★2006年篇★

超お手軽映画感想文です。原則として映画館で見たものが対象です。
記憶違い、勘違い、思い込みも、た〜くさんあるのであんまり参考にはなりません。

おだだだ〜JAPANに戻る
年度INDEX

●ロシアアニメ最新作品集●2006/11/22(ラピュタ阿佐ヶ谷
第7回ラピュタアニメーションフェスティバル 2006のプログラムのひとつ。
「ラピュタ阿佐ヶ谷」で映画を見るときは、いつも前から2列目の席に座る。今回もいつもの席に座ったら、前の列に座った大柄な女性のヘアスタイルがこれまた大柄で、画面下部が見えない。
巡り合わせが悪いことに、今回の映画はロシア語で字幕は英語。その英語字幕が下部に出るのだが、前の列の障害ブツで全く見えない。しかたないので首を傾けてなんとか字幕の左半分を読み取ることになってしまった。首をかしげていたら、なんだか眠くなってしまった。
●ミルク(2005年)/ミルクを配る豊満なオネーさん。
●愛の告白(2006年)/全然記憶がない。眠っていたのかも。
●シャーロックホームズとワトソン博士(2005年)/メイドさんの豊満な胸の真実。
●Boitel(2006年)/と、あるシーンで、長い柄杓ですくう姿を見て、ドリフの初期のギャグ(肥桶かつぎ)を思い出した。

●バースデイ・ボーイ●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
2004年 オーストラリア映画 監督/シージョン・パーク 
韓国系オーストラリア人監督によるアニメーション。
朝鮮戦争の時代、誕生日に届いて郵便はプレゼントではなかった、という物語。
少年が線路に耳をつけて列車が来るのを確認する仕草が、どこか懐かしい。
セリフは韓国語、下部に英語字幕、右部に日本語字幕と、なんだか画面が狭苦しく感じられた。セリフも少ないし、韓国語学習者なら字幕はいらないだろう。

●息をとめて●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
2001年 オーストラリア映画 監督/アンソニー・ルーカス 
少年と少女と老人と犬の、影絵のようなアニメーション。
現代の工場地帯が舞台だが、どこかはるか昔の民話を想起させる。

●エイダ●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
2001年 オーストラリア映画 監督/リー・ウィットモア 
エイダというおばあさんのある日の出来事を淡々と綴るアニメーション。ひたすら豆の皮を剥くおばあさんの手の動きに連動したような不規則なアニメーションが最初は違和感があるが、慣れてくると心地よく、ずっと見続けたい気持ちになる。
エイダがいるテーブルの周りに出没する家族。ラジオを聴く孫。犬を追いかける孫。それでもエイダは豆を手にする。
ラストシーン、孫娘とかわす視線が胸に残る。

●クラッカー・バッグ●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
2003年 オーストラリア映画 監督/グレンディン・イーヴァン 
1980年代、花火を買うため空き缶拾いのバイトをする少女が主人公で、今日のプログラム中では唯一実写作品。 この当時のオーストラリアの時代背景がわかればもっと面白いのかも知れないが、全然知らなくても楽しめた。
兄と母と暮らす少女は、別れて暮らす父に会いたがっているが父は来ない。そして、一緒に花火をしようとたくさん買い集めた花火をうちあげる日がやってきた。
オーストラリアでは家族で花火を楽しむ日というものがあるのだろうか、その日はどの家からも花火の光と音があふれている、そんな光景を見る少女。
子供時代の時間の流れを思い出すような映画でありました。

●おじさん●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
1996年 オーストラリア映画 監督/アダム・エリオット 
クレイアニメ。
客観的にみると不幸な晩年だったアンクル。

●いとこ●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
1998年 オーストラリア映画 監督/アダム・エリオット 
クレイアニメ。
これも客観的にみると不幸な人生だった従兄弟。

●兄●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
1998年 オーストラリア映画 監督/アダム・エリオット 
クレイアニメ。
これも客観的にみると不幸な人生だった兄。

