★2002年篇★
まるたつの超お手軽映画感想文です.。原則として映画館で見たものが対象です。
記憶違い、勘違い、思い込みも、た〜くさんあるのであんまり参考にはなりません。

年度INDEX
臥竜先生上京記2002/12/24(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1962年韓国映画 監督キム・ヨンドク 出演キム・ヒガプ ホ・ジャンガン他
「五父子」で人の好い父親役だったキム・ヒガプが今回は定年を迎えた老校長を演じる。退職を機に、ソウルに出ている教え子達に会いに数十年ぶりでソウルにやってくるのだがいきなり駅でスリにあってしまう。しかしそのスリの親分が実は教え子の一人だった。学業優秀で首席で卒業した生徒は朝鮮戦争で亡くなっていたり、教室でラブレターを書いていて先生に鞭打たれた男の子はその相手と結婚していたり、と人生様々であるなぁと世間一年生の臥竜先生は思うのだった。
教え子の婚約者の父親役で、元相撲取りの床屋経営のオヤジが出てくるのだが、このオヤジさんは前出の「五父子」でもキム・ヒガプ扮する運動具店のオヤジの隣で食堂を営むオヤジ役で出ていて、映画の本筋とはあまり関係ないギャグをかませてくれる。どうもこの二人はコンビでお笑いをやっていた節があるのだが実際はどうなんだろうか。
で、先生をダシに詐欺まがいの事をやる教え子も出たりするのだが、なんだかんだで私立臥竜学校を作ることになるのだった。
臥竜先生を演じるキム・ヒガプは笠智衆と由利徹をミックスした感じで飄々とした演技が愉快だ。ところで臥竜先生の退職した小学校の校歌が再三歌われるのだが、コレのメロディが日本でいうところの「蛍の光」なんだけど韓国ではこの曲はどんな位置づけなんだろうか。原曲はイギリスの曲だったような気がする。
笑わせて、泣かせて、心底悪いやつは出てこないという、甘いと言えば甘いが、心が温かくなる映画だった。
そういえば今日はクリスマスイヴ。街は恋人達であふれていたが、この映画をデートで見ているカップルはいなかった。

五父子2002/12/20(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1969年韓国映画 監督クォン・チョルフィ 出演キム・ヒガプ ファン・ジョンスン他
なんだか往年の浅草軽演劇を彷彿とさせる喜劇。運動具店経営の朴さんには未婚の息子が四人いる。床屋なのに禿げていてカツラ着用の長男の英。タクシー運転手の次男の雄。レコード店主の三男の豪。バンドマンの四男の傑。四人合わせて英雄豪傑。
四人はそれぞれのお目当ての女性と結婚するために秘策をこらしてついには結婚するまでのストーリー。四人は歌が好きで全編いろんな曲が流れる。マイベイビーベイビーバラバラ♪のフレーズを歌うシーンでは思わずニンマリ。日本でも流行ったねぇこの曲は。バラバラという歌詞が何回出てくるかなんてクイズもよくやってたもんだ。
速射砲のようなセリフの応酬が耳に心地よいのだが、リズムが良すぎたせいか大鼾のオヤジもいてうるさかったのには参ったね。

カインの後裔2002/12/19(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1968年韓国映画 監督ユ・ヒョンモク 出演キム・ジンギュ ムンヒ他
解放後の農村で起こった旧地主と小作人たちの物語。平壌からやってくるソ連の支配下にある人々、徳のある地主、生き延びるために豹変する農民達が入り乱れついには殺人事件まで起きてしまう。結局誰も得をしなかったのではないだろうか。
構成がやや単調だったせいか場内のあちこちで欠伸がなされ、鼾をかく奴まで出る始末。中には三度も携帯電話の着メロを場内に響かせる奴までいた。普通、一回かかってきたら切るだろうが。そんなに忙しい人がヒマつぶしに見に来る映画ではないだろうに。
一番解せないのは、クライマックスのアクションシーンで三人の人物が傷を負いこれからどうなるんだろうという場面で退場した人がいたことだ。退場するのならもっと前半の退屈なシーンですればいいものを。映画はシンプルだったが、謎の残る観客達だった。

張禧嬪(チャン・ヒビン)2002/12/13(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1961年韓国映画 監督チョン・チャンファ 出演キム・ジミ キム・ジンギュ チョ・ミリョン他
悪女として名高い張禧嬪の物語。張は苗字で禧嬪は王妃の次の位のこと。李朝第十九代粛宗大王の時代、張は官女の身分で王の寵愛を受け、太子を産み側室になり、やがては王妃をけ落とし自らが王妃になる。しかし悪いことはできないもんだ、いつしか悪事はバレ、王の怒りをかい自害して果てる。
しかし元はといえば国王が色香に迷ったのが原因なのにその追及はなし。ちょっとずるいぞ大王。主演の女優さんは新藤恵美に似ている。美人だけどどこか険がある役にピッタリだ。後半段々凶相のメイクになっていくのが鬼気迫るものがあり怖い。
セリフが時代劇で聴き取りにくいかと思ったが宮中が舞台で畏まってゆっくりした会話が多いので、早口の現代劇よりも朝鮮語学習者には勉強になるかも知れない。

