力関係

最終更新日 1999.11.11
"思い出は常に過去形で語られる"

---おじさんの愚痴は常に「最近の若い者は」で始まる

語版のもずポンが出来たので、海外のサイトに登録したわけであります。好意的で積極的なところもあれば、素っ気ないところもあり。様々です。作者としては、まあとにかく遊んでみてよって感じですな。その中で、日本でもメールニュースを配信している「某有名出版社」が運営するサイトから「バグがあるから削除するぞ」とメールが来ました。登録したのを忘れた頃に英文で。もちろん、もずポンにはバグがあるわけで今でも修正作業を行ってますけど、どうも症状がハッキリしない。そこで簡単な質問と対処方法を英文で書いてお返事したところ「デバッグにつき合うほどヒマじゃあない。新バージョンかアップデータが出来たらアップロードしろ。見てやる」という、これまた1通目に勝るとも劣らない高圧的な返事が到着。さすがインターネットの本家アメリカ。情報を征するものは世界を征するわけでありまして、東の果てのウサギ小屋に住む黄色人種のプログラマなんざゴミ扱い。朗報を期待してたワケではないけどねぇ。しかし考えてみれば、権力を握ったものが、尊大な態度をとるのは人のサガみたいなもの。政治家の専売特許じゃありません。アメリカでは、それだけインターネットが力を持っているということの表れでしょう。日本の場合は大手のマスコミを想像すればわかりやすいかもしれません。コマーシャルとニュース、ヤラセと演出の区別も付けられず、特ダネは「三流誌」とバカにしているメディアからの受け売り。でも権力だけは強大で民間人やニュースソースへの態度がデカいことは有名であります(アメリカも大差ないと思うけどネ)。

 ところで、プログラマのメディアへの不満というか告発めいた文章を読んだことはないですか?たとえば、自分のソフトを収録したくせに連絡がないとか、見本誌を送ってこないとか。他にも反応がないから消す、みたいなユーザー批判っぽいのもありますよね。あれって、どう思います?ちなみに私のソフトの場合、原則として紹介や収録は自由、連絡や見本誌は不要にしています。別にカッコつけてるワケじゃなくて、応対するヒマがないからなんですが(でもねぇ、スト破りに怒る労組委員長みたいな人に小言をもらうことはあるのだヨ。勝手に権利を放棄されると迷惑だってさ)。で、そうしたプログラマの批判的な意見を「もっともだ」と思った人はともかく、イケ好かないと感じた人は、ちょっと待ってほしいなぁ。

 まず、プログラミングってのは非常にメンタルな作業で、神経がすり減るものなんです。なかでも、Webとかにアップロードしているのは、苦難の道を乗り越えて「完成」させた人達。ま、プログラムに限った話じゃないですが、完成させるのは本当に大変なわけですぞ。アイデアだけならサルでも思いつくけど、それじゃダメ。プロトタイプを見せて「こんなものを作りたいんです」なんてプレゼンしたって無意味。おまけに、他に同じものがあったらボツ。そんなこんなで我が子と同じくらい可愛い(かどうかは独身なのでわからんが)ソフトなわけで、ちょっとした応対や言動に過剰に反応してしまうものなんです。「自分で作れもしないくせに、ちょっと見ただけで何がわかる。何か作って同じ土俵で勝負しやがれコノヤロー」みたいな。出版社とかのやりとりで、ときには感情的になってしまう人もいるでしょう(そういや公開してた人もいたな)。他人にはクソゲーでも自分じゃ宝物。そこに生じた摩擦が大きくなってしまい、キレただけ。ホントはイイ人なの。そんなふうに大局的な見地から判断して頂けないでしょうか皆さん!ってのは甘過ぎ?うーん、子供っぽいか。それじゃ、作者の性格と作品とは切り離して考えるってのはどうでしょ。ほら、性格は歪んでるけどサッカーだけはうまい選手(でイイ男ってのもあるか。ち。)とかがいるじゃないですか。あんな感じで。もちろん、作品そのものもダメなら仕方ないですけど。

 逆に作者はさ、少し落ち着こうよ。日本の出版社って、いろいろ言われているほど悪くはないと思うよ。あれだけハード会社やソフト会社に牛耳られているのに、頑張ってるじゃん。ベンチマークとかネ(笑)。ライターさんにしても、提灯記事っぽく書いてあるけど行間にイロイロ臭わせたりとか苦労してるし。まあ確かに、フリーウェアやシェアウェアなんて客寄せパンダ程度にしか考えてないようで、中には感じの悪い威張った編集者やサイト管理者もいるさ。でも自分のソフトを誰かに見てほしいわけでしょ。編集者も、単に雑誌が売れればよいと考えているだけじゃなくて(それはそれで大事だけど)、いろんな人にソフトを紹介したいという使命感みたいなモノもあると思うし。ユーザーも電話代とか払ってダウンロードしてくれたんだから、それ以上の反応を強要するのは贅沢かもよ。だいたいさぁ、ミュージシャンにしろ作家にしろ、やっぱりプロダクションや出版社には勝てないワケよ。連中は右から左にモノを動かして上前をハネてるわけだけどさ。その力は馬鹿にできないよ。実際、インターネットが普及して誰でもどこでもアクセスできるようになったといっても、結局は有名サイトに取り上げてもらわなければダウンロードすらしてもらえない。他と状況は同じ。ま、他のメディアでは、もう少し著作権の保護に熱心なようで、業界をあげて違法な連中に圧力をかけたり(MP3とかね)、ちょろりと歌詞を書いただけで金を取り記念館を建てるみたいなことはやってる。その点は「パソコン関係の出版社は何もせずに儲けている」という非難は当たっているかもしれないなぁ。

 ただ、最初に紹介した海外のサイトの編集者のような「極めて失礼で尊大」なヤツは、日本では一人しか見たことがない(笑)。「掲載誌は抽選で差し上げます」なんてカワイイもんです。そこらへんは、「タダで宣伝してもらった」とか「評価された」ってことで今は納得して、「次」への活力にした方がストレスが減ると思うよ。え、私はどうなんだって?もちろん、あのメールを寄こしたヤツが目の前にいたら、ぶん殴る(笑)。でも殴れないから、その怒りをMac版の「もずポンDX」へ向けようかな、なんて考えてたりして(ちょっとウソ)。


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