日米決戦編ストーリーダイジェスト

1話 「戦いの始まり」
 時は西暦2,000年12月31日、太平洋特設スタジアム、午後6時。何の説明もなく、1ページ目から日本とアメリカの運命を懸けた戦いが始まる。1回の表、アメリカの攻撃を、大和は三者三振に切って取る。

2話 「ミスター・プレジデント」
 時は少し遡り、1997年1月。オブライエン=フランクリンのアメリカ大統領就任パーティに招かれた日本人大リーガー沢木は大統領に対し、「野球を制す者、世界を制す」と発言する。その言葉をいつまでも深くかみしめる大統領。しかし一方の沢木は白人の凶弾に倒れる。アメリカは日本人が大リーグで活躍することを未だ許せていないのであった。
 翌日、ネバタ空軍基地。喧噪の中、一人空を見上げる大統領。この時はたして彼の頭の中をよぎったものは何だったのか。

3話 「大統領の陰謀」
 場面が変わり、西暦1999年。アメリカ大統領オブライエン=フランクリンは突然日本併合政策を発表。日本をアメリカ51番目の州にするというのだ。しかし、日本政府はこれを拒否、決着は野球でつけることになる。そして迎えた20世紀最後の日、日本の未来を賭けた決戦の火蓋が切っておとされた!

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 そして1回の裏、時乃が内野安打で出塁し、すかさず二盗。一死後、丈はファースト強襲安打で一三塁。ここで大和の3ランが飛び出し、全日本は3点を先制する。

 しかし、米軍もすかさず反撃。ジョン、サンダースの連続ホームランで2点を返す。さらにカシアスはクロスカウンター打法でクリーンヒット。しかし代打のウィリアムら後続を、与古のファインプレーにも助けられ、なんとかチェンジ。交代の際、マークスとすれ違いざま、祥子は彼になにか恐ろしい印象を受ける。さて、ライアンが退いたマウンドには、そのまま代打のウィリアムが登場する。彼の魔球の前に全日本打線は沈黙。2回の裏は三者凡退に終わる。

 3回の表。ルイスの足を活かした内野安打の後ジョンは二打席連続となる逆転2ラン。気落ちした全日本をさらに恐怖が襲う。サンダースの打球が与古を直撃。弾かれたボールは山田が捕球し、レフトフライとなるが与古は殉死する。ついに犠牲者を出し、異様なムードがスタジアムを包み込む。ベンチから飛び出した我流の「かわいそうな人だ」発言にも、サンダースは不敵に笑うだけであった。

 3回の裏。時乃はサードフライでワンアウト。この時彼は爆弾を抱えている左足を痛めてしまう。続く服部はアランのお株を奪う土遁の打球でセカンド内野安打。しかし丈はファーストライナーとなりゲッツー。大和につなぐことができない。

 4回の表。(2010年、都合により割愛)

 4回の裏。大和がスリーベースで出塁。サンダースとカシアスの黒人三遊間はウィリアムに非協力的で、山田のレフト前タイムリーで同点。が、自主規制2010の代打に梅三郎が登場するもアランの好守に阻まれスリーアウト。

 5回の表。ベンチ裏ではウィリアムがサンダースに倒される。しかし、そのサンダースも体に異変が起き、彼は苦しむ。彼は血を吐き、ふるえながら注射器を手にする。

 一方、グラウンドでは代打アープがテキサスヒット。ルイスは凡退するが、アランは消える打球でセカンド内野安打、ジェロニもんが秘打トマホーク・トマホークで続き一死満塁。ジョンの大飛球を山田はフェンスに激突するも見事ダイビングキャッチ。しかし頭蓋骨を骨折し死亡。動けぬまま、タッチアップで二点を失う。

 山田の代わりに赤尾がレフトに入る。そして続くサンダースはまたも豪打。我流の腹を突き破るレフトライナー、彼を地獄に送る。苦しみに耐えながらも、サンダースは見事己の生き方を誇示する。

 5回裏。カシアスに代わりピッチャーキース。代打のアープはショートへ。魔球スパイラルエクスプレスがさえ、死んだ我流の代打三戸は三振。しかし時乃が足を活かした内野安打で出塁し、二盗、三盗と激走。さらに服部のサードゴロで一気にホームへ突入。左足をかばいながらの無理な走法のため、右足のアキレス腱を切断するもみごとホームインする。しかしクロスプレー時、サンダースの送球を背中に受け、時乃は死ぬ。記者の北川次郎は彼について、「天才は、そのいのちの終焉にむかって風よりも速く走っていく」と語る。そしてさすらいの剣士、武蔵がグラウンドに登場。白球に命を賭ける野球戦士の心意気が彼を動かしたのだ。

 1点返し、6対5。なおもバッターランナーの服部が二塁に進み一死二塁。しかしアランの隠し球で服部はアウトになってしまう。この後アランとキースがポジションを入れ替え、トリックスター、アランが登板。消える魔球で丈を三振に切ってとる。一方、ブルペンでは、大和がついに新魔球を完成させていた。

