孤独なプログラマの密かな愉悦2

最終更新日 1998.7.6

"思い出は常に過去形で語られる"

---おじさんの愚痴は常に「最近の若い者は」で始まる


83,490点。これは、MACTREEさんの豆ゲームハイスコア掲示板における「もずポン」のハイスコアです(1998.7.5 現在)。一般の方々には、単なる「驚異的なスコア」にすぎない483,490点ですが、私には特別な意味があります。そう、ついに作者よりもうまい人が現れたのです。なぜ、それが特別なコトなのかは後ほど。

ステージの構成、難易度、最終面の仕様、デバッグ、テストプレイ、シェアウエアにするかフリーウエアにするか(この件は長くなるので割愛。聞きたい人っています?)、雑誌の収録や紹介の条件(これも長い...)、そんな雑多な問題をクリアしつつ、もずポンは完成しました。これで作る楽しみは終了。毛利さんに送り「MozMozの今んとこマック専科」に登録されたのを確認。このまま誰からの反応もないと寂しいので、特製もずポンラベル(カラー!)付きのフロッピーディスクを作成し、Macを持っている知人に無理矢理送付。実はこういう細かい作業は好きだったりするんですが(笑)。とまあ、そんなプライベートなブームが終われば、あとは受け身モードになります。前作のMozSlotは大手商用BBSの中のプログラマが集まる場所でコソっと公開したんですが、そういうソフトが好きな濃い方々からのメールを何通か頂きまして感激。今回はインターネットデビュー(笑)なので、もっとコソコソっと公開して静かに待つことにしました。そうだなぁ、月に1通か2通くらいメールが届けば成功かな、なんて考えていたら、「マウス壊れた」「休日返せ」「目が痛い」といったメールが続々と。夜中に一人で爆笑する幸せな日々が続きました。このあたりの反響はあちこちで書いてて「しつこい」と言われそうなので省略。

フリーマーケットかなにかで自分の作品を売る場合と違い、ネットでのやりとりはモニタ上の文字がすべてです。作るのも遊ぶのも、メールを受け取ったり送ったりするのも文字。別に人間味がどうしたなんて言うつもりはありませんが、現実感の薄い孤独な作業であることは否めません。嫌いじゃないんですけどね。で、こうした環境でソフトを公開するってのは、南海の孤島からメッセージ入りの空き瓶を投げるのに似てるんです。誰か受け取るかなぁ、なんてことを頭の片隅で考えながら日々の雑務に追われる日々。すると海の向こうから、「うちの子が "じょせふぃーぬ" を "ママ" と呼んでます」なんて「嬉しいことを言ってくれるじゃん、こいつぅぅ」というメールが届いて、しばらく幸せに。世俗のアカにまみれた私には、こういう純粋な言葉に感動してしまうんですよ。もちろん、このページのイラストのような現実もあることはわかってるつもりなんですけど。

そして、この「もずポン」を乗せた空き瓶は、私が高校時代にお世話になったパソコンショップの店長にも漂着。この方は、夜の7時には漆黒の闇に閉ざされてしまう私の郷里で! PC-9801も登場していなかった時代に! Apple ][ などのパソコンやソフトを売るという! 無謀なパイオニア精神に溢れた方で、なんと現在は私と直線距離で10Km以内に生息していることが判明(私信:いやぁ20年ぶりですねぇ。今度遊びに行きますねぇ)。やっぱりインターネットっておもしろいかもしれない。なんだかタイムカプセルみたいだなぁ。

さて、そろそろ最初の話題に戻りましょ。作者よりもうまい人の登場が、なぜ特別なことなのか。そうですねぇ。私としては、「もずポン」の難易度には苦労させられたワケです。ステージも100以上作り、移動速度や反射角度、出現間隔などなどを細かく調整して、普通の人ならこのくらい、うまい人はこれくらい、ゲーマーならこのくらいと設定していきました。それで、「まさか、コンティニューなしで、ここまで到達する人はいないだろう」という限界も把握していたつもりなんです。22面あたりが時間的にも体力的にも壁になるだろう、なんてね。それが見事に破られてしまった! がーん。つまり、そういう人(笑)の手にも「もずポン」が届いたってことなんです。いやいや、yuzuさん、あなたはそういう人に違いない! 作者としては、こんなに嬉しいことはないです。作者冥利に尽きるってヤツです。飽きちゃってからも「あの頃は、ハマったよなぁ」なんて、たまには思い出してくださいね。


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