裸足の青春2002/12/12(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1964年韓国映画 監督キム・キドク 出演シン・ソンイル ツイスト・キム他
浜田光男と吉永小百合のコンビの映画「泥だらけの純情」の韓国版リメイク。日本でも後に三浦友和と山口百恵コンビでリメイクされているようだがどちらも未見なので比べようがない。
「将軍の髭」でも影のある青年を演じたシン・ソンイルがチンピラを演じてなかなかかっこいい。浜田光男より男っぷりはいいみたい。ヒロインは吉永小百合に分があるかな。韓国版はどっちかつーと小鳩くるみが入ってます。わっかるかなァ?
ヤクザと外交官令嬢の悲恋心中物語なんだけど、ツイストのうまいチンピラ若者役の、ツイスト・キムとシン・ソンイルのからみも面白い。デートの資金稼ぎに二人で靴修理をやるのだが、靴底になんとスルメイカを貼り付けるという暴挙に出るのだ。実はこれは伏線といえなくもない。ラストシーンで、裸足のシン・ソンイルにツイスト・キムが靴をはかせてやる場面は泣ける、ほんとに泣ける。今回のフィルムはここで唐突に終わるのだがオリジナルでもそうだったのだろうか、ちよっと謎が残るのだった。

憎くてももう一度2002/12/5(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1968年韓国映画 監督チョン・ソヨン 出演シン・ヨンギュン ムンヒ他
二人の女性の間で愛の苦悩をする男が主人公なのだが、この男を演ずるシン・ヨンギュンさんちょっと小太りでそれほどもてそうにない。先週見た「浜辺の村」でも流れ者のモテ男くんだったのだが、どうも腑に落ちない。容貌を日本人にたとえるとず〜っと前に漫才で人気だった大木ひかり・こだまの太った方、ひかり氏に似ている。動物に例えるとカバ。どうです、モテ男くんとは思えないでしょ?
結果的に身ごもった不倫相手が子供を産み8年後突然訪ねて来て、子供をひきとる話しなのだがこの子役の男の子が利発そうで愛くるしくて涙をさそうったらありゃしない。
あの顔で「オンマ〜!」なんて叫ばれたら、ワタクシみたいなアジョッシでも性転換してオモニになりたいよ。まぁ実際にはなれないけど。

浜辺の村2002/11/28(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1965年韓国映画 監督キム・スヨン 出演シン・ヨンギュン コ・ウナ他
新婚十日目で夫の漁師が海で遭難死して未亡人になった主人公は、流れ者に言い寄られ二人で村を出て石切り場で生活するが、その美貌ゆえに殺人事件に巻き込まれまたもや二人で逃げて行く。行き先は深い山中。無断で木を伐採して暮らすのだが都会からやってきたハンターにヒロインが襲われそうになりまたまた殺人事件に巻き込まれる。逆上した流れ者はヒロインの首を締め仮死状態になってしまうが、流れ者は薬を求めて山を下りる。やがて息を吹き返したヒロインも山を下りようとするが、再び山に戻って来た流れ者は崖下に転落して死ぬ。ヒロインは雨の中穴を掘って遺体を埋めるが、その後は浜辺の村に帰って海女として暮らすことになる。
と言うのがアラスジだがいくら田舎とはいえ勝手に死体を始末していいものだろうか。流れ者はヒロインを手込めにしたのだがそんな奴とノコノコ駆け落ちしていいものなんだろうか。それに最期には亡き夫の実家に帰ってくるのがそれでいいのだろうか?筆者の韓国映画理解力のなさゆえか、う〜んとうなってしまう一編だった。
島に残された沢山の未亡人たちの苦悩を描いた文芸映画なのだが、この未亡人たち妙に明るく前向きなところがあり、逞しさが印象に残ってしまった。原作を読めばまた違う感想になるのだろうが例によって未読である。
ところでチマチョゴリって素肌に直接つけるものなのだろうか?劇中、海女の一人がヒロインに向かって「おまえは下着なんかつけてるのか、よけいな洗濯物が増えるだけなのに。わたしなんか下着はつけてないよ、ほら!」といったシーンがあったのだが、素朴な疑問である。

将軍の髭2002/11/19(東京国立近代美術館フィルムセンター)
韓国映画栄光の1960年代上映作品 1968年韓国映画 監督イ・ソング 出演シン・ソンイル ユン・ジョンヒ他
『将軍の髭』という題名の小説を書いていた青年が死ぬ。自殺か他殺か捜査する刑事は、没落地主の息子がカメラマンになり、やがて一人の女性と同棲しながら仕事をやめ小説を書く青年の内面を疑似体験していく。
『将軍の髭』の内容を青年が小説家に説明する場面ではアニメーション画面になるのだが、このアニメーションがなかなか洗練されていて素晴らしい出来だ。
小説の内容はこうだ。某国が抑圧から解放されて革命を成し遂げた将軍が凱旋する。その将軍が髭を生やしていたのを見て人々は皆髭を生やし始める。しかしどうしても髭に拒否感を覚える青年は髭を生やさず、会社をクビになり、交通事故で死んでしまう。ある方向性に傾く人々に違和感を持ち同調できない人間は社会からはみだしてしまう孤独感にさいなまれる。まるで作者の青年の実生活のようでもある。
事件は一段落して久し振りに早めに帰宅する警部はお土産に西瓜を買って帰路につく。たぶん子供は喜ぶだろうが妻は喜ぶだろうか、と思いながら雑踏に消えていくラストシーンが印象的である。

