みどり日記 2003/04/14 医師会附属の看護専門学校の入学式に参席して考えたこと

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医師会附属の看護専門学校の入学式に参席して考えたこと

私は先日、ある看護専門学校の入学式に参席いたしました。医師会が運営する三年制の正看護師を養成する学校です。新入生44人のうち、37人が女性、7人が男性でした。看護学校は男性にも門戸を開いていますが、女性の希望者が圧倒的に多いのが現状のようです。私は、「男性がんばれ!」と心の中で応援しています。

医師会附属の看護専門学校なので当然ですが、校長はもと医師会長、来賓は実習先になる予定の病院の院長(医師)や看護部長(看護師)が多数おり、医師や看護師からの祝辞が続きました。そして、医師会長挨拶で祝辞は終わりました。私は、多くの方々の祝辞を聞いて、医師会附属の看護学生が何を期待されているのかわかりました。○○医師会の地域内で、看護師として働くことが強く要請されているのです。
 祝辞の中で医師や看護師たちが看護学生に説いていた内容は、次の二点に要約できます。

  1. 先端医療を学び続けること
  2. 「患者様」へのいたわりの心、思いやりの心を持ち、常に「患者様」の立場に立って看護・お世話をすること

とくに2が強調されていたように思いました。医師の第一の使命は病気を治すことである一方、看護師の第一の使命は「患者様」をいたわり、思いやって、看護(お世話)をするという役割分担があるわけです。看護師が医師から独立して行なえる業務は、患者の「療養上の世話」ですから、当然と言えば当然です。

それ以外の業務「診療の補助」は、看護師は「医師の指示」のもとで行なわなくてはなりません。医師>看護師という上下関係が制度上明らかに存在するのです。また、上の2にあげた「いたわり」とか「思いやり」という心情的役割は、これまで「女性」が担わされてきた性別役割と驚くほど合致します。(医師による治療行為は男性役割とされてきた「仕事」と合致します)ですから、医師と看護師は、男と女の性別役割分業観をまさに体現している職業と考えることもできます。

男性看護師が登場することで(あるいは女性医師が増えることで)、医師と看護師の間の性別役割分業観を少しずつ払拭することができるのでしょうか?開業権のある助産師のように、「医師の指示」を受けなくとも、看護師が自ら行なえる業務を増やすことは可能でしょうか?私は、看護師が医師と対等な職業人となるために、看護師の専門性を高めるための何らかの方策が必要だと感じました。医師(会)や病院(医師が院長)が看護師を養成するという学校制度そのものにも問題があるのかもしれません。看護師養成を大学に一本化するなどの斬新な制度改革も必要かもしれないと私は思いました。

以上、入学式の長時間にわたる多くの祝辞を聞いて、考えたことを書きました。


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Last modified: $Date: 2008/05/24 06:22:46 $