●ハーヴィ・クランペット●2006/10/27東京国立近代美術館フィルムセンター
2003年 オーストラリア映画 監督/アダム・エリオット 
上記の、おじさん、いとこ、兄、と同じくクレイアニメ。
ポーランドで、鉛中毒の母から生まれたハーヴィ・クランペットは脳に障害があった。学校からも見放され自立を決心した途端、両親は裸で凍死。オーストラリアに移民として渡るが雷にうたれたり、脳に鉄板を入れられたりするが、いつしか頭が磁石になり脚光を浴びる。
やがて伴侶に恵まれるが、睾丸が片方なくておまけに無精子なので子供が出来ずサリドマイ児の養女をもらう。この娘はやがてアメリカに行き弁護士になる。
思えばこの頃がハーヴィの人生の絶頂期だったのかもしれない。ある日妻が死にハーヴィは施設に入れられ、バスの来ないバス停でバスを待つのだった。いろいろあったハーヴィの人生はやがて終わる。
こう書くと、一連のアダム・エリオットのクレイアニメは陰々滅々としたものと思われがちだが、根底は明るいグロ可愛いアニメーションだ。出て来る人物たちは、脳梗塞、アルコール中毒、脳性麻痺、認知症などに襲われるが、いたって本人は平気だ。どうせ人間いつか死ぬんだから、表面上はちょっと違っても皆平等だよ、といったような悟りの境地すら画面から感じられる。
監督に関しても作品に関しても全く白紙の状態でこの映画に接したので、新鮮な驚きを受けた。この監督の作品がもっと見たい。

●ザ・タイガース 華やかなる招待● 2006/10/19(ラピュタ阿佐ヶ谷
1968年 東京映画 監督/山本邦彦 出演/ザ・タイガース 久美かおり 小山ルミ 春川ますみ 他
GS全盛時代の、当時でしか作れなかった映画。
後年、味のある役者になった岸部一徳さんの、サリー時代の演技が見もの。若き日の内田裕也の姿もチラリ。
ケン・サンダースも出ている。一瞬ジョー山中かと思ってしまいました。
久美かおりは、一瞬、渡辺恵美かと思った。
なんといっても小山ルミが良い。ほんと1960年代末期の美少女の雰囲気がみなぎっていて、あの頃の空気が感じられる。

●パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト● 2006/10/19(TOHOシネマズ 錦糸町
2006年 アメリカ映画 監督/ゴア・ヴァービンスキー 出演/ジョニー・デップ   オーランド・ブルーム   キーラ・ナイトレイ 他
次のパート3が楽しみになる映画。
長〜いエンディングロールのあとに小さなオチがちょこっとあるのが愉快。

●ぽんこつ● 2006/10/13(ラピュタ阿佐ヶ谷
1960年 東映 監督/瀬川昌治 出演/江原真二郎 佐久間良子 若水ヤエ子 他
『瀬川昌治の乾杯ごきげん映画術』 と銘打った特集の一本で、瀬川昌治監督デビュー作。
実は若水ヤエ子目当てで行ったのだが、今回は女中ではなく解体屋の娘役で、残念ながら出番は少なかった。それでも黒ぶちメガネで、江原真二郎にサザエをプレゼントして迫るシーンで笑わせてくれたから、良しとしよう。
女子大生役の佐久間良子と、解体屋で働く青年の江原真二郎の、微笑ましいラブコメなんですが、二人ともとっても愛くるしくて可愛い。この映画よりず〜っと後の、おもいっきり成人したお二人の姿しか知らなかったのでとても新鮮に映り、思わず微笑んでしまった。
「イカす」「ちぇっ」などの当時の若者言葉も頻繁に出て楽しい。佐久間良子が、反応の鈍い母親役の沢村貞子に「お母さん、蛍光灯ね」と言うのが時代を感じさせて面白い。
この言い回しのどこが面白いかわからないお若い諸君に蛇足ながら説明しましょう。
昔の蛍光灯は電球とちがってすぐには灯らなかったので、一発でつけるのはちょっとコツが必要だったんですよ。どうやったかというと、蛍光灯の紐を引っ張ったらすぐには離さないでそのままの状態を保持する。ちゃんと点灯したらおもむろに紐を離すのです。うまくつくかどうか、子供心にハラハラしたもんです。そんな思い出がよみがえる映画でした。

●妖怪百物語● 2006/10/3(ラピュタ阿佐ヶ谷
1968年 新東宝 監督/安田公義 出演/藤巻潤 高田美和 坪内ミキ子 ルーキー新一 林屋正蔵
ルーキー新一目当てで見に行ったが、世紀の意味不明不条理ギャグ「いや〜いや〜」は出なかった。
林屋正蔵(晩年は彦六)師匠、若い頃から声が震えてました。あの震えは加齢のせいじゃあなかったんですね。
ザ・ガードマンの藤巻潤が若侍で出てました。
若き日の坪内ミキ子さん、楚々としてお綺麗でした。

