゲームの醍醐味は、大局的に戦争を扱え、その戦いの全体像を見られることでしょう。
1つの戦い(作戦)の成功/失敗の戦争に対する影響や、地域/方面の戦いの重要度/特徴/役割/影響を体感できるスケールなのです。
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===【ゲームでの連合軍の基本方針】==========
ゲームが進むにつれて連合軍は戦力/技術的に優勢になってきます。
ですが、各ターンに連合軍が得るVPは変らないので、序盤にドイツ軍にVP差をつけられすぎると挽回が困難になってきます。序盤の損失をいかに低く抑えれるかが大きなポイントになります。
各ターンの船団の損失をゼロに抑えるのは(第5ターンでない限り)ほぼ不可能と考えてください。
厚い護衛網を張っても、Uボートが集中配置されればいくつかの船団は攻撃を受けてしまいます。
なんらかの損失が出るのは確実ですから、護衛戦力の配置は守る所と捨てる所のメリハリをつけたほうがいいでしょう。
またエリアの配置は広く配置してドイツ軍の戦力配置を分散(または集中配置する所を迷わせる)させたほうがいいでしょう。
初期の護衛戦力はなかなかUボートに損害を与えれませんが、 Uボートに損害を与えれなくても攻撃するだけで船団への攻撃回数を減少させれること(1度も攻撃を受けなかったUBユニットは3回攻撃できます)を忘れないでください。
===【ゲームでのドイツ軍の基本方針】========
連合軍は毎ターン無条件に6VP得るので、各ターンに船団を6VP以上除去できるか?否か?が基本ノルマになります。
ゲーム前半:
ゲーム前半はドイツ軍優勢で進みます。
Uボートは集中させたほうが効果が高いのですが、全エリアで集中配置できるほど戦力がありません。
戦力が少ない時は広く浅く配置し、戦力に余裕ができたら集中配置する所を増やしていくといいでしょう。
くれぐれも集中配置させすぎて戦力の無駄を作らないように気をつけてください。
集中配置のUボート数の基準はそのエリアに配置されている連合軍ユニットの半分以上か?未満か?ぐらいの気持ちでいいと思います。
ゲーム後半:
徐々に連合軍優勢になってきます。 Uボートを集中配置しないと撃退されるエリアもでてくるでしょう。
広く浅く配置する所(船団を攻撃できればもうけもの)と集中配置させる所(徹底して船団を攻撃する)のメリハリをつけてください。
===【史実に近いゲーム展開】==============
史実に近いゲーム展開は以下の通りです。
ゲームでもこのような展開になるとは限りませんが、ゲームを進める上での参考にしてください。
■■第1ターン、
●連合軍:護衛体制はまったくダメな状態。守る船団と捨てる船団を明確に分けたほうがよい。
● ドイツ軍:Uボートも数が不足しているのでそれ程戦果は挙げられない(Uボートは広く浅く配置したほうが良いかも)。
ターン終了時ドイツ軍VP、3〜5VP。
■■第2ターン、
● 連合軍: 連合軍の護衛体制はまだまだダメな状態。守る船団と捨てる船団を明確に分けたほうがよい。
● ドイツ軍: Uボートは配備数が増加しているのでここでVPを稼いでおかないと後々苦しくなります(少数のUボートでも護衛網を突破する力があるので広く浅く配置したほうが良いかも)。
ターン終了時ドイツ軍VP、 6〜8VP。 Uボートの黄金期。
■■第3ターン、
● 連合軍: 連合軍の護衛体制はようやくUボートに対抗できる状態。互角の戦いになりがち。
厚く防御しても Uボートの集団戦術の前には護衛網を突破されること多し。過信は禁物。
なるべく、撃沈船団VPを6VP以内で抑えられればベスト。
● ドイツ軍: 場合によっては撃退され損害を出すエリアもでてくる。集中と分散配置の兼ね合いに注意。
ターン終了時ドイツ軍VP、 5〜7VP。
■■第4ターン、
● 連合軍: このターンに6VP以上船団を撃沈されていたのでは連合軍望み薄し。
● ドイツ軍: 互角の戦いが続くが、 Uボートは損害が増大する。 ターン終了時ドイツ軍VP、
3〜5VP。
■■第5ターン、
● 連合軍: 連合軍としては1VPもとらせない姿勢が必要。
● ドイツ軍: 完全に劣勢状態。Uボートは集中することもできず船団にたどりつくのがやっとの展開。
ターン終了時ドイツ軍VP、 0〜2VP。
===【ゲームバランス】===================
割とバランスがとれてると思っていますが、連合軍の護衛戦力(特に戦術空軍)の増強状態によっては両者苦しい状態になる場合があります。
状況にめげずにがんばってください。
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□■□『大西洋の狼』デザイナーズノート■□■
ここではこのゲーム制作するにあたっていろいろ考えたことを記していきます。
なお、このゲームで初めてヒストリカル.シミュレーション(ボード)ゲームをされた方にはよくわからない専門用語も出てくると思いますが、あまり気にせず気楽に読んでください。
【ゲーム自体について】
このゲームは10年前(1980年代)ぐらいに個人的に作ったものを、手直しデジタルデータ化したものです。当時制作していた元ゲームはもっとボリュームがあり実際に船団やUBを移動戦闘させるようなゲームでした。
ですから『大西洋の狼』は 元ゲームの簡略版ゲームと云うことになります。 ではなぜ”元ゲーム”ではなく”元ゲームの簡略版”なのか?ですが...
