10月03日 スランプ脱出法

 今週は金曜更新...う〜ん、月曜更新に戻れるのはいつの日だろうか?まぁ、こういうのも一種のスランプかもしれませんね。不定期更新だった

「たいしの戯言」から月曜更新の「ウィークリーコラム」にタイトル変更して3年目ですが、ここまで月曜更新が守れないのは始めてですからね。まぁ

自分に甘いと言われればそれまでなんですが...

 さて、そもそもスランプって何だろう?と考えると単なる不調というよりも普段当たり前に出来ることが、当たり前に出来なくなるって事の様な気が

します。これはよく言われることですが、「実力のない人はスランプとは言わず、実力不足」って奴ですね。そういう意味では物書きのプロではない

俺はコラムが書けないでもスランプとは言わないのかもしれませんし、ビリヤードだって「実力不足」と言われてしまうかもしれませんけどね。まぁ、

そういう批判はさておき今回は俺のビリヤードに於けるスランプとその脱出法について語ってみようと思います。

 スランプに陥るとどうなるか?って言うと簡単です。イージーも入らなくなります。そしてイメージが悪いので手玉のコントロールも曖昧になり、

元々ポケット率が落ちてるところにポジションが悪くなるからさらに入らない。仮に入っても入れるだけで精一杯で続かない。で、結局調子が出ない。

なんて図式になる訳ですが、原因は様々です。新しい課題にチャレンジしていて本来の自分のイメージを損なってしまうこともありますし、他の仕事の

進行が気になってイライラしているのがきっかけになることもあります。他には練習不足なんてもあると思いますが、これはスランプではなく実力の

問題でしょうね。で、スランプになるとみんなそうだと思うのですが、悪いところを探します。そしてそれを良くすれば直ると思っているんですが、

いやいやそうは行かないケースもままある訳です。もし、悪いところがあってそれを修正すれば直るようなものでしたら、それは調子を崩しているだけ

という事になると思うのですが、実際には自分では出来ているつもりになってる事って結構たくさんあるものです。例えばB級くらいの人にストップで

手玉を止めてみてご覧と言えば、大抵の人は簡単に出来るだろうと思うはずです。ところがどっこい。なかなかピッタリ止まらないものです。センター

であれば普段やっているので出来るかもしれませんが、本当はもっと簡単であろう30cmくらいのストップが意外に出来ないんですよ。要するに

スランプではなくそもそも実力がない訳です。ところがスランプは別のところからひょっこり顔を出します。「こんな簡単な事が出来ないとは?」って

疑問が出て不安になるんですよね。自分では当然出来ると思っていることが出来ない。これはスランプです。同じことなのですが、この精神状態の

持ち方がスランプなのか実力不足によるものなのかの境だと俺は思っています。あくまでスランプとは精神上の問題であり、特にビリヤードのような

メンタルが要求される場面ではその影響は顕著なものになります。と、言うことはですよ。スランプって考えすぎって事になるじゃないですか。これに

気付いたのは数年前のことなんですが、それまでは調子を落とすとやたらに長時間練習したり、悪いところはないか探したり、悪くもないのに勝手に

それが原因だと思い込んで一生懸命直したりとそれはもう大変でした。一度こんな状態になると短くて1ヶ月、長いと半年くらいはまったく調子が

上がらないなんてこともありました。でもね。それはきっかけがビリヤードと関係のない体調不良だったり、ひとつステップを上げる為に難しいことに

挑戦し始めたりしたからなんてことも多い訳です。俺にも経験がありますし、よく相談を受けることもあるのですが、「以前の方が上手かった」って

思い込みですね。特にポケットは入ったか入らなかったかという一事象で調子の好不調を判断してしまうことが多いですが、実際には実力が伴うに従い

今までただ入れやすい撞点、スピードで入れているだけだったのが、次の配置を考え手玉を様々にコントロールするなんて余計な動作を加えつつプレー

する訳ですからポケット率が落ちて当たり前です。今まで入っていたイージーと思える配置が入らないこともあるかもしれませんが、連続ポケットする

個数は必ず増えているはずです。それが現在の実力であり伸びている証拠なんですよね。でも、ポケット出来ないと事実だけで物事をみてしまうので、

調子が悪いという判断に繋がり「以前はもっと入っていた」なんて発言に繋がる訳です。これは俺のようなベテランでも起きます。もちろん例で出した