●鋼鉄の巨人 地球滅亡寸前● 2006/9/21(ラピュタ阿佐ヶ谷
1957年 新東宝 監督/石井輝男 主演/宇津井健
怪星人の魔城の続編。
地球人の子供を誘拐したカピア星人は、松明を持って踊り狂う。月の裏側にある小惑星から来た宇宙人とは思えない風習である。
逃げる子供を追いかける女性のカピア星人は、何故か魔法使いのお婆さん風。
子供は道端にムシロにくるまって寝ている屑拾いのオジさんに助けを求めるが、眠いオジさんは起きてくれない。困った子供は傍にあった背負いカゴに隠れるが、なんと魔法使いのお婆さん風カピア星人は、この背負いカゴを背負って歩き始める。果たしてこの後の展開や如何に!
空疎科学映画というより妄想科学映画ともいうべき楽しさに満ちあふれている。ああ面白かった。

●鋼鉄の巨人 怪星人の魔城● 2006/9/21(ラピュタ阿佐ヶ谷
1957年 新東宝 監督/石井輝男 主演/宇津井健
ご存知スーパージャイアンツ。
宇津井健の股間モッコリが有名だが、透けた乳首もかなりのもの。
地球を狙うカピア星人との戦いは、劇場の舞台で展開するミュージカル仕立て。ただただ、圧巻。

●日蓮と蒙古大襲来● 2006/9/4(ラピュタ阿佐ヶ谷
1958年 大映 監督/渡辺邦男 出演/長谷川一夫 市川雷蔵 勝新太郎 淡島千景 他
今、描いているマンガに蒙古襲来の場面があるので参考がてら見に行って来た。
どうもこの映画、封切り当時に家族で見に行った記憶がある。
帰宅後、弟と映画のシーン(蒙古軍退散を祈祷する場面)を真似てはしゃぎすぎ、親に怒られたんだった。
その時見たはずなのに全然覚えていなくて今回発見したのは、淡島千景の本格的美しさ。
昔の女優さんのほうが、今の女優さんより綺麗度が高い気がする。
嵐で蒙古軍が壊滅する特撮は今見ても迫力がある。 それに反して、小さな船を船頭さんが船をこぐシーンは、ミニチュアの船頭さんの動きが可愛らしくてユーモラス。
映画を見終わってロビーに降りたら、病気から回復されてスマートになった快楽亭ブラック師匠を発見。お元気そうでなにより。

●バルトの楽園(がくえん) 2006/7/3(丸の内TOEI 1)
2006年 東映 監督/出目昌伸 出演/松平健 ブルーノ・ガンツ 阿部寛 高島礼子 オリバー・ブーツ 市原悦子
第一次大戦で捕虜となったドイツ軍人を収容した、四国の収容所での人々の交流を、暖かく描いたわかりやすい映画。
物語は時間軸に沿ってなめらかに進み、回想シーンも明瞭で見るものを全く混乱させない。これなら30年くらい映画を見ていなかった人でも何の違和感も無く画面に没入できる。
いや、これは悪い意味で言っているのではなく、これはこれで作品としてちゃんとしているものだと高く評価したい。
ミニシアターでインディーズ系の映画を見て、混乱の快感に浸るのとはまたちがった映画の楽しみ方というものでしょう。
エンディングの『交響曲第九番 歓喜の歌』と共に映画が終わると、場内からは拍手が起こったのは、この映画に対してなのか指揮のカラヤンに対してのものなのかは不明。

