DAIOCで数学しよう! 〜1〜


 

DAIOCとは?

 まずは、DAIOCがどういうパズルなのか、それを紹介します。

DAIOC之圖
図2.1 DAIOC
 DAIOCは、私が あんちもん's わーるど 内 Web Programing 館 で公開している Javaアプレット のパズルゲームの名称で、6×6に並んだカラフルなボタンを、全て同じ色にするというものです。
 具体的には、6×6のいずれかのボタンを押すと、そのボタンの色と、その上下左右にある(最大で)4個のボタンの色が、決められた順序で移り変わります。この「ボタンを押す」という操作を繰り返すことによって、色を一つの色に統一していくと言うことです。
 右の図を見てください。これは、ボタンの色が2色の場合の例です。色数は2色〜5色の間で選べるようになっています。
 言葉だけの説明では掴みにくいと思いますので、Javaアプレットが動作可能な環境の方は、こちらにおいてありますので是非一度覗いてみてください。

 ところで、DAIOCというのは、このルールに従ったパズルゲームを指す総称ではありません。DAIOC本体をおいてあるページにも書いてあるのですが、このテのパズルゲームの生みの親は、イスラエルのソフトウェアエンジニア、アヴィ・オルティ(Avi Olti)氏です。
 サイズが5×5で2色のもの(というより、ランプの ON/OFF が切り替わるもの)が、「ライツアウト」(LIGHTS OUT)という製品名で世界各国で 販売されている(日本では「タカラ」が販売元)というのは有名です。
 また6×6で、色数が2色〜5色まで選べるものが、「ダットジャパン」のWindows用ゲーム集"GAME PACK"の中にカラフルと言う名前で収録されています。
 つまりこのパズルゲームDAIOCは、カラフル完全互換です。
 名称をライツアウトともカラフルともしなかったのは、それらが商品名だからです。


 

DAIOC秘密

 まずはDAIOCで繰り返し遊んでみてください。 あなたは、どれだけパズルを完成させることが出来ましたか?
 15パズルの時と同様、パズル本来の楽しみを削がないために、具体的な『解き方』の解説はしばらくは掲載しないつもりです。あらかじめ、ご了承ください。

 それにしても、難しいでしょう?
 ルールは至って単純。とにかく、マウスをクリックし続ければいいんですからね。それなのに、「あと一つだけなのに!」と言うところまで来て、その一つが消えてくれない。そう言った状態に何度も陥ったこともあると思います。
 そして、こんなことを考えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 「これ、ひょっとして解けないんじゃないのか!?」

 はっきり言います。
 私は、自分で解くことの出来たもの以外は自分ではゲーム化しません。
 つまり。パズルゲームDAIOCに関する限り、初期配置がどんなものでも、必ず解けます!!
 このことは、私の血の滲むような調査の結果明らかになったことです。
 つまり、あり得る全ての場合を想定して、それをパターン分類し、各パターンごとに、解けるかどうかをシラミ潰しに調べたのです。そして結果、6×6においては、少なくとも6色まではきちんと解く方法があることが分かりました。
 私が、このパズルゲームDAIOCのサイズを6×6に固定したのはそのためです。

 しかし、それでは数学者のタマゴの名が廃ると言うもの(笑) そんな実験的な方法ではなく、もっと数学的に分析できないか、と考えました。
 そして私はある方法をすぐに思いついたのですが、それは方法としては直感的でわかりやすいと言えばわかりやすいのですが、計算時間がやたらとかかるので、失敗に終わりました。
 そんな折りもおり、私の優秀(?)な後輩が、パズルの盤面がある状態の時に限って、そこからそのパズルを解く、即ち、全てのボタンの色を一色に染め上げる手順を示すものを、見つけだすことが出来る方法というのを見つけてくれました! その方法は、私の考えていた方法を改良したものになっていました。
 しかもこの方法は、盤面のサイズや色数のパラメータを変えることによって、色々な場合について「初期配置がどんな場合でも解くことの出来るかどうか」を判定するものにもなっているのです!
 因みにその判定法によると、6×6では、13(の倍数)色以外では何色であっても、初期配置がどんなものでも解くことが出来ることが判明しました。 また同様、5×5では、どんな初期配置でも解くことが出来るというような、定石的な手段が存在しないと言うことも判明しました。
 それを聞いて、ライツアウトはなぜ5×5なのか? と疑問をもたれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 お答えしますと、ライツアウトは、解けるパターンと解けないパターンとがあるのですが、そのパターン分類が完全に研究しつくされているのです。それで、晴れて製品化されているというわけですね。

 さて、次回は、その「判定方法」を説明していきたいと思います。
 
 ……が!

 今回は、前の15パズルの時ほど、易しくはありません!
 ★が最低でも(★★★★〜)4つ以上つく話(即ち、大学教養課程以上!)に、どうしてもなってしまいます。
 それでも、わかりやすく、そのエッセンスを説明していこうと思います。
 目安として、行列という数学用語を聞いたことがない方には、面白くない話になってしまうかもしれません。その時は、ご容赦ください。

To be continued...



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