 6回の表。センターには新メンバーの武蔵が入り、大和も新魔球をひっさげ、キース、サンタナを連続三振。続く代打はアームストロング。ロケットエンジンを積んだ義手を飛ばす秘打スペースシャトルで打球を宇宙に飛ばされるが、赤尾がこれを追走。5分後、ボールだけがグラウンドに戻りピッチャーフライとなる。

 6回の裏。大和、浪速は連続三振。消える魔球を攻略できず、途方に暮れる全日本ベンチの中で、一人の男が立ち上がる。その男、代打月光は消える魔球を見事、真芯でとらえる。目の見えない彼にとって、消える魔球など、棒球同然であった。誰もが入ったと思ったが、しかし、この打球をこの回からレフトに入っていたマイケルが好捕、幻のホームランとなってしまう。

 7回の表は三者三振。一方、ついにマウンドに立ったジョンも一歩も譲らず、粘る代打納豆らを三連続奪三振。しかし、それはいわば嵐の前の静けさ。負担の大きい新魔球のために大和の肩はすでに限界、サンダースも一人、オーバードーズの苦しみに耐えるのであった。そしてジョンは、大和の魔球を打ち崩す秘策を見つけていた……!

 8回の表は三番のジェロニもんから。ここでネクストバッターズサークルから、ジョンは新魔球がもう通用しないことを忠告し、勝利宣言をする。白人政府の下で侵略戦争の片棒をかつぐことに戸惑いを感じているジェロニもんではあったが、勝負となってはやはり勇者の血が騒ぐ。初球を一閃、打球はライトスタンドへと飛び込む。続くジョンも国会議事堂まで届く大ホームラン。自信を失い、大和はマウンド上に倒れ込んでしまう。

 監督である赤尾を失い、エースの大和もノックアウト。まさに全日本は絶体絶命!監督代行の一は病身の亜比留をマウンドに送り、大和はライトで休ませることにする。迎えるバッターは強打者サンダース。しかし彼の体は薬の副作用ですでにボロボロであった。立っているのがやっとのはずだがバットをふるう彼に、戦士たちは男の生き様を見る。しかし、投げる亜比留もまた男。病と闘い、これに臨む。後続を三連続三振でピンチを切り抜け、マウンドで微笑む彼は、すでに息絶えていた。彼に心うたれ、大和は再び闘志を燃やす。そして、全日本ベンチでも、4年間眠り続けていた男が、ついに目を醒ます。

 8回の裏、先頭打者は武蔵。九星剣登龍覇が炸裂し、ツーベース。続く服部はまやかしの術で四球を選び、ジョンのリズムを狂わす。丈もギャラクティカスレイヤーでセンター前タイムリーと続く。そして無死一二塁でジョン対大和。大和の打球はレフトへ抜け、分身の術で服部がホームイン、1点差。五番浪速が併殺打に倒れるも、続く代打は100年に一人の天才、沢木。そう、四年前、アメリカ大統領オブライエン=フランクリンの質問に、「野球を制す者、世界を制す」と答え、この戦いの遠因を造った男こそ、まさしく彼であった。そして、その男が今、四年ぶりにバッターボックスに立つ!

 沢木凌。彼はまさしく天才であった。あるいは、大和よりも……。あるいは、ジョンよりも……。その打球は一億二千万の期待を乗せ、大きな弧を描き、夜空に消えた。そして太平洋より遙か彼方、ニューヨークにそびえ立つ自由の女神が打球により粉砕された瞬間、歓声がスタジアムを包みこむ!!

 見事8対9と逆転した全日本、あと1イニングを守りきれば、彼らの勝利である。9回の表、先頭打者は八番マイケルに代わり代打ランボー。魔球と豪速球のコンビネーションでこれを押さえようとした大和だが、力でライト前に運ばれてしまう。続くアープには初球を狙われ、クレメンタインに捧げるセンター前ヒット。ルイスは打ち取るものの、アランのトリックに引っかかり、打撃妨害での出塁を許してします。

 一死満塁。葛藤に悩むジェロニもんに代わり、代打ハイタワー。なんと彼は膝下が5mもあり、ストライクゾーンが異様に高い。普通に投げたら膝下を通過するボールで、押し出しになってしまう。しかし、ストライクを投げたらキャッチャーがジャンプしても届かない。スボールとなるのは必至。山なりのボールでストライクを取りにいっても、俊足の代走三塁ランナー、カラにホームスチールされてしまう。大和は絶体絶命のピンチに立たされるが、必要は発明の母、ホームベース上で急上昇急降下をする新魔球を編み出し、ハイタワーを三振にきって取る。長身によるストライクゾーンの広さが逆にあだとなったわけである。そして試合はいよいよクライマックスを迎える。

 九回の表、二死満塁、迎えるバッターは四番、ジョン=フランクリン。投げるは我らがエース、大和愛国。前魔球も急上昇急降下魔球も通じず、カウントはツースリー。最後の一球は小細工無しの直球で勝負と決めた大和、彼の豪腕がうなる!160k/mの超豪速球にジョンのバットは空を切る。全日本は9対8で見事、アメリカ軍を打ち破る。そして勝利を見定めた沢木は一人、静かに永久の眠りにつくのであった。

 

スコアテーブルに続く

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