海賊、ディスコ王になる2002/11/1(ヤマハホール)
コリアンシネマウィーク2002参加作品 2002年韓国映画 監督キム・ドンウォン 出演イ・ジョンジン ハン・チェヨン他
海賊が上陸してディスコを占領して王様になる・・・なんて話ではない。
サタデイナイトフィーバーが流行っていた頃、とある町にディスコができディスコ王を決めるダンスコンテストが開催されることになり、『海賊』のあだ名がある男子高校生(イ・ジョンジン)が好きな女の子(ハン・チェヨン)の為にコンテストに参加して・・・という物語だ。
実は好きな女の子が借金返済のため(原因は父親がケガをしたからなのだが、この父親役の俳優さんは確か昨日見た『達磨よ、遊ぼう』の和尚様だと思う。この映画ではくみ取りやさんで女性のお尻に見とれて転倒して糞まみれになり大怪我をして働けなくなるという役だ。)、この店に縛られてしまってるのをコンテストに優勝したら解放するというディスコ経営者との約束があるのだ。ところが海賊はダンスができない。そこで、遊び仲間の母親が通っているダンス教室の先生を脅して無理矢理レッスンを受けるのだが、この先生とのやりとりも笑える。
このディスコ経営者も不思議な人物で好物は牛乳、自転車オートバイで町をまわって誰かを探しているのだが・・・それは・・・見てのお楽しみ。
時代も場所もはっきりしない、いつかどこかで起こったストーリーは、小林旭全盛時の日活無国籍映画と香港コメディを足して、韓国風味で味付けた感じの映画で、なんか辻褄の合わない楽しい夢を見た後みたいな気がする。劇中主人公が食べるジャジャ麺は実に美味しそうだった。
それにしてもなんで主人公のニックネームが海賊なんだろうか?

達磨よ、遊ぼう2002/10/30(ヤマハホール)
コリアンシネマウィーク2002参加作品 2001年韓国映画 監督パク・チョルグァン 出演パク・シニャン他
韓国映画でおなじみの面々が坊さん組と暴力団組とに分かれて多数出演している。
『約束』の若親分役パク・シニャン、『反則王』の原始人レスラー役パク・サンミョン、『アタック・ザ・ガス・ステーション!』のロック野郎カン・ソンジンに中華料理屋の出前役キム・スロ、『グリーンフィッシュ』で卵を売る兄役チョン・ジニョン等々。
無言の行に励む、実はおしゃべり屋さんの坊さん、尼僧に惚れるヤクザ、海兵隊の先輩後輩の関係の坊さんとヤクザ、尼僧の差し入れのお菓子に喜ぶ和尚さんなどが入り交じり対立したり打ち解けたりの大騒動。割れた瓶に水をあふれさせるにはどうしたらいいのかも、この映画を見れば一目瞭然。
尼僧役のイム・ヒョンギョンが可愛い。

オーバー・ザ・レインボー2002/10/29(ヤマハホール)
コリアンシネマウィーク2002参加作品 2002年韓国映画 監督アン・ジヌ 出演イ・ジョンジェ チャン・ジニョン
交通事故で部分的に記憶を失った気象キャスターのジンス(イ・ジョンジェ)と、記憶の回復を手助けする大学時代の同級生のヨニ(チャン・ジニョン)の物語。地下鉄の忘れ物センター職員のヨニはジンスの忘れられた過去を届ける役である。
学生時代に撮影した写真にうつっている、彼が好きだった彼女の正体は誰か?そう、ほとんどの観客が思った通りの結末を迎えるので安心してほしい。
劇中しばしば20歳のころの回想が入るのだが、チャン・ジニョン嬢は違和感ないのだが、前髪をおろし額を隠しただけのイ・ジョンジェは無理があったような気がする(笑)。テレビ画面での暗いイメージを明るくするため天気予報番組用に、雨の中街で傘を持って踊りまくるイ・ジョンジェの姿には場内爆笑であった。
ニュースは過去の事柄、天気予報は未来の事柄を扱うのだと上司に主張するジンスの言葉が印象に残る。
映画終了後の監督を迎えてのティーチインでは、質問者が監督に朝鮮語で挨拶する事が多かった。観客の中で朝鮮語学習者が占める率は高そうだった。

