★2001年篇★
まるたつの超お手軽映画感想文です.。原則として映画館で見たものが対象です。
記憶違い、勘違い、思い込みも、た〜くさんあるのであんまり参考にはなりません。

年度INDEX
かあちゃん2001/11/27(キネカ大森)
2001年日本映画。監督 市川昆、主演 岸恵子、原作 山本周五郎。
とってもぜいたくな時を過ごすことができて幸せだ。悪い人は出てこない。好いやつばかりでもない。今も昔も人情はかわらないんじゃないだろうかと思わせてくれる物語。笑わせるわけでもなく泣かせるわけでもなく淡々と始まり淡々と終わる。まるで江戸時代の庶民の暮らしのドキュメンタリーみたいだ。実際の江戸時代の人が見たら、こんなもんじゃないと言うかも知れないが。
今や時代劇映画はSFの域に入りつつある。もう時代劇に耐えうる風景がほとんどないのだ。この映画もほとんどセットだが、川原の向こうに町並みが見えるシーンはデジタル処理されていてとっても違和感があった。観客は高年齢層中心。というか40代のワタクシが最年少だったかもしれない。これも凄い。

渡り川2001/11/24(コリアキネマ倶楽部・北とぴあ)
1994年16ミリ映画。監督、金徳哲 森康行。
渡り川とは四国を流れる四万十川のこと。当地の朝鮮人強制連行の歴史を学ぶ高校生達が在日の女子高生との交流や当時を知る人々へのインタビューなどを通して教科書には載っていない事実に迫るドキュメンタリー。
ついには渡韓して朝鮮人慰安婦だった老女に会いその実体をその耳で聞き、韓国の高校生達とも交流を深めていく。数年間の撮影で高校生だったメンバーも卒業していくのだが、この時間の流れのなかでそれなりに垢抜けていく女子高生達に比べて男子高生のカゲの薄さよ。それは従軍慰安婦に関して語るあるメンバーの祖父にもあらわれている。映画の内容とは関係なくそんな感想をもったのでありました。

私にも妻がいたらいいのに2001/11/2(コリアン・シネマウィーク東京国際フォーラム)
2000年韓国映画 監督パク・フンシク 出演ソル・ギョング チョン・ドヨン
なんとなく日常を送る独身銀行員と、これまた普通の学習塾教師の、なんてことない出会いと日常をたんたんと描く物語。似たような細かいエピソードの繰り返しが多く途中で眠り始めた観客もいたがこの構成はある意味、日常をリアルに捉えていると言えなくもない。
緊急停車した地下鉄内で一斉に携帯電話をかけはじめる乗客たちを見て、自分には電話をかける相手がいないのをなげくソル・ギョング。学習塾で教室で泣いている女の子に理由を聞いたら「先生に似ていると友達に言われたから」と告白されショックを受けるチョン・ドヨン。面白悲しミズムなんだろうか。
ソル・ギョングの手品とチョン・ドヨンのナゾナゾに注目!

ブリジット・ジョーンズの日記2001/11/1(ワーナーマイカル・シネマズ板橋)
2001年英国映画
この系列の映画館は毎月の映画の日割り引きはなくて毎月一日が1000円で見られる独自路線なのだがはっきりいってかかる映画がつまらない。今日見られる12本の中ではこれしか見ようと思うものはなかった。それにこの映画をR15指定にしてるんだけど、なんで?
そもそも30過ぎた独身女性の一年間の日常を描いた映画に15歳以下の子供が興味を持つか?
ウ〜ン、年増好みの男子中学生なら見たいかも〔笑)。
内容は心温まる物語で見終わったら和めます。出版社に勤める広報ウーマンの主人公はかっちょいい編集長と、親に紹介されたバツイチ弁護士との間で心が揺れる。ふくよかなお尻も揺れちゃったりなんかしたりして(広川太一郎風に)、そんな彼女の一年間をのぞき見たいあなたにはぴったりの映画です。
彼女が勤務する出版社も転職するテレビ局もMacがいっぱいだ。ちょうと5色iMacが出たころでカラフルな画面が今となってはなつかしい。セリフでも「ヤミー」なんてのがありましたが制作者はMacユーザなんでしょうか。