単純にポケット出来るかどうかなどと言うことではないのですが、強いて近い表現があるとすればゲーム勘が悪くなると不調のような気になります。

ゲームには勝っている。マスワリもそこそこ出ている。ブレイクも当たっているし他人から見れば普段通りの俺のプレーかもしれません。でも、自分の

中では「うわっ!この配置苦手」とか「これって外すことあるんだよなぁ」なんて思いながらプレーしてたりします。それが結果としてポケットして

いたとしても自分の中ではわだかまりがあるので非常に疲れるし、調子が悪いと感じてしまう訳です。これが現在の俺のスランプです。

 で、いよいよスランプ解決法なんですが、いくつかあります。まず、本当にどこかフォームを崩している場合ですね。これは一杯チェックポイントが

あるとかえって深みにはまるので俺は3つだけチェックしています。グリップの位置、右手の感覚、そしてスタンスですね。チェック方法は至って

簡単です。調子が良いと思っているときにグリップの位置はキューに印をつけて置きます。大抵調子が悪くなるとグリップの位置が後方にずれてます。

右手の感覚はキューの手に当たる部分を意識して正しく自分の位置で当たっているかを確かめます。あまりお勧め出来る方法ではありませんが、俺は

手にタコができるまで撞いてタコの出来た位置で判断するなんて無茶なことも過去にした事があります。スタンスはやはり調子の良いときの立ち位置を

覚えて置いてそこに足を合わせることで修正することが多いですね。あれもこれもではなく信用出来る自分のスタイルをひとつ作ってそれに近づける

ようにする方法を探すのが良い方法だと思います。人に見て貰うのも大事ですが、あれこれ欠点を指摘されてかえってドツボにはまることもあるので

まずは自分で原因を探り、それを中心に人に見て貰うと効果的でしょう。これは技術的な問題ですので、スランプ脱出とは直接関係ないかもしれない

ですね。では、精神的なものにはどう対処したら良いでしょう?まずは、簡単な配置で球を撞きます。でも、ただ入れているだけでは意味がありません

前述の30cmのストップで構いません。きちんと止める事に意識を集中してしっかりポケットする練習を繰り返します。これにより「球が入る」と

言う感覚が戻り、同時に自分がやりたいこと(この場合はストップショット)が同時に出来ている安心感から他の配置でも安心感が生まれます。逆に

こういうときに苦手な配置を練習することは俺は一切ありません。なぜなら入らないと思って練習してたまたま入ってもそれはフロックでしか無いため

ですね。フロックの練習なんて意味ないです。難しい配置を10球に1球入るようなって喜ぶより、簡単な配置を10球すべて入れて喜ぶようでないと

上達は難しいと思いますしね。そしてこれは極め付きなのですが、俺の究極のスランプ脱出法です。でも、あまりお勧め出来ません。少なくともB級

ボーラードのスコアで言えばアベレージで150以上の人なら挑戦してみるのも悪くないと思います。ボーラードをやります。「なんだ普通じゃん」と

言うと違います。「じゃあ、番号順?」<難しくしてどうすんねん。そうではありません。時間制限を設けるのです。俺が普通にボーラードをやると

1ゲームやるのに大体30分くらいかかります。これを15分以内でプレーします。1フレーム1分ちょっとでやらないといけない訳ですので非常に

スピードが要求されます。考えている暇なんてありません。ここがミソです。考えすぎがスランプの元凶であるならば考えられない状況を作れば良いと

言う発想です。ビリヤードでは感覚が重要です。ブレイク直後に全ての配置を把握してマスワリ出来るかどうかは瞬時に判ります。この感覚が大事です

それを養うには瞬間的なひらめきでビリヤードするのが良い方法だと俺は思っています。ライブ中継で俺が走り回ってボーラードをしていたら調子が

あまり良くないんだな。と思って結構です。でも、これを2ラックくらいやると感覚が戻るんですよ。ちなみに現在の記録は12分で177ってスコア

ですね。アベレージ200を越える俺としてはスコアが若干落ちていますが、そんなのは関係ないです。きっと熟考してらその時の調子ではもっと

低いスコアでもおかしくないですからね。良く考えることは必要ですし重要です。でも、それで不安になるくらいだったら考えない選択もありだと

思うんですよね。これはビリヤードだけでなく他の事でもそうですね。俺には苦手な事ですが調子が悪いときには取りあえず考えないでやってみるって

方法もひとつ選択肢で良いと思うのですが、どうなんでしょ?