●嫌われ松子の一生● 2006/6/22(TOHOシネマズ 錦糸町
2006年 東宝 監督/中島哲也 出演/中谷美紀 瑛太 伊勢谷友介 香川照之 市川実日子
原作(山田宗樹・著)は読んでいないので、それとの比較はできない。
好かれたかったのに嫌われてしまった女の一生。それは歌と花に彩られていて、家族との別離、恋愛、再会と、ほとんど2時間サスペンスみたいで片平なぎさが解決してしまいそうだが、松子は解決を待たずにこの世を去ってしまう。あっ、ほんとにこの映画には片平なぎさが出ます。
他にもいろんなジャンルの人がいろんな役で出ているので、それを探すのも楽しい。柴崎コウなんか、ラストのクレジットを見て気がついたくらいだ。ワンシーンだけだったのでてっきり中谷美紀が二役だと思ってました。だって柴崎コウと中谷美紀って似てるでしょ?すみません、ワタクシ、押切もえと蛯原友里の区別もつきません。
傍目には悲惨な人生でも、松子にとってはいい一生だったのかもと思わせる、心温まるラストシーンが泣かせる。
EXPO70のグッズやらユリゲラーが背景にチラチラ出たりして40代50代の人にはけっこう笑える箇所が多いが、それより前の世代でも後の世代でもピンとこないかもしれないけど。その時代を知ってるものからすると年代と雰囲気がちょっとずれてるかなと思えるシーン(床屋さんとか)もあるけど、まぁ許容範囲ってことで、人の一生を2時間で見せていただきああ楽しかった。

●エノケンの頑張り戦術● 2006/4/21(ラピュタ阿佐ヶ谷
1939年 東宝 監督/中川信夫 主演/榎本健一 
この映画の公開年は15年戦争の真っ最中だが、まだ米国とは開戦していないせいか、映画の冒頭にENOKENの文字が踊る。
防弾チョッキの会社に勤める主人公。なんで防弾チョッキなんだろうと疑問がわいたが、後半の大スペクタルに結びつく為の設定でありました。
映画の内容よりも、主人公一家の乗った列車が走るシーンや、海辺の風俗がとても興味深い。なんだかタイムマシンに乗って60年以上前の日本を眺めている感覚がある。
社員食堂の壁に『定食の時間はタバコをご遠慮ください』との張り紙。嫌煙権の先駆けだろうか。それにしても映画の中で、登場人物たちがタバコを吸うこと、吸うこと。現代の肩身の狭い喫煙者からみたらうらやましいシーンが続く。
エノケンは走っている自動車からとびおりて、自動車のまわりをグルリとまわって反対側のドアから入ってきたという伝説があるが、この映画でも列車の窓から出たり入ったりして面白い。
偽按摩に扮して、プロレスまがいのアクションシーンは、妙な迫力があって、これまた面白い。ジャッキーチェンの一連の映画のご先祖様といえなくもない。体を張ったシーンで笑わせてくれる。
でも実際にエノケンを見たことのある世代の人に言わせると、『生の舞台のエノケンの面白さは映画の百倍の面白さだ!』となるんですがね。

●タイフーン TYPHOON 2006/4/11(MOVIX亀有
2005年 韓国映画 監督/クァク・キョンテク  出演/チャン・ドンゴン イ・ジョンジェ 他
元脱北者の少年で、20年後海賊になって暴れ回る男にチャン・ドンゴン。 そんなチャン・ドンゴンは自分を受け入れてくれなかった南朝鮮に復讐を企てるが、それを阻止しようとするのが南朝鮮軍人のイ・ジョンジェ。いつしか二人の間には友情のようなものが芽生える。といった按排の映画で、別に目新しいものはないが、主演の二人は体をしぼっていますが、しぼりすぎてなんだかやつれて見えます。
この二人の戦いに水をさすのが米軍。無粋にも魚雷をぶちこみます。でもそんなものでくたばる二人ではありません。
原題は『台風』ですが、ハングルでは出たものの日本語では出なかったような気がするんですが見落としたんでしょうか。