鴛鴦歌合戦2002/9/20(新文芸坐
1939年日活映画 監督マキノ雅弘 出演片岡千恵蔵、市川春代、深水藤子、服部富子、ディック・ミネ、志村喬
日本で初のオペレッタ映画と銘打たれた楽しい一編。以前から見たかった映画だがやっと見ることができた。ほんと、見てよかったァ。出演者皆歌う踊るはしゃぐ、あの志村喬でさえおどけた姿を見せてくれる。恋のさや当てをする三人の女優が皆さん愛くるしい。怒ったら「ちぇっ!」なんて言うのも可愛らしい。時代は変われど美人は美人なのだと認識したのだった。

弥次喜多道中記2002/9/20(新文芸坐
1938年日活映画 監督マキノ雅弘 出演片岡千恵蔵、杉狂児 、ディック・ミネ、比良多恵子
遠山の金さんとねずみ小僧次郎吉が、弥次さん喜多さんになりすまして東海道を京を目指して膝栗毛。本物の弥次さん喜多さんと交錯しながら、途中知りあった旅芝居一座に潜り込み舞台で馬の足になったり、なんとその馬の扮装で街道で馬に乗る客を誘ったりするのだ。もちろん有名な五右衛門風呂にげた履きで入る逸話も盛り込まれている。金さんと次郎吉の男同士の友情にホロリとしたり、母を探す姉弟のお雪役の比良多恵子も可愛いし隅から隅まで楽しめる映画でありました。弟の三郎役の子役の名が悦ちゃんなのだがこれが芸名なのだろうか。ディック・ミネも細い、細い。

ブレッド&ローズ2002/9/11(シネ・ラ・セット)
2000年イギリス、ドイツ、スペイン映画110分 監督ケン・ローチ 出演エイドリアン・ブロディ他
メキシコ移民姉妹を軸に繁栄の米国で過酷な労働条件に立ち向かう人々の物語・・・なんだけどいまひとつピンとこなかった。なんでかと考えたら、あまりに普通な展開だからだ。退屈はしないのだがワクワクもさせない。眠るほど心地よいリズムもない。この映画のテンポが筆者には合わない。こんな事ならモーニングショー上映の同監督の「ナビゲーター ある鉄道員の物語」を見ればよかった。
映画館前でこの映画のポスターを見た老夫婦が「インドの映画か?」と言っていたのがおかしかった。そりゃたしかに褐色の肌の人だけどね。そういえば昔はちょっと色の黒い人をインド人みたいって言ってましたね。ターバンを巻いてカレーを食べてるイメージね。日本がフジヤマ、ゲイシャ、ハラキリというのとあんまり変わらないね。

春の日は過ぎゆく2002/9/4(キネカ大森)
2001年韓国映画 監督ホ・ジノ 出演ユ・ジテ,イ・ヨンエ
『八月のクリスマス』に続くホ・ジノ監督第二弾。期待の95%は答えてくれた。
前作同様受け身の男と能動的な女の恋愛。同じくお婆さんも出ます。人の死もあります。
『八月のクリスマス』では写真技師の男と交通取締官の女性の組み合わせだったが、今回は放送局の女性プロデューサーと番組の音声を担当する年下の男の組み合わせだ。どちらの男も寡黙なのが共通点である。写真と録音、まぁしゃべらなくても出来る職業ではあるが。そのかわり女は交通取締官だろうと放送局だろうと喋る。良く喋る人のことを放送局と言ったりするがそれはここでは関係ない。
前作では写真の取り直しを希望するお婆さんが印象的だったが、今回は録音技師ユ・ジテの痴呆の祖母がまたまた印象的である。彼女のセリフに「バスと女は去って行ったら追うもんじゃない」というのがある。韓国の暴走バスのイメージと重なって笑いが起きるシーンだ。
ヒロインは当初イ・ヨンエではなくシム・ウナの予定だったらしいが、目を瞑って考えるにシム・ウナの方がよかったかなぁと思ったりする。
理由はイ・ヨンエが美人過ぎる(^^)から。いやシム・ウナも美人だが質が違う。シム・ウナの場合は包み込む美しさで、見るものをくるんでくれるやすらぎ感がある。対してイ・ヨンエはまっすぐ美人光線を発するから見る側はモロに撃たれてしまい劇中に感情移入できないのだ。スクリーンの中でイ・ヨンエが首を傾ければ自分も同じ角度に首を傾けてしまったりする。バカだねほんとに。単に筆者の好みなんじゃないのと言われればそれまでだが。
食事後スタジオ入りした彼女が、番組でかけるCDの鏡面で歯に食べカスが詰まっていないか確認するのが韓国人の日常っぽくて面白い。美人はこんなシーンでも絵になるね。指を紙で切って血が出たら、頭上で手を振り回すシーンも印象的だった。
主演の二人はかなり身長差があり抱擁シーンでは二人とも体が無理な姿勢になって辛そうだった。これを利用して、この二人で実写版「チッチとサリー」なんてのを撮ったらどうでしょうかね。