山の郵便配達2001/10/3(銀座シネパトス)
1999年中国映画 監督フォ・ジェンチイ
原題「那山那人那狗」の通り、山と人と犬が織りなす物語。舞台は1980年代初めの山あいの里。郵便を配達する父とその跡を継ぐ息子との、引き継ぎを兼ねた二泊三日の郵便配達ロードムービー。少数民族の住む山里の風景が美しい。犬はどうしたって?道案内がてら帯同してます、御安心ください。
美しい少数民族の娘さんが微笑むポスターを見て、郵便配達の若者と娘の恋物語かと思っていたが、父と息子の交流がテーマでした。これが泣かせるんだ。成長した息子の姿に、おとっつあんがホロリとくる寸法なんだが、これが琴線に触れるんだ。
日頃息子さんと会話も少ないお父さん必見!

魚と寝る女2001/9/5(テアトル池袋)
2000年韓国映画 キム・ギドク監督 ソ・ジョン主演
なんか過激なシーンが話題の映画ですがそれほどたいしたことないですから、期待(笑)しないように。まぁお子様連れにはあまりオススメできませんが。
男女の愛がテーマなんですが、深刻な中にもちょっと笑えるシーンもあります。釣り針をのみこんだ男の口に折った割りばしをたてにはさんでつっかい棒にし、無理矢理口をあけさせのどから針をとりだすところなんか血みどろではありますが、なんか滑稽感も漂います。だってワニの口につっかい棒を当てて口を開けておくみたいなもんですから。その後、開けっ放しの口に団扇で風を送ってやる女の姿もちょっぴりおかしい。 後半、今度は女に大量の針が刺さり、ちゃんと男は恩返しにとりはずしてやります。どこに刺さったかというと・・・それは映画を見てのお楽しみ。
一つ不満がある。朝鮮語の聞き取り勉強にはあまり役立たない。なぜなら女は一言もしゃべらないのだ。唯一電話するシーンがあるが、音声はない。しかたないから女が居る釣り船屋の張り紙のハングルを読んでみた。ラーメン、コーヒーと書いてあった。読めてちょっぴり嬉しかった。
難解なイメージとは裏腹に楽しめる一遍でありました.。

デカローグ 第5話ある殺人に関する物語 第6話ある愛に関する物語2001/8/29(シネ・ラ・セット
1988年ポーランド映画 キェシロフスキ監督作品
シネ・ラ・セット5周年×キェシロフスキ没後5年記念のレイトショー上映。
寒いクニの人が愛について真剣にいろいろ考えて作った映画を、アジア人が真夏に見るとかなり違和感があるわなァ。
「第5話ある殺人に関する物語」タクシー運転手を殺した青年と、担当の若き弁護士。二人の道はある日交錯してやがて永遠に離れていく。う〜ん、人生じゃのォ。
「第6話ある愛に関する物語」のぞき見をする青年郵便局員と、覗かれる奔放な女。青年は彼女に近づこうと彼女の家に配達する早朝の牛乳配達もやったりする。
青年のかわりに途中から牛乳配達をする、おばあちゃんがそこはかとないユーモアを漂わせていてちょっと笑える。

反則王 2001/8/15(シネ・ラ・セット
2000年韓国映画。監督キム・ジウン主演ソン・ガンホ。
『クワイエット・ ファミリー』の監督と主演の黄金コンビ。その他JSA、カルなどでもおなじみの顔が勢揃いだ。何人わかるかで韓国映画のマニア度がわかるかも。
職場で課長にヘッドロックを毎日かけられる主人公は、ふとしたことからプロレスラーになる。ラストの試合シーンは大迫力だが、しょーもないネタもちゃんとやってくれる。例えばリング中央で相手レスラーの注意をそらすために突然客席を指して「あっシムウナ!」と言って相手が横を向いた途端奇襲するのだ。更に「あっチョン・ドヨン!」とも言うのだが今度はそのてには乗らなかった相手に攻撃される。これには笑った。とは言っても映画館で笑ったのはワタクシだけだったのだが。今回の観客はあんまり韓国映画を見ない人だったのかも。
そして、課長に挑戦すべく路上で二人は向かい合う。おりしも雪がはらはらと舞い、おぜん立てはととのった。
はたして、最後の対決は・・・見てのお楽しみ。
このラストシーンにワタクシの脳裏には、往年の吉本新規劇(岡八郎の頃ね)の、ホンワカホンワカ〜のメロディが鳴り響くのだった。
ところでこの映画、覆面プロレスラーが主人公つーことで映画館窓口に覆面をして行くと料金が割引になるのだが、そんな人いるのだろうか?