●力道山 2006/3/8(テアトル新宿
2004年 韓国・日本映画 監督/ソン・ヘソン  出演/ソル・ギョング 中谷美紀 藤竜也 萩原聖人 他
ソル・ギョングに力道山がのりうつっているかのような映画。
試合のシーンも自分で演じ、まるで当時の試合を見ているようだ。
99%の台詞が日本語だが、ソル・ギョングは自分で発音している。その胸の奥底から絞り出すような言葉は、もどかしさと、悲しさと、怒りと、優しさにあふれている。 おまけに歌まで披露している。曲は村田英雄の「王将」。
本物の力道山もこんなしゃべりかたをしたのかもしれない。そういえば、子供の頃テレビで見た力道山の声の印象はほとんどない。かみつき魔ブラッシー、ボボブラジル、ジェスオルテガ、ミスターX等々巨漢外人レスラーと戦う姿はあんなに記憶に残っているのに。試合前にオネーサンが三菱の最新掃除機でリングをきれいにするのも印象的だった。
日本側出演者の、中谷美紀も藤竜也も萩原聖人も、ソル・ギョングに負けず劣らずいい。
風の中に佇む中谷美紀のほつれ毛、上目遣いに笑う藤竜也、リングの上でソル・ギョングとじゃれあう萩原聖人。いいシーンが多々ある。
ソン・ヘソン監督は『パイラン』でも演技派男優(チェ・ミンシク)と外国人女優(セシリア・チャン)の組み合わせだったが、今回もその組み合わせになっている。
韓国語のシーンはわずかしかないが、字幕は根本理恵サンという豪華版。
『ALWAYS 三丁目の夕日』の昭和30年代の雰囲気がなかなか評判だったが、『力道山』の昭和30年代の雰囲気もなかなかのもので人物だけでなく画面の背景に目を向けるのも楽しい。
この映画、韓国での興行成績も良くなく、日本でも当初の予定より大幅に公開が遅れたので、もしやオクラ入りではと心配していたが、無事に公開されてほんとによかった。
オールドプロレスファンは見る価値あり。ハングル学習者にはあんまり勉強にならない。

●美しき野獣 2006/3/2(シネ・リーブル池袋
2005年 韓国映画 監督 キム・ソンス  出演/クォン・サンウ ユ・ジテ 他
原題は単に『野獣』だけ。確かに全編むさ苦しい男たちの暴力にあふれていて、あまり美しさはない。
乱暴に言ってしまうと、なんだか往年のフランス映画のフィルム・ノワールみたいで、若き日のアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンが21世紀の韓国人だったらこういう映画になるでしょう。
とはいっても、勢いでグイグイひっぱり最後まであきさせないエネルギーはさすが現代の韓国映画。
粗暴な刑事と知的な検事の男と男の友情を真っ向から描き、いまどきタバコが重要な小道具になるのも、ある意味凄みがある。
ナワバリとか子分とか、日帝統治時代の日本語が裏社会に残っているのが興味深い。文化人類学的にも考える材料になって面白い。
出演している人たちは韓国の映画やテレドラマに脇役で出ているおなじみの人も多くて、韓国の映画やテレビドラマに興味のある人はどこかで見た顔を発見する楽しみもある。

●エリ・エリ・レマ・サバクタニ 2006/2/15(テアトル新宿
2005年 日本映画 監督・脚本:青山真治  出演/浅野忠信 中原昌也 筒井康隆 川津祐介 岡田茉莉子 宮崎あおい 他
主役は音だ。
何の予備知識もなしで見たもんだから耳がビックリしてしまった。
映画館を出た後、普段は騒がしい新宿の雑踏が静かに思えてしまうほど。
耳の抵抗力が衰えている中高年はマジで耳栓持っていったほうがいいくらい、それはそれは大変な音なんだから。
老眼鏡をかける岡田茉莉子、野原をドタドタ走る筒井康隆、このお二人のお姿が印象的。
これはビデオやDVDじゃなく、劇場で見るにかぎる。音がちがうもん、音が。

●フライトプラン 2006/2/9(錦糸町シネマ
2005年 米国映画 監督/ロベルト・シュヴェンケ  出演/ジョディ・フォスター他
母は飛行機よりも強し。
試写会で見たのなら、まァ面白かったねと言えるような映画。
ジョディ・フォスター、「タクシードライバー」の頃と比べたら大きくなったよなァ。あたりまえだけど。

●Mr.&Mrs.スミス 2006/1/12(錦糸町シネマ
2005年 米国映画 監督/ダグ・リーマン  出演/ ブラッド・ピット  アンジェリーナ・ジョリー
世界一派手な夫婦喧嘩映画。
この二人の争いの為に、幾多の死傷者が出て、たくさんの建築物が崩壊した。そんなんでいいのか?
主演カップルは、ブラッド・ピットとアンジェリーナ・ジョリーだが、 アンジェリーナ・ジョリーの唇を見ているとどうしてもお父さんのジョン・ヴォイトの顔がだぶってくるのが困る。いや、べつに困ってもどうということはないのだが。
絶対に映画史には残らない映画だろうが、楽しい時間つぶしには最適でしょう。


年度INDEXに戻る
Copyright (C) 2006 Marutatsu