04月09日 「忘れる」と「知らない」

 今回は水曜更新になってしまいました。無理に書こうと思えば書けないこともないんですけどね。無理は良くないですから...って期待して待っていて

くれる人もいるみたいなので、「それじゃいけないなぁ...」と思いつつもやっぱりちょっと後回しになりがちなんですよねぇ...

 今週は大きなイベントがあった訳でもないのでいきなり本題です。「忘れる」と「知らない」似て非なるものですね。で、俺の本業は知っての通り

パソコン教室の講師な訳ですが俺は良く生徒さんに「忘れても構わないですよ」と言ってます。ここで誤解してもらっては困るのですが、知らなくて

良いですよ。ということではないんですよ。知らなくても良い知識なんて無いんですよ。でも人間です。忘れることは誰だってある訳です。だから

無理に覚えるのではなく、自然に繰り返しの中で自分で理解する為には「忘れる」と言う行為も決して無駄ではないと思うんですよ。人間とは横着な

もので、繰り返しの作業を嫌います。単調な繰り返しは特にその傾向が強いですよね。でも、それとは相反して繰り返さないと完全に自分の知識や

技術として身に付かない実体もある訳です。そこで「忘れる」訳です。繰り返しやることで重要なファクターだけが選別され自分に取ってあまり必要の

ない情報から忘れられて行く訳です。最初は何が重要で何が不必要なのか分からないことも多いでしょう。でも、何度か繰り返しているうちに覚えて

しまうものがあります。それが本人に取って本当に必要なものだと俺は思っています。そして、忘れる事と知らないことでは決定的に違うある側面が

あります。「それは忘れた事はなにかのきっかけで思い出すこともありますが、知らない事は思い出せない。」ってことです。知らないというのは

その経験が全くない状況で起こります。それに対して忘れたという事は以前に体験していることを思い出せない状態な訳です。これは反復して学習する

ことで確実に身に付きますが、知らないことはいつまで経っても知らない訳です。パソコンにしてもビリヤードにしても俺は「忘れた」という事を

責める事はしません。なぜならそれは覚える過程で必要なことだからです。知らないことも責めません。なぜならそれはまだ体験していないことです

からね。でも、知らない事を知っていると錯覚してしまう現象に対しては出来るだけそのような幻想を正しい方向に持って行くような指導はしている

つもりです。同じ様な現象としては心理的には理解出来るのですが「同じ事を何度も聞くのは恥ずかしい」ということに対しても、そんなことは絶対に

ないということは伝えるようにしています。本当に恥ずかしいのは、忘れた事を恥ずかしいと思うその気持ちなんですよね。俺は現在はものを教える

立場に居ますが、俺もまだまだ色々人に教えを請う場面もありますし、学生時代には学校の先生なども居たわけですが、中には俺の考えとは対極の事を

言う人も居る訳です。「同じ事を何度も言わせるな!」俺の嫌いな言葉のひとつでもありますが、教える立場の人間の発言では最も言ってはいけない


言葉だと俺は思っています。すなわち教える人間というのは同じ事を色々な角度から分かりやすく飽きずに繰り返し教えらる人間のことであり、自分の

知識をひけらかして自慢することが教える事ではないと思うからです。もちろん覚えようという努力も必要ですけどね...

 で、ちょっと話しを変えてビリヤードの練習について書いてみましょうか?俺は色々な人にビリヤードを教える機会がありますが、技術論や練習方は

いくらでも提供します。でも、結局練習してうまくなるのは本人な訳ですよね?ここで時々錯覚している人がいる訳です。例えば俺がある人にあまり

効果的でない練習をしているので、こんな練習の方が良いですよ。と紹介したとします。ここまでは良いのですが、その人は俺がいないときには自分の

今までの練習をしていて、俺が見ていると俺の教えた練習をする訳です。俺のための練習じゃないんですよね。そこを勘違いしている以上うまくなんか

なりっこありません。それなら効果的ではないかもしれないですが、まだ自分の練習をしていた方がましです。こういう光景を見ると俺もまだまだ

なんだなぁ...と思いますね。教え方が悪いのか説得力がないのか分からないですが、残念ですよね。練習で出来なくたって良いんですよ。それが出来る

ようになる為に練習しているんですからね。その為に繰り返し反復する訳じゃないですか。忘れたって良いんですよ。いつか必要な時に思い出せれば

それで良いじゃないですか。必要な時に思い出せないかもしれないじゃないか?そんな事のないように反復する訳です。練習の為の練習。知っている

だけの丸暗記なんて意味がないですよ。どんどん忘れてどんどん繰り返す。そして、知らない事はどんどん知る為の努力をする。そんな繰り返しが

知識や経験を増やしているんだと思うんですけどね。物事を忘れた時にそれを思い出す努力こそが本当は何を勉強するにしても一番必要なことのような

気がしているのですが、どうなんでしょうね?