アタック・ザ・ガス・ステーション!2001/7/9(キネカ大森
1999年韓国映画。監督キム・サンジン、出演イ・ソンジェ、ユ・オソン、カン・ソンジン、ユ・ジテ他
予告編通り、いやそれ以上に面白い。なんといっても冒頭いきなりタイトル通りにガス・ステーションを襲撃するんだから。で、その後は襲撃しっぱなし。ラップからチョ・ヨンピルまで音楽にあふれ韓国製造のHONDAスーパーカブのエンジンを積んだciti100Aも出て、マニアにはたまらない。
野球、音楽、美術、勉強に挫折した若者の鬱憤が全編を通して大爆発。ペプシは韓国産の珍説も披露されるなど、随所に笑えるシーンがいっぱい。ジャージャーメンもとっても美味しそう。映画を見た帰りにガス・ステーションの前を通りかかったら、思わず襲撃しそうになるかも。そんな気になったらコンビニでも入ってラーメンでも食べよう。それでも襲撃したかったら、やるべし!
そういえば韓国のコンビニってどこでもラーメンなんかを食べられるコーナーがあるよね。

太白山脈2001/7/6(キネカ大森
1994年韓国映画。監督イム・グォンテク、出演アン・ソンギ、キム・ミョンゴン、キム・ガプス他
日帝の植民地支配からやっと解放されたと思ったらイデオロギーの相違、階級の違いから様々な対立が起きた時代、麗水順天反乱事件から朝鮮戦争までを2時間45分で描く大作。原作の小説も長いらしい。しかしこの映画ちっとも長さを感じさせない。もっと見せてくれよ〜と思うくらいだ。右翼の弟と左翼の兄の対立を軸に、中間に位置する民族主義者、対立する陣営の家族の葛藤と内容は盛りだくさんだが全体のトーンは抑制された静かなものだ。
左翼の兄の妻は、夫に対しては家庭生活を犠牲にすることをなじるし、官憲の取り調べにはひるまず相手の耳をかみ切りそうになるし、たくましいものじゃわい。
巫女さんもたいしたものじゃ。やっぱり恨と情の世界じゃのう、と言ったらあたりまえすぎるか。(何なのこの書き方は?)

クワイエット・ファミリー2001/6/16(キネカ大森
1998年韓国映画。監督キム・ジウン、出演ソン・ガンホ、チェ・ミンシク他
今年もキネカ大森で開催の韓国映画特選2001.。
シュリでは南北に別れたソン・ガンホ、チェ・ミンシクがここでは山荘経営家族の叔父と甥の関係で大混乱。
その山荘にやってきた客達は次々と謎の失踪をしていく。ソン・ガンホ演じる暴れ者はだんだんスコップで穴を掘るのがうまくなる。怖いですね〜すごいですね〜。
ラストに流れる往年のパートリッジ・ファミリーのヒット曲「I Think I Love You」が妙に印象に残りなんだか良かった。

Stereo Future2001/6/13(テアトル新宿)
2000年日本。監督 中野裕之、出演 永瀬正敏、桃生亜希子、竹中直人、麻生久美子、緒川たまき、ピエール瀧、谷啓、大竹まこと、風間杜夫 他多数。
「SFサムライフィクション」に続くSFシリーズ第二弾。
売れない役者とスター女優の恋、売れない役者とうまくいかなくなった妹を持つ姉。姉妹の前に現れる植物学者。彼らが織りなす物語。
スター女優の出演する時代劇映画の主演俳優役竹中直人が凄い。旗本退屈男ばりに見せる天下御免のM字キズは必見!ちなみに筆者にもM字キズがあります。あってもどうってことないけど。
「SFサムライフィクション」を見て面白いと思った人は絶対にみるべし!

