11月19日 賭玉の嫌いな訳

 今回はぶっちぎりでしたねぇ。まぁ、ビリヤード系の話題が多いうちのページの特色かもしれないですからある程度の予想はしていました

けどね。日曜日にはSIBCの練習会に参加して来ました。トーナメントではあまり調子が良くなくそうそうに負けてしまいましたが、その後の

相撞きは楽しかったですし、ビリヤードに興味を持ってくれた初心者の方にさらに楽しい事を伝える事の出来る良い機会なので俺は毎月この

練習会を楽しみにしているんですよ。仲間が増えるのって嬉しいものですからね。

 さて、本題の賭玉嫌いって話しなんですが、これは今までもこのコラムで何度も繰り返している事などで今更なにを...と思われる方も

いるかもしれませんね。ただ、どこでも言っていますが俺は確かに賭玉が嫌いです。でも、それ以上に俺の意見を押しつけるのはもっと嫌です

だから、賛同してくれる人がいれば良いですし、「賭玉大好き〜」って人に「それはダメだよ」って言うつもりは毛頭ないことだけは最初に

理解してくださいね。

 俺が賭玉を嫌いな理由はいくつかありますが、元々賭事が嫌いって事もありますね。競輪、競馬はもちろんパチンコもしません。まぁ、

賭事と言えるか疑問ですが年に1度くらいは宝くじくらいは買うことがありますが、その程度ですね。で、そんな俺でも以前は賭玉をしていた

時期があります。ほんと、嫌々やってました。勝てばお金が貰えるんだし嬉しいかと言うとそうではありません。俺は負けたときに非常に

悔しいですが、リベンジしようとかって思うより、「こいつとはビリヤードしたくね〜な〜」という感情が先に来ます。これは俺の感情の問題

なので他の人の多くは違うと思いますが...で、違うと思っても俺が勝ったときにも相手が同じような感想を持たないか心配な訳です。俺は

ビリヤードをすることが好きなのであってその相手に不快感をもたらしさらにはこの先一緒にやってくれないかもしれないという思いが何より

怖かったんですよね。良くない事とは言えある程度上級者になった時には勝つ回数も増えてそういう感情がさらに増すことになります。そして

無理なハンデを振ったり、わざと失敗して勝ちを少なくしたりと調整をするようになりました。この時点で俺はハスラーとしては失格な訳です

でも、人間としては失格ではないと俺は思って嫌々そういう球を撞いていました。でも、あるときふっと思ったんですよ。こんなことをして

いてもビリヤード業界全体の為をみても良い事はひとつもないんだと...よく聞く言葉に「賭玉をしないとうまくならない」って言うものが

あります。精神的に強くなるには賭玉が良いという訳です。でも、俺はそうは思っていません。たしかに誰でも負けてお金を取られるのは嫌

ですし、それから逃れるためにうまくなろうという感情は湧くかもしれません。でも、そんなことをしなくても真剣にビリヤードをしていれば

普段一人で練習しているときから緊張感は持てるはずです。例えばC級同士で賭玉をしていたとしましょう。はっきり言っていつまで経っても

うまくなんかなりっこありません。精神的に強くなることがうまくなるコツであればC級同士で高いレートで緊張感を高めてやっていれば

うまくなる理屈ですよね?絶対に無理です。断言しても良いです。賭けてやるからうまくなるのではなく上級者と一緒にやるからうまくなるの

だと思います。でも、その上級者が言う訳です「賭けてやらないとうまくならない」と...言葉を直しましょう。「俺とやるには賭けてやれ」

って事なんだと思います。そこで、俺みたいに「あまり勝ち過ぎると次ぎにやってくれないかも?」なんて思う上級者は手を抜く訳です。まぁ

これは俺と違う賭玉が好きな上級者でも起こります「ここで取りすぎるより細く長く貢いで貰いましょう」ってな理由で手を抜きます。これで

うまくなる方がどうかしてます。俺は折角やるからには真剣に相手したいんですよ。それが俺が大好きなビリヤードというスポーツに対する

礼儀だとも思っています。そして俺もまだまだうまくなりたいんです。それには手を抜いてる余裕なんてないんですよ。

 長くなりましたが、まずはこれが俺の感情面からみた賭玉の嫌いな理由です。そして環境面からみてみましょう。俺はビリヤード場を経営

している訳ですが、この経営者の立場で短期的にみれば賭玉はおいしいです。なぜならば長い時間撞く可能性が高く、しかも1台のテーブルで

多くの人がやることもあるので、収益性が高くなります。しかも、常連を付けやすく経営の安定化にも繋がります。それでも俺はうちの店での

賭玉を許してません。うちでやってはいけないとは言っていません。でも、うちでやった場合には俺は二度とビリヤードを教えないと常連の

方には言っています。これは俺の我が儘かもしれませんが、俺の大好きなビリヤードを俺の大嫌いな賭事にしてしかもその技術を俺が提供する

事には耐えられません。だから、俺はうちの店で賭玉を事実上禁止しているのです。その代わり賭けていなくても例え初心者であっても一緒に

プレーさせて頂くときにはそれこそ本気で真剣に相手させて頂いてます。前述の緊張感という話しで言えば俺と一緒に撞くだけで緊張すると

言う人も結構います。本来の緊張感とはこういうものだと俺は思っています。金銭に対する執着による緊張ではなく純粋にビリヤードをする