フランダースの犬/吠える犬は噛まない2002/7/27(国際交流基金フォーラム)
2000年韓国映画 監督ポン・ジュノ 出演イ・ソンジェ,ペ・ドゥナ
現在まで日本未公開だが第9回シネマコリア上映会で見ることができた。ペ・ドゥナって素晴らしいと良く聞いていたが「プライベートレッスン青い体験」では、そんなもんなのかなと思っていたが本作では評判以上の女優さんだと認識した。わかりやすく言うと菅野美穂プラス藤山直美、ってよけいにわからないか。愛くるしくてふてぶてしくて素直でがさつな奴。親戚に一人くらいはいそうな、そんな彼女だ。
ありそでなさそな、なさそでありそな事件が起こり、いろいろあってなんとかなるのが日常だが、この映画はその日常を誇張しつつリアルに(どっちなんだ)描いています。
韓国地下鉄名物(?)の物売り物乞い、実は犬鍋食べてるおじさん、賄賂で出世しようとする奴、テレビに出たがる奴。みんなちょっと悪いことしたり、良いこともしたり、そうやって生きているんだ。
そんな物語の中で、食われた犬と、ショックで死期が早まったハルモニと、何の関係もないのにドアミラーを壊されたドライバーには同情してしまう。
ラストシーンのペ・ドゥナちゃん、とってもまぶしいぞ。直視できないくらいだ。
こんなに面白いのにどうしてこれが日本未公開なんだろうか。見る機会を与えてくれたシネマコリアの皆さんに感謝!

BORDER LINE2002/7/4(東京国際フォーラム・ホールD)
2002年日本映画 監督脚本 李 相日 出演 沢木 哲、前田綾花 麻生祐未、光石 研、村上 淳 他。
「青〜chong〜」で「PFFアワード2000」グランプリ受賞の李監督の第二作は、陽の前作とちがい陰の映画だった。
テーマはズバリ親と子の関係。父を殺して自転車で家を出る高校生と、北海道を目指す彼を東北までタクシーに乗せて運ぶ運転手。中年のヤクザと、今では女子高生に成長した別れた娘。夫はリストラで息子はいじめられっ子のマイホームに執着する函館に住む主婦。
これらのエピソードが並行して進み、日常生活の中でボーダーラインを越えていく様子が丹念に描かれる。
しかし三つもエピソードを挿入したせいか、やや冗舌になってしまった感は否めない。函館に住む主婦のエピソードはなくして、上映時間も現行の120分から90分程度にしたほうがよかったような気がする。まぁ監督が三つのエピソードとこの上映時間にこだわるのなら観客からは何も文句はないんですがね。
在日韓国人監督ならではの前作とは異なり、今回は在日問題は直接は関係ないが次回作はまたそうなるかも知れないとの監督の言葉を、映画上映の前後に行われたトークタイムで聞いた。
何かのやりとりの中で「ボクは外人だから云々」という言葉がポロリと出るところが鋭い。で、その後に「でもボクが作るのは日本映画だけど」と続くのがまた心憎い。
会場のDホールは300人程度は入れるのだが、真ん中の見やすい席がほとんど関係者席というのはどうかと思う。お金を払った客にこそいい場所で見せてあげたほうがいいと思うがどんなもんだろうか。
一般席に「アンニョンキムチ」の松江哲明監督の姿を発見した。上映後の質疑応答コーナーで観客の一人が松江監督の事に触れた時は、小柄な体を更に縮めて「ぼくにマイクが回ってきたらいやだなァ」ってな感じになってたのを同じ列のちょっと後ろから見たのは愉快だった。同じ列のちょっと横には阪本順治監督が座っていた。「KT見ましたよ」と声をかけようかと思ったが別に顔見知りでもないのでやめにした。
てなわけで、正式に劇場で公開されるのが楽しみな一本である。

燃ゆる月2002/7/3(スバル座)
2000年韓国映画 監督パク・チェヒョン 出演ソル・ギョング キム・ユンジン他。
原題は「タンジョクピヨンス銀杏の木の寝台2」。つまり「銀杏の木の寝台」のパート2である。パート2に傑作なしと言われるがたぶんこれもそうだろう。と言ってもパート1は未見なんだけど。
タイトル頭のタンジョクピヨンスはパート1にはついていない。これはパート2の主要登場人物のタンとジョクとピとヨンとスのことだから、タンジョクピヨンスで韓日辞典をひいても出ていない。
物語は古代朝鮮の二つの部族の争いと、その周辺の愛と恋と情のせめぎあい合戦。ペパーミントキャンディーでも若者の役を堂々演じたソル・ギョングが、本編でも二十歳(!)の役柄を真っ向から演じます。W杯では韓日親善大使にもなり来日したキム・ユンジンもソル・ギョングを受けて立つ形で彼に恋する娘を華麗に演じます。
時代劇だが会話はわかりやすい現代語風で、棒読みっぽい雰囲気なので朝鮮語聴き取りの勉強にはいいかもしれない。