JSA2001/5/29(ワーナーマイカルシネマ板橋)
2000年韓国映画 監督パク・チャヌク、出演ソン・ガンホ、イ・ビョンホン、イ・ヨンエ
原題は共同警備区域JSA(JOINT SECURITY AREA)
JSAで警備にあたる南北の兵士の友情と、それゆえの悲劇。と書くと深刻な映画かと思うかもしれないが、そんなことはない。
印象に残った場面ベスト3。歯についた唐辛子、口から出してまた入れるチョコパイ、一発のオ●ラ。
これじゃあまるで「お笑いJSA」じゃないかと勘違いされそうだがそれも違う。今なお分断状態の朝鮮民族の現状を踏まえた真摯な作品だ。JSAで起きた南北兵士が関連した銃撃事件の真相を追うミステリー劇に見るものは思わずひきこまれる。
北朝鮮・朝鮮民主主義人民共和国(あ〜長い)の兵士役のソン・ガンホが凄くいい。若い兵士とちがって多くは語らないが、人間味があふれ酸いも甘いもかみわけるオヤジだ。不器用な生き方で軍人としての能力はありながら、本流からははずれてるらしいのも真実の人らしくてよい。
とは言え朴訥な人柄だけでは世間は渡っていけない。関係者中唯一生き残るなんてのは、もしかしたら人生の達人なのかも知れないぞ。いつかロッテの(オリオンかも)チョコパイより美味しいチョコパイを作る祖国を夢見ているかと思えば、母を想う心も持つ男。そんな男だ。まさに若い兵士からヒョン(兄貴)とよばれるにふさわしい。
ところで北の兵士が飼っていた犬は最後はどうなったのだろうか。上官に食料にしてしまえと命令されていたのだが。ああ、気になる。

チキンラン 2001/5/26(シネ・ラ・セット
2000年英国映画 監督原案ニック・パーク、ピーター・ロード
おなじみアードマンスタジオのクレイアニメ。養鶏場からのチキン達の大脱走物語。
アメリカ訛り、スコットランド訛り。イギリス訛りのチキン達が歌い踊り飛び回る感動の一大巨篇と言えなくもない。あーだこーだと言う前に見ればわかる。見て損はしない。いや絶対に得をする。いい時間を過ごしたと思える。死の直前に己の人生が走馬灯のように巡る時、この映画のことも素晴らしい想い出として脳裏をよぎるんじゃないだろうか。
エンディングが長いけど席を立たないように。ネズミのニックとフェッチャーの二匹の深遠なる会話に注目!
卵が先か、鶏が先か・・・。たぶん粘土が先だ。

ザ・メキシカン2001/5/16(ワーナーマイカルシネマ板橋)
2001年アメリカ映画。
メキシコに伝わる呪われた美しき拳銃の争奪戦。これをめぐって登場する奴等。なかでも愛を語るゲイの殺し屋、ひたすらうなるメキシコの犬が愉快。
劇中劇の、伝説の拳銃の由来を描写するセピア色の画面が美しい。本編よりむしろこちらの方をもっと見たかった。
上映時間が2時間以上なのは長すぎる。人物のアップが多すぎる。
ブラッド・ピットとジュリア・ロバーツだからしかたないか(^^)

アードマン・コレクションvol.2 2001/5/10(シネ・ラ・セット
ポップ(1996年)
缶飲料を飲もうとする少年とそれを見る水槽の中の魚は顔がそっくりだからなにかと便利かも知れない

