私は、自明のものだと思っていた生物学的な性別の基準、つまり「あなたは女性です」「あなたは男性です」と決定する基準が、確実なものではないことを知りました。現代の医学(近代医学)では、性器や染色体の違いが、生物学的な性別を区別する基準として採用されているようです。そして、裁判所もこの考え方を支持しています。
ところが、身体的には男性(外性器があり、染色体も男性の配列)でも心は女性という人や、逆に身体的には女性でも心は男性という、「性同一性障害」の人がいます。このことは、性器や染色体の違いが、男女を区別する決定的な基準ではないことを示しています。
例えば将来、脳科学研究が進めば、脳の違いが男女を区別する基準として採用されるかもしれませんし、ホルモン研究が進めばホルモンの違いがその基準となるかもしれません。そう考えると、生物学的な性別(sex)自体も自明のものではなく、文化的・社会的に(近代医学に基づいて)決定されるものとなります。すなわち、生物学的な性別さえも「ジェンダー」の一部なのだ、と考えることができるのです。私はこの番組を見て、生物学的な性別とは何なのか、そしてジェンダーとは何なのか、改めて考えさせられました。