8月28日 ADSLって何?

 ひゃぁ〜今週も遅れてしまいました。ほんとこれ書くのっていつも結構時間がかかるんですよ。それだけにまとまった時間は

定休日の月曜日にしか取れないと思い、月曜更新にしてるんですが、月曜日にやらないといけないことも多くてこんな事が起こる

時もあります。来週こそはきちんと月曜日に更新するぞぉ〜

 さて、今回はADSLのお話しです。最近何かと話題のADSLですが、一体なにものでどう言った仕組みなのかなんては意外に知られて

いないようですね。そこで、パソコン解説のプロの俺が無料でこの場を借りて判りやすく教えてしまおうと言うのが今回のメイン

タイトルになります。(ってなんかこの表現恩着せがましくて嫌だな...)

 まず、ADSLを語る前にインターネットへの接続方法を一度整理しておきましょうね。一番多くの方がアクセスしているのが電話

回線を使ったダイアルアップ方式と呼ばれるものですよね。他には光ファイバーを使ったものや、衛星通信、ケーブルテレビなんて

方法でもインターネットに接続出来ます。電話回線を使う場合にはアナログ回線とデジタル回線に別れます。アナログ回線とは

一般加入電話で普通電話回線と呼ばれているもので、接続にはモデムが必要になります。このモデムと言う機械はなにをしているか

といいますとひとつはアナログのデータをデジタル信号に変換する。(またはその逆)の機能となんらかの原因により混入した

エラーデータをコンピューターに進入させないエラー訂正と言う2本柱で成り立っています。意外に知られていない事ですが、

パソコンのデータは音に置き換えられて処理される場合がよくあります。CD-ROMと音楽用のCDを見比べて頂くと判ると思いますが

基本的な仕組みは全く一緒です。音楽が入っているか、データを音化したものが入っているかの違いです。これはフロッピーも

同じ事が言えます。カセットテープと円盤形にしたものがフロッピーと考えて良いでしょう。すると電話は音声をやりとりする

機械ですからパソコンのデータを音化したものを相手のコンピューターに送りつければデータの復元が可能となります。これが

ネットワークの基本的な仕組みな訳です。ただ、アナログ回線の場合はデータの読み取り効率を上げる為にもコンピューターとの

相性の良いデジタルデータに変換する必要がある訳です。では、デジタル回線の場合はどうでしょう?パソコンもデジタルデータを

扱う訳ですからそのまま繋いでしまっても良さそうなものです。でも、そうはいかないんですよ。なぜなら、今まで使っていた

電話機などはアナログデータでないと通話出来ない仕組みになっているので、電話機に音声データを送るためにデジタルとアナログ

変換が必要になります。モデムがなければエラー訂正も出来ませんからエラー訂正用のシステムも必要になります。これがないと

不安定なデータがパソコンに多く蓄積してトラブルの原因になったりしますからね。そこでデジタル回線での接続には前述の役割を

するTA/DSUと言う機械が必要に成る訳です。ちょっと難しかったですか?ここで一度整理しましょうね。アナログ回線にはモデムが

必要で、デジタル回線にはTA/DSUが必要って事です。で、どちらの方が良いかと言う問題ですが、データの相性を単純に考えても

デジタルの方が有利です。モデムではその機構上56Kbps(bpsはbit/secondの省略で1秒間にどれだけのデータを送れるかの単位)が

上限とされています。それに対してデジタル回線ではNTTの提供するISDNを前提とした場合に64Kbpsが可能です。技術的に2回線を

同時に使って128Kbpsを出すことも可能です。ただ、このスピードはあくまで最高値です。(いわゆる計算で出した論理値です)