裸足でダンス!(1987年)
裸足を歌うミュージッククリップののって靴を脱げば心も軽やか〜

レックス・ザ・ラント〜モアイとの遭遇(1997年)
不時着した島にいたでかい顔の宇宙人はロケットキャンプ休暇を楽しみたき火を囲んでパイプをくゆらす

レックス・ザ・ラント〜ミクロの決死圏(1997年)
たいして小さくない潜水艦でむりやり耳の穴から入って頭の中のゆるんだネジを締めるのだ

酔いをさまして(1992年)
二日酔いで結婚式に遅れそうになる娘を猫ちゃん助けようとするがアクシデントは続き最後は神頼みなり

仮出所(1989年)
若い男が自分の不幸な人生を語る

バビロン(1986年)
死の商人の利益優先賛歌演説の中加速度的に肥大する危険は臨界点に達する

ある受付嬢の告白(1978年)
延々続く独白の内容の記憶はない

退屈(1998年)
影絵の下手な教授を相手に影絵遊びをするが教授の作る影絵は何がなんだかわからないなさけなさ

快適な生活(1989年)
動物園の動物達に暮らしぶりについてインタヴュー

ピブとポグ(1994)
粘土キャラの二人の破壊コントはエスカレートし殴る蹴る叩くぶっ飛ばす爆発させる切り裂く引っこ抜く・・・

ダウン・アンド・アウト(1978年)
救済センター受付にやってきた老人の背中が哀しい

舞台恐怖症
犬使いのタイニーは映画スターのアーノルドに愛犬、恋人、舞台と奪われバスケットにひきこもる

魔王2001/4/27(徳間ホール試写会)
1996年仏独英合作 監督フォルカー・シュレンドルフ 主演ジョン・マルコビッチ
全然予備知識なしで見に行ったので、最初は中世の騎士物語かなにかだと勘違いしてました(笑)。 「ブリキの太鼓」の監督の作品だが、この映画も随所に太鼓を叩くシーンが出てきて印象に残る。寄宿学校や、軍隊などの太鼓だ。
舞台はフランスからドイツ、時代は第二次世界大戦。最後はアーメンで終わるこの映画、ちょっと日本人には感情移入しにくいがそんなことは度外視しても主人公のピュアな生き方に共感できれば面白く見ることができる。 共感できなかったら、孤児が長じて周囲から疎まれ、揚げ句の果てに少女強姦のぬれぎぬを着せられ前線に送られてしまい、数奇な運命に翻弄される物語に見えるだろう。事実そうなんだけどね。
今夏シネ・リーブル池袋にて独占ロードショー予定。

ダブルス2001/4/25(テアトル新宿)
2000年 監督 井坂聡 出演 萩原健一、鈴木一真
ネットで知りあった中年カギ職人とコンピュータ会社元社長の青年が金庫破りを試み、まんまと成功したが・・・。
中年カギ職人ショーケンが汗臭いオヤジパワーを爆発させる。しかしそこは中年、昔みたいにパワーだけでは突っ走れない。一方の鈴木一真演ずるオタク青年もシミュレーションではうまくいくが現実はそうは甘くはない。
萩原健一がショーケンだった頃を知っている元GS少女のオバサマ観客が映画館内に多数見受けられた。
GSやショーケンの意味がわからない人は、45歳から55歳くらいの人に聞いてみよう。きっと熱く語ってくれることだろう。

青chong2001/4/21(BOX東中野モーニング&レイトショー)
1999年 日本映画学校卒業制作作品 李相日監督
本日は初日とあって上映後に監督以下出演俳優の皆さんの舞台挨拶とトークショーのイベントがあった。その中で印象に残った監督の発言がコレ。
朝鮮高校生のヤン・テソンと悪友のチョウ・ヒョンギ、クラスの憧れの美少女ユン・ナミ。そして高校野球予選大会。日本人だろうと在日韓国・朝鮮人だろうと青春はたいへんなんだぁ!こう書くと図式的青春モノみたいだけどまさにそうだ。しかし李相日監督の小気味よい演出で、ヘタするとすごく古くさくなりそうなところがすこぶる快調なテンポで映画は進む。 具体的にはセリフが少ないのが良い。ユン・ナミが声を出すシーンはかなり映画が進行してからだ。それでもユン・ナミの行動と気持ちは充分観客には伝わっている。
そして説明的描写はしない。そのいい例が野球の場面だ。ある意味これは野球映画なのだが、野球のシーンはほとんどない(笑)。それでも野球の臨場感は伝わる。実際の野球の試合は観ていなくてもすぐれたスポーツ記事なら、ありありと試合を再現でき、本物の試合より心に残ることがあるのと同じだ。
同じく在日韓国人の青春をテーマにした「アンニョンキムチ」の松江哲明監督とは日本映画学校の同期とか。見比べるのも面白い。どちらがオススメかって?それはコーヒーと紅茶のどっちが好きですかと聞くのと同じこと。コーヒーが好きな人もいれば紅茶が好きな人もいる。ワタクシはどっちも好きだけど。

Undo2001/4/12(新文芸坐
1993年 監督:岩井俊二、出演:山口智子、豊川悦司
しばる映画。
出演はこの二人に田口トモロオだけ。笑わないトヨエツ、無垢な智子、あやしいトモロオ。それだけなんだが、それだけで充分。