エンジェル・スノー2002/6/6(新宿武蔵野館4)
2001年韓国映画 監督ハン・ジスン 出演イ・ソンジェ コ・ソヨン
原題は「ハル」。一日の意味である。それが「エンジェル・スノー」。同じく韓国映画「青春」が「プライベートレッスン青い体験」になったのと同じ感覚。このふたつの映画、他にも共通点がある。雪をテーマにした詩が重要な役割を担うのだ。雪の降る音が、原音では「ケンチャンタ、ケンチャンタ」になっている。直訳すると「大丈夫大丈夫」。たしかに雪の降る音にしては変なのだが、「青春」ではそのまま「大丈夫大丈夫」と表現されていて映画のテーマに沿っていた。
一方この「ハル」では日本語らしく「しんしん」と意訳されていた。確かに雪の降る音は「しんしん」なのだが、ここはやっぱり「大丈夫大丈夫」のほうが良かったと思う。映画のラストで雪が降る重要なシーンがある。ここで言外に「大丈夫大丈夫」というイメージを観客に伝えるのだが、朝鮮語のわからない人にはこのイメージが伝わらないのではないだろうか。伏線としてこの詩が出たシーンでは、まぁ意訳もしかたないかと思ったのだが、ラストまで見てちょっと待ってと言いたくなってしまったのも事実だ。もしかして韓国映画ファンは朝鮮語学習者が多いからあえてそうしたのかも知れないが。事実、場内にはそれらしい人々の会話も聞こえたのではあるが。
この映画を見てない人のために詳細は書かないが、物言わぬ赤ちゃんのメッセージと雪がオーバーラップして、両親に想いを伝えるシーンなのだから、やっぱりここは「大丈夫大丈夫」だよなぁ。

KT2002/5/8(シネラセット)
2002年日韓合作 監督 阪本順治 出演 佐藤浩市,キム・ガプス,原田芳雄,チェ・イルファ,筒井道隆,ヤン・ウニョン
KTとは金大中のハングル読みのアルファベット表記の頭文字だ。無理にカタカナに直すとキム・テジョン。日本式にキン・ダイチュウだったらKDだね。暗殺作戦名の「Kill the Target」の意味もあるらしい。
映画は1973年日本で起こった金大中(現韓国大統領)拉致事件をテーマにした政治サスペンス。このところ元気な韓国映画に押され気味の日本映画だが久々に胸を張れる映画だ。まっ別に張らなくてもいいんだけど。ほとんど全編男優ばかりの構成は、ほんとあの事件はオトコどもがゴタゴタしてたんだなぁと思ってしまう。
先民主!後統一!の演説をする金大中には、思わず画面に向かって拍手してしまった(苦笑)。何度も殺されそうになりながら何度も甦り大統領になったんだからたいしたもんだよ、まったく。でも現在は不肖の息子のスキャンダルでちょっとやばい方向になりつつある。家族を大切にする民族だから、ある意味、拉致事件より息子問題が大変かもしれないなどとも思ってしまう。
佐藤浩市扮する主人公の、上官のジエータイ幹部が「ジエータイは人を殺してはいけない」というシーンでは場内に笑いがチラホラ。原田芳雄扮する元特攻隊員の新聞記者が言う「テンノーヘーカ万歳で死に損なって、キョーサントー万歳で死に損なって・・・」のセリフには年配者を中心に笑いが広がった。
事件のあった1973年8月8日が水曜日ということで毎週水曜日は1000円均一料金になる。東武デパート社員は狙い目だ(笑)めざせ水曜日!。

ロード・オブ・ザ・リング 2002/4/23(丸の内ピカデリー1)
2001年アメリカ映画。監督製作脚本ピーター・ジャクソン 主演イライジャ・ウッド。
フロドは体の小さなホビット族の少年。彼はひょんなことから、指輪をこの世から消してしまうため八人の仲間達と長い旅に出る、という御存知「指輪物語」の完全映画化三部作の第一部。
弓の名人のエルフ族の王子レゴラスが戦いの場でも銀髪なびかせて優雅に敵を倒すのが愉快。
エルフ族のアルウェン姫は情熱的な美人だし・・・というわけで物語はまだまだ続くのだった。
三時間の上映時間が短く感じるくらいの展開なのに途中で退出する客がけっこういた。アレは何だったんだろうか、よくわからない。

アメリ2002/4/10(銀座テアトルシネマ)
2001年フランス映画。監督 脚本:ジャン=ピエール・ジュネ 主演オドレイ・トトゥ
昨年シネラセットでの上映を見逃していたが、やっと見ることができた。噂通り女性の観客が多い。5階まで上がるエレベータ内は女性10人に男性は私一人。ここでエレベータごとタイムスリップしたらハーレム状態じゃわいと夢想するオヤジのココロ。
映画は抜群に面白い。ただし、ちょっと変わった感じのパリっ娘の人情喜劇みたいな評判になっているがそれはちょっとちがう。疾走感あふれるリズムで時間軸や空間を超越した夢を見ている楽しさがある。『SFサムライフィクション』や『ラン・ロ−ラ・ラン』が好みの人は絶対に楽しめる。私の席の後ろの方にいた女性は、主人公アメリの幼年時代で寝てしまい、目覚めたらオトナになっていてびっくりしたなんて言っていた。親切すぎる過度な説明が必要な人には退屈かもしれない。誤解を恐れず言えば、アメリは女版ミスタービーンだ!

