Brian Freemantle は元々いわゆるエスピオナージ(スパイもの)を主に手掛けていたUK(英国)の作家です。エスピオナージといっても、一般受けのする「007もの」のような派手なものではなく、もっと現実的な匂いのする(本物のスパイ活動など知る由もありませんが)物語として、登場人物の木目細かい心理描写をまじえて描いてあります。その計算しつくされた緻密なストーリー展開と、最後に必ず「あっ」といわせるどんでん返しを持ってくるところは超一流といえます。冷戦終結後は、犯罪心理プロファイリングなどを扱う小説を多く手掛けるようになっています。日本では新潮文庫などから数多くの作品が紹介されていますが、なかなかその全貌をまとめた資料がありません。ここでは、私の知る限りの情報をまとめておこうと思います。まだ完璧ではありませんし、間違いがあるかも知れません。お気づきの点や追加情報等ございましたらお知らせ下されば幸いです。 |
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やっぱりオリジナル
訳書で気に入った本があったら、やっぱり原書を読んでみたいものです。なんといっても、その作家本人が言葉を選んで書いてあるわけですから、翻訳では伝わらなかった微妙なニュアンスも感じることができたりします。また、原文ならではのカッコいいセリフがみつかったりもします。
文学作品なわけですから、技術書と比べると読むのには多少骨が折れますが、だんだん慣れてきます(「日本語と違って、英語には必ず主語と動詞があります」なんて中学で習ったことが、まったくの嘘だということがよく分かります)。訳書と比べながら読んでみるのも、理解が深まってよいのではないでしょうか。
リプリント
1998年に「Gold」という本がUKで出版されました。新刊かと思っていましたが、書評で見る限りでは「The Midas Men」を名前を変えて再出版したもののようです。また「At Any Price」も「Chairman of the Board」のリプリントでした。ハード・カバーは結構高い(\3000前後)ので、間違えて同じ物を購入しないように気を付けましょう。
リプリント その2
リプリントは間違えやすいのですが、逆にすでに絶版になっている本を再び手に入れられるようになるという意味ではありがたいことでもあります。「Gold」や「At Any Price」もそうですが、最近Severn House Publisherというところが、絶版本をハード・カバーでリプリントしているようです。もうすぐ「Hell's Paradise」がこのシリーズで出版予定になっています。書評をみたところ「H.M.S.Bounty」のリプリントのようです。経験からいうと、このシリーズは気を付けておかないとすぐ売り切れになってしまうので、こまめなチェックが必要です。因みに、どうもFreemantle名義でない本を中心にリプリントしているようなので、今後「Dirty White」や「Deaken's War」などが出るのではないかと期待しています。送料込みで4000〜5000円になってしまうのが痛いですが...。
US版のタイトル
リストを見ると分かるように、同じ本でもUK版とUS版でタイトルが変わることがあります。しかも紛らわしいことに、US版は出版のタイミングが一年遅れ位なので、新刊だと思って飛びつくと同じ本を買ってしまうことがあります。
絶版
日本と違って、UKやUSでは出版後しばらくすると簡単に絶版になってしまいます。ハード・カバーが絶版になっても、ペーパー・バックになって手に入るものもありますが、こちらもしばらくすると絶版になってしまいます。したがってリストにある本の内、よほど人気があるものを除けば、もうほとんど手に入りません。欲しい本はみつけたらすぐ買っておくのが鉄則です(私は随分これで泣きました)。
ペン・ネーム
英語ではpseudonymというようです。UKやUSでは当たり前なのか分かりませんが、Freemantle氏は非常にたくさんのpsuedonymを使い分けています。フィクション用だけでも、Jack WinchesterやJonathan Evansがありますし、最近はクローディン・カーターもの用に、Harry Asherを使っています。これもUSで出版されるときにはFreemantle名義になったりするので、さらにややこしくなります。Freemantle氏の著作を検索するときには、これらのpseudonymも知っていたほうが便利です。
原書の輸入
Amazon.co.jpのお陰で,原書の購入も随分楽になりました。何しろ,一番のネックだった送料がほぼ無料ですし(1500円以上が無料ですが,ハード・カバーなら1冊で優に超えてしまいます),在庫があれば2〜3日で届いてしまいます。USやUKからのSurface
Mailだと,ひと月はかかりますから圧倒的に便利です。
Amazonでもう一つ便利なのは,Marketplaceです。古い本を新刊で手に入れるのは絶望的ですが,中古品ならMarketplaceで手に入る場合があるのです。Marketplaceでは,Amazonから商品を購入するわけではなく,Amazonに登録している中古業者(個人を含む)から,出品物を購入することになります。こういう場合,一番心配なのは代金の支払い,特にクレジット・カード情報です。しかしMarketplaceでは,購入者はAmazonにカードなどで代金を支払い,中古業者にはAmazonから支払いが行われるようになっているので,業者にカード情報が漏れることはありません(とAmazonは言っています)。発送は業者から直接行われるため(したがって,発送先はAmazonから開示されます),送料は別立てになりますが,Amazon.co.jpのMarketplaceでは,書籍だと国内一律340円と充分安価です。
ただし,洋書なのでAmazon.co.jpのMarketplaceではあまり品揃えは期待できません。あるいは,見つかってもかなりの高値だったりします。そんな場合はAmazon.comです。さすがに洋書の本場(?!)なので,品物も豊富で,安い物もたくさんあります。国際発送に対応しない業者もあるみたいですが,今のところ私は当たったことがありません。日本への発送にかかる送料・手数料は,書籍の場合一律$9.98なので,まずまずの安さでしょう。以前は$13.99でしたので,少し値下げされたようです。ちょっと時間はかかりますが,個人輸入では,いつ到着するかを待っている間も楽しいものです。
私本人も,過去にAmazon.comから「The Blind Run」を「reademagain」というところから購入したことがあります。このときは一週間以内に到着し、状態もまずまずでした。また最近,「The
Book Hive.net」という店から,「Dirty White」,「Vetnam Legacy」等,Paperbackの5冊セットを購入しました。Amazon.comで注文して,店から出荷の通知が来るまで2日,家に到着するまで4日というスピードでした。Amazon.comでの注文時にはStandard
Mailの扱いでしたが,店の判断でPriority Mailにしてくれたようです。$9.50というシールが貼ってあるので,ほぼ実費です。とはいえ,送料は1回毎に必要になるので,今回のようなセットになっているととてもお得です。