遊びの時間は終わらない2001/4/12(新文芸坐)
1991年 監督:萩庭貞明、出演:本木雅弘、石橋蓮司
銀行強盗訓練の強盗役に扮したモックン警官が、徹底的になりきる性格で銀行内に籠城してしまう。この事態に慌てる石橋署長のアクの強さよ。これに狂気をはらんだテレビマンの萩原流行、県警幹部の原田大二郎などがからんでさらに混乱する。
建前だらけの幹部達に対して本音で行動するモックン警官に、銀行内の人質や外に集まったヤジウマの群衆は声援をおくりはじめる。映画館内の観客もこれに呼応して拍手していた。まったく予備知識なしで見たが、そんなことは関係なく面白い映画だ。

草の上の仕事2001/4/12(新文芸坐)
1993年 監督:篠原哲雄、出演:後藤直樹、太田光(爆笑問題)
公開当時はテアトル系のレイトショーだった気がするが、予告編だけ見て見逃していたのを21世紀になって新 装なった新文芸坐で見るとは思わなかった。
タイトル通りの映画である。その昔磯村みどり出演の「草を刈る娘たち」という映画があったがそれとは関係ない。予告編で期待が大きかっただけに、こちらで勝手にイメージをふくらませてしまいちょっと拍子抜けした感もある。予備知識なしで時間つぶしに入った映画館で見たのならもっとちがった印象になったかもしれない。もしそうなら、すごく得した気になったと思う。

ハード・デイズ・ナイト2001/4/4(丸の内ピカデリー2)
デジタル・リマスター・バージョンで甦るThe BEATLESの「A Hard Day's Night」。
たしか公開当時は「ヤァ!ヤァ!ヤァ!ビートルズがやって来る!」だったような気がする。1964年くらいで、筆者は小学生だったので記憶が定かではない。しかし子供心にこの映画のポスターを見て、なんかカッコイイと思って眺めた記憶がある。その後新宿の名画座で見たり、CD-ROM版(なんとハイパーカードスタックだ!)に接したりしたが21世紀になって良い音で再度見られるとは思わなかった。
この日は映画の日で1000円均一なのに客の入りはあまりよくない、向かいの「102」には春休みとあって親子連れの行列できていたのとは対照的だった。
それにしてもBEATLES。今見ても、とってもクール。それまでの世代とは訣別し、自分達の好きなやり方でやっていいんだと教えてくれた。いろんな分野の若者に大きな影響を与えたBEATLES。過去の若者も現役の若者も見て損はない映画だ。
一人で来ていた50歳前後の女性が上映開始と同時に眼鏡をはずし画面の4人に合わせてリズムをとっていたのが印象的だった。

17歳のカルテ2001/3/30(新文芸坐)
1999年アメリカ映画,監督脚本ジェームズ・マンゴールド,製作総指揮出演ウィノナ・ライダー,原作スザンナ・ケイセン
境界性人格障害と診断されたヒロインの一年間の精神科への入院生活の物語。虚言症、過食症、拒食症、などの患者たちとの生活を通して自分自身を見つめ直すきっかけをつかみ社会に戻っていく。入退院とも同じタクシーのドライバーで彼とかわす短い会話が印象に残る。どんな会話かは見てからのお楽しみ。ドライバーのヘアスタイルが入院時は伸ばし放題の長髪だったのに、退院時は束ねていたのも象徴的に見えなくもない。
時代は1960年代後半。古い体制と新しいムーブメントがせめぎあう時代とヒロインの闘病が重なる。ただしウィノナ・ライダーだから絵になるが、そうじゃないタイプだったら観客は感情移入できないよなぁ。まぁ映画なんだからそーゆーもんだと思うけど。

PFFシアター3月2001/3/25(東京国際フォーラム)◆シネフィル・イマジカ世界傑作短編集◆韓国短編特選

 敬礼の行方
監督ジーホン・パク1998年,11分
韓国語の勉強のために見たのにサイレントだった(笑)。舞台はアメリカ、登場人物は白人黒人。危険思想を持つスキンヘッドの白人の若者の部屋に黒人少年の蹴ったサッカーボールが飛び込んだ。こんな危険な奴が怒ったらどうなるのか、怖いぞ。

 調理場にて
監督ジンサン・キム1999年,21分
これもサイレント(再笑)。ラジオの人生相談の音声や歌は韓国語なので聞き耳を立てる。食堂の調理人と店主、調理人とネズミの関係が対比され面白い。主演の調理人は大友康平似だ。