プライベートレッスン青い体験2002/4/3(銀座シネパトス)
2000年韓国映画 監督クァク・チギュン 出演キム・レウォン キム・ジョンヒョン
原題は「青春」。しかしこの邦題、70年代のルノーベルレー主演映画にあったような気がするが。
銀座シネパトスに入ったらすごいクレゾール臭。トイレでも消毒したのだろうか。ロビーでカルピスを購入して場内に入るとここもクレゾール臭が充満している。クレゾール臭+カルピスは気分が悪くなる組み合わせだった。頭がクラクラしてくる。途中で退場した観客も数人いた。私も退場しようかと思ったがぐっとこらえてなんとか最後まで見たが意識は朦朧状態で映画の内容はよく覚えていない。
主人公の二人が慶州の大学生になって共同生活をする部屋に初期型iBookとキャンディカラー時代のiMacがあったのだけは覚えている。
ビニールハウスの中、先輩の部屋、などで上になったり下になったり青い体験をかさねていたようだが記憶は定かではない。

寵愛2002/3/18(シネラセット)
2000年韓国映画 監督ヨ・ギュンドン 出演イ・ジヒョン オ・ジホ
韓国公開当時、たまたま釜山に行っていたのだがこの映画のポスターをよく見かけた。現代はミイン(美人)。
作家でインタビューアの男と、ヌードモデルの女のラブストーリー。女性映画っぽい宣伝をしていたが観客も女性が多かった。韓国でも女性の方にウケたそうだ。
オシャレというか、なんというか、キムチのニオイのしない韓国映画だ。劇中にもキムチは登場しない。パスタなんかが出てくるわけだ。
ほとんど、オシャレな白が基調の男の部屋が舞台なのだが、たまに外の場面があっても、ハングルの看板は極力画面にでないように撮られている。セリフは短くゆっくり話したり、独白が多いので朝鮮語学習者には勉強になるかも。そんな映画。

家路2002/3/6(シャンテシネ)
2001年ポルトガル仏映画 監督脚本マノエル・ド・オリヴェイラ 出演ミシェル・ピコリ,カトリーヌ・ドヌーヴ,ジョン・マルコヴィッチ
老俳優が舞台出演中に妻と娘夫婦が事故死し、残された幼い孫息子との生活が始まる。その日々の物語。
物語の重要要因の事故に関して事故現場や病院の描写は一切なく老優の演ずる舞台が延々続く。時には延々客席を映し続ける。この舞台のシーンにはカトリーヌ・ドヌーヴが出ているがここ以外の場面には登場しない。この舞台のシーンでシャンテシネの数人の客が眠ったが映画の劇場の観客は眠らない。
毎日のように行くカフェで同じ席で同じものを飲む老優。ちょっとしたギャグもあるけどそれは見てのお楽しみ。後半はジョン・マルコヴィッチ扮する米国人映画監督の作品に出ることになる。メイクの模様をこれまた丹念に見せてくれる。ここでも数人眠る。すごく重要なところをさらりと流して、そうは思えないところを微に入り細に入り描くのが見る側に不安感と緊張感を持たせてくれて楽しい。
劇中の米国映画のカチンコはデジタル表示されてたけど日本の映画界ではどうなんだろうかと気になった。

友へ/チング2002/2/25(イイノホール)
2001年韓国映画 監督クァク・キョンテク 出演ユ・オソン,チャン・ドンゴン,ソ・テファ,チョン・ウンテク
チングとは朝鮮固有語ではなく漢字で親舊と書いて友達の意味だ。1976年から1993年の釜山が舞台。小学生からの幼なじみの四人の少年が高校で再び一緒になるが、ヤクザの息子ジュンソク(ユ・オソン)と葬儀屋の息子ドンス(チャン・ドンゴン)はワルで有名になっていた。それでも剽軽なジュンホ(チョン・ウンテク)と優等生のサンテク(ソ・テファ)と一緒につるんで遊んでいたが徐々にそれぞれの人生を歩き始める。
黎明期のテレビゲーム、初期のビデオデッキ、ブルース・リー、グループサウンズ、ナイフのおもちゃ等懐かしいアイテムが登場して効果的。そのころ日本にはあまり韓国の日常生活の情報は入って来なかったけど、似たようなことやってたんだ。
対立する高校の連中との大乱闘シーンは、鈴木正順の「けんかえれじい」で高橋英樹とオスムス団が大暴れするシーンを思いださせる。
アタック・ザ・ガスステーションにコミカルな無鉄砲役で出ていたユ・オソンがいいんだ。ラストのガラス越しのハイタッチで思わず涙。

情事2002/2/5(シネ・リーブル池袋)
1998年韓国映画 監督イ・ジェヨン 出演イ・ミスク イ・ジョンジェ
39歳の美貌の人妻が妹の婚約者と恋におちる物語。登場人物はみんな社会的成功者ばかり。妹はアメリカで仕事をこなしていて婚約者もアメリカ暮らしが長い青年である。高級マンションに住みセンスのいい家具。食事に行く店もオシャレなレストラン。テーマは愛。この映画にはキムチも市場も屋台もチリチリパーマのアジュマも出てこない。なんだかフランス映画みたいな雰囲気が全編に漂っている。それはそれで楽しめる映画だ。
でも一番印象に残ったのは人妻の夫役のソン・ヨンチャン。この人、ソンガンホ主演の「反則王」で、職場で主人公にいきなりヘッドロックをかけていじめる上司を演じた人だ。どうもこのイメージが強すぎてこの映画でも不倫の妻に怒ってヘッドロックをかけるんじゃないかと気が気ではなかった。 この映画、翻訳はおなじみの根本理恵さんではありません。この点がちょっと新鮮でした。

