「『断乳』の言葉やめ、時期も見直し 『乳離れ』無理しないでね 来年度から母子手帳 記述変更へ」(2001年12月1日(土)朝日新聞) |
朝日新聞紙上に、上記のタイトルの記事が掲載されたのを、ごらんになった方もいらっしゃると思います。厚生労働省は来年度から、母子健康手帳に記載されていた「断乳」という言葉を削除し、さらに一歳で尋ねていた「離乳」の完了を問う項目も、一歳六ヶ月まで待つことにしたそうです。また、身長と体重の発育曲線のグラフも、正常値の範囲を「八割の子が含まれる範囲」と「その周辺の14%」とにわけて図示することをやめ、一つの幅で示すことにしたそうです。
そのような変更の背後には、母子のスキンシップの点から一歳以降でも無理に「断乳」する必要はないとの考え方が主流になってきたこと、子どもの体重や身長の標準値に縛られる必要はないとの認識が定着してきたこと、などがあると思います。
ああ、やっと変更されたのか! と私はつくづく思います。
私は平成10年に子どもを産み、母乳哺育をしていました。私の子どもは五ヶ月から保育所に入っていたのですが、そこでの一歳以降の健康診断のたびに、「断乳」完了か未完了かを問診票に書かなくてはなりませんでした。私は、一歳すぎてもまだ母乳を与えていることは、非常に悪いことのように感じましたので、うそをつき、「断乳」完了に丸をつけていました。実際には、子どもは、二歳二ヶ月まで母乳を飲んでいたのですが・・・。私は、「断乳」という表記を削除し、「離乳」完了を一歳六ヶ月としたこのたびの厚生労働省の動きは、一定の評価ができると思います。
ところが、よく考えてください!「断乳」という表記をやめて、「離乳」完了という表記だけにしたとしても、それらを意味する内容はほとんど同義だと、母親たちは受け止めるでしょう。つまり、来年度からは、「一歳六ヶ月をすぎても、まだおっぱい飲ませてるの?」という無言の圧力を、母親たちは感じ続けることになる危険性があります。
厚生労働省のみなさん、「断乳」と「離乳」完了の意味内容の違いを、明記してください。「離乳」完了とは、たとえ母乳を与えているとしても、主なる栄養を母乳以外の食物から摂取している状態のことであり、「断乳」とは違うはずです。私は、母乳をいつ切り上げるかは、母親自身が決めるべき個人的な事柄だと思います。もし、長期授乳の弊害があるならば、それこそ、母子健康手帳に記載すべきことがらです。