 最後のピクニック
監督イルゴン・ソン1999年,19分
親子三人の心中物語。セリフは少ないけどある(苦笑)。心中に来て、本当に心中してしまうストレートな展開に驚いた。

 非/常識
監督ミンキョン・リ1999年,20分
20分に3本のオムニバス!道路の真ん中でエンジントラブルのためクルマを停めても平気なアジョッシに憤るキャリアウーマン。地下鉄内でえらそうにするアジョッシに意見を述べたら殴られた女子大生。酔っぱらって門を叩く男に閉口する若い女性。韓国社会にものすごくありそうなエピソードで笑える。ほんと、アジョッシは好き勝手やってる印象だ。これに比べたら日本のオヤジは可愛いもんだ。

 現代家族
監督インモー・ハ2000年,23分
大学生の息子、役場の助役の父、太りすぎを気にしつつ二重瞼に整形する母。サングラスをかけて食事をするシーンが象徴的な家族の状況。

 ペットの背中
監督ミョンハ・リ1999年,6分
今回唯一のアニメーション。ある雨の夜。ジャズが流れる酒場で犬と猫がグラスをかたむけペット人生(?)について語り合う。その言葉はハングルではない。犬は犬語でバウワウワウと、猫は猫語でミャウーミャウミャウと叫ぶ。声優さんがあてるのだから韓国語で言っても同じなのにわざわざ動物語で言うのがすごく面白い。場内は爆笑。下部に横書きで日本語字幕、右側に縦にハングルの字幕と両方読みつつ画面を見るのは疲れたが楽しめた。

301・3022001/3/22(新文芸坐)
1995年、韓国映画。制作、監督パク・チョルス。
過食症の色っぽいオネーサンと拒食症の生硬なオネーサンがマンションの301号、302号の隣同士に住んだからさぁ大変。過食症のオネーサンはあんまりしつこく迫りすぎて離婚してしまい引っ越してきたのだ。夫は犬まで食べて頑張ったが妻の欲求に答えられなかった。あげくに可愛がっていた愛犬まで料理されてしまいトホホのホ。 拒食症のオネーサンは眼鏡が似合う美人。まぁ美人だから眼鏡をかけてもかけなくても美人なんだけど。最後は眼鏡をかけたまま・・・。
空腹で見たせいかおなかがなって困った(^^).。生つばゴックンもあって目の正月じゃ。
とはいってもテーマはけっこー深刻なものがある。タイトルロゴが素敵!

はなればなれに2001/3/21(銀座テアトルシネマ)
1964年フランス映画。監督ジャン・リュック・ゴダール、出演アンナ・カリーナ、サミー・フレイ他。
いつまでも色あせないゴダール映画。というか時代がやっとゴダールに追いつきかけてるからぴったりはまりすぎの感もある。全編どこをとってもPARCOのCMにそのまま使えるもの。オディール役のアンナ・カリーナの上目遣いが可愛い。
オディールをはさんでフランツとアルチュールの微妙な関係。彼らは英語学校で知りあい、オディールの叔母の持つ大金を奪いとることに。ならず者がインドシナ帰りだぞと凄んだりするのがこの時代らしい。
遅れて映画館に入って来た観客に向かって話しかけたり、登場人物がしばらく黙り込むシーンでは実際に音声データを無視したりゴダールっぽくて期待を裏切らない。本編終了後ゴダールの手による予告編のおまけ付き。

カル2001/3/16(新文芸坐)
1999年、韓国映画。制作、監督チャン・ユニョン、出演ハン・ソッキュ、シム・ウナ。
カルとはナイフや包丁などの刃物のこと。R・15指定で全編かなりの血まみれ。この系統が苦手な人は心して見るように。これから見る人もいるだろうから詳しくは述べないが、物語はほとんどの観客の思った通りに進行して収束する。 いちばん怖かったシーンは刑事のハン・ソッキュがケータイで話ながらクルマを運転していて事故になりかける場面。交通マナーは守ろう。
新装なった新文芸坐に初めて行ったのだが、階下はパチンコ屋でビル全体がなんとなく金属風。なんか安作りな銀パソみたいな印象。友の会の会員証も以前と違い、ビミョーにオシャレ(笑)。