緊張感。こっちの方がうまくなる緊張感だと思うのですがどうなんでしょうね?話しがずれました。修正しましょう。お店にはおいしいと

判っていてもそれをしません。そういう意味では俺は経営者としては失格なのかもしれませんね。でも、うちのお店を賭博場にはしたくない

ですし、賭玉をしなくても真剣に教えてくれるA級のいるお店があるってのも良いじゃないですか。経営的にはきついですけどそんなのは俺に

とって小さな事です。大好きなビリヤードがスポーツとして根付く貢献をしていると思えばなんでもありません。いつかきっと理解されて、

スポーツとしてビリヤードを楽しめるお店として定着してくれればこれに優る喜びはありません。お店は小さいですが、希望はでっかくもって

俺の夢の実現の場としてうちのお店を捕らえています。だから、少々我が儘を言わせて貰ってる訳ですが、それでも賭玉が良いといって客が

まったく来なくなったら俺はビリヤードに幻想を抱いていたんでしょう。でも、きっとそうじゃないと信じてます。それに自分がどっぷりと

ビリヤードに浸かっていると気付き難いですが、一般のビリヤードを見る目はやはり陰湿な賭事のイメージがまだまだ強いのです。それを

なんとか払拭しなくてはこの業界に未来はないと思っています。そのためにも微力ながら俺は俺の信念で店を経営してます。

 さらに、今度は別の角度に目を移します。ビリヤードの賭玉で賭博開帳で捕まった事例は少なくとも俺は知りませんが、可能性はあることで

日本では賭玉は非合法です。そこまで目くじらを立てる必要はないでしょうが、俺の知ってるだけでも負けの代わりにキューを取られらたとか

身ぐるみ剥がされたとか、指を折られたなんてぶっそうな話しもあります。今はそんなことないよ。って話しも色々なとことで良く聞くので

きっとそうなんでしょう。少しづつ変わっているのかもしれません。でも、賭玉で緊張感を得ている以上それはエスカレートしていつかまた

こういう事が色々なところで起きる可能性だって否定は出来ない訳です。「俺は安いレートしかやらないから大丈夫」そう思っていてもその

レートをいつまで維持出来るのか?それに、前述の緊張感だって薄れてしまうでしょう。すると高レートに興味を持ちあとはエスカレーション

していく寸法です。

 俺が言っているのは理想論かもしれません。ただ、それを漠然と空想するだけでは理想が現実になることなんてありません。だからこそ俺は

今、自分に出来るビリヤードという素晴らしいスポーツに対する貢献策として賭玉をしないでも真剣にビリヤードを出来る場所と拙い技術では

ありますが、俺の技術を提供していると考えています。ここまで否定的に書いて「なにを今更」と思われるのを承知で書かせて頂ければ俺は

賭玉をしている人を非難しているつもりは一切ありません。良いことだとは思いませんが、人それぞれ楽しみ方は違うものです。ビリヤード

ではなく賭玉だから好きだって人もいるでしょう。でも、お願いしたい事はあります。やるなとは言いません。やりたくない人に無理に勧める

のは止めてください。仮にスポーツであったとしても上級者の方は真剣に相手をしてあげてください。そして、「賭玉をやらないとうまくなれ

ない」などと言うのは止めてください。もっと健全に楽しくそして真剣にビリヤードというスポーツが出来るはずです。俺の大好きなスポーツ

であるビリヤードを賭の対象にするのは俺はやっぱり馴染めません。そういう考えの人もいるのだと言うことを知ってください。人に媚びを

売る必要はないでしょうが、一般のビリヤードをしない人からも薄暗い陰湿なイメージを拭い去らなければいけないと思うのです。俺も関係者

ですので、きっと俺が考えている以上に一般の人には受け入れにくいスポーツになってしまっていると思います。老若男女誰でも気軽に楽しむ

ことの出来るスポーツとして定着して欲しいという観点からも俺は賭玉が嫌いです。

 俺が賭玉を止めることを決意した数年前のある日他のお店で賭玉を断りました。俺はそこで面と向かって言われた訳ではないですが、噂で

「負けるのが嫌で逃げた」と言われてる事を知りました。ビリヤードをして来てこれほど悲しかった事はありません。うちのお店でも禁止に

したら常連が遠のき「あそこには面子がいない」という事で売上も激減しました。でも、今ではそれを言う人は少なくなっています。もちろん

以前ほどの活気はありませんが、ビリヤードを真剣にうまくなりたいと思う後輩達が徐々に増えて来てくれています。そして、いつか以前の

ように活気に溢れ、ビリヤードを心から楽しめる場所としてセブンというお店があれば良いな。と思っています。まだまだ、途中です。上級者

から見れば「お前くらいの腕前で良く言うよ」と言われるのも覚悟の上です。俺はうちのお店で理想を追っています。それには俺の実力も

まだまだ足りません。いっぱい練習してもっともっとうまくなりたいと思います。この俺の考えがビリヤードプレーヤーの中で異端である事は

百も承知です。でも、一人でも二人でも俺の意見に賛同してくれる人がいればそれはとても嬉しい事です。

なんかこの話になると熱くなって長文になっちゃいますね。まぁ、でも今回は俺の考えを徹底的にぶちまけたのでちょっとすっきりしました。

さぁて、まだまだ俺のビリヤードでの夢は続きます。そのためにも今日も練習、練習!