スパイ・ゲーム2002/1/31(ワーナーマイカル・シネマズ板橋)
監督トニー・スコット 出演 ロバート・レッドフォード 、 ブラッド・ピット
スパイ版巨人の星だ。もちろん星一徹がロバート・レッドフォード で飛雄馬がブラッド・ピットだ。一人前のスパイにすべくブラッド・ピットを鍛えるロバート・レッドフォードは映画界の明日を託して演技しているようで、映画の物語とシンクロして面白い。しかしロバート・レッドフォードまだまだ枯れてません。真正面からブラッド・ピットと張り合ってます。しかしキャップを被った姿は、サラリーマンのお父さんが日曜にする草野球の選手みたいに似合ってないし、顔がアップになるとシワというには深すぎるひび割れが目立ち、書類を繰る時に指に唾をつけるシーンは演技とは思えない。なのにブラッド・ピットよりアップが多いっス。心なしかブラッド・ピットの演技は控えめだ。やっぱりいろいろ恩義もあるし遠慮があるのかも。
で、映画の内容は1991年の中国、1975年のベトナム、それに東西ドイツを分断するベルリンの壁が崩壊する前後、ベイルートと米国の戦争の歴史と重なるハラハラどきどきのアクションで娯楽作品としてとても面白かった。なんだか007シリーズの一本みたいな感じで、出演がロバート・レッドフォード 、 ブラッド・ピットじゃないほうが面白かったかも。後ろの席の大学生風カップルは長すぎたとかよくわからないとかの感想を述べあっていた。まぁアポロが月に行ったずっとずっと後に生まれたんだろうからベトナム戦争もピンとこないんだろう。あの頃の若者も今や立派なオジサンオバサンだ。時代は変わる、時は流れる。ロバート・レッドフォード の顔が全てを語る。

マリイヤギ(マリ物語)2002/1/17(韓国ソウル市シネキューブ)
2001年韓国アニメーション 監督イ・ソンガン。
韓国ソウル光化門近くの興国生命ビル地下にできた新しい映画館シネキューブに行ってみた。
封切り後一週間だというのに客は十数人。料金は第一回上映割り引きサービスで7000ウォンが6500ウォンだった。去年までは6000ウォンだったけど日本の約40%の料金でロードショーが見られるんだからいいよなぁ。
2D3D混合の美しいアニメーションは静かな演出と相まってやすらぎをあたえてくれる。 現代のソウルで暮らす青年の日常と、彼が故郷の島で過ごした少年時代のエピソードが語られる。少年時代にたしかに出会った少女のような妖精のような女の子の名前がマリ。いえ、べつに日本人じゃないです。今となっては夢だったのかさだかではない存在のマリだ。しかしあの頃の少年にとっては確かに実在したのだ。
かつて少年だった時間を覚えている人に一番見てほしい映画だ。名優アンソンギが声の出演もしている。と言ってもいくらなんでも少年の役じゃないから御安心を。 雪のソウルのビル街を鳥の目で見るシーンではなぜかAdobeの赤い文字の看板が白い雪景色の中で映える。物語には関係ないのだが妙に印象に残った。タイアップかしらん。
映画がエンディングになって一番驚いたのは、最後までクレジットスクロールを上映してしかも観客もそれを全部見たことだ。今までの経験だと韓国の映画館は映画が終わりになるやいなや場内の照明をつけ幕を下ろし、観客もそんなものには何も興味を持たずそそくさと退場していたものだ。この状況に対して映画ファンから最後まで見たいリクエストもかなりあったらしいから状況は変わりつつあるのかも知れない。

接続2002/1/13(東京大手町逓信総合博物館)
1997年韓国映画。監督チャン・ユニョン、出演ハン・ソッキュ、チョン・ドヨン。
ずっと前から見たかったこの作品、やっと見ることができた。
ラジオ番組のディレクターの男と、通信販売の電話オペレータの女のすれ違い恋愛映画。 一枚のレコードを通じて二人はパソコン通信のチャットで語りあう。いつしか会おうということになるのだがこれがなかな会えないんだ。ソウル市鐘路3街の映画館「ピカデリー劇場」前で落ち合うことになるのだが、実はこの映画館で二人は観客として以前に同じ映画を見ていたことがあるという縁があったりする。
この映画を見た翌日、ソウルに行く機会があったので実際のピカデリー劇場に行ってみたが残念ながら取り壊されて新しい複合ビルが建設中だった。ついにピカデリー劇場の現物には会えなかったわけだが、前日に見た外国映画のロケ地に翌日自分が立っているという不思議な感覚を味わうことができた。


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