従って実際に繋げてみるとそんなスピードなんか出る訳ありません。データのロスはアナログの方がかなり大きいため最高値の

違いがそれほど大きくないにも関わらず、実感ではかなりスピード差があるように感じるのはこの為です。色々な環境的な要因が

あるのですが、アナログで実測40Kbps、デジタルで60Kbps前後なんてところが実体でしょうね。

 ふぅ。前提条件の説明だけで結構かかってしまった...さて、そろそろADSLのお話にいきましょうか。ADSLはアナログ回線を使った

技術です。「えっ?アナログって遅いんじゃないの?」って声が聞こえそうですが、アナログの性質をうまく利用したと言い換えて

良いかもしれないですね。日本では昨年あたりから本格化しましたが、この技術はそれほど目新しいものではありません。お隣の

韓国ではインターネットと言えばADSLが常識です。日本はなぜ遅れたかの議論は色々とあるのですが、ひとつは事実上電話事業が

NTTの独占にある事に起因します。NTTは数年前に全家庭をデジタル回線にする構想を持っていました。これは多分今も持っていると

想像されます。これにも理由があります。将来的に高速なネットワーク回線を安定的に提供するには絶対に光通信技術に移行する

事が必要なため、その前段階として回線設備をデジタル化する必要があったのです。ところが、ADSLはアナログ回線です。たぶん、

NTTに言わせれば時代に逆行する発想な訳です。これは急速なインターネットの普及により高速な通信回線を求められるユーザーに

押し切られる形で渋々NTTがADSLを認めたと言うのが実際だと思います。NTTのTVCMでISDNは速い!なんてのはすでに過去の幻想で

現在ではそのスピードでは満足出来ない環境になってしまっているんですよね。将来的には光通信が主流になりADSLさえ置き去りに

されると思いますが、現段階では高速通信(本当の意味は違うけどいわゆるブロードバンドって奴です)を手軽に得る手段としては

有効なものになっています。話しはがらりと変わるのですがMP3ってご存じですか?音楽配信に使われる音声圧縮技術の事ですが、

人間の耳に聞こえる音の範囲は決まっています。その聞こえない範囲も「音」として録音されているので、聞こえない範囲は省略

してデータを小さくしてしまおうと言うのがMP3の基本原理です。実はADSLとはこれに似たような技術を使っています。普通の会話で

聞こえる音域を音声通話帯とし、高い音の領域をデータ通信帯として使う訳です。このことにより物理的には1本の回線で電話と

インターネットが同時に出来る訳です。このデータの振り分けを行うのがスプリッターと呼ばれる装置ですね。それとADSLは結局

アナログである事には変わらないのでモデムが必要です。もっともADSLに特化したADSLモデムと言うものになりますけどね。で、

このデータ帯から出たデータはNTTの収容局でやはりスプリッターを使ってデータを分岐して直接ISPの回線に繋げる訳です。故に

通話料と言う考え方が適用されず、基本的には繋ぎっぱなしの電話代込みのような印象で契約が可能となる理屈です。

 さて、ADSLの使用料金ですが、今までは月額で5000〜8000円と言ったところでした。ところがYahooが破格の約3000円と言う値段で

参入しました。また、今日の時点では23区内だけの実績ですが、今週辺りから各地に敷設されるようです。これに伴い他の従来から

参入している会社も値下げで追随の動きがあります。実績のある他社を使うか、これから実績を積むYahooを使って安く済ませるかは

判断の難しいところですね。で、ADSLにも色々な規格がありましてYahoo以外の会社はほとんどアネックスCという規格を採用して

います。これは先ほど挙げた高域帯の違いなのですが、(本当は他にもあるけど...)特徴としてはスピードはそれほどまで出ないが

既存のISDNと干渉しないと言う特徴を持っています。実はISDNも高域帯を使っているので、同じ周波数の部分があると干渉して

データロスが大きくなってしまうんですよ。YahooはアネックスAという規格でスピードは出るがISDNとの干渉が起きる可能性を

秘めています。従ってISDN回線を残して別回線でADSLを引こうと思ってる人はYahooは新しい技術が確立されるまで使わない方が

無難かもしれないですね。また、隣りの家の人がISDNを使っているなんて場合もことによると影響されてしまうでしょう。公称で

8Mbpsと言われていますが、ADSLの技術では遠くまでデータを安定的に送る事が出来ません。いわゆる昔の電話で電話が遠い状態と

考えて貰えば良いですかね?この遠くと言うのはNTTの収容局までの長さを意味します。もちろん、それを送る送電線の太さなどで

いわゆる減衰率は変わるのですが、あまりに遠いとISDNよりも遅いということさえあるようです。高域帯を使っているが為の障害と

して似たようなものに電波による影響があります。見えないもののテレビ、ラジオ、無線、携帯電話と無数の電波が周りを飛んで

いるわけです。これをケーブルがアンテナの役割をして受信してしまえば当然エラーデータの出来上がりです。これは電話線が

長ければ長いほどリスクを増やすことになります。従って敷設の際には出来るだけ短い電話線を使う必要がありますね。他にも

電子レンジやテレビ、冷蔵庫と言ったインバーター内蔵の電気器具からも干渉波がありますので、出来るだけ遠ざけた場所に設置し

そういう器具とコンセントを共有しないことも安定的な速度を得る為の方法ですね。実はこれは現在最も普及しているアナログの

モデムを使う場合にも共通しています。そういう手間の比較的少ない(やったほうがいいですけどね)ものがISDNと言うことに

なるんでしょうね。

 はぁ、長かった...まだまだ、解説したい事はいっぱいありますが、取りあえずはこの辺にして置きましょう。ご質問があれば

掲示板等でお知らせ頂ければ俺の知識内で解説可能なものは解説しますからね。