スナッチ2001/3/15(スカラ座)
監督ガイ・リッチー。出演ブラッド・ピット他、人相の悪い男優達。
新装なったスカラ座に行ってみた。パンフレットにスカラ座と印刷されているのがスカラ座らしくて良い。ロビーも広く、イスもゆったりしてスクリーンも大きくてなかなか良い。
原題のsnatchは”ひっかける”の意味らしい。86カラットのダイヤを巡ってイギリスの悪い奴等と、アメリカの悪いやつが何も考えないで行動する日々。死人は何人出たか不明。疾走する音楽にのって軽快に悪い奴等も走る、殴る、撃つ、噛む、吠える!英国悪い奴等系スラングがいっぱいらしいが日本人にはなかなか難しいのはしかたないか。字幕アドバイザーにピーターバラカン氏が起用されていたが、氏も英国を離れて長いので大変だったろう。登場人物のうち唯一の非英語圏出身者で旧ソ連の元KGBのオッサンの英語が日本人の私には一番わかりやすかったのが可笑しい。
屋台でソーセージを売ってるオッチャンがいるのだが、ソーセージはいつも調理中で結局誰も食べられなかったのだが、どんな味だったのか気になってしかたがない。
ブラピの出演映画では一番面白かったかな。いちばん出番が少ないから(笑)

ユリョン2001/3/7(シネ・リーブル池袋)
1999年、韓国映画。ミン・ピョンチョン監督。チェ・ミンス主演。
ユリョンとは幽霊のこと。存在を消された乗組員達によって動く原子力潜水艦は秘密命令を帯びて公海をめざすが、その任務には重大な秘密があった。それを捕捉する自衛隊の潜水艦。軍人達が勝手に戦う怖さが画面から観客を突き刺す。当事者同士が勝手にやってるぶんにはいいが民間人はまきこむなよぉと突っ込みたくなる。 副艦長が、昔視力を一時的に失った時の経験から、聴力と第六感のいわば心眼で原潜を操るのが、まるで剣豪っぽくて面白かったぞ。

ホフマン物語2001/2/17(キネカ大森)
1951年英国映画。監督・脚本マイケル・パウエル、エメリック・プレスバーガー。
けっこー年くってくると、自分より古い映画を見る機会が減ってくるが、ひさしぶりに自分が生まれるよりも前に作られた]映画を見た。詩人ホフマンが学生時代の機械人形との恋、詩人となっての娼婦との恋、名を成してからのオペラ歌手との恋、の三つの物語を酒場で語るバレエ映画。
自分の身の回りとは何の関係もない民族、時代、風俗の映画を見るのもトリップ感があってよい。 ロビーに展示されている公開当時のポスターも、なかなか良い。

The Green Fish2001/1/15(シネ・ラ・セット
1997年韓国映画.。イ・チャンドン監督。ハン・ソッキュ主演。
除隊後、ひょんなことから裏世界に入っていく青年をハン・ソッキュが静かに演じます。けっしてかっこよくない若者。無鉄砲だがどこか心優しくワルに徹しきれない主人公。ほのかに思いを寄せるボスの情婦との交流がほほえましい。列車の中でおちこんでいる彼女を気遣い、手元のドリンク剤の内容説明書を読むシーンが印象的だ。今度チャンス(どんなチャンスだ?)があったらこの手は使ってみよう。鏡やガラス越しのシーンが随所にある。まるで水槽ごしに世の中を見ているかのようだ。映画を見終わったあとサムゲタンが食べたくなるかもしれません。

春香伝2001/1/10(シネ・ラ・セット)
2000年韓国映画。イム・グォンテク監督。
パンソリ(大雑把に言うと韓国伝統の浪花節みたいなもの)の語りにのってくりひろげられる時代劇ラブストーリー。長官の息子と妓生の娘の恋。一時は離れ離れになるが最後はメデタシメデタシの物語だが、この映画は話の筋は重要ではない。語りの声のリズムと、それにのっとって動く人物の流れに身をまかせ、半分眠りながら「ああ、面白い夢を見たなぁ」と思うのが正しい見方だろう。いや、正直途中で少し眠りました。つまらないからじゃなくて気持ちいいから。例えるとタルコフスキーの映画みたい。 ヒロインの春香ちゃんが初々しくてよろしい。


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