その理由は.....”元ゲームプレイするのがつらい”....のです(苦笑)。
私のゲームデザインの力量もあるのですが、 ”元ゲームプレイするのがつらい”理由の1つに
元ゲームが『リアル』であったという部分があります。
この船団とUボートの戦いというのはいわば”兵坦”や”海上補給”の部分にあたる、いわば裏方の部分に相当するテーマです。
裏方の戦場というのは(実際の戦場もそうですが)非常に地味で忍耐を要する部分な訳です。
このような戦場を細かくシミュレーションモデル化してい行けば行くほど ”選択の余地のあまりない単調な作業が繰り返される事務作業”的な部分が浮き彫りにされていきます。
”選択の余地のあまりない単調な作業が繰り返される”要素の強いゲームをプレイするのはは正直言って辛く、「”船団運用”のゲームも興味深いじゃないか」と思われる方がいるでしょうが、私はそのような方向でのゲームデザインのモノを(少なくとも自覚症状がある内は)発表する気にはなれませんでした。
また大西洋は戦略規模で探知し(いわゆる情報の戦いです)、作戦規模で機動し、戦術規模で戦闘がおこなわれていたので、
シミュレーションスケールのとり方が難しいという面もあります。
それに、海戦物は往々にして不確定要素に大きく影響を受ける(例えば、船団を完全探知し複数のUBグループを配置したのににもかかわらず、天候が大荒れの為ほとんど攻撃できなかった。ことが珍しくありませんでした)ことが、船団対Uボートの作戦戦略ゲームが稀な理由の一部なのかもしれません。
詳細な大西洋ゲームをデザインするには、かなりの創意工夫を凝らす必要がありそうです。
【地図について】
ゲームマップを自分で作るにつれて、最近つくづく一般的なメルカトル図法(一般的な地図の表現方法です)を見慣れた我々の世界地図に対する固定観念というのは”うさん臭いなぁ”と思うようになりました。
みなさんご存じのとおり、メルカトル図法の世界地図は赤道から離れるに従って面積部分が膨張して行くわけです。
実際マップを作成する場合でも、狭い範囲のゲームやエリア方式のゲームならいいのですが、大西洋の様な地球規模の広範囲をメルカトル図法でヘクス(6角形)方式を使って表現するゲームだと、致命的な距離の誤差につながるでしょう。
立体物を平面上に置き換えるのですから、どうしても歪みが生じるのは仕方なく、その意味で
メルカトル図法を責める訳ではないのですが、あれを標準だと感じている我々の固定観念に対して少し疑問を感じた訳です。
今回の立体仕立てのマップは、その疑問に対するちよっとした答えのつもりです。
それにしても、北大西洋って広いですね。いくら船団航路がある程度決まっていたとはいえ、ヨーロッパがすっぽり入ってしまう所で(時刻や、戦闘時間や、気象など関係無く)、ちっぽけなUボートが船団を求めて哨戒したり(西部管区から「船団××が来る」と情報を受けても実際に発見しなければならないので)、支援グループや哨戒機が味方の船団やUボートグループに接触する為に駆けずり廻っていた事を考えると、気が遠くなる様な地味で忍耐を要する戦いであったと感じます。
【ユニットの配置について】
潜水艦は「待ち伏せ」というイメージがあるので、このゲームの手順の連合軍先配置-ドイツ軍後配置について逆の方が(ダミーマーカー等を併用してドイツ軍を先配置にした方が)いいのではと思う方がおられるかもしれません。
ですが、 潜水艦の「待ち伏せ」イメージは戦術レベルの話で、システム運用の柔軟性が問われる作戦/戦略レベルの話になると話は違います。
船団の運用は巨大な機械操業のようなもので短期間・短時間で大きな変更はできません。
最大効率を発揮するように計画が組まれ、一端その効率を落とすとなかなかその遅れを取り戻すことはできないのです。
たとえUボートの攻撃グループの展開状況が探知できていたとしても、戦術レベル(航路を数10キロ変更する、できるだけ支援グループや空軍を集め船団防御したり展開中のUBグループに打撃を与える等)でしか対処できません。少なくともUボートの攻撃グループの展開状況を見て、作戦/戦略レベルで船団航行を中止したり、数100キロ単位で航路を変更することは不可能でした。
一方、ドイツ軍(西部管区)の方は船団の動きをある程度探知・情報の解読をしてどの海域に攻撃グループを配置するのかを判断・指示していましたから、私は連合軍先配置-ドイツ軍後配置で理にかなっていると判断した訳です。
【勝利条件について】
最後に、このゲームの勝利条件は史実より健闘したか?否か?のものです。
たとえ、ゲームでドイツ軍が勝っても「デーニッツの作り上げた潜水艦部隊と戦術」がイギリスを屈服させたという意味ではありません。
最後にUBユニットのグループ名について。名無しだと愛想ないので表記しました。
Uボートの攻撃グループ名はある船団を攻撃するのにその都度便宜上付けられた名称で、あのような名称の固定部隊がいた訳ではありません。
■□■□■□■□ 『入門講座&Dノートa』 1997.5.1 □■□■□■
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きけがわあきお(亀卦川彰夫)
【 AKP19ホームページ http://www.nsknet.or.jp/~akp/ 】
『その瞳に、宿したい。- AKP -』 Copyright 1997 AKIO KIKEGAWA